将棋順位戦は、プロ棋士が名人への挑戦権を目指して1年近くにわたり戦う、日本将棋界を代表する棋戦です。2026年度に開催されている第85期順位戦は、2026年から2027年にかけて進行しており、A級からC級2組までの5クラスで熱戦が続いています。各クラスの成績は、名人挑戦だけでなく、翌期の所属クラスや棋士としてのキャリアにも大きく影響します。
2026年11月2日時点では、A級で永瀬拓矢九段と豊島将之九段がともに4勝0敗、B級1組では渡辺明九段が8戦全勝と好調です。さらにB級2組、C級1組、C級2組でも昇級争いが動き始めています。この記事では、第85期の最新成績や順位戦対戦表の見方をはじめ、持ち時間6時間の仕組み、昇級・降級条件、降級点制度、A級プレーオフから名人戦七番勝負までを初心者にも分かりやすく解説します。
【2026年最新】将棋順位戦とは?名人挑戦者を決める棋戦の仕組み

将棋順位戦は、日本将棋連盟が定めるプロ棋戦の一つで、名人戦と密接につながっています。棋士は所属クラスでリーグ戦を戦い、年間の成績によって翌期の昇級・降級が決まります。
最大の目標は、最高位に位置するA級で優勝し、名人への挑戦権を獲得することです。順位戦での成績が、将棋界最高峰のタイトルの一つである名人への道を左右します。
順位戦と名人戦は何が違う?順位戦と名人戦は、同じ名人制度に関係するものですが、役割が異なります。
順位戦は名人への挑戦者を決めるリーグ戦、名人戦は挑戦者と現名人がタイトルを争う番勝負です。
A級で最高成績を収めた棋士は、現名人との名人戦七番勝負に進みます。七番勝負では先に4勝した棋士が名人となります。
2026年に進行している第85期順位戦では、第84期名人の藤井聡太名人がタイトル保持者として掲載されています。第85期A級の成績上位者が、次の名人挑戦者を目指して戦っている構図です。
順位戦はいつ始まり、いつ終わる?順位戦は、例年4月ごろに各クラスの組み合わせ抽選が行われ、主に6月から翌年3月にかけて対局が進みます。
第85期は2026~2027年シーズンとして開催されています。各クラスの対局日程は異なり、原則として同じクラスの対局は同じ日に実施されます。A級では最終戦とその一局前が一斉対局となるため、終盤の順位争いにも注目が集まります。
【第85期の5クラス】A級からC級2組までの対局方式と違い
順位戦には、A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組という5つのクラスがあります。上位クラスほど名人挑戦に近く、下位クラスでは上位への昇級を目指す競争が続きます。
それぞれのクラスには対局人数や昇級人数、降級の仕組みに違いがあります。特にB級2組以下では、単純な順位だけでなく降級点制度が関係するため、仕組みを理解しておくことが大切です。
5クラスの対局方式・昇級・降級条件一覧| クラス | 対局方式・局数 | 昇級・挑戦条件 | 降級条件 |
|---|---|---|---|
| A級 | 原則10人の総当たり・各9局 | 最高成績者1名が名人挑戦 | 原則下位2名 |
| B級1組 | 原則13人の総当たり・各12局 | 上位2名がA級へ | 原則下位3名 |
| B級2組 | 各棋士10局 | 上位3名がB級1組へ | 降級点2つでC級1組へ |
| C級1組 | 各棋士10局 | 上位3名がB級2組へ | 降級点2つでC級2組へ |
| C級2組 | 各棋士10局 | 上位3名がC級1組へ | 降級点3つでフリークラスへ |
A級は原則10人による総当たり戦です。名人戦七番勝負の敗者が次期の順位1位となり、前期の成績順に棋士が配置されます。
各棋士は9局を戦い、最高成績を収めた棋士が名人挑戦権を獲得します。原則として成績下位2名はB級1組へ降級します。
A級の大きな特徴は、同率首位が複数いる場合にプレーオフが実施されることです。単純に順位が上の棋士が名人挑戦者になるわけではありません。
B級1組順位戦:A級への昇級を狙う実力者の争いB級1組は原則13人によるリーグ戦で、上位2名がA級に昇級します。下位3名は原則としてB級2組へ降級します。
13人によるリーグ戦では各棋士が12局を戦い、対局のない日が生じるため、対戦表には休みを示す欄も設けられています。
A級から降級してきた棋士と、B級2組から昇級した棋士が同じリーグで戦うことも特徴です。実績のある棋士であっても、成績が振るわなければ再び下位クラスに戻る可能性があります。
B級2組・C級1組・C級2組:昇級と降級点が鍵B級2組、C級1組、C級2組は、各棋士が原則10局を戦います。参加者全員による総当たりではなく、クラスごとに組み合わせが決められます。
各クラスの基本的な昇級人数は3名です。ただし、全勝者が複数いる場合には特例があり、B級2組とC級1組では全勝者全員が昇級します。C級2組では全勝者が4名以上いる場合、全勝者全員が昇級します。
また、B級2組以下には降級点という独自の制度があります。1期の成績だけで直ちに降級するのではなく、複数期にわたる成績がクラスの維持に関係する仕組みです。
【第85期の日程・結果】2026年11月2日時点の最新順位と注目棋士
第85期順位戦は、各クラスで対局が進行中です。2026年11月2日時点の日本将棋連盟公式対戦表では、A級の永瀬拓矢九段・豊島将之九段が4勝0敗、B級1組の渡辺明九段が8勝0敗と好成績を残しています。
以下は、各クラスの公式対戦表に掲載されている主な成績と、今後の対局日程を整理したものです。
A級:永瀬拓矢九段と豊島将之九段が4連勝A級では、永瀬拓矢九段と豊島将之九段がともに4勝0敗で並んでいます。
永瀬九段は近藤誠也八段、伊藤匠二冠、佐々木勇気八段、広瀬章人九段を破って4連勝。豊島九段も佐藤天彦九段、佐々木勇気八段、糸谷哲郎九段、増田康宏八段を破り、好スタートを切りました。
一方、糸谷哲郎九段は1勝3敗、伊藤匠二冠は0勝4敗と苦しい状況です。全9局のリーグ戦では、序盤の数敗が終盤の挑戦争いに影響する可能性があります。
次回のA級対局予定は2026年11月16日です。
B級1組:渡辺明九段が8戦全勝B級1組では、渡辺明九段が8勝0敗という圧倒的な成績を記録しています。
渡辺九段は稲葉陽八段、久保利明九段、藤本渚七段、斎藤慎太郎八段、佐藤康光九段、菅井竜也八段、中村太地八段、大橋貴洸七段を相手に8連勝。A級復帰に向けて大きく前進しています。
B級1組からA級へ昇級できるのは原則2名です。今後の対局では、渡辺九段を追う棋士たちがどこまで勝ち星を伸ばせるかが焦点になります。
次回の対局予定は2026年11月19日です。
B級2組:斎藤明日斗六段が6連勝B級2組では、斎藤明日斗六段が6勝0敗で好調を維持しています。
青嶋未来七段と郷田真隆九段も5勝0敗と好成績です。特に郷田九段は、松尾歩八段、佐藤和俊七段、戸辺誠七段、村山慈明八段、阿久津主税八段に勝利しています。
このクラスでは上位3名が原則としてB級1組に昇級します。次回は11月18日に対局が予定されています。
C級1組:黒田尭之六段と上野裕寿六段が5連勝C級1組では、黒田尭之六段と上野裕寿六段がともに5勝0敗を記録しています。
三枚堂達也七段、池永天志六段、出口若武六段も4勝1敗と上位につけています。上位3名がB級2組へ昇級するため、今後の直接対決や順位の差が注目されます。
次回の対局予定は11月17日です。
C級2組:岩村凛太朗四段が6勝0敗C級2組では、岩村凛太朗四段が6勝0敗で好成績を挙げています。小窪碧四段、八代弥八段、井田明宏五段なども5勝0敗と好調です。
C級2組は参加人数が多く、各棋士が10局を戦うリーグです。昇級枠は原則3名ですが、全勝者が4名以上となれば全勝者全員が昇級する規定もあります。
次の対局日は11月19日と11月26日に予定されています。
第85期の今後の日程一覧2026年11月2日以降の主な次回対局予定は以下のとおりです。
- 11月16日:A級順位戦
- 11月17日:C級1組順位戦
- 11月18日:B級2組順位戦
- 11月19日:B級1組・C級2組順位戦
- 11月26日:C級2組順位戦
対戦相手や先手・後手の情報は、日本将棋連盟の第85期名人戦・順位戦の各クラス公式対戦表で確認できます。対局予定と実際の結果は更新されるため、観戦前には最新の掲載内容を確認することが大切です。
【昇級・降級・降級点制度】順位が棋士の進退を左右する理由
順位戦を理解するうえで、勝敗と同じくらい重要なのが「順位」です。順位戦では、前期の成績をもとに翌期の順位が決まり、同じ勝敗数になった場合にもこの順位が影響します。
順位が同じ勝ち星の棋士の明暗を分ける順位戦では、同じ成績の棋士が複数いた場合、前期の順位が上だった棋士が上位になります。
例えば、昇級枠が3名のクラスで4人が同じ成績だった場合、原則として前期順位が上の3人が昇級対象となります。通常の残留決定戦を行って勝敗を決める仕組みではありません。
つまり、順位戦では今期の勝敗だけでなく、前期までに積み重ねた実績が翌期にも影響します。これが順位戦の独特な緊張感を生み出しています。
A級プレーオフはどのような場合に行われる?A級で最高成績者が複数出た場合は、名人挑戦者を決めるプレーオフが実施されます。
例えば、複数の棋士が同じ勝敗でリーグを終えた場合、その全員がプレーオフに参加します。2人なら直接対決、3人以上なら順位下位の2人が最初に対戦し、その勝者が順位上位の棋士と対戦するパラマス方式で進行します。
ここで重要なのは、A級では順位が高いだけで名人挑戦権が確定するわけではない点です。リーグ最高成績者が複数なら、最終的にはプレーオフで勝ち抜く必要があります。
また、プレーオフ進出者のうち名人挑戦者になれなかった順位最下位の棋士が降級対象になるケースもあります。挑戦争いと残留争いが同時に絡むことがあるのです。
降級点制度とは?B級2組以下で知っておきたい仕組み降級点は、B級2組、C級1組、C級2組で採用されている制度です。各クラスの参加人数に応じて成績下位の棋士に降級点が与えられ、一定数に達すると下位クラスへ移ります。
具体的なルールは次のとおりです。
- B級2組:参加者4人につき1人の割合で降級点が付き、2つでC級1組へ降級。
- C級1組:参加者4.5人につき1人の割合で降級点が付き、2つでC級2組へ降級。
- C級2組:参加者4.5人につき1人の割合で降級点が付き、3つでフリークラスへ降級。
第85期の公式対戦表では、B級2組とC級1組の降級点対象者はそれぞれ6名、C級2組は13名と掲載されています。
降級点は勝ち越せば消える?降級点は永久に残り続けるわけではありません。B級2組とC級1組では、降級点を持つ棋士が勝ち越すか、2期連続で5勝5敗の指し分けを達成すると、降級点が消えます。
C級2組には少し異なるルールがあります。降級点を2つ持つ棋士が勝ち越す、または2期連続で5勝5敗を達成すると、降級点が1つに減ります。ただし、最初の1つの降級点は、昇級または降級しない限り消えません。
そのため、C級2組では1つ目の降級点を持つ棋士と、すでに2つ持っている棋士では置かれた状況が違います。単純な勝ち負けだけでなく、過去の降級点の数まで確認する必要があります。
また、指し分け以上の成績を残していても、降級点の対象となることがあります。勝率が5割を超えていれば必ず残留できるというわけではありません。
【持ち時間6時間】順位戦が長期戦になる理由と観戦のポイント
順位戦の持ち時間は、全クラス共通で各6時間です。これは両者合計で6時間という意味ではなく、先手・後手それぞれに6時間が与えられる仕組みです。
持ち時間6時間は何を意味する?順位戦は、短時間で勝負を決める早指し棋戦とは異なり、長時間を使って深く読みを入れる対局です。
6時間という持ち時間があるため、序盤から終盤まで一手ごとに時間をかけて検討できます。形勢判断が難しい局面では、長時間の考慮が勝敗を左右することもあります。
なお、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組ではチェスクロックが使用され、持ち時間が切れた後は一手60秒未満で指すルールです。
名人戦七番勝負との持ち時間の違い順位戦と名人戦七番勝負では持ち時間が異なります。
- 順位戦:各6時間。
- 名人戦:各9時間。
名人戦は2日制のタイトル戦であり、順位戦よりもさらに長い持ち時間が設定されています。順位戦で名人挑戦者になった棋士は、その後、名人との七番勝負という別の舞台に進みます。
初心者が順位戦を観戦するときの注目ポイント順位戦を初めて観戦する場合、対局そのものの勝敗だけでなく、次の3つに注目すると楽しみ方が広がります。
- 現在の勝敗数:昇級や名人挑戦の可能性を判断する基本情報。
- 前期順位:同じ勝敗数の棋士が並んだ場合の順位決定に影響する。
- 降級点の有無:下位クラスでは過去の降級点が残留や降級を左右する。
特に終盤戦では、同じ勝ち星でも順位の違いによって昇級できるかどうかが変わります。順位表と対戦表を一緒に確認すると、各対局の意味が分かりやすくなります。
【将棋順位戦のよくある質問(FAQ)】
Q1:将棋順位戦で名人挑戦者になるにはどうすればいい?
A1:A級順位戦で最高成績を収める必要があります。同率首位の棋士が複数いる場合はプレーオフを行い、勝ち抜いた棋士が名人挑戦者になります。
Q2:第85期順位戦はいつまで開催される?
A2:第85期は2026~2027年シーズンとして開催されています。各クラスの対局は2027年3月まで予定されており、その後、成績に基づいて昇級・降級が決まります。
Q3:順位戦の持ち時間は何時間?
A3:全クラス共通で各6時間です。B級1組以下ではチェスクロックが使用され、持ち時間が切れた後は一手60秒未満で指します。
Q4:降級点が1つ付いたらすぐに降級する?
A4:すぐに降級するわけではありません。B級2組とC級1組では2つ、C級2組では3つの降級点が累積すると降級します。ただし、クラスによって降級点を減らす条件が異なります。
Q5:A級プレーオフは必ず実施される?
A5:いいえ。A級で最高成績者が1人の場合はプレーオフを行いません。最高成績者が複数いる場合に限り、名人挑戦者を決めるプレーオフが実施されます。
Q6:C級2組から降級すると引退になる?
A6:引退が直ちに決まるわけではありません。C級2組で降級点が3つになるとフリークラスへ移ります。フリークラスは順位戦に参加しない区分であり、棋士としての引退とは異なります。
Q7:同じ勝ち数なら順位が高い棋士が必ず昇級する?
A7:昇級条件を満たす成績の棋士が複数いる場合は、前期順位が上の棋士が優先されます。ただし、A級の同率首位では順位だけで決まらず、プレーオフで挑戦者を決めます。
将棋順位戦は、単なる年間リーグ戦ではありません。A級からC級2組までの5クラスを通じて、名人挑戦権、昇級、降級という棋士のキャリアに直結する結果が決まる重要な棋戦です。
2026年11月2日時点の第85期では、A級の永瀬拓矢九段・豊島将之九段が4勝0敗、B級1組の渡辺明九段が8勝0敗と、注目すべき成績を残しています。B級2組では斎藤明日斗六段、C級1組では黒田尭之六段と上野裕寿六段、C級2組では岩村凛太朗四段らが好調です。
順位戦をより深く楽しむためには、次の3つを確認しましょう。
- 名人挑戦者を決めるのはA級の最高成績者であること。
- 昇級・降級の条件はクラスによって異なり、同じ勝敗数なら前期順位が重要になること。
- B級2組以下では降級点の累積と消滅条件が、棋士のクラス維持に大きく関係すること。
第85期は2027年3月に向けて各クラスの終盤戦へと進んでいきます。特にA級の名人挑戦争い、B級1組のA級昇級争い、そしてC級2組の若手棋士による昇級争いは見逃せません。
目先の勝敗だけでなく、順位、残り対局数、降級点まで確認することで、順位戦の奥深さが見えてきます。名人戦七番勝負につながる長い戦いを、各クラスの対戦表とともに追いかけてみてください。
主な情報源: 日本将棋連盟「順位戦について」「第85期名人戦・順位戦」各クラス公式成績表、名人戦棋譜速報の第85期対戦表。