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相撲の金星とは?獲得条件・4万円の仕組みと2026年最新記録を徹底解説

園田 薫 園田 薫 • 更新: • 公開: • 読了約 15 分
目次

大相撲で「金星を挙げた」と聞くと、横綱を破る大金星を思い浮かべる人も多いだろう。相撲の金星とは、幕内の平幕力士が横綱との本場所の取組で勝利したときに記録される特別な白星だ。通常の勝利とは異なり、力士褒賞金にも加算されるため、名誉と経済的なメリットの両方を持っている。

ただし、横綱に勝てば誰でも金星を獲得できるわけではない。大関・関脇・小結などの三役力士は対象外であり、不戦勝や反則勝ちにも特別な扱いがある。2026年の最新記録では、歴代最多獲得者の安芸乃島が16個、金星を最も多く配給した横綱は北の湖の53個という記録が残る。4万円の仕組みから歴代記録まで、知っておきたいポイントを整理する。

【基本知識】相撲の金星とは?平幕力士が横綱に勝つと成立する特別な白星

相撲の金星

相撲の金星(きんぼし)とは、横綱と三役を除く幕内力士、つまり平幕の力士が横綱に勝ったときに得られる特別な勝ち星を指す。

平幕とは、幕内の番付で前頭に位置する力士のこと。横綱を頂点とする番付制度の中で、前頭の力士が最高位の横綱を破ることには、通常の白星以上の価値が認められている。

日本相撲協会の公式クイズでも、金星を獲得できるのは「平幕力士のみ」と説明されている。

金星が成立する4つの基本条件

金星として記録されるには、次の条件を満たす必要がある。

1. 勝った力士が幕内の平幕(前頭)であること。
2. 対戦相手が横綱であること。
3. 本場所の本割で行われた取組であること。
4. 不戦勝や反則勝ちではなく、通常の取組による勝利であること。

重要なのは、勝った力士の最高位ではなく、その取組が行われたときの番付上の地位で判断する点だ。

例えば、過去に関脇や小結を経験した力士でも、現在の番付が前頭であれば金星を獲得する資格がある。

逆に、前頭経験のない力士であっても、三役に在位しているときに横綱を破れば金星にはならない。

金星がつかないケースにも注意

横綱に勝ったという結果だけで金星が成立するわけではない。

代表的な対象外のケースは次のとおり。

- 大関・関脇・小結が横綱に勝った場合
- 横綱の不戦敗によって平幕力士が不戦勝になった場合
- 横綱の反則によって平幕力士が反則勝ちになった場合
- 優勝決定戦で平幕力士が横綱を破った場合

特に見落とされやすいのが反則勝ちだ。横綱が反則によって敗れても、その勝利は金星として扱われない。

金星は単なる勝敗結果ではなく、本場所の通常の取組における平幕力士の勝利を対象とした記録なのである。

【金星と銀星の違い】三役力士が横綱を倒しても金星にならない理由

金星と一緒に覚えておきたい言葉が「銀星(ぎんぼし)」だ。

銀星とは、一般に平幕力士が大関を倒したときの勝ち星を指す俗称である。精選版日本国語大辞典にも、この意味が掲載されている。

ただし、金星と銀星は制度上の扱いが同じではない。

金星と銀星の比較
比較項目 金星 銀星
対戦相手 横綱 大関
勝利する力士 平幕 平幕
意味 特別な勝ち星 大関を破った勝ち星の俗称
力士褒賞金 10円加算 金星と同じ加算はない
制度上の扱い 特別な加算対象 一般的な呼称

金星と銀星の大きな違いは、力士褒賞金への特別加算があるかどうかだ。

なぜ関脇や小結には金星がつかない?

三役とは、大関・関脇・小結の3つの地位を指す。

これらは横綱に次ぐ上位の番付であり、横綱との対戦も番付上想定されている。

一方、前頭の力士は三役より下の地位にある。そこから横綱を破ることは、番付上の格差を乗り越えた勝利として特別に評価される。

例えば、前頭筆頭の力士が横綱を破れば金星になる。しかし、関脇が同じ横綱を破っても金星ではない。

これは関脇の勝利が価値の低いものだという意味ではない。金星という制度が、あくまで平幕力士による横綱撃破を特別視する仕組みだからだ。

【報奨金の仕組み】金星を取ると給料はいくら上がる?1個4万円の計算方法

金星が特別視される理由の一つが、力士褒賞金への加算だ。

金星を獲得すると、力士褒賞金の支給標準額に10円が加算される。一見すると小さな金額だが、実際の支給額は10円ではない。

10円が4万円になる理由

力士褒賞金は、支給標準額に一定の倍率を掛けて支給される仕組みになっている。

その支給倍率が4000倍であるため、次の計算になる。

10円 × 4000倍 = 40,000円

つまり、金星を1個獲得すると、1場所ごとの力士褒賞金が4万円増える。

年6場所制の大相撲では、年間の増加額は次のようになる。

項目 金額
金星1個の加算標準額 10円
支給倍率 4000倍
1場所あたりの増加額 40,000円
年6場所分の増加額 240,000円
金星2個の場合の年間増加額 480,000円
金星3個の場合の年間増加額 720,000円

※十両以上の関取として各場所の支給対象となる場合の計算。金星1個につき、各本場所の支給額が4万円増える。

毎月の給料が4万円増えるという説明は正しい?

ここは誤解しやすいポイントだ。

金星1個で毎月の基本給が4万円増えるわけではない。

4万円は、各本場所で支給される力士褒賞金の増加額である。基本給にあたる月給と力士褒賞金は別の仕組みだ。

裁判所が公開している2013年3月25日判決の資料にも、日本相撲協会の給与規定と力士褒賞金の規定がそれぞれ掲載されている。

同資料では、十両以上の力士に力士褒賞金を支給し、各本場所ごとに4000倍で支給する仕組みと、平幕力士が横綱から勝ち星を得た場合に10円を加算する規定が確認できる。

金星を取ると引退するまで4万円がもらえる?

金星による加算は、その場限りの一時金ではない。

力士褒賞金の支給標準額に加算されるため、関取として支給対象である間は、その加算分が各場所の支給額に反映される。

そのため、金星を複数獲得した力士ほど、長期的な経済的メリットも大きくなる。

ただし、幕下以下は力士褒賞金の支給対象ではない。金星の記録と、実際にその場所で受け取る金額は分けて考える必要がある。

【歴代ランキング】金星獲得最多は安芸乃島16個!北の湖は53個を配給

金星の歴代記録を見ると、獲得する側と配給する側で、それぞれ異なる名力士の名前が並ぶ。

2026年の最新集計では、金星獲得数の歴代最多は安芸乃島の16個。反対に、横綱として最も多く金星を与えたのは北の湖の53個となっている。

歴代金星獲得数の主な記録
記録・順位 力士・対象 金星数
歴代1位 安芸乃島 16個
歴代2位 髙見山 12個
歴代2位 栃乃洋 12個
歴代4位 土佐ノ海 11個
現役最多 玉鷲 8個
現役上位 高安 7個
現役上位 大栄翔 6個
横綱の配給最多 北の湖 53個
横綱の配給2位 日馬富士 40個
横綱の配給3位タイ 輪島・貴乃花 39個

※現役力士の数字は2026年9月場所終了時点。歴代横綱の配給記録は2026年9月場所までの集計。

安芸乃島が16個の金星を獲得した理由

歴代最多の16個を獲得したのが、元関脇の安芸乃島だ。

安芸乃島は、現在の高田川親方としても知られる人物である。

その16個の内訳を見ると、単に特定の横綱との相性がよかっただけではないことが分かる。

- 千代の富士から4個
- 北勝海から4個
- 旭富士から4個
- 大乃国から2個
- 曙から1個
- 武蔵丸から1個

合計6人の横綱から16個の金星を獲得している。

特に千代の富士、北勝海、旭富士という異なる時代の横綱から、それぞれ4個ずつ勝ち星を挙げた点が際立つ。

一人の横綱との偶然の相性だけでは説明できない、長期にわたる実力と勝負強さが表れた記録だ。

なお、一部の古い解説資料には安芸乃島の金星を19個とする記載も残っている。しかし、日本相撲協会の公式クイズでは16個と明記され、2026年9月までの取組記録を集計した最新資料でも16個となっている。

2026年時点で歴代最多として扱うべき数字は16個だ。

金星を最も多く配給した横綱は北の湖

獲得数とは反対に、横綱側から見た金星配給数の最多記録は北の湖が持っている。

北の湖は、横綱在位63場所で合計53個の金星を配給した。

続くのは日馬富士の40個、輪島と貴乃花の39個だ。

ただし、配給数だけで横綱としての強さを判断するのは適切ではない。

横綱在位期間が長ければ、その分だけ平幕と対戦する機会も増える。実際、横綱在位84場所の白鵬は金星配給26個にとどまっている。

通算の配給数と横綱在位場所数をセットで比較することで、記録の見え方は変わってくる。

【1場所の最多記録】金星を一人で3個獲得した力士は誰?

金星は一場所に何個まで獲得できるのか。

日本相撲協会公式サイトの2025年12月12日付クイズによると、一人の力士が一場所で獲得した金星の最多は3個だ。

過去には、次の力士が一場所で3個の金星を獲得している。

- 昭和58年(1983年)11月場所:大乃国(東前頭3枚目)
- 昭和54年(1979年)11月場所:栃赤城(西前頭筆頭)
- 昭和30年(1955年)1月場所:朝潮(東前頭筆頭)
- 昭和28年(1953年)1月場所:若ノ花(西前頭3枚目)

いずれも、横綱との対戦で複数の金星を挙げた力士たちだ。

なぜ一場所で4個以上の金星を取るのは難しい?

金星を獲得するには、平幕力士が横綱と対戦し、勝利しなければならない。

一場所で3個を獲得するには、同じ場所で横綱を相手に3回勝つ必要がある。

横綱が複数在位していることに加え、平幕力士自身が複数の横綱と対戦する番付や取組編成になることも関係する。

そのうえで、すべての対戦で勝利しなければならないため、非常に難しい記録となっている。

なお、ここでいう3個は一人の力士が獲得した金星の最多記録だ。

別の指標として、横綱一人が一場所で何個の金星を配給したかという記録もある。こちらは武蔵丸や稀勢の里が経験した5個が知られている。

「金星を取った最多数」と「横綱が配給した最多数」は、混同しないようにしたい。

【プロの結論】金星の記録から分かる横綱と平幕力士の実力関係

金星は、単なる番狂わせを示す記録ではない。

番付上の地位、対戦相手の格、力士褒賞金という3つの要素が結びついているため、大相撲の制度と競技の両面を理解するうえで重要な指標となる。

特に注目したいのは、金星の記録には二つの見方があることだ。

一つは、安芸乃島のように金星を数多く獲得した力士の実績。もう一つは、北の湖のように多くの金星を配給した横綱の記録である。

獲得数は平幕力士の勝負強さを示し、配給数は横綱としての在位期間や対戦機会も反映する。

金星のランキングを見るときの判断基準

金星の記録を比較する場合、次の3点を意識すると理解しやすい。

1. 通算獲得数だけでなく、対戦相手を見る

安芸乃島は6人の横綱から16個を獲得した。特定の横綱に対する相性だけではなく、長い期間にわたって結果を残した点に価値がある。

2. 横綱の配給数は在位期間と一緒に考える

北の湖の53個は歴代最多だが、横綱在位は63場所だった。白鵬の26個も、在位84場所という長さを考慮して評価したい。

3. 金星は優勝や番付昇進と同じ意味ではない

金星は特別な勝ち星だが、1個獲得したからといって優勝が決まるわけでも、翌場所の番付が必ず大きく上がるわけでもない。勝ち星全体の成績や番付編成も関係する。

金星は一番の勝利に対する特別な評価であり、力士の総合的な実力を測る唯一の数字ではない。

【相撲の金星】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:相撲の金星とは何ですか?

A1:幕内の平幕力士が横綱との本場所の本割で勝利したときに記録される特別な白星です。大関・関脇・小結などの三役力士が横綱に勝っても金星にはなりません。

Q2:金星を1個取ると給料はいくら上がりますか?

A2:力士褒賞金の支給標準額に10円が加算され、4000倍の計算で1場所あたり4万円増えます。年6場所すべてで支給対象となる場合、年間では24万円の増加です。毎月の基本給が4万円上がるという意味ではありません。

Q3:歴代で最も多く金星を獲得した力士は誰ですか?

A3:元関脇の安芸乃島です。歴代最多の16個を獲得しています。

Q4:金星を最も多く配給した横綱は誰ですか?

A4:北の湖です。横綱在位63場所で53個の金星を配給した記録を持っています。

Q5:大関が横綱に勝っても金星になりますか?

A5:なりません。金星の対象は平幕力士のみです。大関や関脇、小結が横綱を破った場合は通常の白星として記録されます。

Q6:一場所で金星を最多何個獲得できますか?

A6:一人の力士が一場所で獲得した最多記録は3個です。大乃国、栃赤城、朝潮、若ノ花などが達成しています。

相撲の金星とは、平幕力士が横綱を破ったときに得られる特別な勝ち星だ。

獲得条件は厳格で、大関・関脇・小結などの三役は対象外。不戦勝や反則勝ちでも金星にはならない。

金星1個につき力士褒賞金の支給標準額が10円増加し、実際には1場所あたり4万円の増額となる。年6場所を通じて支給対象であれば、年間24万円の増加につながる。

歴代最多獲得者は安芸乃島の16個、金星配給最多の横綱は北の湖の53個。2026年9月場所終了時点では、現役最多は玉鷲の8個となっている。

金星の面白さは、横綱を倒した一番の価値だけではない。獲得した力士の技量や勝負強さ、横綱の長期的な成績、そして相撲独自の報奨金制度までが、一つの記録に凝縮されている。

次に平幕力士が横綱を破ったときは、単なる波乱の勝利として見るだけでなく、その一番が金星として持つ名誉と、力士の記録に残る意味にも注目したい。

主な確認資料: 日本相撲協会公式サイト、裁判所公開の判決文、精選版日本国語大辞典、2026年9月場所までの大相撲記録集計。

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