2026年2月12日、イタリアのリビーニョ・スノーパークで行われた女子ハーフパイプ決勝は、17歳の韓国代表チェ・ガオンが90.25点を記録して優勝した。
2連覇中だった米国のクロエ・キムは88.00点で銀メダル。日本の小野光希が85.00点で銅メダルを獲得した。
日本勢は小野だけでなく、清水さらと工藤璃星も4位、5位に入賞。決勝12人のうち日本人選手が4人を占め、国際舞台での競争力を示した。
女子ハーフパイプ五輪決勝・全12人の順位| 順位 | 選手 | 国 | 得点 |
|---|---|---|---|
| 1位 | チェ・ガオン | 韓国 | 90.25 |
| 2位 | クロエ・キム | 米国 | 88.00 |
| 3位 | 小野光希 | 日本 | 85.00 |
| 4位 | 清水さら | 日本 | 84.00 |
| 5位 | 工藤璃星 | 日本 | 81.75 |
| 6位 | 蔡雪桐(ツァイ・シュエトン) | 中国 | 80.75 |
| 7位 | 呉少童(ウー・シャオトン) | 中国 | 78.00 |
| 8位 | ベア・キム | 米国 | 77.00 |
| 9位 | 冨田せな | 日本 | 68.25 |
| 10位 | ケラルト・カステリェト | スペイン | 33.50 |
| 11位 | エリザベス・ホスキング | カナダ | 27.50 |
| 12位 | マディ・マストロ | 米国 | 5.50 |
出典:国際スキー・スノーボード連盟(FIS)の公式競技結果、Olympediaの大会記録。
小野光希の85.00点はどのように生まれたのか小野光希は決勝1本目で85.00点をマークした。
早稲田大学の公式競技報告によると、このランでは高難度のフロントサイド1080を成功させ、さらにスイッチバックサイド540を組み込んだ完成度の高い滑りを披露した。
1本目終了時点では2位。その後の2本は転倒によって得点を伸ばせなかったが、最初の85.00点が最終得点として残り、銅メダルを確保した。
北京2022では9位だった小野にとって、4年越しの五輪メダル獲得だった。JOCの大会後インタビューでも、北京大会からの成長と、今大会で攻めた演技に挑んだ過程が紹介されている。
清水さらは84.00点で惜しくも4位16歳の清水さらは84.00点で4位。
銅メダルの小野との差はわずか1.00点だった。表彰台には届かなかったものの、初出場の五輪で4位という結果は、次の大会に向けた大きな実績となった。
工藤璃星は81.75点で5位工藤璃星も16歳で五輪初出場を果たし、81.75点で5位に入った。
日本勢は3位から5位までを独占。小野の経験値、清水の高難度技、工藤の若さと成長力という、それぞれ異なる持ち味が上位入賞につながった。
【日本代表選手一覧】小野光希・清水さら・工藤璃星・冨田せなの実績

2026年ミラノ・コルティナ五輪の女子ハーフパイプ日本代表は、次の4選手だった。
1.
2004年3月5日生まれ
- ミラノ・コルティナ五輪:3位
- 北京五輪:9位
- 2026年アスペンW杯:優勝
- 2026年札幌W杯:優勝
所属:BURTON/早稲田大学
2.
2009年11月12日生まれ
- ミラノ・コルティナ五輪:4位
- 2026年X Games:優勝
- ハルビン冬季アジア大会:金メダル
所属:TOKIOインカラミ/平安女学院高等学校
3.
2009年8月28日生まれ
- ミラノ・コルティナ五輪:5位
- 2026年X Games:2位
- 2026年全日本選手権:優勝
所属:TOKIOインカラミ/開志創造高等学校
4.
1999年10月5日生まれ
- ミラノ・コルティナ五輪:9位
- 北京五輪:3位
- 平昌五輪:8位
- 2026年全日本選手権:2位
所属:宇佐美鉱油
4選手の競技歴を比較すると、五輪メダリストとして経験を積んだ小野と冨田、国際大会で急成長した清水と工藤という構図が浮かび上がる。
出典:JOC、FIS、X Games、早稲田大学の大会記録。
【2026年の主要大会】X Games・ワールドカップ・全日本選手権の結果
五輪だけでは、2026年の女子ハーフパイプの勢力図は把握しきれない。
シーズンを通して見ると、日本勢は五輪の表彰台だけでなく、X GamesやFISワールドカップでも上位を争っている。
1月23日:清水さらがX Games Aspenで初優勝2026年1月23日、米コロラド州アスペンで開催されたX Games Aspenの女子スノーボード・スーパーパイプで、清水さらが95.33点を獲得して初優勝した。
2位には工藤璃星が92.66点で入り、日本勢がワンツーフィニッシュを達成。
冨田せなも4位に入った。
特に注目されたのは、清水が成功させたダブルコーク1080。大きな空中動作と2回の軸ずれを伴う高難度技を決め、95点台の高得点につなげた。
前年の同大会では3位だった清水が、2026年には優勝へと順位を上げた点も見逃せない。
3月8日:札幌W杯は悪天候で決勝中止、小野光希が優勝2026年3月8日のFISワールドカップ札幌大会では、悪天候の影響で女子決勝が中止となった。
予選結果が最終成績として採用され、小野光希が優勝。冨田せなは2位、清水さらは3位、工藤璃星は4位だった。
小野にとって今季2勝目、通算8勝目となる大会だった。決勝を実施できなかった点を含め、通常の決勝形式とは異なる結果であることに注意したい。
3月10日:工藤璃星が全日本選手権で優勝2026年3月10日に札幌市ばんけいスキー場で行われた全日本選手権ハーフパイプ女子では、工藤璃星が70.25点で優勝した。
3年ぶり2度目の全日本制覇となる。
2位は冨田せなで62.25点。大会は当初、11日に決勝を行う予定だったが、天候やパイプのコンディションを考慮して日程が変更され、最終的には予選の結果が正式成績として採用された。
五輪5位、X Games2位、全日本優勝という工藤の2026年の実績は、国際大会と国内大会の双方で競争力を示したものだ。
2025-26シーズンの女子ハーフパイプW杯年間ランキングFISの最終ランキングは、2026年3月28日の全7大会終了時点で次のようになった。
| 年間順位 | 選手 | 国 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1位 | チェ・ガオン | 韓国 | 300 |
| 2位 | 工藤璃星 | 日本 | 296 |
| 3位 | 冨田せな | 日本 | 278 |
| 4位 | 小野光希 | 日本 | 265 |
| 5位 | マデリン・シャフリック | 米国 | 205 |
| 6位 | エリザベス・ホスキング | カナダ | 200 |
出典:FIS 2025-26 Women's Snowboard Halfpipe World Cup Discipline Standings。
この年間ランキングで特に注目したいのは、工藤が2位、冨田が3位、小野が4位に入っていることだ。
五輪では小野が日本勢最高位だった一方、シーズン全体では工藤が日本勢トップ。大会ごとのコンディションや得意な技、安定して上位に入る能力が、年間成績に大きく影響している。
なお、2026年11月2日時点での最新完了シーズンは2025-26シーズン。次の2026-27シーズンの女子ハーフパイプW杯は、FISの予定では12月9〜11日の中国・Secret Garden大会から始まる。
【競技ルールと採点方式】女子ハーフパイプは何を基準に順位が決まる?
女子ハーフパイプは、雪で作られた半円筒状のコースを滑り、左右の壁を使ってジャンプや回転技を繰り返す競技だ。
見た目の高さや回転数だけでなく、技の完成度や演技全体の構成が評価される。
競技場の大きさFISの国際競技規則では、オリンピックや世界選手権などの最高レベルの大会に使用するハーフパイプについて、主に次の基準を定めている。
- 壁の高さ:約6.7メートル(22フィート)
- 滑走可能な長さ:最低160メートル
- 推奨される長さ:約170メートル
- コース幅:最低19メートル、推奨19〜22メートル
高い壁から飛び出すため、選手には空中姿勢の制御と着地の正確性が求められる。
決勝は3本滑走し、最高得点を採用ミラノ・コルティナ五輪の女子決勝では、各選手に3回の滑走機会が与えられた。
3本のうち最も高い得点が最終得点となる。
例えば小野光希の場合、1本目に85.00点を獲得し、2本目と3本目で転倒しても、1本目の85.00点が残る。
そのため、必ずしも3本すべてを成功させる必要はない。ただし、1本目で高得点を出せなかった場合、残りの滑走で逆転を狙う必要がある。
女子ハーフパイプの採点基準5項目FISの競技規則では、審査員が次の5つの要素を総合的に評価する。
| 採点項目 | 評価されるポイント |
|---|---|
| Execution(完成度) | 技の正確さ、姿勢、着地の安定性 |
| Difficulty(難易度) | 技の難しさ、回転数、空中動作 |
| Amplitude(高さ) | 壁からどれだけ高く飛び出すか |
| Variety(多様性) | 技の種類、回転方向、組み合わせ |
| Progression(革新性) | 新しい技や独創的な構成への挑戦 |
採点は0〜100点。複数の審査員が演技全体を評価し、6人以上の場合は最高点と最低点を除外する仕組みになっている。
転倒やミス、着地時の手つきなども評価に影響する。
ここで重要なのは、回転数が多い選手が必ず勝つわけではないという点だ。
難しい技を成功させても、着地が乱れたり、同じ方向の回転ばかりが続いたりすれば、総合的な評価で不利になることがある。
【技一覧と見どころ】フロントサイド1080・ダブルコーク1080とは?
女子ハーフパイプの映像を楽しむうえで、代表的な技の意味を知っておくと、選手ごとの個性が分かりやすくなる。
フロントサイド10801080は、空中で合計1080度、つまり3回転する技。
フロントサイドは回転の方向を表す言葉で、フロントサイド1080はその方向に3回転する技を指す。
小野光希はミラノ・コルティナ五輪の決勝1本目で、この技を成功させた。
3回転しながら板の向きや姿勢を制御し、次の技へつなげる必要があるため、難易度だけでなく演技全体の流れも重要になる。
ダブルコーク10802026年の清水さらを語るうえで外せない技が、ダブルコーク1080だ。
- 1080:空中で3回転する
- ダブルコーク:空中で軸を2回ずらす動作を含む
- ダブルコーク1080:3回転と2回の軸ずれを組み合わせる
単に回転するだけでなく、空中で身体の軸をコントロールする高度な技術が求められる。
清水はX Games Aspen 2026で、この技を含む演技を成功させ、95.33点で優勝した。
スイッチバックサイド540小野光希が五輪で成功させた技の一つ。
540は540度、つまり1回転半の回転を表す。スイッチは通常とは逆向きのスタンスで滑ることを意味する。
回転方向だけでなく、滑り出しの姿勢も変わるため、技のバリエーションを増やす重要な要素だ。
その他の代表的な技| 技名 | 回転・特徴 |
|---|---|
| フロントサイド540 | フロントサイド方向に1回転半 |
| バックサイド540 | バックサイド方向に1回転半 |
| フロントサイド720 | フロントサイド方向に2回転 |
| バックサイド900 | バックサイド方向に2回転半 |
| フロントサイド1080 | フロントサイド方向に3回転 |
| 1260 | 3回転半 |
| 1440 | 4回転 |
技の名称や回転数は、FISの公式トリックリストでも整理されている。
観戦時には、次の3点に注目すると面白い。
1. 高さ: 壁からどれだけ高く飛び出しているか。
2. 技の組み合わせ: 同じ方向ばかりではなく、多彩な技をつなげているか。
3. 着地: 手をついたり転倒したりせず、次の壁へ滑らかにつなげているか。
【冨田せな・クロエ・キム・チェ・ガオン】女子ハーフパイプを代表する選手の軌跡
2026年の勢力図を理解するには、若手だけでなく、長年世界のトップで戦ってきた選手の実績も押さえておきたい。
冨田せな:北京五輪銅メダリストの実績冨田せなは、1999年10月5日生まれ。2018年平昌、2022年北京、2026年ミラノ・コルティナと、3大会連続で冬季五輪に出場した日本のベテラン選手だ。
オリンピックの成績は次の通り。
| 大会 | 順位・結果 |
|---|---|
| 平昌2018 | 8位 |
| 北京2022 | 銅メダル |
| ミラノ・コルティナ2026 | 9位 |
北京大会では日本女子ハーフパイプのメダリストとなり、2026年も日本代表として決勝に進出した。
五輪3大会の経験に加え、2025-26シーズンのW杯年間ランキングでも3位に入っている。
若手が台頭する日本チームにおいて、国際大会の経験を積んできた冨田の存在は大きい。
クロエ・キム:五輪2連覇から2026年銀メダルへ米国のクロエ・キムは、女子ハーフパイプの歴史を代表する選手の一人だ。
オリンピックでの成績は次の通り。
- 2018年平昌:金メダル
- 2022年北京:金メダル
- 2026年ミラノ・コルティナ:銀メダル
2018年と2022年に連続優勝し、女子ハーフパイプで圧倒的な存在感を示した。
2026年大会では3連覇を目指したが、チェ・ガオンに90.25点を出され、88.00点で2位となった。
それでも3大会連続の五輪メダル獲得は、長期にわたって世界トップクラスを維持してきた証しだ。
チェ・ガオン:韓国から現れた17歳の新王者2026年の女子ハーフパイプで最大の話題となったのが、韓国のチェ・ガオンだ。
17歳で五輪金メダルを獲得し、クロエ・キムの3連覇を阻止した。
さらに2025-26年のFISワールドカップ年間ランキングでも300ポイントで1位。五輪だけでなくシーズンを通じてもトップの成績を残した。
FISが2026年7月に掲載したインタビューでも、若くして世界選手権やX Games、W杯で実績を積んできた選手として紹介されている。
【プロの結論】2026年の日本女子ハーフパイプをどう評価すべきか2026年の結果から読み取れる要点は3つある。
第一に、日本勢は五輪の一発勝負だけでなく、シーズン全体でも強い。
小野の五輪銅メダルに加え、工藤がW杯年間2位、冨田が年間3位、小野が年間4位に入った。特定の選手だけに依存しない競争力がある。
第二に、若手の高難度技への対応力が高まっている。
清水のダブルコーク1080や小野のフロントサイド1080は、女子ハーフパイプの技術水準が上がっていることを示す。
第三に、五輪の順位だけで選手の実力を判断するのは適切ではない。
例えば清水は五輪4位だったが、X Gamesでは優勝している。工藤は五輪5位だったものの、W杯年間2位と全日本優勝を達成した。
選手の実力を比較するなら、五輪、W杯、X Games、全日本選手権を分けて評価することが大切だ。
【女子ハーフパイプのよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年の女子ハーフパイプ五輪金メダリストは誰ですか?
A1:韓国代表のチェ・ガオンです。2026年2月12日の決勝で90.25点を獲得し、金メダルを獲得しました。
Q2:小野光希は何位で何点を獲得しましたか?
A2:3位で85.00点です。日本女子ハーフパイプの銅メダリストとなりました。
Q3:清水さらの五輪順位は何位ですか?
A3:4位です。84.00点を記録しました。2026年1月のX Games Aspenでは95.33点で初優勝しています。
Q4:工藤璃星は2026年の全日本選手権で優勝しましたか?
A4:はい。2026年3月10日の全日本選手権で70.25点を記録し、3年ぶり2度目の優勝を果たしました。
Q5:冨田せなのオリンピック最高成績は?
A5:2022年北京冬季オリンピックの銅メダルです。平昌2018では8位、ミラノ・コルティナ2026では9位でした。
Q6:クロエ・キムはオリンピックで何回優勝していますか?
A6:2018年平昌と2022年北京で2大会連続の金メダルを獲得しています。2026年ミラノ・コルティナでは銀メダルでした。
Q7:女子ハーフパイプの決勝は何本滑りますか?
A7:ミラノ・コルティナ五輪では3本滑り、最も高い得点が最終得点として採用されました。
Q8:女子ハーフパイプの採点は何を基準にしていますか?
A8:技の完成度、難易度、高さ、多様性、革新性の5項目を総合的に評価します。単純な回転数だけでは順位は決まりません。
2026年の女子ハーフパイプは、韓国のチェ・ガオンが五輪金メダルとW杯年間ランキング1位を獲得し、世界の新たな中心選手として台頭したシーズンだった。
一方、日本勢も小野光希の五輪銅メダル、清水さらのX Games優勝、工藤璃星の全日本選手権優勝、冨田せなのW杯年間3位など、幅広い大会で結果を残した。
特に注目したいのは、次の世代を担う清水と工藤の成長だ。五輪での上位入賞に加え、国際大会で優勝や表彰台を経験していることは、今後の日本チームにとって大きな強みとなる。
今後の女子ハーフパイプを追うなら、五輪のメダル結果だけではなく、FISワールドカップの年間ランキング、X Gamesの高難度技、国内大会での安定感を合わせて確認したい。
小野光希の経験、清水さらと工藤璃星の挑戦、冨田せなの実績。この4人を中心とする日本女子ハーフパイプの競争力は、次の国際シーズンでも大きな見どころになる。
主な情報源:日本オリンピック委員会(JOC)、国際スキー・スノーボード連盟(FIS)、X Games公式発表、早稲田大学競技スポーツセンター、Olympedia、Team USA。