2026年の近本光司は、故障による長期離脱を経験しながら、復帰後に高い打撃水準を取り戻した。
NPBの2026年シーズン終了時の個人成績は次のとおりだ。
| 項目 | 2026年成績 |
|---|---|
| 出場試合 | 90試合 |
| 打席 | 414打席 |
| 打数 | 372打数 |
| 安打 | 114本 |
| 打率 | .306 |
| 本塁打 | 5本 |
| 打点 | 17打点 |
| 得点 | 51得点 |
| 盗塁 | 12個 |
| 出塁率 | .374 |
| 長打率 | .392 |
| OPS | .767 |
特に注目したいのは打率.306という数字だ。
2025年の打率.279から大きく改善し、出場した試合では安定した安打生産能力を示した。114安打という数字も、90試合の出場にとどまったことを考えると評価できる。
単純計算では1試合平均約1.27安打。フルシーズンに換算すれば、安打数でも高い水準が期待できるペースだった。
一方、盗塁は12個。2025年の32個と比較すると大幅に減少している。
これは左手首骨折による離脱と、復帰後のコンディション調整が影響したと考えられる。走塁面で以前と同じパフォーマンスを発揮できたかどうかは、来季に向けた検証ポイントだ。
また、2026年は規定打席にも届かなかった。セ・リーグの規定打席443に対して414打席で、29打席不足している。
そのため、打率.306を残していても、公式の首位打者争いには加われなかった。
数字だけを見れば好成績だが、タイトル争いという観点では悔しさも残るシーズンだった。
【左手首骨折の理由と復帰経緯】4月の死球から76日で一軍復帰
2026年の近本を語るうえで欠かせないのが、4月26日に発生した左手首骨折だ。
4月26日の広島戦で起きたアクシデント2026年4月26日、甲子園球場で行われた広島戦。
近本は1番・中堅で先発出場していたが、8回の打席で広島の高太一投手が投じた151キロの直球を左手首付近に受けた。
その場で倒れ込み、トレーナーとともにベンチへ退いた。球団は試合後、兵庫県内の病院で検査した結果、左手首骨折と診断されたことを発表した。
翌27日には出場選手登録を抹消。プロ入り後、長期離脱を経験する大きな故障となった。
この負傷は、自打球や守備中の接触によるものではなく、相手投手から受けた死球が原因だった。
復帰までの時系列| 日付 | 出来事 | 状況 |
|---|---|---|
| 4月26日 | 広島戦で死球 | 左手首骨折と診断 |
| 4月27日 | 登録抹消 | 一軍を離脱 |
| 5月1日 | リハビリ開始 | SGL尼崎で調整 |
| 6月26日 | 打撃練習再開 | 室内で約80分間の練習 |
| 6月30日 | 屋外打撃再開 | フリー打撃を実施 |
| 7月1日・3日 | シート打撃 | 実戦形式の調整 |
| 7月7日 | 二軍戦で実戦復帰 | 72日ぶりの実戦 |
| 7月11日 | 一軍復帰 | 76日ぶりに一軍出場 |
復帰への道のりで重要だったのは、段階的な調整を重ねたことだ。
6月下旬に打撃練習を再開し、7月に入るとシート打撃へ移行。7月7日のファーム広島戦では1番・DHとして出場し、72日ぶりに実戦の打席に立った。
さらに7月10日のファーム・オリックス戦では、復帰後3試合目の10打席目で初安打を記録している。
そして7月11日、出場選手登録されて一軍に復帰。同日のヤクルト戦では1番・中堅でスタメンに名を連ねた。
復帰後の打撃はどう変化したのか復帰直後は試合勘や打撃感覚を取り戻す段階だったが、8月以降は成績が上向いた。
月別成績を見ると、8月は打率.321、9・10月は打率.364。特にシーズン終盤の安定感は際立っていた。
骨折からの復帰を単なる出場再開で終わらせず、打撃面で結果につなげたことが2026年の大きな収穫だった。
【近本光司のプロフィールと経歴】ドラフト1位から阪神の背番号5へ
近本光司は1994年11月9日生まれ、兵庫県出身の外野手。左投左打で、阪神タイガースでは背番号5を着用している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 近本光司(ちかもと・こうじ) |
| 生年月日 | 1994年11月9日 |
| 出身地 | 兵庫県 |
| 身長・体重 | 171cm・71kg |
| 投打 | 左投左打 |
| ポジション | 外野手 |
| 所属 | 阪神タイガース |
| 背番号 | 5 |
| 出身高校 | 社高校 |
| 大学 | 関西学院大学 |
| 社会人 | 大阪ガス |
| ドラフト | 2018年ドラフト1位 |
近本は社高校で野球経験を積み、関西学院大学へ進学した。
大学時代はリーグ戦で実績を残し、通算打率.352を記録。3年生春には打率.379、10盗塁でベストナインに選ばれている。
大学卒業後は大阪ガスに入社。社会人野球でさらに実力を磨いた。
特に2018年の都市対抗野球大会では、21打数11安打、打率.524を記録。大阪ガスの初優勝に貢献し、首位打者と橋戸賞を獲得した。
2018年ドラフトで阪神から1位指名2018年10月25日のドラフト会議で、阪神タイガースから1位指名を受けた。
プロ入り後は1年目からレギュラーに定着。2019年には36盗塁で盗塁王を獲得し、新人としても存在感を示した。
近本の特徴は、単純な俊足だけではない。出塁してから相手バッテリーに与えるプレッシャー、外野の間を抜く打球判断、状況に応じた走塁判断を組み合わせられる点にある。
阪神の攻撃を組み立てるうえで、長年にわたって欠かせない存在となっている。
【盗塁王6度と歴代記録】近本の通算成績はどこまで伸びた?
近本の代名詞といえば盗塁だ。
プロ入りから走塁タイトルを獲得し続け、2025年には4年連続6度目の盗塁王に輝いた。
盗塁王を獲得した年度は以下のとおり。
- 2019年:36盗塁
- 2020年:31盗塁
- 2022年:30盗塁
- 2023年:28盗塁
- 2024年:19盗塁
- 2025年:32盗塁
2021年は盗塁王ではなく、178安打で最多安打のタイトルを獲得している。
つまり、近本は2019年の新人年から2025年まで、7年連続で何らかの打撃タイトルを獲得した。
これは長嶋茂雄の6年連続を上回る記録として報じられた実績だ。
また、盗塁王6度は巨人の柴田勲と並ぶセ・リーグ最多記録に到達している。
2026年はタイトル獲得が途切れた2026年の盗塁数は12個。セ・リーグの盗塁ランキングでは8位タイだった。
故障によって出場試合数が90試合にとどまり、7年連続の個人タイトル獲得も途切れた。
ただし、2026年の12盗塁だけで走力の衰えを判断するのは早い。シーズンの半分近くを故障による離脱で過ごしたことを考慮する必要がある。
2026年終了時点の通算成績NPB公式の個人年度別成績によると、近本の通算成績は次のとおり。
| 項目 | 通算成績 |
|---|---|
| 出場試合 | 1,034試合 |
| 打席 | 4,627打席 |
| 安打 | 1,207本 |
| 打率 | .290 |
| 本塁打 | 53本 |
| 打点 | 321打点 |
| 盗塁 | 212個 |
| 出塁率 | .353 |
| 長打率 | .389 |
特筆すべきは、通算1,207安打と212盗塁だ。
近本は長打で試合を決めるタイプというより、出塁、進塁、盗塁によって攻撃の流れを作る選手である。
通算打率.290という安定感も、リードオフマンとしての価値を裏付けている。
【9・10月月間MVPとCS成績】終盤の好調と18打席連続無安打
2026年シーズンの近本を評価するうえで、9・10月の活躍とクライマックスシリーズは分けて考える必要がある。
球団選定9・10月度月間MVPを受賞2026年10月15日、阪神タイガースは近本を球団選定の9・10月度月間最優秀選手に選出したと発表した。
受賞対象期間の成績は以下のとおり。
| 項目 | 成績 |
|---|---|
| 試合 | 26試合 |
| 打席 | 121打席 |
| 打数 | 107打数 |
| 安打 | 39本 |
| 打率 | .364 |
| 本塁打 | 2本 |
| 打点 | 6打点 |
| 得点 | 16得点 |
打率.364、39安打という数字は、復帰後の近本が本来の打撃感覚を取り戻していたことを示す。
特に注目したいのは、9月から10月にかけて7試合連続マルチ安打を記録したことだ。
骨折による離脱を経験し、復帰後の調整を続けてきた選手が、シーズン終盤にこれだけの結果を残したことは評価に値する。
なお、この賞は阪神球団が選定した月間最優秀選手であり、NPBのセ・リーグ公式月間MVPとは異なる。
クライマックスシリーズでは苦戦一方、ポストシーズンでは厳しい結果となった。
2026年の阪神はリーグ優勝を果たし、甲子園でDeNAとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージに臨んだ。
しかし、DeNAに4試合連続で敗れ、日本シリーズ進出を逃した。
近本のCS成績も苦しいものだった。
| 項目 | CS成績 |
|---|---|
| 出場 | 4試合 |
| 打席 | 18打席 |
| 打数 | 17打数 |
| 安打 | 0本 |
| 四球 | 1 |
| 打率 | .000 |
近本は18打席連続無安打でシリーズを終えた。
スポーツ報知の報道によると、4試合で5度の得点圏機会があったものの、適時打は生まれなかった。
CS通算安打数は22本で、球団記録を持つ鳥谷敬と並んでいたが、今回のシリーズでは記録更新もならなかった。
シーズン終盤の好調とは対照的な結果だった。
ただし、レギュラーシーズンの成績と短期決戦の結果は別々に評価すべきだ。4試合の無安打だけで、シーズンを通じた打撃能力まで否定することはできない。
【2026年シーズン評価と来季の展望】近本に必要なのは稼働率の回復
2026年の近本を評価するなら、打撃、走塁、出場機会、ポストシーズンの4つの観点が重要になる。
打撃面は高評価90試合で打率.306、114安打という数字は十分に高い。
特に9・10月の打率.364は、復帰後の打撃状態が上向いたことを示している。
出塁率.374も評価できるポイントだ。1番打者として塁に出る能力は、依然としてチームの攻撃を支える武器になっている。
走塁面は改善の余地一方で、盗塁数は12個にとどまった。
2025年の32盗塁から大きく減少しているうえ、2026年は盗塁死も6個記録している。
盗塁成功率は約66.7%。2025年の約78.0%と比較すると、改善が必要な数字だ。
もちろん、左手首骨折から復帰したシーズンであるため、単純な比較には注意が必要だ。
来季は走力そのものだけでなく、スタートのタイミングや相手投手のけん制への対応など、盗塁の成功率を高める部分も注目される。
規定打席への復帰が大きな目標2026年は414打席で規定打席443に届かなかった。
近本にとって、規定打席到達は単なる個人記録ではない。
シーズンを通じて1番打者として出場し続けることは、阪神の攻撃の安定につながる。
2027年は健康状態を整え、開幕から継続的に出場できるかが大きなテーマになる。
来季に期待される3つのポイント1. 年間を通した出場機会の確保:故障による離脱を避け、1番打者として継続的に出場すること。
2. 盗塁成功率の改善:過去の盗塁王としての経験を生かし、成功率と走塁判断を高めること。
3. ポストシーズンでの勝負強さ:レギュラーシーズンの好成績を短期決戦でも発揮すること。
近本は2027年11月に33歳を迎える。年齢だけで走力の低下を決めつける必要はないが、身体への負担を考慮したコンディション管理はこれまで以上に重要になる。
【プロの結論】2026年の近本は復活の手応えと課題が共存したシーズン
2026年の近本光司は、左手首骨折によって大きく予定を狂わされた。
しかし、7月11日の一軍復帰から徐々に調子を上げ、90試合で打率.306、114安打を記録。9・10月には打率.364を残し、球団選定月間最優秀選手にも選ばれた。
一方、盗塁王の連続獲得記録は途切れ、規定打席にも届かなかった。さらにCSでは18打席無安打という悔しい結果に終わっている。
この3つの事実を総合すると、2026年は打撃能力の健在ぶりを示した一方、年間を通じた稼働率と大舞台での結果に課題を残したシーズンだった。
近本の価値は、単に盗塁数や打率だけでは測れない。出塁によって相手バッテリーに圧力をかけ、次の打者の打席を有利にし、阪神の攻撃全体を機能させるところにある。
2027年に求められるのは、再び年間を通じてグラウンドに立ち、打撃と走塁の両面でチームをけん引することだ。
背番号5が本来の姿を取り戻せば、阪神の攻撃力にとって大きなプラスになる。2026年の悔しさを来季の結果につなげられるか、近本の次のシーズンに注目したい。
【阪神・近本光司】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:近本光司の2026年の打率と安打数は?
A1:2026年のレギュラーシーズン成績は90試合、114安打、打率.306です。出塁率は.374でした。
Q2:近本光司はなぜ左手首を骨折した?
A2:2026年4月26日の広島戦で、高太一投手の投球を左手首付近に受けたためです。病院で左手首骨折と診断されました。
Q3:近本光司はいつ一軍に復帰した?
A3:2026年7月11日に一軍登録され、同日のヤクルト戦で1番・中堅として復帰しました。負傷した4月26日から76日後の復帰でした。
Q4:近本光司の盗塁王獲得回数は?
A4:2025年までに通算6度です。2019年、2020年、2022年、2023年、2024年、2025年に獲得しました。
Q5:近本光司は2026年に規定打席へ到達した?
A5:到達していません。414打席で、セ・リーグの規定打席443に29打席届きませんでした。
Q6:近本光司の2026年CS成績は?
A6:4試合18打席、17打数0安打、打率.000でした。18打席連続無安打でシーズンのポストシーズンを終えています。
Q7:近本光司の2026年終了時点の通算安打・盗塁数は?
A7:NPB公式記録では通算1,207安打、212盗塁、通算打率.290です。