2026年11月1日現在、サバクトビバッタ(Desert Locust)は、アフリカ北西部を中心に引き続き監視が必要な越境性害虫だ。2026年初頭にはモーリタニアや西サハラで大規模な発生が続き、春から初夏にかけてはモロッコやアルジェリアにも群れが広がった。一方、国連食糧農業機関(FAO)が10月に公表した9月分の最新月報では、世界の主要な発生地域全体の状況は落ち着いていると評価されている。ただし、モーリタニアでは10月末時点でも繁殖が続いており、11月の再増殖が警戒されている。
なぜ、普段は砂漠に少数しかいないバッタが、突然、数千万匹規模の群れに変わるのか。鍵を握るのが、個体密度に応じて行動や体の特徴を変える「相変異」だ。1日100kmを超える移動能力、500種類以上の植物を食べる食性、農作物への被害、日本に飛来する可能性、そしてFAOや国際農研による最新の防除研究まで、2026年の現状を踏まえて整理する。
【2026年最新】サバクトビバッタの発生状況は?モロッコ・アルジェリア・モーリタニアの動向

サバクトビバッタの2026年の動向を理解するうえで重要なのが、アフリカ北西部の3か国、モロッコ、アルジェリア、モーリタニアだ。
FAOの砂漠バッタ情報サービス(DLIS)は、各国から寄せられる発生情報、気象データ、植生状況、衛星画像などを分析し、国別の発生予測を公表している。
2026年は年初からモーリタニアと西サハラで発生が深刻化。その後、北上した成虫の集団がモロッコに広がり、アルジェリアでも局地的な発生が確認された。
2026年の主な発生経過| 時期 | 発生状況 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 2026年1月 | モーリタニア・西サハラで深刻な発生 | 成虫の集団や小規模な群れが確認された |
| 2026年3〜4月 | モロッコで北上と繁殖が進行 | 幼虫の集団や群生相の群れが形成された |
| 2026年5〜6月 | モロッコで広範囲に発生 | アルジェリアでも幼虫や成虫の集団を確認 |
| 2026年7月 | モロッコの成虫集団が拡大する一方、南方への移動も進行 | モーリタニアでは散在する成虫が確認された |
| 2026年9月 | FAOの月報では主要3繁殖地域全体が比較的平穏 | 西部地域では孤立した成虫が確認された |
| 2026年10月28日 | モーリタニアで繁殖が継続 | 11月に幼虫・成虫の集団が形成される可能性 |
※FAOの2026年各月の発生速報、砂漠バッタ月報第576号、FAOのモーリタニア国別報告を基に整理。
11月に警戒されるモーリタニアの再繁殖特に注目したいのが、FAOが2026年10月28日付で更新したモーリタニアの国別報告だ。
同報告によると、同国ではサバクトビバッタの繁殖が続いており、南部を中心に今後も繁殖活動が継続する見通しとなっている。
加えて、11月には次の3地域で幼虫や成虫の集団が形成される可能性が指摘されている。
- タガント州(Tagant)
- ブラクナ州(Brakna)
- トラルザ州(Trarza)
農作物への被害を防ぐため、防除活動が必要になる可能性もある。
一方、FAOの最新月報である第576号は、2026年9月の観測状況をまとめたもので、10月13日に公表された。この月報では、アフリカ西部・中東・南西アジアの主要3繁殖地域全体で、9月の状況はおおむね平穏だったとされている。
つまり、2026年11月時点の状況は、世界的な大発生が全面的に再燃しているというものではない。北アフリカの春季発生は沈静化した一方、サヘル地域のモーリタニアでは新たな繁殖に注意が必要という、地域によって異なる局面にある。
【情報源:FAO Desert Locust Bulletin No.576、FAO GIEWS Mauritania Country Brief(2026年10月28日)】
【なぜ大群になる?】サバクトビバッタの相変異と孤独相・群生相の違い
サバクトビバッタが世界的に恐れられる最大の理由は、単に繁殖力が強いからではない。
最大の特徴は、周囲の個体数や接触頻度に応じて、生態や行動を大きく変化させる「相変異(Phase Polyphenism)」という性質にある。
サバクトビバッタは、同じ種類の昆虫でありながら、孤独相と群生相という大きく異なる状態を示す。
孤独相と群生相は何が違う?孤独相(Solitarious phase)は、個体密度が低い環境で生活する状態だ。
ほかの個体を避ける傾向があり、基本的には単独で行動する。通常時の砂漠では、この状態で少数の個体が生息している。
対して、群生相(Gregarious phase)は、個体密度が高くなった環境で形成される状態だ。
ほかの個体に引き寄せられ、集団で移動する性質が強くなる。成虫の群れだけでなく、翅のない幼虫も集団で移動する「幼虫帯」を形成する。
| 比較項目 | 孤独相 | 群生相 |
|---|---|---|
| 生息密度 | 低い | 高い |
| 行動 | 単独行動が中心 | 集団行動が中心 |
| 他個体への反応 | 避ける傾向 | 引き寄せられる |
| 成虫の色 | 主に茶色系 | 未成熟はピンク系、成熟すると黄色系 |
| 幼虫の色 | 主に緑色系 | 黒色や黄色・黒色の模様 |
| 移動 | 個体ごとの移動 | 群れによる集団移動 |
| 農業への影響 | 比較的小さい | 大規模な農作物被害につながる |
重要なのは、孤独相と群生相が別々の種類のバッタではないという点だ。同じサバクトビバッタが環境に応じて変化する。
相変異はどのような仕組みで起こるのか相変異の引き金になるのは、個体同士の接触や刺激だ。
雨が降った後に草が増えると、バッタは繁殖を始める。やがて乾燥が進んで植物が減ると、残された緑地に個体が集中する。
その結果、互いの体が触れる機会が急激に増加する。
サバクトビバッタでは、後脚への触覚刺激や視覚・嗅覚による他個体の認識などが、群生相化に関係することが研究で示されている。
特に注目されているのが神経伝達物質のセロトニンだ。
研究では、個体が密集することによって神経系のセロトニン濃度が変化し、数時間という短い時間で行動が群生相に近づくことが確認されている。
つまり、群れを作るために必要な変化は、外見が変わるよりも先に、脳や神経系を通じた行動の変化として現れる。
形態的な変化には数日から数週間、場合によっては世代をまたいだ時間が必要になる。
1921年に始まった相変異研究相変異の研究史で重要なのが、ロシアの昆虫学者ボリス・ウバロフだ。
1921年、ウバロフはバッタの相の違いを説明する考え方を発表した。
当時は、孤独相と群生相の外見や行動の違いから、別々の種類の昆虫だと考えられていた。
しかし、実際には同じ種類のバッタが環境によって異なる特徴を示していた。
この発見が、その後のバッタ研究と大発生予測の基礎になった。
【情報源:国際農研「サバクトビバッタについて」、セロトニンと相変異に関する研究論文】
【生態と繁殖条件】500種類以上を食べる食性と産卵場所の秘密
サバクトビバッタは、学名をSchistocerca gregariaというバッタ科の昆虫だ。
英語ではDesert Locustと呼ばれ、アフリカ西部から中東、南西アジアにかけての乾燥・半乾燥地域に生息する。
500種類以上の植物を食べる広食性国際農研の解説によると、サバクトビバッタは500種類以上の植物を食べる広食性の昆虫だ。
主な食害対象には次のような植物がある。
- トウジンビエ
- ソルガム
- トウモロコシ
- コムギ
- サトウキビ
- ワタ
- 果樹
- 野菜
- 牧草
葉だけでなく、若い茎、花、果実、種子なども食べる。
ただし、すべての植物を同じように好むわけではない。幼虫と成虫で好む植物が異なる場合があり、同じ植物でも成長段階によって食べ方が変わる。
興味深いのは、イネが比較的食害されにくいという点だ。
国際農研の解説では、水田で栽培されることが影響している可能性が指摘されている。ただし、イネが完全に食害されないという意味ではない。
産卵場所は砂漠の湿った地中サバクトビバッタは、乾燥した砂漠に生息する一方、卵を産むためには地中の水分が必要になる。
メスは腹部を伸ばして地面を掘り、主に砂質土壌の地下10〜15cmほどの深さに卵を産む。
FAOによると、卵は卵鞘と呼ばれるまとまりで産み付けられ、1回の産卵で次の数の卵が確認されている。
- 孤独相のメス:約95〜158個
- 群生相のメス:通常80個未満
メスは生涯に少なくとも3回産卵することがあり、産卵間隔は通常6〜11日程度だ。
卵はおよそ2週間で孵化するが、気温や土壌水分などの条件によって10〜65日程度の幅がある。
孵化した幼虫は翅を持たず、脱皮を繰り返しながら成長する。通常5〜6段階を経て、約30〜40日で成虫になる。
大発生には雨と乾燥の両方が関係するサバクトビバッタの大発生は、単純に雨が多いだけでは説明できない。
重要なのは、雨によって繁殖環境が改善された後、植生が減少して個体が集中するまでの一連の流れだ。
1. 乾燥した砂漠に雨が降る。
2. 湿った土壌と植物が増える。
3. 成虫が成熟し、交尾・産卵を始める。
4. 幼虫が成長し、個体数が増加する。
5. 乾燥が進み、植物が残る場所に個体が集中する。
6. 個体同士の接触が増え、群生相化が進む。
7. 群れが形成され、別の地域へ移動する。
2020年の大発生では、干ばつの後にサイクロンによる大雨が発生し、繁殖に適した環境が生まれたことが原因の一つと国際農研は説明している。
砂漠に雨が降ることは、通常なら植物の再生につながる。しかし、サバクトビバッタにとっては、大量繁殖のきっかけにもなるのだ。
【情報源:国際農研、FAO Locust Watch・Frequently Asked Questions】
【農作物被害と移動距離】1日100km超を飛ぶ大群の破壊力
サバクトビバッタの脅威を理解するには、個体の食べる量だけでなく、群れ全体の規模を考える必要がある。
FAOによると、1平方キロメートルの群れには、少なくとも約4,000万匹、多い場合には約8,000万匹の成虫が存在する。
成虫1匹は1日に自分の体重に相当する約2gの植物を食べる。
FAOは、約4,000万匹からなる1平方キロメートルの群れが、1日に約3万5,000人分に相当する食料を消費すると説明している。
農作物被害は食料不足だけでは終わらないサバクトビバッタの被害は、農作物を食べ尽くすことだけではない。
農業が生活の基盤となっている地域では、収穫量の減少が家畜の飼料不足や農家の収入減少にもつながる。
加えて、食料供給が減ると市場価格にも影響し、経済的に余裕のない世帯ほど深刻な打撃を受ける。
つまり、サバクトビバッタの大発生は、農業問題であると同時に、食料安全保障や地域社会の生活基盤に関わる問題なのだ。
1日130〜150km以上移動する飛翔能力サバクトビバッタの群れは、風に乗って長距離を移動する。
FAOの説明では、通常の飛翔速度は風の条件によって時速約16〜19km。好条件が整えば、1日130〜150km以上移動することもある。
群生相の成虫は主に日中に飛翔し、日没前に地上へ降りる。
一方、孤独相の成虫は夜間に飛ぶ傾向がある。
また、1988年には西アフリカからカリブ海まで、約5,000kmを10日ほどで移動した事例がFAOによって紹介されている。
国際農研も、1988年の移動について4,000km以上の長距離飛翔として解説している。
この移動は、単純に目的地を目指すものではない。風や季節の変化に合わせ、繁殖に適した場所へ移動する生態と関係している。
雨が降って植物が育ち、産卵に適した湿った土壌がある地域に到達できれば、そこで次の世代が生まれる可能性がある。
【情報源:FAO Desert Locust FAQs、国際農研】
【日本に飛来する可能性】発生地域と分布から考える現実的なリスク
「アフリカで大量発生したバッタが日本まで飛んでくるのではないか」
この疑問は、2020年の大発生が世界的に報道された際にも注目された。
結論からいえば、サバクトビバッタが日本に飛来する可能性は極めて低いと考えられている。ただし、飛来が絶対に起こらないと断言することもできない。
通常の生息域はアフリカからインド周辺FAOによると、サバクトビバッタは平穏期には年間降水量200mm未満の乾燥・半乾燥地域を中心に生息する。
通常の生息域は約1,600万平方キロメートルに及び、アフリカの砂漠地帯、近東、南西アジアなど約30か国に広がっている。
大発生時には侵入地域が大きく広がり、最大で約60か国、約2,900万平方キロメートルに及ぶ可能性がある。
ただし、これは発生時に侵入し得る地域の広さであり、すべての国で同時に大発生するという意味ではない。
なぜ日本まで到達しにくいのか日本への飛来が難しい理由は、主に次の条件にある。
1. 飛来するための気象条件
サバクトビバッタは風に乗って移動するが、風向きや風速、気温などの条件が必要になる。
アフリカから南西アジア、さらに東アジアへ移動するには、複数の気象条件が連続して整わなければならない。
2. 長距離飛翔に必要なエネルギー
長距離を移動するには、飛翔を続けるためのエネルギーが必要だ。
単に風に乗れば、どこまでも移動できるというわけではない。
3. 生息環境と定着の問題
サバクトビバッタは乾燥・半乾燥地域に適応した昆虫であり、日本のような高湿度の環境で定着できるかは別の問題になる。
国際農研の解説では、東アジアや東南アジアにサバクトビバッタと同じSchistocerca属の在来種が知られていないことも指摘されている。
したがって、仮に一時的な飛来が起きた場合でも、そのまま日本で繁殖・定着するとは限らない。
日本にいるトノサマバッタとは別の種類ここで混同しやすいのが、サバクトビバッタとトノサマバッタの違いだ。
日本に生息するトノサマバッタも、相変異を示して大発生することがあるトビバッタの一種だ。
しかし、サバクトビバッタとは別の種類である。
また、南米で問題となるミナミアメリカトビバッタも別種だ。
世界のどこかでバッタが大発生したというニュースがあっても、それがすべてサバクトビバッタの大発生とは限らない。
国際農研の見解では、日本へのサバクトビバッタの飛来は複数の条件が重なる必要があり、その可能性は極めて低いと考えられている。
【情報源:国際農研「サバクトビバッタについて」、FAO Locust Watch】
【防除対策の最前線】FAOの発生予測と国際農研の研究が変える対策
サバクトビバッタの防除で最も重要なのは、巨大な群れが形成される前に発生を発見することだ。
成虫の群れが広範囲に拡大してから対処するよりも、移動能力が低い幼虫の段階や、産卵場所を早期に発見して対策する方が効率的だからだ。
FAOは衛星画像と気象データで発生を予測FAOの砂漠バッタ情報サービス(DLIS)は、各国の調査データを集約し、気象情報や衛星画像と組み合わせて発生状況を分析している。
予測では、主に次の要素が重視される。
- 降雨量と降雨の分布
- 土壌の水分量
- 植物の生育状況
- 気温や風向き
- 過去の発生記録
- 幼虫や成虫の分布
衛星画像でバッタを1匹ずつ見つけるわけではない。繁殖に適した土壌や植生を把握し、発生しそうな地域を絞り込むために活用する。
FAOは通常、6週間先までの発生や移動を予測し、各国に警戒情報を提供している。
殺虫剤と昆虫病原糸状菌による防除現在の主な防除方法は、化学殺虫剤と昆虫病原糸状菌を利用した方法だ。
昆虫病原糸状菌には、Metarhizium属の菌などがある。
これらを車両や航空機などから散布し、バッタの個体数を減らす。
また、ULV(Ultra Low Volume)と呼ばれる少量散布技術も利用されている。
必要以上に薬剤を使用せず、効果的に対象地域へ散布することが目的だ。
2026年は散布ドローンの活用にも注目2026年9月20〜25日には、モーリタニアのティグエントでFAOの西部地域委員会(CLCPRO)と中部地域委員会(CRC)による散布ドローンの専門研修が開催された。
この研修では、ドローンを使った早期対応や、対象を絞った防除技術の習得が進められた。
さらに9月27日には、モーリタニアで砂漠バッタ科学の修士課程に関する第3期の現地研修も開始されている。
単純に薬剤を散布するだけではなく、現地で発生を発見し、調査し、必要な場所に迅速に対処できる人材を育てることも重要になっている。
国際農研が解明した特異な繁殖行動日本の国際農研も、サバクトビバッタの防除技術の開発に取り組んできた。
特に注目される成果が、2021年10月12日に発表された繁殖行動の研究だ。
国際農研は、モーリタニアやモロッコの防除機関、フランスの研究機関と共同で、サハラ砂漠における成虫の交尾・産卵行動を調査した。
その結果、性成熟した成虫は、オスに偏った集団とメスに偏った集団を形成することが判明した。
加えて、日中に産卵直前のメスがオスの集団に飛来して交尾し、夜間にペアで集団産卵することも明らかになった。
この発見が防除に役立つ理由は、オスの集団を見つけることで、その後の集団産卵場所を予測できる可能性があるからだ。
研究では、オスの集団を発見した時点ですぐに薬剤を散布するのではなく、夜間の集団産卵のタイミングを考慮することで、効率的な防除につながると説明されている。
バッタの生態を理解し、行動に合わせて対策することで、農薬の使用量を減らしながら防除効果を高めることが期待されている。
【情報源:国際農研2021年10月12日研究発表、FAO CLCPRO・CRC 2026年9月発表】
【サバクトビバッタに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:サバクトビバッタはなぜ突然大発生するの?
A1:大雨によって植物が増え、湿った土壌ができると繁殖が進むためだ。その後、乾燥によって植物が減ると個体が残された緑地に集中し、接触刺激を受けて群生相化する。繁殖による個体数の増加と相変異が重なることで、大群が形成される。
Q2:サバクトビバッタは本当に1日に100km以上移動できる?
A2:可能だ。FAOによると、風向きや気象条件が整えば1日に130〜150km以上移動することがある。通常の飛翔速度は時速約16〜19kmで、群生相の成虫は主に日中に飛翔する。
Q3:サバクトビバッタが日本に飛来する可能性はある?
A3:国際農研の解説では、複数の気象条件や長距離飛翔に必要なエネルギーなどがそろわなければならず、可能性は極めて低いと考えられている。これまで日本でサバクトビバッタの飛来が確認された事例は知られていない。
サバクトビバッタが大群になる理由は、単純な繁殖力の強さだけではない。降雨による繁殖環境の改善、個体密度の増加、セロトニンなどが関係する神経系の変化、そして群生相への移行という複数の要因が連鎖している。
500種類以上の植物を食べ、1日に130〜150km以上移動する能力は、農業被害を広範囲に拡大させる大きな要因だ。
2026年11月1日時点では、FAOの9月月報で主要な繁殖地域全体の状況は比較的落ち着いている。一方、10月28日のモーリタニア国別報告では南部で繁殖が続き、11月の幼虫・成虫の集団形成が警戒されている。
今後の注目点は、モーリタニアの繁殖状況、北アフリカの再発生の有無、そして降雨や植生の変化だ。
FAOの衛星画像・気象データを利用した予測と、国際農研が進めてきた生態解明、現地の防除機関による早期対応を組み合わせることが、被害を抑えるための現実的な方法となる。
サバクトビバッタ問題は、一国だけで解決できるものではない。国境を越えて移動する昆虫だからこそ、発生地域の監視、人材育成、研究成果の共有、国際的な防除体制が欠かせない。
【主な参考資料】
- 国際連合食糧農業機関(FAO)「Desert Locust Bulletin No.576」(2026年9月分、10月13日公表)
- FAO「GIEWS Country Brief: Mauritania」(2026年10月28日)
- FAO「Locust Watch」「Frequently Asked Questions」
- 国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター(国際農研)「サバクトビバッタについて」(2025年8月8日更新)
- 国際農研「サバクトビバッタの特異な繁殖行動を解明」(2021年10月12日)
- FAO西部地域委員会(CLCPRO)2026年9月の散布ドローン研修発表