2021年夏、茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で開催される予定だった大型音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021(ロック・イン・ジャパン・フェスティバル2021)」は、開催まで約1か月というタイミングで突然の中止が発表されました。
中止の直接的なきっかけとなったのは、2021年7月2日に提出された茨城県医師会と県内26の郡市等医師会などによる要請書です。主催者側は1年以上にわたって感染対策を検討し、茨城県やひたちなか市との協議も進めていました。それでも、なぜ開催を断念することになったのでしょうか。2026年現在、当時の公式発表、医師会の要請書、主催者側の説明、関係者の証言をたどり、中止決定までの経緯と背景を詳しく整理します。
【中止理由】ロッキン2021はなぜ開催直前に中止されたのか?

ロッキン2021の中止理由を端的に説明すると、茨城県医師会などから出された感染防止に関する要請に、主催者側が十分に対応できないと判断したためです。
ただし、単純に「医師会から中止を命令された」という話ではありません。医師会側は開催中止または延期の検討を求めると同時に、開催する場合には追加の入場制限や会場外を含む感染対策を徹底するよう要請していました。
主催者側も、感染対策を十分に考えたうえで開催準備を進めていました。しかし、要請が届いたのは開催予定日の約1か月前。チケット販売や出演者の準備が進んだ段階であり、大幅な運営変更には現実的な制約がありました。
2021年の開催計画は例年とは大きく異なっていた2021年のロッキンは、2020年に続いて新型コロナウイルス感染症の影響を受ける状況で開催を目指していました。
主催者は安全なフェスを実現するため、1年以上の時間をかけて開催方式を検討。従来の7ステージを1ステージに縮小し、参加者数も例年の半分以下に抑える計画を立てていました。
加えて、会場内の移動ルートやステージ前方の運営方法、飲食エリアでの着席ルールなど、細かな感染対策も検討されていました。モッシュやサークル、ハイタッチといった参加者同士の接触につながる行為も禁止する方針でした。
主催者側は国営ひたち海浜公園、茨城県、ひたちなか市と協議を重ね、開催に向けた準備を進めていたと説明しています。
つまり、2021年の計画は感染対策を軽視した通常開催ではありません。大幅な規模縮小と運営方式の変更を前提とした開催計画でした。
それでも開催が難しくなった決定的な問題問題となったのは、会場内の対策だけでは感染リスクを管理しきれないという点です。
大規模な音楽フェスには、会場内の観客だけでなく、鉄道駅、シャトルバス、駐車場、宿泊施設、飲食店など、多数の人が関わります。
主催者はJR勝田駅周辺の混雑を緩和するため、収容人数に対して例年以上の専用駐車場を用意し、自動車やアクセスバスツアーによる直行直帰を推奨していました。
しかし、来場者の宿泊先や移動中の行動、その後の飲食などを主催者が完全に管理することはできません。
医師会側が求めたのは、イベント会場だけで完結する感染対策ではなく、地域全体の医療体制や生活環境への影響まで考慮した対応だったのです。
この認識の違いと、追加対策を実施するための時間不足が、中止判断につながる大きな要因になりました。
【時系列】2021年7月2日の要請書から7月7日の中止発表まで
ロッキン2021の中止を理解するうえで重要なのが、7月2日の要請書提出から7月7日の正式発表までの5日間です。
この短い期間に、医師会、主催者、茨城県、ひたちなか市、会場関係者による対応の検討が進められました。
| 年月日 | 出来事 | 要点 |
|---|---|---|
| 2021年6月18日 | 地元医師会が開催を認知 | 後年の関係者取材で、地元医師会が開催を知った時期として明らかになった。 |
| 2021年7月2日 | 医師会が要請書を提出 | 茨城県医師会と県内26郡市等医師会などが開催中止・延期の検討などを要請。 |
| 2021年7月2日 | 主催者側で対応を協議 | 要請書の内容がフェス事務局に共有され、中止の方向が示された。 |
| 2021年7月5日 | 関係者による会合 | 茨城県、ひたちなか市、国営ひたち海浜公園、事務局などが開催方法を検討。 |
| 2021年7月7日 | 正式に中止を発表 | 総合プロデューサー渋谷陽一氏と事務局が中止を公表。 |
| 2021年7月14日 | 医師会長がコメント発表 | 茨城県医師会が主催者の判断に謝意を表明。 |
| 2021年7月14日 | チケット払い戻し開始 | 購入者を対象に払い戻し手続きが始まった。 |
この時系列で注目したいのは、医師会が要請を出したのが開催直前だったことです。
LuckyFM茨城放送の阿部重典社長は、2021年7月8日付の公式説明で、6月下旬に茨城県医師会から要望書提出の連絡があり、7月2日に正式に受け取ったと説明しています。
同社の説明によれば、要請を受け取った当日の夜には、企画制作を担当するロッキング・オン・ジャパンから中止の方向性が示されました。
その後、7月5日に事務局、茨城県、ひたちなか市、国営ひたち海浜公園、茨城放送が会合を開き、開催を実現する方法を最後まで模索しました。
しかし、最終的には総合プロデューサーの渋谷陽一氏が中止を判断。7月7日正午、公式サイトを通じて開催中止が発表されました。
この経緯はLuckyFM茨城放送の公式説明とロッキング・オン・ジャパンの発表に記録されています。
【医師会の要請】県下26医師会が提出した要望書の内容とは?
2021年7月2日、茨城県医師会の鈴木邦彦会長とひたちなか市医師会の吉井慎一副会長が、主催者である茨城放送を訪問しました。
2人は、県内26の郡市等医師会や大規模病院連絡協議会の構成病院などを代表し、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021に関する要請書を提出しています。
茨城県医師会が7月5日に公表した要請書には、当時の地域医療を取り巻く状況が記されていました。
要請の柱は大きく2つ医師会が主催者側に求めた内容は、次の2点です。
要請1:感染拡大の状況に応じて、開催の中止または延期を検討すること。
要請2:開催する場合でも、さらなる入場制限を実施し、観客の会場外での行動を含めて感染防止対策を徹底すること。
要請書の背景には、2021年6月末時点の茨城県内の感染状況がありました。
茨城県医師会の公表資料によると、県内では2020年3月17日に最初の感染者が確認され、2021年6月末時点で感染者は累計10,544人、死者は164人に達していました。
一時的な医療逼迫は脱していたものの、ワクチン接種は進行中であり、感染力の強い変異株の拡大も懸念されていました。
医師会は、ロッキンが茨城県の夏の風物詩として定着し、地域経済に大きな効果をもたらしていることを認めたうえで、当時の状況で開催することには強い危機感があると説明しています。
医師会はフェスそのものに反対していたのかここは誤解されやすいポイントです。
医師会の要請書は、音楽フェスの存在や地域振興への貢献を否定する内容ではありません。むしろ、地域に根付いたイベントとしての価値を認めたうえで、感染拡大時の医療負担や地域への影響を懸念していました。
2021年7月14日に発表された鈴木邦彦会長のコメントでも、主催者や関係者の努力に敬意を表し、地域経済や地域振興への貢献を評価しています。
そのうえで、要請書の趣旨をくみ取って中止を決断した主催者に対し、感謝の意を示しました。
したがって、医師会の立場は「フェスを開催するな」という一律の否定ではなく、当時の医療環境を踏まえた感染防止上の懸念と、地域医療との協力体制を重視するものだったと理解できます。
【主催者側の反論と判断】渋谷陽一が語った中止の本当の理由
中止発表と同時に注目を集めたのが、総合プロデューサーを務めていた渋谷陽一氏の長文コメントです。
渋谷氏は、1年以上にわたって感染対策を検討し、会場や自治体と協議を重ねてきた経緯を説明。そのうえで、医師会の要請に対応することが難しかった理由を具体的に示しました。
理由1:追加の入場制限が現実的ではなかった主催者側によれば、先行チケット受付の段階で、すでに設定した収容人数の上限に達していました。
人気日には多数の申し込みがあり、多くの応募者に落選通知を出さなければならない状況だったといいます。
そのため、7月に入ってからさらに入場人数を減らすとなれば、購入済みチケットの扱いや再抽選など、大きな変更が必要になります。
渋谷氏は、追加制限を実施すれば、すでにチケットを確保していた参加者との信頼関係にも影響すると説明しました。また、開催までの時間を考えると再抽選の実施も現実的ではないと判断していました。
理由2:会場外の感染対策を完全に管理できなかった主催者側は、会場内の感染防止策だけでなく、JR勝田駅周辺の混雑対策や移動手段にも配慮していました。
専用駐車場を例年以上に確保し、車やアクセスバスツアーによる直行直帰を推奨する計画も用意していました。
しかし、参加者の宿泊や移動、その後の飲食など、会場の外で発生する行動を主催者が完全に管理することはできません。
渋谷氏は、この要請について、どこまでを対策の対象とするのか、具体的な範囲を議論する時間が残されていなかったと説明しています。
理由3:「万全の感染対策」の判断基準が明確ではなかったもう一つの大きな論点は、感染拡大に応じた中止・延期の判断基準です。
医師会の要請書には感染拡大状況に応じて判断するという趣旨が示されていましたが、感染者数、病床使用率、死亡者数、緊急事態宣言など、具体的に何を基準とするのかは明記されていませんでした。
渋谷氏は、判断基準が明確でなければ主催者側として対応を決められないという問題意識を示しました。
公式コメントでは、次のような短い言葉で当時の心境を表現しています。
「無念としか言えません」
また、医師会の要請に十分に応えることができず、開催を断念せざるを得なかったという判断を説明しました。
ここで重要なのは、渋谷氏が医師会の懸念を否定していたわけではないことです。
主催者側は、地元の医療関係者の理解と協力がなければフェスの開催は難しいと認識していました。感染対策の準備を積み重ねてきたからこそ、残された時間で追加の要求に対応できない現実との間で、厳しい決断を迫られたのです。
【関係者の関係性】医師会・茨城放送・渋谷陽一・ひたちなか市の立場
ロッキン2021の中止問題では、複数の関係者がそれぞれ異なる役割を担っていました。
誰が中止を求め、誰が最終判断を下し、誰が地域医療の立場から意見を示したのかを整理すると、問題の構造が見えてきます。
| 関係者・組織 | 役割・立場 | 中止問題での対応 |
|---|---|---|
| 茨城県医師会 | 県内医療関係者の団体 | 感染状況を踏まえて開催中止・延期や追加対策を要請。 |
| 県内26郡市等医師会 | 地域の医療関係団体 | 茨城県医師会などとともに要請書に関与。 |
| ひたちなか市医師会 | 開催地の地域医療関係者 | 県内の医師会などを代表して要請書提出に参加。 |
| LuckyFM茨城放送 | 2021年の主催者 | 要請書を受け取り、関係者との協議を進めた。 |
| ロッキング・オン・ジャパン | 企画・制作担当 | 事務局と中止に向けた対応を検討。 |
| 渋谷陽一 | 総合プロデューサー | 関係者との協議を踏まえて最終的な中止を判断。 |
| 茨城県・ひたちなか市 | 開催地の自治体 | 開催準備に協力し、7月5日の関係者会合にも参加。 |
| 国営ひたち海浜公園 | 開催予定会場 | 会場関係者として開催方法の検討に参加。 |
この問題を考えるうえで見逃せないのが、医師会側と主催者側の事前調整をめぐる認識の違いです。
2022年2月にJタウンネットが茨城県医師会の事務局長に取材した記事では、鈴木邦彦会長が、医師会としてロッキンの開催を知ったのは2021年6月18日だったと説明しています。
同記事によれば、地元の医師会からは、全国から多くの観客が集まるイベントであるにもかかわらず、具体的な協議が十分に行われていないことへの心配が寄せられていました。
鈴木会長は、開催についてもっと早く相談があれば、具体的な話し合いもできたという趣旨の説明をしています。
一方、主催者側は茨城県やひたちなか市、会場との協議を重ね、開催の承認を得て準備を進めていたと説明していました。
この2つの説明を並べると、自治体や会場との開催調整が進んでいたことと、地域の医療機関との具体的な協議が十分だったかどうかは、別の問題だったことが分かります。
大規模イベントでは、会場使用の承認だけでなく、救急搬送や地域医療との連携も必要です。特にコロナ禍では、通常時以上に医療側との事前調整が求められていました。
なお、2021年7月14日の会見では、鈴木会長が中止発表後に寄せられた抗議についても説明しています。Jタウンネットの報道によれば、7月13日までに電話1,628件、メール651件の抗議があったとされています。
こうした反応からも、ロッキンの中止が単なるイベント運営上の変更ではなく、音楽ファン、地域住民、医療関係者の間で大きな議論を呼んだ出来事だったことがうかがえます。
【その後の展開】チケット払い戻しと2022年以降のロッキン
開催中止が発表されたことで、購入済みチケットの払い戻しや、出演予定だったアーティストへの影響も大きな関心事になりました。
ロッキン2021のチケット払い戻しはいつ行われた?2021年7月7日の中止発表時点では、チケットの払い戻し方法は7月中旬に案内すると説明されていました。
その後、7月14日にJフェス公式アカウントから購入者全員への払い戻しが案内され、受付期間は次のように設定されました。
- 払い戻し開始:2021年7月14日(水)12時
- 払い戻し終了:2021年9月14日(火)11時59分
- 対象:ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021のチケット購入者
- 手続き:購入時の決済方法などに応じて所定の手続き
払い戻し期間は約2か月間でした。購入方法によっては自動返金ではなく、購入者自身による申請が必要と案内されていました。
当時チケットを購入していた人にとっては、中止発表を確認するだけでなく、払い戻しの案内に従って期限内に手続きを完了することが必要でした。
なお、2026年現在、当時の払い戻し受付期間はすでに終了しています。過去の払い戻し制度を確認する際は、当時の公式案内と購入時の決済方法を区別して考える必要があります。
2022年から会場が茨城県から千葉県へ変更ロッキン2021の中止は、フェスの歴史にも大きな転換点をもたらしました。
2022年1月5日、ROCK IN JAPAN FESTIVALは、2022年から開催会場を茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園から、千葉市蘇我スポーツ公園に変更すると発表しました。
会場変更の理由として説明されたのは、国営ひたち海浜公園の会場構造に伴う感染対策上の問題です。参加者がステージ間を移動する際に混雑や密集が発生しやすく、十分な感染対策を行うことが難しいという判断が示されました。
ここで注意したいのは、2021年の中止と2022年の会場変更は、関連する出来事ではあるものの、同じ理由による一つの決定ではないということです。
2021年は医師会の要請と追加対策への対応困難が中止の直接的な背景でした。一方、2022年の会場変更では、会場の構造や参加者の移動導線が感染対策上の課題として挙げられています。
渋谷氏は2022年の発表で、ひたちなかとロッキンの歴史をつなぐため、25周年や30周年といった節目でのひたちなか開催を模索したいという考えも示しました。
ひたちなか市ではLuckyFesが新たな展開へロッキンの会場変更を受け、茨城放送は茨城のフェス文化を継続させるため、新たな音楽イベント「LuckyFM Green Festival(LuckyFes)」を企画しました。
2022年に始まったLuckyFesは、ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で開催され、地域の音楽文化や経済活動を盛り上げる新たな取り組みとして位置づけられました。
LuckyFesの公式資料では、2021年にロッキンが中止となり、その後ロッキング・オン・グループから開催地を千葉県へ移す方針が伝えられたことが、新しいフェスを企画する背景として説明されています。
また、医療団体との連携や新型コロナ対策、熱中症対策などもコンセプトに盛り込まれました。
ロッキン2021の中止は、単に一つの夏フェスがなくなったというだけではありません。長年続いてきた地域と大型音楽イベントの関係が変化し、茨城県で新たなフェス文化を育てる契機にもなったのです。
【誤解を検証】ロッキン2021の中止をめぐる3つの疑問
疑問1:茨城県や国から開催中止命令が出たのか?いいえ。今回の中止を直接引き起こしたのは、茨城県医師会などによる要請です。
医師会の要請書は、感染状況に応じた中止・延期の検討と、開催する場合の追加対策を求めるものでした。最終的に中止を決めたのは、関係者との協議を踏まえた主催者側です。
茨城県やひたちなか市は開催準備に協力しており、7月5日の会合にも参加しています。行政による一方的な中止命令が出されたという説明とは異なります。
疑問2:感染対策を実施していなかったから中止になったのか?これも正確ではありません。
主催者は1年以上かけて感染対策を検討し、7ステージから1ステージへの変更、収容人数の縮小、会場内の移動ルール、飲食エリアの運営、救護体制の強化などを進めていました。
中止の直接的な問題は、既存の感染対策がなかったことではなく、医師会から新たに求められた追加措置を開催直前に実現することが難しかった点にあります。
疑問3:2021年の中止が原因でロッキンはひたちなかに戻らなくなったのか?2021年の中止は会場との関係に大きな影響を与えた出来事ですが、2022年以降の会場変更には別途、会場の構造や感染対策上の課題が関係しています。
渋谷氏自身も、将来的にひたちなかでの開催を模索したいという意向を2022年に示していました。そのため、2021年の中止だけを理由に、ひたちなかでの開催が永久に不可能になったと解釈するのは適切ではありません。
2026年現在、公式のフェスヒストリーでも2021年は開催中止として記録されています。2021年の出来事と、その後の会場変更は分けて理解することが大切です。
【ロッキン2021 中止】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ロッキン2021はいつ中止が発表されましたか?
A1:2021年7月7日(水)正午です。8月7日・8日・9日・14日・15日の計5日間に予定されていた全日程が中止になりました。
Q2:ロッキン2021が中止になった最大の理由は何ですか?
A2:2021年7月2日に茨城県医師会と県内26の医師会等から提出された要請書が直接のきっかけです。追加の入場制限や会場外の感染対策を実施することが難しく、医療関係者の理解と協力も不可欠だったため、主催者が開催を断念しました。
Q3:茨城県医師会は何を要請したのですか?
A3:感染拡大の状況に応じた開催中止・延期の検討と、開催する場合の追加の入場制限、観客の会場外での行動を含む感染防止対策の徹底という2点です。
Q4:ロッキン2021のチケット代金は返金されましたか?
A4:はい。購入者全員を対象に払い戻しが行われました。受付期間は2021年7月14日12時から9月14日11時59分までで、購入方法によって必要な手続きが異なりました。
Q5:ロッキン2021の開催予定地はどこでしたか?
A5:茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園です。2021年は8月の2週末にわたる5日間の開催が予定されていました。
Q6:ロッキンは2022年からどこで開催されるようになりましたか?
A6:千葉県千葉市の蘇我スポーツ公園です。2022年から会場が変更されました。会場構造による参加者の移動時の混雑や感染対策上の課題などが変更理由として説明されています。
Q7:ロッキン2021の中止後、ひたちなか市ではフェスが開催されましたか?
A7:はい。茨城放送が中心となってLuckyFesを企画し、2022年から国営ひたち海浜公園で開催されました。地域のフェス文化を継続する新たな取り組みとして始まりました。
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021が開催直前に中止された背景には、2021年7月2日の茨城県医師会と県下26の医師会等による要請書の提出がありました。
医師会側は感染拡大時の開催中止・延期の検討、追加の入場制限、会場外を含めた感染対策の徹底を求めました。一方、主催者側は1年以上かけて準備してきた感染対策や運営体制があり、すでにチケット販売や出演者の準備も進んでいました。
開催まで約1か月という段階で追加の入場制限や会場外の感染対策を実施することは難しく、医療関係者の理解と協力を得ることも不可欠だったため、渋谷陽一氏は中止を決断しました。
この出来事から見えてくるのは、大規模イベントの開催には、主催者と会場、自治体の合意だけではなく、地域医療との早期の情報共有や具体的な協力体制が必要だということです。
また、感染症など予測が難しい状況でイベントを開催する場合には、開催・延期・中止を判断する具体的な基準を事前に共有しておくことも重要です。そうすることで、開催直前の大幅な方針変更や、参加者への突然の負担を減らせる可能性があります。
2021年のロッキン中止は、アーティストや参加者だけでなく、地域の医療関係者やイベント運営に携わる人々にも大きな影響を与えました。その後、ロッキンは千葉へ会場を移し、ひたちなかではLuckyFesが始まっています。
音楽フェスの価値は、ステージ上の演奏だけで成立するものではありません。開催地の理解、地域医療との連携、観客の安全、運営側の責任がそろって初めて、地域に根付くイベントとして継続できます。ロッキン2021の中止は、そのことを音楽業界と地域社会に強く問いかけた出来事でした。
【プロの結論】 ロッキン2021の中止を「医師会の要請だけで突然決まった出来事」と捉えると、本質を見誤ります。重要なのは、感染対策の内容だけでなく、医療関係者との協議のタイミング、追加措置を実行できる時間、地域全体の協力体制という3つの条件です。2026年の今、当時の経緯を振り返る意義は、大規模イベントを安全に継続するための合意形成のあり方を考えることにあります。
主な参照資料:茨城県医師会「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021に関する要請について」「茨城県医師会長コメントについて」、ROCK IN JAPAN FESTIVAL公式発表、LuckyFM茨城放送・阿部重典社長の説明、茨城県知事定例記者会見、Jタウンネットによる茨城県医師会関係者への取材、2022年の会場変更発表、ROCK IN JAPAN FESTIVAL公式ヒストリー。