東京プリンセス賞は、東京都の23区が共同で設立した特別区競馬組合が主催し、大井競馬場で施行する南関東公営競馬の3歳牝馬限定重賞競走です。格付けは最高クラスに位置する「SI」。南関東牝馬クラシック三冠路線の第2戦として、若き牝馬たちが女王の座を争います。
2026年は4月30日に第40回が開催され、ヘスペリスが優勝しました。また、かつて使用されていた「農林水産大臣賞典 東京プリンセス賞」という名称は、2023年までの公式記録に確認できます。2024年以降の公式レース表記との違いや、SIという格付けの意味、主催者の役割、歴代優勝馬、賞金体系まで、競走の背景を整理します。
【東京プリンセス賞とは】大井競馬場で行われる南関東牝馬クラシック第2冠

東京プリンセス賞(とうきょうプリンセスしょう)は、地方競馬の南関東地区を代表する3歳牝馬限定の重賞競走です。東京都品川区にある大井競馬場を舞台に、南関東4競馬場に所属する有力牝馬が集まり、世代の頂点を競います。
1987年に第1回が開催され、2026年には第40回を迎えました。長い歴史を持つ競走であり、単なる春の重賞ではなく、南関東の牝馬クラシック路線を構成する主要レースとして位置づけられています。
東京プリンセス賞の基本情報| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式競走名 | 東京プリンセス賞 |
| 読み方 | とうきょうプリンセスしょう |
| 開催競馬場 | 大井競馬場 |
| 主催者 | 特別区競馬組合 |
| 競走区分 | 地方競馬・南関東重賞 |
| 格付け | SI |
| 出走資格 | サラブレッド系3歳牝馬 |
| 競走条件 | 定量 |
| コース | ダート右回り・外回り |
| 距離 | 1,800m |
| 創設 | 1987年 |
| 2026年開催日 | 4月30日(木) |
この競走の大きな特徴は、南関東牝馬クラシック三冠の第2戦に当たることです。三冠路線は、浦和競馬場の桜花賞、大井競馬場の東京プリンセス賞、川崎競馬場の関東オークスという順番で構成されています。
浦和の桜花賞で上位に入った馬が東京プリンセス賞へ進み、さらに東京プリンセス賞の上位馬が川崎の関東オークスを目指すという流れです。公式の競走紹介によると、桜花賞の1~3着馬には東京プリンセス賞への優先出走権が与えられ、東京プリンセス賞の1、2着馬には関東オークスJpnIIへの優先出走権が与えられます。
つまり、東京プリンセス賞は春の牝馬クラシック路線における重要な分岐点です。ここでの勝利は、その世代の女王候補としての評価を高めるだけでなく、次の大舞台へ進むための大きな実績になります。
【格付けSIの意味】JRAのGIや交流重賞JpnIとは何が違う?
東京プリンセス賞を調べる際、特に疑問を持たれやすいのが「SI」という表記です。これは南関東公営競馬で使用されている独自の重賞格付けで、東京プリンセス賞が同地区の最上位クラスに位置する競走であることを示しています。
SI・SII・SIIIの違い南関東地区では、重賞競走をSI、SII、SIIIという3段階で分類しています。
- SI: 南関東地区の最上位格付け。
- SII: 南関東地区の中位格付け。
- SIII: 南関東地区の下位格付け。
この表記が導入されたのは2007年度です。それ以前は南関東の重賞競走にもG1、G2、G3という表記が使用されていましたが、日本の国際的な競馬格付け制度の変更に伴い、交流重賞以外の南関東地区重賞についてはSI、SII、SIIIへ変更されました。
「S」には、Stage(段階・舞台)、South(南方)、Special(特別)などの意味が込められています。2007年3月30日の南関東公営競馬協議会による発表でも、これらの言葉が由来として示されています。
SIはJRAのGIと同じ意味ではないここで注意したいのが、SIとJRAのGIを同一視しないことです。
JRAのGIは中央競馬の競走体系における最高格付けです。一方、SIは南関東地区の地方競馬で用いられる地域独自の格付けです。また、JpnIは全国的なダートグレード競走の格付けであり、SIとは制度上の分類が異なります。
そのため、東京プリンセス賞がSIだからといって、JRAのGI競走や全国交流のJpnIと同じ格付け制度に属しているわけではありません。
一方、南関東地区においては最高格付けの重賞であり、3歳牝馬の能力を評価するうえで重要なタイトルです。競馬ファンがレースの位置づけを理解する際には、「南関東の最上位重賞」という捉え方が適切です。
【東京プリンセス賞2026の日程・出走表・レース結果】第40回の優勝馬はヘスペリス
2026年の東京プリンセス賞は、4月30日(木)に大井競馬場で開催されました。第40回となった今回も南関東3歳牝馬クラシックの重要な一戦として実施され、11頭が出走しました。
2026年の開催概要| 項目 | 2026年の内容 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年4月30日(木) |
| 競馬場 | 大井競馬場 |
| 競走番号 | 第11競走 |
| 発走時刻 | 20時10分 |
| 競走名 | 第40回東京プリンセス賞 |
| 格付け | SI |
| 距離 | ダート1,800m |
| 出走頭数 | 11頭 |
| 天候 | 曇 |
| 馬場状態 | 稍重 |
| 1着賞金 | 3,000万円 |
公式の重賞レース情報では、4月27日に出走表の確定が告知され、4月30日にレースが実施されています。2026年の開催はすでに終了しているため、現在確認できる出走表とレース結果は第40回の記録です。
2026年の出走馬第40回の出走馬は以下の11頭です。全馬が3歳牝馬で、負担重量は54kgでした。
- ヘスペリス
- アンジュルナ
- ブレイズエッジ
- ナーサリーテイル
- リノカ
- グッドディーズ
- ロックシュガー
- プリンセスデイジー
- シビックフォイル
- トップエアデール
- アジアンビジョン
2026年の第40回東京プリンセス賞を制したのは、大井所属のヘスペリスです。吉原寛人騎手とのコンビで、勝ちタイムは1分54秒6でした。
| 着順 | 馬名 | 騎手 | 所属 | タイム |
|---|---|---|---|---|
| 1着 | ヘスペリス | 吉原寛人 | 大井 | 1:54.6 |
| 2着 | アンジュルナ | 野畑凌 | 浦和 | 1:54.8 |
| 3着 | ブレイズエッジ | 御神本訓史 | 船橋 | 1:55.7 |
注目したいのは、優勝したヘスペリスが単勝4番人気だったことです。事前に高い評価を受けていた1番人気のアンジュルナは2着、2番人気のブレイズエッジは3着となりました。
ヘスペリスは道中で好位につけ、最後の直線に向かうまでに先頭へ進出。最終的にはアンジュルナを0秒2差で退けました。人気上位馬が上位を占める一方で、4番人気馬が勝利した点も今回のレースの特徴です。
【名称変更の経緯】2023年までの農林水産大臣賞典はどう変わった?
東京プリンセス賞の名称を調べると、「農林水産大臣賞典 東京プリンセス賞」という表記が見つかります。これは過去の公式資料に実際に記載されていた名称です。
重要なのは、東京プリンセス賞という競走そのものが2024年に別のレースへ生まれ変わったわけではないという点です。変更されたのは、農林水産大臣賞の提供に伴って使用されていた冠称の扱いです。
2023年までは農林水産大臣賞典の名称を使用2023年5月11日に開催された第37回の公式出馬表には、「農林水産大臣賞典」の表記が確認できます。賞金・表彰に関する記載にも農林水産大臣賞が掲げられており、当時の正式なレース案内では農林水産大臣賞典が冠称として使用されていました。
こうした冠称は、競走の格付けを示すSIとは異なるものです。賞を提供する団体や表彰主体を競走名に付けることで、レースの正式な呼称を構成する仕組みです。
2024年以降は「東京プリンセス賞」の名称に2024年4月25日の第38回では、地方競馬情報サイトやグランダム・ジャパンの公式競走紹介に「東京プリンセス賞」と表記されています。2025年の第39回、2026年の第40回についても、公式レース案内は同じ名称です。
つまり、名称の変化を整理すると次のようになります。
- 1987年:東京プリンセス賞の第1回を開催。
- 2023年:第37回の公式出馬表に農林水産大臣賞典の冠称を記載。
- 2024年:第38回から公式レース案内で東京プリンセス賞の名称を使用。
- 2025年:第39回も東京プリンセス賞として開催。
- 2026年:第40回も東京プリンセス賞として開催。
ここで誤解したくないのは、農林水産大臣賞典という冠称が外れたことと、SIという競走格付けが変わったことは別問題だという点です。2026年も東京プリンセス賞はSIとして実施されており、南関東牝馬クラシックの第2戦という基本的な位置づけも維持されています。
名称の変化は、競走の歴史を調べるうえで押さえておきたいポイントですが、競走の新設や格付けの降格を意味するものではありません。
【主催者・関係団体の関係】特別区競馬組合と南関東競馬の位置づけ
東京プリンセス賞の主催者は特別区競馬組合です。大井競馬場で開催されるため、東京都競馬株式会社が主催していると誤解されることもありますが、両者の役割は異なります。
特別区競馬組合は、東京23区が共同で設立した特別地方公共団体であり、東京シティ競馬(TCK)を主催・運営しています。一方、東京都競馬株式会社は大井競馬場の施設管理を担う会社です。
この関係を整理すると、東京プリンセス賞がどのような組織・競走体系の中に存在するのかが理解しやすくなります。
東京プリンセス賞を構成する主要エンティティ特別区競馬組合は、東京23区が共同で設立した一部事務組合です。地方自治法に基づく特別地方公共団体であり、競馬事業を通じてスポーツエンターテインメントを提供するとともに、収益の一部を東京23区の財政に還元する役割を担っています。
競馬事業の利益は、特別区分配金などを通じて各区の行政サービスや地域整備にも活用されています。したがって、大井競馬は単にレースを開催するだけでなく、東京23区の財政にも関係する公営競技です。
また、南関東4競馬場はそれぞれ異なる主催者によって運営されています。東京プリンセス賞はそのうち大井競馬場で行われる競走であり、全国の地方競馬の中でも南関東地区の競走体系に属しています。
【距離・賞金・歴代優勝馬】大井1800mの特徴と40回の歴史
東京プリンセス賞の基本距離はダート1,800mです。大井競馬場の外回りコースを使用し、右回りで実施されます。1987年の第1回から、スタンド改修に伴う一時的な変更を除いて、長く1,800mを舞台としてきました。
東京プリンセス賞の距離とコースの特徴大井競馬場の外回りコースは1周1,600mで、最後の直線は386mあります。地方競馬場の中でも長い直線を持つコースとして知られています。
東京プリンセス賞の1,800mでは、スタート地点がゴールの約200m手前に設けられています。スタート直後にゴール地点を一度通過し、そのままコースを一周して決着する構造です。
このコースでは、先行して位置を確保する能力だけでなく、最後まで脚を維持する持久力も問われます。直線が長いため、展開によっては差しや追い込みも届く可能性があります。
なお、第16回の2002年と第17回の2003年は、スタンド改修に伴って1,790mで実施されました。それ以外の開催では、基本的に1,800mが採用されています。
2026年の賞金はいくら?第40回東京プリンセス賞の1着賞金は3,000万円です。上位5着までの賞金は次のように設定されていました。
| 着順 | 2026年の賞金 |
|---|---|
| 1着 | 3,000万円 |
| 2着 | 1,050万円 |
| 3着 | 600万円 |
| 4着 | 300万円 |
| 5着 | 150万円 |
この賞金水準は、南関東の3歳牝馬重賞の中でも重要なタイトルであることを示しています。優勝馬にとっては賞金面の実績だけでなく、牝馬クラシックの主要タイトルを獲得したという競走実績も残ります。
東京プリンセス賞の歴代優勝馬1987年の創設以来、東京プリンセス賞からは南関東競馬を代表する牝馬が数多く誕生しています。近年の優勝馬を中心に振り返ると、次のとおりです。
- 1987年・第1回: ダイタクジーニアス
- 2002年・第16回: サルサクイーン
- 2012年: アスカリーブル
- 2020年: アクアリーブル
- 2021年: ケラススヴィア
- 2022年: スピーディキック
- 2023年: サーフズアップ
- 2024年: フェルディナンド
- 2025年: ベルグラシアス
- 2026年: ヘスペリス
歴代優勝馬の中には、競走成績だけでなく繁殖面でも注目された馬がいます。2020年のアクアリーブルは、2012年の優勝馬アスカリーブルと母仔で東京プリンセス賞を制したことで知られています。
また、2002年の優勝馬サルサクイーンは、後に2020年と2021年にNARグランプリ4歳以上最優秀牝馬に選ばれたサルサディオーネの母としても知られています。東京プリンセス賞の歴代優勝馬を調べると、南関東競馬の牝馬路線における血統的なつながりも見えてきます。
歴代データから見える東京プリンセス賞の傾向東京シティ競馬が2025年4月に公表した過去38回の分析資料では、人気別の成績や所属競馬場別の優勝回数もまとめられています。
特に興味深いのが、所属競馬場別の優勝回数です。2025年4月16日時点の集計では、船橋所属馬が17勝で最多となり、大井10勝、川崎7勝、浦和4勝が続きます。
大井競馬場で開催されるレースでありながら、大井所属馬だけが優勢というわけではありません。南関東4競馬場それぞれに優勝実績があり、地区全体の競走として成立していることが分かります。
人気別の成績では、過去38回のうち25回で単勝3番人気以内の馬が優勝しています。一方、1番人気馬の優勝は8回、2番人気馬の優勝は10回でした。1番人気馬の3着内率は63.2%、2番人気馬は52.6%です。
加えて、2026年は4番人気のヘスペリスが勝利しました。過去の集計と直近の結果を合わせると、上位人気馬が実力を発揮するケースは多いものの、人気順だけで結果が決まる競走ではないことがうかがえます。
こうしたデータを見る際は、集計期間にも注意が必要です。所属別・人気別の数値は2025年4月16日時点の過去38回分であり、2026年の第40回までを反映した数字ではありません。
【東京プリンセス賞に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:東京プリンセス賞はいつ開催されますか?
2026年の第40回は4月30日(木)に大井競馬場で開催されました。第17回以降は4月下旬から5月下旬の時期に実施されています。翌年の具体的な日程は、主催者による開催日程の発表を確認する必要があります。
Q2:東京プリンセス賞の格付けSIとは何ですか?
南関東公営競馬における最上位クラスの重賞格付けです。JRAのGIや全国交流のJpnIとは異なる地域独自の格付け制度で、2007年度から従来のG1表記に代わって使用されています。
Q3:東京プリンセス賞の距離は何メートルですか?
基本的には大井競馬場のダート右回り外回り1,800mです。2002年と2003年はスタンド改修に伴い1,790mで実施されました。
Q4:東京プリンセス賞の主催者はどこですか?
特別区競馬組合です。東京23区が共同で設立した一部事務組合で、大井競馬場で行われる東京シティ競馬を主催・運営しています。東京都競馬株式会社は競馬場の施設管理を担っており、主催者とは異なります。
Q5:農林水産大臣賞典という名前は現在も使われていますか?
2023年の第37回の公式出馬表では「農林水産大臣賞典」の冠称が使用されていました。2024年以降の公式レース案内では「東京プリンセス賞」と表記されています。
Q6:2026年の東京プリンセス賞の優勝馬と賞金はいくらですか?
2026年4月30日に開催された第40回の優勝馬はヘスペリスです。吉原寛人騎手が騎乗し、勝ちタイムは1分54秒6でした。1着賞金は3,000万円です。
東京プリンセス賞は、1987年に創設された南関東公営競馬の伝統ある3歳牝馬限定重賞です。特別区競馬組合が主催し、大井競馬場のダート1,800mで施行されます。南関東牝馬クラシック三冠の第2戦という位置づけを持ち、浦和の桜花賞から川崎の関東オークスへと続く牝馬路線の中心的な競走です。
格付けのSIは南関東地区の最上位クラスを意味し、JRAのGIや交流重賞のJpnIとは異なる制度です。また、2023年まで使用されていた「農林水産大臣賞典」の冠称は、賞の提供に由来するもので、2024年以降は公式レース案内で東京プリンセス賞の名称が使用されています。
2026年の第40回ではヘスペリスが優勝し、1着賞金3,000万円を獲得しました。歴代優勝馬にはスピーディキックやアクアリーブルなど、南関東競馬を代表する牝馬も名を連ねています。
東京プリンセス賞を正しく理解するための判断基準は、競走名、主催者、格付け、冠称をそれぞれ区別することです。とりわけ「SIは南関東独自の格付け」「農林水産大臣賞典は過去の冠称」という2点を押さえておけば、競走の歴史や現在の位置づけを混同せずに把握できます。
第40回を終えた東京プリンセス賞は、今後も南関東の3歳牝馬路線を占う重要な舞台として、次世代の牝馬女王候補を送り出していく競走です。
主な参照資料:東京シティ競馬(TCK)公式競走情報、地方競馬情報サイト、南関東4競馬場公式競走日程、地方競馬全国協会の競走紹介・成績資料、南関東重賞格付けに関する2007年発表資料。