2026年のブラジル男子代表は、経験豊富な主力と成長著しい若手を組み合わせた構成になっている。
ブラジルバレーボール連盟(CBV)が5月19日に公表したVNL登録メンバーは30人。その後、9月の南米選手権に向けてベルナルジーニョ監督が14人に絞り込んだ。
ここで注意したいのは、VNLの30人登録リストと、南米選手権の最終14人は別のものだという点だ。30人全員が同じ大会で出場するわけではない。
2026年VNL登録メンバー30人CBVの公式発表に基づくポジション別の登録選手は以下の通り。
- セッター(4人): ビエレル、フェルナンド・カショパ、マテウス・ブラジリア、ヘンドリック・レスリー
- アウトサイドヒッター(10人): アドリアーノ、アルトゥール・ベント、ドウグラス・ソウザ、オノラート、レオ・ルーカス、リカルド・ルカレッリ、ルーカス・ベルグマン、マイコン、パウロ、ロベルト
- オポジット(6人): ブライアン、チゾバ、ダルラン・ソウザ、オッペンコスキ、サビーノ、サムエル
- ミドルブロッカー(6人): バヘット、フラビオ、ギリェルメ・ヴォス、ジュドソン、マテウス・ピンタ、チエリ
- リベロ(4人): アレ・エリアス、フィリピーニョ、マイキ、プレザ
この30人の中には、国際大会で実績を積んできた選手と、今後の代表を担う若手が共存している。
南米選手権2026の最終登録メンバー14人9月14日に発表された南米選手権の最終メンバーは次の通り。
| ポジション | 選手名 |
|---|---|
| セッター | フェルナンド・カショパ、マテウス・ブラジリア |
| オポジット | ダルラン・ソウザ、ブライアン |
| アウトサイドヒッター | リカルド・ルカレッリ、アドリアーノ、オノラート、アルトゥール・ベント、ルーカス・ベルグマン |
| ミドルブロッカー | フラビオ、ジュドソン、マテウス・ピンタ |
| リベロ | マイキ、ドウグラス・プレザ |
1. (Darlan Souza)
2026年のブラジル代表を語るうえで欠かせないオポジットだ。
南米選手権のアルゼンチン戦では、チーム最多となる23得点を記録。大一番で得点源としての役割を果たし、ブラジルの優勝と五輪出場権獲得に大きく貢献した。
加えて、大会のベストオポジットにも選出されている。
VNLで苦戦したチームが南米選手権で結果を残すうえで、ダルランの攻撃力は大きな武器になった。
2. (Ricardo Lucarelli)
ブラジルの主将を務める経験豊富なアウトサイドヒッター。
2026年南米選手権ではMVPに選ばれた。得点力だけでなく、試合運びやチーム全体への影響力も評価された結果だ。
ダルランが攻撃の中心として存在感を示す一方、ルカレッリは経験とリーダーシップでチームを支える。両者の役割の違いが、現在のブラジル代表を理解するポイントになる。
3. (Fernando Cachopa)
ブラジルの攻撃を組み立てるセッター。
南米選手権ではベストセッターに選出された。ダルランやルカレッリら複数の攻撃手を生かすトスワークが、ブラジルの攻撃力を支えている。
強力なアタッカーをそろえるだけでは、国際大会で安定して勝つことはできない。カショパのような司令塔の存在は、チームの完成度を左右する。
4. アドリアーノ・シャビエル(Adriano Xavier)
2026年に存在感を高めたアウトサイドヒッターだ。
VNL最終戦の中国戦では13得点を記録し、チーム最多得点者となった。南米選手権でもベストアウトサイドヒッターの一人に選ばれている。
主力の経験に依存するだけでなく、新しい得点源を育てている点は、2028年に向けたブラジルの強みだ。
【監督ベルナルジーニョ】名将の復帰と2028年までのチーム再建

ブラジル男子代表を率いるのは、ことベルナルド・ロシャ・ジ・レゼンジ(Bernardo Rocha de Rezende)だ。
ブラジルバレーの歴史を代表する指導者であり、選手としても1984年ロサンゼルス五輪の銀メダルを経験している。
ベルナルジーニョの指導歴彼が男子代表の監督を務めた期間は、大きく分けて2つある。
- 1994~2000年:男子代表を率い、1996年アトランタ五輪と2000年シドニー五輪で銅メダルを獲得。
- 2001~2016年:2004年アテネ五輪と2016年リオ五輪で金メダル、2008年北京五輪と2012年ロンドン五輪で銀メダルを獲得。
- 2023年:レナン・ダル・ゾット監督の退任後、男子代表監督に復帰。
- 2024年:ブラジル連盟が契約をロサンゼルス五輪終了まで延長。
Volleyball Worldの発表によると、2028年までの契約には代表監督だけでなく、男子代表全体の技術統括に関する役割も含まれている。
なぜベルナルジーニョの存在が重要なのかベルナルジーニョの強みは、個々の選手の能力を生かしながら、チームとしての組織力を高めることにある。
ブラジルには、ダルランのような攻撃型の選手だけでなく、ルカレッリのような経験豊富な選手、カショパのような司令塔もいる。
しかし、スター選手を集めただけでは国際大会を勝ち抜けない。
サーブで相手の攻撃を崩し、ブロックとレシーブで守備を整え、セッターが状況に応じて攻撃を組み立てる。こうした一連の流れを高い精度で実行することが必要になる。
2026年のVNL敗退は、こうしたチームとしての安定性に課題が残ったことを示す結果だった。一方、南米選手権では5試合すべてを3対0で勝利しており、修正能力も示している。
ベルナルジーニョにとって2026年は、単に大会で優勝するだけでなく、2028年の五輪本番に向けてチームの再構築を進める重要なシーズンだった。
【男子バレーボール世界ランキング2026】ブラジルは何位?
ブラジルは2026年も世界の強豪国としての地位を維持している。
9月28日付のVolleyball Worldによるロサンゼルス五輪出場国の解説記事では、ブラジル男子代表は世界ランキング6位と紹介されている。
2026年の世界ランキング上位国| 順位 | 国 |
|---|---|
| 1位 | ポーランド |
| 2位 | イタリア |
| 3位 | ロシア |
| 4位 | アメリカ |
| 5位 | 日本 |
| 6位 | ブラジル |
2026年10月1日付のランキング公表データを基準とした順位。ランキングは公式戦の結果に応じて変動する。
ブラジルは日本に続く6位で、南米勢では最上位。アルゼンチンは14位だった。
VNL9位なのに世界ランキング6位なのはなぜ?ここは混同しやすいポイントだ。
VNLの順位とFIVB世界ランキングは、同じ基準で決まるものではない。
- VNL順位: その大会の予選ラウンドにおける勝敗や獲得ポイントなどで決まる。
- FIVB世界ランキング: 国際大会の試合結果をポイント化し、各国の実力を継続的に評価する。
FIVBのランキング制度は2020年2月に導入され、2019年1月以降の公式戦結果を基礎としている。試合結果に応じてポイントが変化する仕組みだ。
つまり、2026年のVNLで9位になったからといって、ブラジルが世界9位になったわけではない。
反対に、世界ランキング6位だからVNLで必ず上位に入れるという保証もない。
この2つを分けて考えることが、ブラジル男子バレーの実力を正確に理解するうえで重要だ。
【南米選手権2026】34回目の優勝とLA五輪出場権獲得の全貌
2026年9月20日、ブラジル男子代表はリオデジャネイロのマラカナンジーニョでアルゼンチンと対戦した。
この試合は南米選手権の優勝を決める重要な一戦であると同時に、ロサンゼルス五輪の出場権を争う試合でもあった。
結果はブラジルの3対0のストレート勝利だった。
- 第1セット:25-20
- 第2セット:25-23
- 第3セット:25-20
観客数は11,968人。ホームの大声援を受けたブラジルは、宿敵アルゼンチンを相手に一度もセットを落とさず勝ち切った。
通算34回目の南米王者この優勝によって、ブラジルは南米選手権の通算優勝回数を34回に伸ばした。
FIVBによると、ブラジルはこれまで開催された36大会のうち34大会で優勝している。1964年大会には参加していない。
ただし、前回大会にあたる2023年はアルゼンチンが優勝しており、ブラジルは王座を明け渡していた。
2026年の優勝は、そのライバルからタイトルを取り戻した意味も持つ。
5試合全勝、失セットなしという圧倒的な結果2026年大会はブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ベネズエラ、ボリビアの6か国が参加した。
ブラジルは大会を通して5勝0敗。しかも、すべての試合で3対0の勝利を収めた。
VNLでの不振から一転し、南米のライバルを相手に安定した戦いを披露したことは大きな収穫だった。
個人賞でもブラジル勢が存在感南米選手権ではブラジル選手が複数の個人賞を獲得した。
- MVP:リカルド・ルカレッリ
- ベストセッター:フェルナンド・カショパ
- ベストオポジット:ダルラン・ソウザ
- ベストアウトサイドヒッターの一人:アドリアーノ
チームとしての優勝に加えて、各ポジションの主力が高く評価されたことも、今回の大会の特徴だ。
2027年男子世界選手権ではなく、2027年ワールドカップにも注目もう一つ見逃せないのが、2027年の男子バレーボール・ワールドカップへの出場権だ。
2026年南米選手権では、上位3チームに2027年大会への出場枠が与えられた。
ブラジル、アルゼンチン、チリの3か国がこの枠を獲得している。
つまり、ブラジルは2026年の南米選手権で、南米王者の称号だけでなく、2027年大会への道も確保した。
【ブラジル男子バレー歴代オリンピック成績】LA2028で目指す4度目の金メダル
ブラジル男子バレーは、オリンピックでも世界屈指の実績を誇る。
バレーボールが正式競技となった1964年以降、ブラジル男子代表はすべての大会に出場してきた。
これまでのオリンピックメダルは合計6個。内訳は金メダル3個、銀メダル3個だ。
歴代オリンピックメダル| 開催年 | 開催地 | 成績 |
|---|---|---|
| 1984年 | ロサンゼルス | 銀メダル |
| 1992年 | バルセロナ | 金メダル |
| 2004年 | アテネ | 金メダル |
| 2008年 | 北京 | 銀メダル |
| 2012年 | ロンドン | 銀メダル |
| 2016年 | リオデジャネイロ | 金メダル |
特に1992年のバルセロナ大会は、ブラジル男子バレーが初めて五輪金メダルを獲得した記念すべき大会だ。
その後、2004年のアテネ大会で2度目の金メダルを獲得。2016年には自国開催のリオ大会で3度目の頂点に立った。
ロサンゼルス五輪2028への出場権は獲得済み2026年9月20日の南米選手権優勝によって、ブラジルはLA2028の男子バレーボール競技への出場を決めた。
これは、単なる大会出場の確保ではない。
1964年から続くオリンピック連続出場記録を、2028年にもつなげることになった。
Volleyball Worldは、ブラジルが2028年大会で17大会連続の出場を果たすと紹介している。
なお、五輪出場権の獲得は金メダル獲得を意味するものではない。
2028年大会までには、2027年ワールドカップなどを通じた世界各国との競争が続く。ブラジルにとっては、出場権を確保した今こそ、チームの完成度をさらに高める段階に入ったといえる。
【プロの結論】ブラジル男子バレーは復活したのか?2028年に向けた3つの評価ポイント
2026年のブラジル男子代表を評価するなら、「完全復活」と断定するよりも、国際大会での課題を抱えながら、重要な目標を達成したチームと見るのが適切だ。
VNLでは初めてファイナル進出を逃した。しかし、南米選手権では5試合全勝、失セットなしで優勝した。
この2つの結果は矛盾しているように見えるが、実際には異なる競争環境での成績だ。
今後、注目したいのは次の3点である。
1. ダルランを中心とした攻撃力を維持できるか南米選手権の決勝で23得点を記録したダルランは、ブラジルの攻撃を支える存在だ。
ただし、強豪国との対戦では、特定の選手に攻撃が集中すると相手のブロックに対応されやすくなる。
ルカレッリ、アドリアーノら複数の選手が得点源として機能できるかが重要になる。
2. カショパを軸に攻撃の再現性を高められるか南米選手権でベストセッターに選ばれたカショパは、攻撃陣を生かすうえで重要な役割を担う。
VNLのように試合数が多く、相手の分析も進む大会では、単純な攻撃力だけでなく、トスの配分や試合中の修正力が問われる。
ブラジルが世界ランキング上位を維持するには、こうした試合運びの安定性が必要だ。
3. ベテランと若手の融合を進められるかルカレッリの経験を生かしながら、ダルランやアドリアーノなどの選手が中心的な役割を担う。
この世代交代のバランスは、2028年までの大きなテーマになる。
ベルナルジーニョが2028年まで監督を務める体制は、継続的なチームづくりという点で強みになる。
ただし、2026年の南米選手権で優勝したことだけで、世界のトップチームとの実力差が解消されたとは判断できない。VNLでの課題を克服できるかどうかが、次の大きな試金石となる。
【バレーボール男子ブラジル】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ブラジル男子バレーボール代表は2026年VNLで優勝しましたか?
A1:いいえ。2026年のVNLでは12試合で7勝5敗、19ポイントの9位でした。ファイナル進出を逃しており、2018年の大会開始以来、初めて予選ラウンド敗退となりました。
Q2:2026年のブラジル男子バレーの世界ランキングは何位ですか?
A2:2026年9月28日付のVolleyball Worldの公表記事では世界6位です。ランキングは国際試合の結果によって変動します。
Q3:ブラジル男子代表の2026年の中心選手は誰ですか?
A3:主な注目選手は、オポジットのダルラン・ソウザ、アウトサイドヒッターのリカルド・ルカレッリ、セッターのフェルナンド・カショパ、アドリアーノです。南米選手権では、それぞれ攻撃、リーダーシップ、ゲームメークなどで活躍しました。
Q4:ブラジルは2028年ロサンゼルス五輪に出場できますか?
A4:はい。2026年9月20日の南米選手権でアルゼンチンを3対0で破り、優勝と同時にLA2028の出場権を獲得しました。
Q5:ブラジル男子バレーはオリンピックで何回金メダルを獲得していますか?
A5:これまでに3回です。1992年バルセロナ、2004年アテネ、2016年リオデジャネイロで金メダルを獲得しています。銀メダルも3回あり、合計6個のメダルを保有しています。
Q6:ブラジル男子バレーの監督は誰ですか?
A6:2026年現在の監督はベルナルジーニョです。過去にブラジル男子代表を率いて複数のオリンピックメダルを獲得した実績があり、2028年ロサンゼルス五輪までの契約が発表されています。
2026年のブラジル男子バレーボール代表は、VNLで9位に終わり、ファイナル進出を逃すという厳しい結果を経験した。一方、9月の南米選手権ではアルゼンチンを3対0で破り、通算34回目の優勝と2028年ロサンゼルス五輪の出場権を獲得した。
ダルラン・ソウザの決定力、リカルド・ルカレッリの経験、フェルナンド・カショパのゲームメーク、そしてベルナルジーニョの指導力。これらが現在のブラジル代表を支える柱となっている。
世界ランキング6位という実力を維持しながら、VNLで露呈した課題をどう克服するか。2027年のワールドカップ、そして2028年のロサンゼルス五輪へ向けたチームづくりが続く。
ブラジル男子バレーの本当の目標は、南米王者にとどまることではない。世界の頂点に返り咲き、歴史に続く4度目のオリンピック金メダルを獲得することだ。
主な情報源:ブラジルバレーボール連盟(CBV)、国際バレーボール連盟(FIVB)、Volleyball World、ブラジル・オリンピック委員会(COB)の大会結果・代表発表・公式記録。