2026年1月の中国返還は、上野動物園だけでなく、日本のパンダ飼育史にとっても歴史的な出来事でした。
1972年10月28日にカンカンとランランが来園して以来、国内で飼育され続けてきたジャイアントパンダが、ついにゼロになったためです。
返還までの経緯を時系列で整理最初に、上野動物園のパンダが中国へ戻った主な出来事を整理します。
- 2023年2月21日: シャンシャンが中国へ返還。
- 2024年9月29日: リーリーとシンシンが中国へ返還。
- 2025年6月28日: 和歌山県のアドベンチャーワールドで飼育されていた良浜・結浜・彩浜・楓浜の4頭が中国へ帰国。
- 2025年12月15日: 東京都がシャオシャオとレイレイの中国返還を正式発表。
- 2026年1月25日: シャオシャオとレイレイの最終観覧日。
- 2026年1月27日: 2頭が上野動物園を出発。
- 2026年1月28日: 中国側の飼育施設への到着・返還。
東京都の発表によると、シャオシャオとレイレイの返還は東京都と中国野生動物保護協会との協定に基づくものでした。
2025年12月15日の発表では、2頭の返還時期は2026年1月下旬とされていました。その後、1月25日を最終観覧日とし、27日に上野を出発する日程が決まりました。
1月27日の出発から中国到着まで2026年1月27日午後1時30分ごろ、シャオシャオとレイレイは上野動物園を出発し、成田国際空港へ向かいました。
阪急阪神エクスプレスの輸送報告によれば、2頭は専用車両で成田空港へ運ばれ、輸出手続きなどを経て、同日午後8時ごろにチャーター機で中国へ向けて出発しました。
そして翌28日未明、中国・四川省の成都天府国際空港に到着。中国側の手続きを終えた後、中国ジャイアントパンダ保護研究センターの雅安基地に到着しました。
上野動物園の福田豊園長は、出発日に次のメッセージを公表しています。
今回の移動は協定にもとづいて予定されていた移動ですが、性成熟を迎える2頭にとっては大事な旅立ちです。
また、2頭が繁殖に向けて重要な役割を担うことへの期待と、上野からいなくなる寂しさにも触れていました。
なぜ中国に返還された?パンダがいなくなった本当の理由大きな背景にあるのは、ジャイアントパンダの保護と繁殖を目的とした日中共同研究プロジェクトです。
1972年のカンカンとランランは、日中国交正常化を記念して贈られた個体でした。その後、上野動物園と中国の関係は、繁殖や保護研究を共同で進める国際協力へと発展していきます。
2010年には東京都と中国野生動物保護協会が協力協定を締結。2011年にはリーリーとシンシンが中国から貸与され、共同研究が進められました。
上野動物園の公式「保全の取り組み」ページでは、2026年1月までに協定で定められたとおり、飼育していたジャイアントパンダ全頭を中国へ返還したことが説明されています。
つまり、シャオシャオとレイレイの返還は、上野動物園がパンダの飼育を突然やめたという話ではありません。
繁殖研究を目的とした国際協力の枠組みに沿った移動だったのです。
なお、2025年6月には和歌山の4頭も中国へ帰国していました。そのため、上野の双子が日本を離れたことで、1972年以来54年ぶりに国内のジャイアントパンダがゼロになりました。
2026年9月29日のTBS NEWS DIGの報道でも、日本国内にパンダがいない状況が続いており、新たな貸与の見通しは立っていないと伝えられています。
【見分け方】シャオシャオとレイレイの違いは?顔・模様・性格を比較
シャオシャオとレイレイは、同じ日に生まれた双子です。
そのため、上野動物園で公開されていた当時も、2頭の見分け方が気になる来園者は少なくありませんでした。
実際、東京動物園協会の飼育係も、双子には大きな外見上の違いがほとんどなく、見分けた特徴を言葉にするのが難しかったと紹介しています。
シャオシャオ(オス)
父リーリーに似た、くっきりと整った顔立ち。
レイレイ(メス)
母シンシンに似た、柔らかい表情。
| 見分けるポイント | シャオシャオ | レイレイ |
|---|---|---|
| 性別 | オス | メス |
| 顔立ち | くっきりした印象 | 柔らかい印象 |
| 似ている親 | リーリー | シンシン |
| 背中の識別マーク | 緑色のライン | なし |
| 性格の傾向(幼少期) | 積極的にじゃれつく | 比較的マイペース |
※性格や顔立ちは成長段階による違いもあります。
最も分かりやすいのはシャオシャオの背中の緑色のライン上野動物園で飼育されていたとき、シャオシャオの背中には緑色の識別用マークが付けられていました。
これは生まれつきの毛の模様ではありません。
東京動物園協会の記録によれば、夜間の行動や監視カメラの映像などで個体を明確に識別するために付けられていたものです。
そのため、上野時代の写真や動画を見る場合は、背中に緑色のラインがある個体がシャオシャオと覚えておくと分かりやすくなります。
なお、中国での公開が始まった現在も、同じ識別マークが付いているとは限りません。顔立ちや行動だけで判断する場合は、撮影時期や公式の個体紹介も合わせて確認するのがおすすめです。
【プロの結論】上野動物園のパンダの名前から読み解く54年間の歴史
上野動物園の歴代パンダ15頭を振り返ると、単なる人気動物の交代ではなく、日本と中国の交流、繁殖技術の発展、野生動物保全への取り組みという3つの大きな流れが見えてきます。
名前の歴史は3つの時代に分けられる第1期:1972年~1980年代前半
カンカンとランランの来園によって、日本にパンダブームが生まれました。
当時は日中国交正常化という外交上の節目と、パンダという希少動物の存在が強く結び付いていました。
第2期:1980年代~2000年代
ホァンホァンとフェイフェイによる人工授精、トントンとユウユウの成育、リンリンを中心とした繁殖研究が進みました。
この時期は、パンダを日本で飼育するだけでなく、国内で繁殖させる技術を確立することが大きな課題でした。
第3期:2011年~2026年
リーリーとシンシンの来園によって、自然交配による繁殖が実現しました。
シャンシャンの誕生、シャオシャオとレイレイの双子の誕生は、上野動物園の繁殖研究を象徴する成果です。
そして2026年1月、双子の中国返還によって一つの時代が区切られました。
パンダがいないことと保全活動の終了は別問題ここで押さえておきたいのは、上野動物園からパンダがいなくなったことと、パンダの保全研究が終わったことは同じではないという点です。
上野動物園は中国ジャイアントパンダ保護研究センターとの連携を継続し、繁殖研究、疾病予防、行動学的調査などの成果を共有していく方針を示しています。
動物園の役割は、来園者に動物を見せることだけではありません。飼育技術を蓄積し、繁殖を支え、野生動物の保全に役立つ知見を生み出すことも重要な仕事です。
また、パンダの名前を調べるときには、次の3点を意識すると歴史を正確に理解できます。
- 15頭には一時滞在したシュアンシュアンも含まれる。
- 名前のない2012年生まれのオスも歴代個体に含まれる。
- 中国返還は、死亡や飼育放棄ではなく、共同研究プロジェクトの協定に基づく移動である。
パンダの名前だけを覚えるのではなく、それぞれがいつ生まれ、誰の子どもで、どのような役割を果たしたのかまで知ると、上野のパンダの歴史がより立体的に見えてきます。
上野動物園のパンダの名前に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、上野動物園にパンダはいますか?
A1:いません。最後まで飼育されていたシャオシャオとレイレイが2026年1月27日に上野を出発し、1月28日付で中国へ返還されました。2026年9月時点でも日本国内のパンダはゼロと報じられています。
Q2:上野動物園の歴代パンダは全部で何頭ですか?
A2:歴代15頭です。カンカン、ランラン、ホァンホァン、フェイフェイ、チュチュ、トントン、ユウユウ、リンリン、シュアンシュアン、リーリー、シンシン、名前のないオス、シャンシャン、シャオシャオ、レイレイです。短期滞在したシュアンシュアンと名前のない赤ちゃんも含まれています。
Q3:シャオシャオとレイレイはどう見分けますか?
A3:上野動物園で飼育されていた当時は、背中に緑色の識別マークがある方がシャオシャオでした。顔立ちではシャオシャオが父リーリー似、レイレイが母シンシン似と紹介されています。
上野動物園のパンダの歴史は、1972年のカンカンとランランから始まりました。
ホァンホァンとフェイフェイによる人工授精、トントンとユウユウの誕生、リンリンの繁殖研究、そしてリーリーとシンシンによる自然繁殖へと、54年間にわたって飼育と保全の取り組みが続けられてきました。
その中で生まれたシャンシャン、シャオシャオ、レイレイは、上野のパンダの歴史を代表する存在です。
2026年11月現在の状況を整理すると、次のとおりです。
- 上野動物園の歴代飼育個体は15頭。
- シャンシャンは2023年に中国へ返還され、2026年6月に9歳を迎えた。
- リーリーとシンシンは2024年9月に中国へ返還された。
- シャオシャオとレイレイは2026年1月28日に中国へ返還された。
- シャオシャオとレイレイは2026年9月29日から中国で一般公開されている。
- 日本国内では54年ぶりにジャイアントパンダが不在となっている。
パンダが上野からいなくなったことは、多くのファンにとって寂しい出来事です。しかし、上野動物園で積み重ねられた繁殖技術や保全研究の成果まで失われたわけではありません。
カンカンとランランから始まり、シャンシャン、シャオシャオ、レイレイへとつながった歴史は、これからも日本の動物園と国際的な野生動物保全を考えるうえで、大切な記録として残り続けます。