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親の介護したくないのは冷たい?2026年の介護費用・法律・支援策を徹底解説

藤森 綾 藤森 綾 • 更新: • 公開: • 読了約 31 分
目次

「親の介護をしたくない」「自分の人生を犠牲にしてまで親の面倒を見たくない」「兄弟がいるのに、なぜ自分だけが介護をしなければならないのか」。親の老いが現実味を帯びるにつれ、こうした気持ちを抱く人は少なくありません。しかし、親を大切に思う気持ちと、自分で介護を引き受けられるかどうかは別の問題です。仕事、子育て、経済的な事情、親との関係、心身の限界など、介護を避けたい理由は人によって異なります。

2026年現在、日本では介護保険サービスや老人ホーム、地域包括支援センター、介護休業制度など、家族だけで介護を担わないための仕組みが整備されています。2025年4月には改正育児・介護休業法も施行され、仕事と介護を両立するための企業の対応義務が強化されました。親の介護を直接引き受けない選択肢、民法877条の扶養義務、兄弟間の分担、費用、利用できる公的支援を整理します。

【本音と実態】親の介護をしたくないのは冷たい?そう感じる5つの理由

親の介護したくない

親の介護をしたくないと考えたとき、多くの人が最初に直面するのは、介護そのものの問題よりも「自分は親不孝なのではないか」という罪悪感です。

親に育ててもらったのだから、今度は自分が面倒を見るべきだという考え方は、家族への責任感や感謝から生まれるものです。しかし、感謝していることと、24時間体制の介護を自分で担えることは同じではありません。

1.仕事や自分の家庭を犠牲にしたくない

親の介護が始まると、通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談、行政手続き、買い物、食事の準備など、日常的な対応が必要になります。

遠距離介護であれば、実家への移動時間や交通費も負担になります。自分の子どもの教育費、住宅ローン、配偶者との生活などを抱えている人にとって、親の介護を最優先にすることは簡単ではありません。

特に40代から60代は、仕事上の責任が重くなる一方、自分の子育てや家庭の問題も重なりやすい時期です。介護を理由に退職した場合、収入だけでなく、将来の年金や再就職にも影響する可能性があります。

2.身体的・精神的な負担が大きい

介護は、食事や掃除を手伝うだけではありません。要介護度や症状によっては、排泄、入浴、着替え、移乗、服薬管理など、身体的な負担の大きい作業が日常的に発生します。

認知症の場合、同じ質問を何度も繰り返す、夜間に起きて歩き回る、外出して帰れなくなる、金銭管理が難しくなるなど、対応に時間と精神力を要することもあります。

介護する側が十分に睡眠を取れず、自分の趣味や交友関係を失い、常に親の状態を気にする生活になれば、疲労や孤独感が蓄積します。

こうした負担を考えて「自分には無理だ」と感じることは、決して不自然ではありません。

3.親との関係が良好ではない

親子だからといって、必ずしも良好な関係が築かれているとは限りません。

過去に厳しい言葉を浴びせられた、長年にわたって干渉されてきた、経済的な問題を抱えていたなど、親との関係に複雑な事情がある人もいます。

そうした相手を自分が介護することに抵抗を感じるのは、十分に理解できる感情です。

親子関係を修復することと、介護を引き受けることは別の問題です。無理に同居したり、精神的な負担を伴う関係に戻ったりする必要はありません。

4.兄弟姉妹が協力してくれない

親に複数の子どもがいる場合でも、実際の介護が均等に分担されるとは限りません。

実家の近くに住んでいる人、仕事の融通が利く人、独身で時間がある人などに負担が集中するケースがあります。

一方、遠方に住む兄弟は介護の実情を把握できず、介護を担う側との認識に差が生まれることもあります。

「自分だけが親の面倒を見るのはおかしい」という不満は、介護をしたくないという気持ちを強める大きな要因です。

5.経済的な負担を引き受けられない

介護には、介護サービスの自己負担額だけでなく、交通費、日用品、医療費、住宅改修費、施設の居住費や食費など、さまざまな支出が伴います。

親自身の年金や預貯金で賄えるのか、子どもが援助する必要があるのかによって、家族の負担は大きく変わります。

自分の生活費を削ってまで親の介護費用を支払うことに不安を感じるのは当然です。まずは親本人の収入や資産、利用できる公的制度を確認することが先決です。

2026年の介護の実態を数字で見る

内閣府の「令和8年版高齢社会白書」によると、要介護者等から見た主な介護者について、同居している人の割合は45.9%です。主な介護者の性別では女性が68.9%、男性が31.1%となっています。

また、同居して介護を担う人のうち、60歳以上の割合は男性で75.0%、女性で76.5%です。介護する側も高齢化している実態が浮かび上がります。

加えて、家族の介護や看護を理由に離職した人は、2021年10月から2022年9月までの1年間で約10.6万人。そのうち女性は約8万人で、全体の75.3%を占めました。

これらの数字が示すのは、介護が一部の家庭だけの問題ではなく、働き方や家族の生活設計にも関係する社会的な課題だということです。

【法律を正しく理解】親の介護義務と民法877条・介護をしない選択肢

「親の介護をしなければ法律違反になるのではないか」という不安を抱く人は少なくありません。

この問題を考えるうえで重要なのが、民法877条です。ただし、条文に書かれているのは、一般にイメージされる直接的な身体介護の義務とは異なるものです。

民法877条が定めるのは扶養義務

民法877条第1項では、直系血族と兄弟姉妹について、互いに扶養する義務があると定めています。

親と子は直系血族に当たるため、親が経済的に困窮し、扶養を必要とする状況では、子どもにも扶養義務が生じる可能性があります。

ただし、ここで注意したいのは、扶養義務と、子どもが自宅で直接介護する義務は同じではないという点です。

民法877条は、子どもに対して親との同居、入浴や排泄の介助、仕事を辞めて介護することなどを一律に命じる条文ではありません。

扶養の程度や方法については、民法879条により、扶養を受ける側の必要性、扶養する側の資力、その他一切の事情を考慮して決める仕組みになっています。

親の介護をしないと罰せられる?

親の身体介護を自分で引き受けないことだけを理由に、直ちに犯罪になるわけではありません。

ただし、扶養義務が一切なくなるわけではありません。親の生活が経済的に困窮している場合などには、具体的な事情に応じて金銭的な扶養を求められる可能性があります。

兄弟姉妹が複数いる場合は、民法878条や879条の考え方も関係します。扶養する人の順序や程度、方法について話し合いがまとまらないときには、家庭裁判所が判断することがあります。

つまり、「親の介護をしない選択」と「親への扶養責任をすべて放棄すること」は区別して考える必要があります。

親の介護を自分でしないための具体的な選択肢

親の介護を避けたい場合、選択肢は自分で介護するか、完全に何もしないかの二択ではありません。

  • 介護サービスを中心にする:訪問介護やデイサービスを利用し、日常的な介護を専門職に任せる。
  • 施設に入居してもらう:特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどを検討する。
  • 兄弟姉妹に役割を分担してもらう:自分は金銭管理や手続きだけを担当するなど、できる範囲を明確にする。
  • ケアマネジャーに調整を依頼する:家族の介護力や希望を踏まえたケアプランを作成してもらう。
  • 地域包括支援センターに相談する:家族だけでは対応できない事情を伝え、行政や介護事業者につないでもらう。

親の介護を直接担わないことも、生活を維持するための現実的な判断です。専門職の力を借りて、親の安全と自分の生活を両立させる方法を考えましょう。

【家族だけで抱え込まない】親の介護を兄弟で分担する方法と相談先

兄弟姉妹がいる家庭では、介護の負担を誰がどのように引き受けるかが大きな問題になります。

公平な分担を考えるとき、単純に介護時間を半分にする必要はありません。居住地、勤務形態、経済状況、健康状態、本人の希望などを踏まえて、役割を分けることが現実的です。

介護の分担は作業ごとに決める

介護の分担で重要なのは、誰がどの作業を担当するかを具体的に決めることです。

  • 近くに住む兄弟:定期的な訪問、緊急時の対応、通院の付き添い。
  • 遠方に住む兄弟:介護費用の管理、施設情報の収集、行政手続きの確認。
  • 経済的な余裕がある兄弟:本人の資力や家庭状況を踏まえた費用負担の協議。
  • 家族全員:介護方針の決定、親本人の希望の確認、定期的な情報共有。

重要なのは、近くに住んでいる人が自動的にすべてを担当する仕組みにしないことです。遠方の兄弟も、電話連絡や費用管理、施設探しなどを通じて関われます。

介護に関わる人と機関の役割を整理する

介護は家族だけで完結するものではありません。親本人、子ども、兄弟姉妹、自治体、地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護事業者がそれぞれの役割を持っています。

関係者・機関 主な役割 家族の負担を減らす方法
親本人 介護方針や生活上の希望を伝える 希望する住まいやサービスを事前に話し合う
子ども・兄弟姉妹 扶養や家族内の協力、必要な手続き 訪問、費用管理、連絡などを分担する
市区町村 要介護認定、介護保険の申請、行政サービス 公的制度を利用して負担を抑える
地域包括支援センター 高齢者や家族の総合相談、支援機関との連携 介護の悩みや家族関係の問題を相談する
ケアマネジャー ケアプラン作成、介護サービスの調整 訪問介護やデイサービスなどを組み合わせる
介護事業者・施設 専門的な介護、生活支援、施設サービス 家族による日常的な身体介護を減らす
勤務先・ハローワーク 介護休業や介護休暇、給付金の案内 離職を避けながら介護に対応する
兄弟間で揉めないための話し合い方

介護が始まる前、あるいは親の状態が変化した段階で、兄弟姉妹が集まって話し合うことが大切です。

話し合うべき項目は、少なくとも次の5つです。

  • 親本人が希望する介護方法と生活場所
  • 親の年金、預貯金、保険などの経済状況
  • 介護保険サービスや施設を利用する範囲
  • 兄弟姉妹それぞれが担当できる作業
  • 介護費用や緊急時の対応方法

口約束だけで終わらせず、決定した内容を記録して共有しておくと、後から認識の違いが生じにくくなります。

また、親本人の意思確認も欠かせません。家族がよかれと思って決めた方法でも、親が望んでいない場合があります。本人の判断能力や状況に応じて、意思を尊重した介護方針を検討しましょう。

最初の相談先は地域包括支援センター

親の介護をどうすればよいかわからない場合、最初に相談したいのが地域包括支援センターです。

地域包括支援センターは、市区町村が設置主体となる高齢者の総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門職が配置され、高齢者本人だけでなく、その家族からの相談にも対応しています。

相談できる内容は幅広く、介護保険の申請方法、介護サービスの利用、認知症への対応、家族の負担、経済的な問題、権利擁護などが含まれます。

担当センターは親の住所によって異なるため、親が住んでいる市区町村の高齢福祉担当窓口に確認するとスムーズです。

「自分では介護できない」「親と同居することは難しい」「兄弟が協力してくれない」といった事情も、そのまま伝えて構いません。介護を引き受けることを前提に相談する必要はありません。

【費用と利用方法】介護保険サービス・在宅介護・施設介護を比較

親の介護を自分で担わないために、最も重要になるのが介護保険サービスの活用です。

介護保険は、介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるための制度です。サービスを利用することで、家族の身体的・精神的な負担を減らせます。

介護保険サービスを利用するまでの流れ

介護保険サービスを利用するには、原則として市区町村に要介護認定または要支援認定を申請します。

  1. 市区町村へ申請:親が住んでいる自治体の介護保険担当窓口、または地域包括支援センターに相談する。
  2. 認定調査:調査員が本人の身体状況や日常生活の様子を確認する。
  3. 主治医意見書:自治体が主治医に依頼し、医学的な観点から意見書を作成してもらう。
  4. 審査・判定:認定調査結果や主治医意見書を基に、要支援1・2、要介護1〜5などの区分を判定する。
  5. ケアプラン作成:ケアマネジャーや地域包括支援センターの担当者と、利用するサービスを決める。
  6. サービス利用開始:介護事業者と契約し、ケアプランに沿ってサービスを利用する。

65歳以上は第1号被保険者として、要介護・要支援状態になった場合に認定を受けられます。40歳以上65歳未満の場合は、第2号被保険者として、特定疾病が原因で介護が必要になった場合が対象です。

主な介護保険サービス

介護保険で利用できるサービスには、在宅生活を支えるものから、施設に入居して介護を受けるものまであります。

  • 訪問介護:ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排泄などの身体介護や、対象となる生活援助を行う。
  • 訪問看護:看護師などが訪問し、健康状態の確認や医療的なケアを行う。
  • デイサービス:日帰りで施設に通い、食事、入浴、機能訓練などを受ける。
  • ショートステイ:短期間施設に宿泊し、介護や生活支援を受ける。家族の休息にも役立つ。
  • 福祉用具貸与:車いす、介護ベッドなど、対象となる福祉用具をレンタルする。
  • 小規模多機能型居宅介護:通い、訪問、宿泊を組み合わせて利用できる。

親の介護をしたくない場合でも、すべてのサービスを一度に利用する必要はありません。ケアマネジャーと相談し、必要な部分から専門職に任せることができます。

在宅介護と施設介護はどちらがよい?

在宅介護と施設介護には、それぞれ特徴があります。親の身体状況、本人の希望、経済状況、家族の介護力を基準に選ぶことが大切です。

在宅介護が向いているケース

  • 親が住み慣れた自宅で暮らすことを希望している。
  • 訪問介護やデイサービスなどを組み合わせれば生活できる。
  • 家族以外の支援者と連携できる。
  • 夜間や緊急時の対応体制を確保できる。

施設介護が向いているケース

  • 日常的な見守りや身体介護が必要になっている。
  • 認知症などによって自宅での安全確保が難しい。
  • 家族の心身の負担が大きく、在宅介護の継続が困難。
  • 医療的な対応や専門的なケアが必要になっている。

施設介護を選ぶことは、親を見捨てることではありません。専門的な支援を受けられる環境を整えることも、家族ができる重要な対応です。

老人ホームの種類と入居費用・月額費用

老人ホームには複数の種類があり、入居条件や費用の仕組みも異なります。

特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護が必要な人を対象とする公的な介護施設です。原則として新規入所は要介護3以上が対象ですが、一定の事情があれば要介護1・2でも特例入所が認められる場合があります。

入居一時金が基本的に不要で、所得や介護度などに応じた費用で利用できます。ただし、入居希望者が多い地域では待機が発生することがあります。

介護付き有料老人ホームは、施設が提供する介護保険サービスを利用するタイプです。食事や生活支援、介護などを施設内で受けられます。

住宅型有料老人ホームは、住まいと生活支援を提供する施設です。介護が必要になった場合は、原則として外部の訪問介護などを個別に契約して利用します。

介護老人保健施設(老健)は、リハビリテーションなどを通じて在宅復帰を目指す施設です。長期的な終身入居を目的とする特養とは役割が異なります。

老人ホームの費用を比較する際には、次の項目を確認しましょう。

  • 入居一時金:入居時に支払う費用。施設によっては不要なプランもある。
  • 月額利用料:家賃、管理費、食費など。
  • 介護サービス費:要介護度や所得に応じた自己負担分。
  • 医療費:診察、薬、通院などに必要な費用。
  • その他の費用:日用品、理美容、個別サービスなど。

民間施設では入居一時金が0円のプランもありますが、その分、月額料金が高くなる場合があります。金額だけでなく、契約期間、退去時の返還条件、追加費用まで確認する必要があります。

2026年8月から介護施設の食費基準額が変更

2026年の介護制度で、施設利用を検討する家庭が把握しておきたい変更の一つが、介護保険施設の食費に関する基準費用額の見直しです。

厚生労働省は、食材料費の上昇などを踏まえ、2026年8月1日から食費の基準費用額を1日当たり100円引き上げ、1,545円としました。

低所得者向けの負担限度額についても、所得区分に応じて据え置き、または1日30〜60円の引き上げが実施されています。

これは施設の食費に関する基準額であり、すべての入居者が一律に1,545円を支払うという意味ではありません。実際の負担は施設の種類や契約、所得区分などによって異なります。

低所得者の場合、一定の資産・所得要件を満たせば、食費や居住費の負担を軽減する「負担限度額認定」を利用できる可能性があります。市区町村の介護保険窓口で確認してください。

【仕事を辞めないために】2025年改正介護休業法と2026年の支援制度

親の介護をしたくない理由として、仕事を失いたくないという問題があります。介護のために退職すれば、収入が減るだけでなく、再就職や将来の生活設計にも影響する可能性があります。

そこで知っておきたいのが、育児・介護休業法に基づく仕事と介護の両立支援制度です。

2025年4月1日から介護離職防止の取り組みが強化

2024年5月に成立した改正育児・介護休業法の介護関連部分は、2025年4月1日から施行されています。

厚生労働省によると、改正後は企業に対して、介護離職を防ぐための雇用環境整備や、介護に直面した従業員への個別周知・意向確認などが義務付けられました。

主な変更点は次のとおりです。

  • 雇用環境の整備:介護休業や両立支援制度を利用しやすくするため、研修、相談窓口の設置、利用事例の提供、制度利用方針の周知などから少なくとも一つの措置を実施する。
  • 個別周知・意向確認:従業員が介護に直面したと申し出た場合、会社は制度の内容や申出先、給付金について説明し、利用意向を確認する。
  • 40歳前後の情報提供:従業員が40歳に達する年度などに、介護休業制度や介護保険制度に関する情報を提供する。
  • 介護休暇の対象者拡大:労使協定によって継続雇用6か月未満の労働者を対象外にする仕組みが廃止された。
  • テレワーク導入:要介護状態の家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう、事業主に努力義務が設けられた。

制度を利用したいと申し出た従業員に対して、取得を控えさせるような対応は認められていません。

介護休業と介護休暇の違い

名前が似ているため混同されやすい制度ですが、介護休業と介護休暇は目的や取得できる日数が異なります。

介護休業は、親の介護体制を整えるために、まとまった期間仕事を休む制度です。

対象家族1人につき、通算93日まで、最大3回に分割して取得できます。介護サービスの手配、施設探し、ケアマネジャーとの相談、兄弟間の役割分担などに利用できます。

介護休暇は、通院の付き添いや介護保険の手続きなど、短時間・短期間の対応に適した制度です。

  • 対象家族が1人の場合:年間5日まで。
  • 対象家族が2人以上の場合:年間10日まで。
  • 1日単位または時間単位で取得可能。
  • 年次有給休暇とは別に取得できる。

介護休暇を有給とするか無給とするかは会社の規定によります。

介護休業給付金は賃金の67%相当

介護休業中の収入を支える制度として、雇用保険の介護休業給付金があります。

一定の雇用保険加入要件などを満たす場合、休業開始時賃金日額を基準に、67%相当額が支給されます。

例えば、休業開始前の平均賃金が月額30万円で、休業期間中に賃金の支払いがない場合、厚生労働省の案内では、給付額の目安は月額約20万1,000円です。実際の支給額には上限があり、休業中に賃金が支払われる場合などは減額されることがあります。

申請は原則として事業主を経由して行います。詳しい要件や申請方法はハローワークで確認できます。

そのほかに利用できる仕事と介護の両立支援制度

介護休業や介護休暇以外にも、勤務を続けるための制度があります。

  • 短時間勤務等の措置:短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護サービス費用の助成など、事業主が法定の選択肢から措置を講じる制度。
  • 所定外労働の制限:介護を行う労働者が残業免除を請求できる制度。
  • 時間外労働の制限:法定の範囲内で時間外労働を制限できる制度。
  • 深夜業の制限:一定の要件の下で深夜勤務を制限できる制度。
  • テレワーク:会社が導入している場合、在宅勤務などを活用できる。

介護休業は、親の介護を自分一人で行うための制度ではありません。厚生労働省も、休業期間を介護サービスの手配や家族間の分担を決める準備期間として活用する考え方を示しています。

2026年最新の介護支援制度・制度改正の動向

2026年度には、介護分野の人材確保やサービス提供体制を支えるため、介護報酬の期中改定が実施されました。

厚生労働省が公表した令和8年度介護報酬改定の改定率はプラス2.03%です。

そのうち、2026年6月施行の処遇改善分はプラス1.95%で、介護従事者を対象とした幅広い賃上げ措置が盛り込まれました。介護職員については、生産性向上や協働化に取り組む事業者への上乗せ措置などを含め、定期昇給分を含む最大月額1万9,000円相当の賃上げを目指す内容です。

また、2026年8月には施設の食費基準額も見直されています。

一方、介護保険制度全体については、2026年10月26日に厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会が開催され、給付と負担の持続可能性や要介護認定などが議題となりました。

これらは今後の制度設計に向けた議論であり、審議中の内容がそのまま確定した制度変更になるわけではありません。2027年度以降の介護保険制度や介護報酬の見直しにも注目が必要です。

2026年11月時点で親の介護を考える人は、現在利用できる介護保険サービスと仕事との両立支援制度を確認しながら、今後の制度変更にも対応できるようにしておくと安心です。

【罪悪感との向き合い方】親の介護をしたくない自分を責めないために

介護制度を知り、施設やサービスを利用する方法がわかっても、親の介護を自分でしないことに罪悪感を覚える人はいます。

特に、親から「育ててやったのだから面倒を見るのが当然」と言われたり、周囲から「親の介護は子どもの役目」と考えられたりすると、自分の気持ちを抑え込んでしまいがちです。

親孝行と自己犠牲は同じではない

親を大切に思うことと、自分の人生を犠牲にすることは別です。

仕事を辞めて介護をすることだけが親孝行ではありません。介護サービスを利用する、施設への入居を支援する、必要な手続きを行う、経済的な援助について話し合うなど、関わり方にはさまざまな形があります。

親の希望を尊重しながら、自分の健康や生活を守れる方法を探すことが大切です。

自分ができることと、できないことを分ける

介護について話し合う際には、漠然と「できるだけ協力する」と伝えるのではなく、具体的に線引きすることが有効です。

  • 同居はできないが、月に一度の訪問ならできる。
  • 身体介護はできないが、施設探しや契約手続きには協力できる。
  • 金銭的な援助は難しいが、行政窓口への相談には同行できる。
  • 仕事を辞めることはできないが、介護休暇を使って必要な手続きをする。

このように、自分が引き受けられる範囲を明確にすることで、家族との話し合いも進めやすくなります。

親との関係に問題がある場合は無理に接触しない

過去の家庭内暴力、虐待、強い心理的支配などがある場合、介護をきっかけに再び精神的な負担が大きくなることがあります。

そのような場合は、無理に親と同居したり、直接介護したりする必要はありません。地域包括支援センターや自治体の福祉担当窓口に家庭の事情を説明し、専門職を通じた支援を検討してください。

安全に関わる問題がある場合は、本人の安全を最優先にして対応する必要があります。

介護する側にも支援が必要

介護者が疲れ切ってしまう前に、デイサービスやショートステイなどを利用して休息を確保することも大切です。

眠れない、気分が落ち込む、親に対して強い怒りを感じる、介護のことが頭から離れないといった状態が続く場合は、医療機関や専門相談窓口に相談することを検討してください。

介護する人が健康を失えば、親の生活を支えることも難しくなります。介護者自身の心身を守ることは、介護を継続するうえでも欠かせない条件です。

【親の介護したくない】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:親の介護をしたくないと思うのは冷たいことですか?
A1:冷たいことではありません。仕事、子育て、経済状況、親との関係、精神的な負担など、介護を引き受けられない理由は人によって異なります。自分で直接介護をしないことと、親を大切に思わないことは別です。介護保険サービスや施設を利用する方法もあります。

Q2:親の介護をしないと法律違反になりますか?
A2:民法877条では直系血族や兄弟姉妹に扶養義務が定められていますが、子どもが必ず同居して身体介護をしなければならないという意味ではありません。ただし、親の経済状況や子どもの資力などによって扶養義務が問題になることはあります。具体的な法的問題は弁護士などに相談してください。

Q3:親の介護を兄弟に任せてもよいですか?
A3:兄弟姉妹で役割を話し合い、分担することは可能です。ただし、特定の人にすべての負担を押し付けるのではなく、訪問、費用管理、手続き、施設探しなどを具体的に分けることが大切です。民法上の扶養義務についても、それぞれの経済状況などを踏まえて考える必要があります。

Q4:親の介護をしたくない場合、最初にどこへ相談すればよいですか?
A4:親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターがおすすめです。介護保険の申請方法、訪問介護、施設入居、家族の負担などを相談できます。要介護認定を受けていない段階でも相談できます。

Q5:親を老人ホームに入れる場合、費用はどれくらい必要ですか?
A5:施設の種類、所在地、居室、介護度、所得、契約内容によって異なります。特別養護老人ホームは公的な介護施設で、民間の有料老人ホームとは料金体系が異なります。入居一時金、月額利用料、食費、居住費、介護サービスの自己負担額、医療費などを分けて確認しましょう。低所得者向けの負担軽減制度もあります。

Q6:介護休業と介護休暇はどちらを利用すればよいですか?
A6:まとまった期間を休んで介護サービスや施設の手配をする場合は介護休業、通院の付き添いや短時間の手続きなどには介護休暇が適しています。介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、介護休暇は年間5日または対象家族が2人以上なら10日まで取得できます。

Q7:2026年現在、親の介護費用を軽減できる制度はありますか?
A7:介護保険の利用者負担軽減、高額介護サービス費、施設の食費・居住費を軽減する負担限度額認定などがあります。所得や資産、利用するサービスによって対象条件が異なるため、市区町村の介護保険窓口で確認してください。

親の介護をしたくないという気持ちは、必ずしも親への愛情がないことを意味しません。自分の仕事や家庭、健康、経済状況を守りたいという気持ちも、尊重されるべきものです。

民法877条には親子間の扶養義務がありますが、子どもが必ず自宅で身体介護を担わなければならないという規定ではありません。介護保険サービスや老人ホームを利用し、専門職に介護を任せることも選択肢です。

2025年4月に施行された改正育児・介護休業法では、介護離職を防ぐための企業の対応が強化されました。2026年には介護報酬の期中改定や施設の食費基準額の変更も実施されています。こうした制度を知っているかどうかで、家族の負担や生活設計は大きく変わります。

【プロの結論】親の介護で最優先すべきなのは、子どもが無理をして介護を続けることではなく、親が安全に暮らせる支援体制と、介護する側が自分の生活を維持できる環境を整えることです。

まずは親の住む地域の地域包括支援センターに相談し、介護保険サービス、施設入居、費用負担、兄弟間の役割分担を整理してみてください。

親の介護を一人で背負う必要はありません。自分にできることとできないことを明確にし、専門職や公的制度を活用することが、親と自分の双方の生活を守る現実的な選択です。

主な公的根拠資料: 内閣府「令和8年版高齢社会白書」、厚生労働省「介護休業制度特設サイト」「介護サービス情報公表システム」「令和8年度介護報酬改定」、民法877〜879条。

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