「お悔やみ申し上げます」は、身近な人や大切な人を亡くしたご遺族に対して、故人を悼む気持ちと悲しみに寄り添う思いを伝える丁寧な表現です。訃報を受けたときや、お通夜・葬儀に参列した際などに使われますが、「心よりお悔やみ申し上げます」との違いは何か、メールやLINEでも使えるのか、どのように返事をすればよいのかと迷う人も少なくありません。
2026年現在、訃報をメールやLINEで受け取るケースにも対応した言葉遣いが求められています。全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)も、2026年2月更新の葬儀マナー情報で、メールやLINEによるお悔やみの伝え方、相手との関係に応じた例文を紹介しています。大切なのは、形式的な敬語だけでなく、悲しみの中にいる相手に負担をかけない伝え方を選ぶことです。
【基本知識】「お悔やみ申し上げます」の意味と正しい敬語表現

「お悔やみ申し上げます」は、単に亡くなった事実に対して悲しみを表すだけではなく、故人を偲びながら、ご遺族の心情に寄り添うための言葉です。まずは言葉の意味と敬語の仕組みを理解しておくと、場面に応じて自然に使えるようになります。
「お悔やみ申し上げます」が伝える本来の意味「お悔やみ」とは、人の死を悲しみ、弔う気持ちを表す言葉です。「申し上げます」は「言う」の謙譲表現であり、自分の言葉をへりくだって相手に伝える敬語です。
つまり、「お悔やみ申し上げます」は、故人の死を悲しみ、ご遺族に対して弔意を丁寧に伝える表現です。
東京博善の葬儀情報メディア「ひとたび」でも、この言葉を故人を悼むとともに、ご遺族への思いやりを示す代表的な表現として解説しています。
重要なのは、言葉を向ける相手です。「お悔やみ申し上げます」は、基本的に故人ではなく、ご遺族に向けて使います。故人の死を悲しむ気持ちを、ご遺族に伝えるための言葉だからです。
敬語として正しい?目上の人や上司にも使える?「お悔やみ申し上げます」は、謙譲表現を含む丁寧な言葉です。上司や取引先、年上の人、仕事関係の相手に対しても使用できます。
特に、次のような表現はフォーマルな場面に適しています。
- 謹んでお悔やみ申し上げます。
- 心よりお悔やみ申し上げます。
- ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。
なお、「お悔やみ申し上げます」は、相手の悲しみを尊重する言葉です。必要以上に難しい敬語を重ねたり、長い文章にしたりする必要はありません。
「心よりお悔やみ申し上げます」との違い基本的な意味に大きな違いはありません。「心より」を加えることで、形式的な挨拶にとどまらず、心から哀悼の気持ちを伝えていることを強調できます。
例えば、次のような使い分けができます。
- 「お悔やみ申し上げます」:一般的で丁寧な表現。
- 「心よりお悔やみ申し上げます」:深い悲しみや真摯な気持ちを強調する表現。
- 「謹んでお悔やみ申し上げます」:より改まった、格式のある表現。
どれを使っても失礼にはなりません。相手との関係や伝える場面に応じて選ぶことが大切です。
【使用場面】「お悔やみ申し上げます」はいつ使う?正しいタイミングとマナー
この表現は、主に訃報を受けた際や、亡くなった方のご遺族に初めてお悔やみを伝える場面で使用します。対面だけでなく、電話、メール、LINE、弔電などでも使える点が特徴です。
訃報を受けた直後知人や友人、職場の関係者から家族の訃報を知らされたときは、まず簡潔にお悔やみを伝えます。
例えば、次のような言葉が適しています。
突然のお知らせに接し、大変驚いております。心よりお悔やみ申し上げます。
相手が悲しみの中にいることを考え、亡くなった経緯や病気、最期の状況などを詳しく尋ねるのは控えましょう。
お通夜・葬儀・告別式で伝える場合お通夜や葬儀では、受付やご遺族への挨拶の際に使用できます。
対面であれば、次のような表現が自然です。
このたびは誠にご愁傷さまでございます。心よりお悔やみ申し上げます。
長々と話す必要はありません。静かに言葉を伝え、一礼する程度で十分です。ご遺族が多くの参列者への対応に追われていることも考慮しましょう。
葬儀に参列できなかった場合仕事や遠方への移動などの事情で葬儀に参列できなかった場合は、メールや手紙などでお悔やみを伝える方法があります。
例えば、次のような文章が使えます。
ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。本来であれば直接お伺いすべきところ、参列がかなわず申し訳ございません。ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。
葬儀後に訃報を知った場合も、遅れて知ったことを伝えたうえで、故人を偲ぶ気持ちを丁寧に表せば問題ありません。
【言い換え比較】お悔やみの言葉の正しい表現と使い分け一覧
お悔やみの言葉には、似た意味を持つ表現がいくつかあります。しかし、誰に向ける言葉なのか、口頭と文章のどちらで使うのかによって適切な表現は異なります。
代表的な言葉を比較すると、次のようになります。
| 表現 | 主な意味・対象 | 適した使用場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| お悔やみ申し上げます | ご遺族への弔意 | 対面・メール・LINE・手紙 | 宗教を問わず使いやすい基本表現 |
| 心よりお悔やみ申し上げます | ご遺族への深い弔意 | 対面・メール・弔電 | 誠実な気持ちを強調できる |
| 謹んでお悔やみ申し上げます | ご遺族への改まった弔意 | ビジネスメール・弔電・手紙 | 特にフォーマルな場面に適する |
| ご愁傷さまでございます | ご遺族への同情やいたわり | 対面・口頭での挨拶 | メールなどの文章では避けるのが無難 |
| 哀悼の意を表します | 故人の死に対する悲しみ | 弔電・書面・公式な文章 | 改まった書き言葉として使われる |
| ご冥福をお祈りします | 故人の死後の幸福を願う言葉 | 宗教・宗派に応じた弔意の表現 | 仏教由来の言葉で宗派による注意が必要 |
「ご愁傷さまです」は、ご遺族の悲しみや心の痛みに同情する言葉です。特に葬儀の受付や対面での挨拶によく使われます。
一方、「お悔やみ申し上げます」は、口頭だけでなく文章でも使用できます。
そのため、使い分けに迷った場合は、次のように考えると分かりやすいでしょう。
- 対面で直接伝える:ご愁傷さまでございます。
- メールや手紙で伝える:お悔やみ申し上げます。
- 特に丁寧な文章にする:謹んでお悔やみ申し上げます。
「哀悼の意を表します」は、亡くなった方を偲び、その死を悲しむ気持ちを表す言葉です。
一般的な会話よりも、弔電や公式な追悼文、書面などで使われることが多い表現です。
例えば、次のような使い方ができます。
突然のご逝去の報に接し、謹んで哀悼の意を表します。
日常的な会話では少し硬い印象になるため、友人や親しい知人には「心よりお悔やみ申し上げます」のほうが自然です。
【まとめ】「お悔やみ申し上げます」の例文!友人・上司・メール・LINE別
実際に訃報を受けると、どのような言葉を選べばよいのか迷うことがあります。ここでは、相手との関係性や連絡手段に合わせて、そのまま参考にできる例文を紹介します。
友人や親しい知人に伝える例文突然の知らせに驚いています。心よりお悔やみ申し上げます。今はとても大変なときだと思うので、どうか無理をしないでください。返信は気にしないでね。
親しい友人には、丁寧な言葉に加えて相手を気遣う一言を添えると、気持ちが伝わりやすくなります。
友人の親が亡くなった場合の例文お父様のご逝去を知り、大変驚いています。心よりお悔やみ申し上げます。ご家族の皆様もお辛いことと思います。何か私にできることがあれば、いつでも連絡してください。
相手の親族を亡くした場合は、故人との関係に応じて「お父様」「お母様」などの敬称を使います。必要以上に自分の経験や悲しみを語らず、相手の気持ちを尊重しましょう。
上司や職場の同僚に伝える例文このたびはご身内のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。ご心痛のことと存じますが、どうかご無理なさらずお過ごしください。
職場関係では、親しさにかかわらず一定の礼儀を保つことが大切です。仕事の連絡や確認事項を一度に詰め込最初に、必要な連絡は別途簡潔に伝えるとよいでしょう。
取引先や目上の人に伝える例文〇〇様のご逝去の報に接し、誠に残念でなりません。謹んでお悔やみ申し上げます。ご遺族の皆様におかれましては、どうかお身体を大切にお過ごしくださいますようお祈り申し上げます。
取引先への文章では、丁寧な敬語を使い、個人的な感情を過度に表現しないことがポイントです。
【デジタルマナー】お悔やみ申し上げますはメール・LINEで送っても大丈夫?
訃報への返信をメールやLINEで行うことは、相手との関係や連絡手段によっては問題ありません。普段からメッセージアプリで連絡を取り合っている相手であれば、同じ方法で弔意を伝えることも自然です。
全葬連の2026年2月更新の案内でも、メールやLINEでのお悔やみの文例と、送信時に注意したいマナーが紹介されています。
お悔やみメールの基本的な書き方メールでは、件名を見ただけで内容と送り主が分かるようにすることが大切です。
件名の例:
- 〇〇よりお悔やみ申し上げます
- 〇〇様のご逝去に際し、謹んでお悔やみ申し上げます
- 訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます(氏名)
本文の例:
〇〇様
このたびは〇〇様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
突然のことで、さぞお辛いことと存じます。ご家族の皆様もどうかご無理なさらずお過ごしください。
なお、ご返信には及びません。
〇〇(自分の氏名)
通常のビジネスメールで使う季節の挨拶や長い前置きは不要です。最初にお悔やみを伝え、相手を気遣う言葉で締めくくると、読みやすい文章になります。
LINEでお悔やみを伝える場合の例文親しい友人からLINEで訃報が届いた場合は、次のような文章が使えます。
知らせてくれてありがとう。突然のことで驚いています。心よりお悔やみ申し上げます。大変なときだと思うので、返信は不要です。何か必要なことがあれば、いつでも声をかけてください。
LINEは手軽に送信できる一方で、普段の会話と同じ感覚で絵文字やスタンプを使ってしまうことがあります。お悔やみの場面では、スタンプや絵文字を控え、文章だけで気持ちを伝えるほうが無難です。
グループLINEで訃報を知った場合の注意点グループLINEで訃報が共有された場合は、個別に連絡する方法も検討しましょう。
グループ内で一斉に返信すると、通知が何度も届き、ご遺族や知らせてくれた人の負担になる可能性があります。
個別のメッセージであれば、相手の状況に合わせて落ち着いて気持ちを伝えられます。また、返信がなかったとしても催促するのは避けましょう。
メールとLINEのどちらを選ぶべき?- 親しい友人:普段使っているLINEで簡潔に伝える。
- 職場の同僚:普段の連絡手段に合わせてメールやLINEを選ぶ。
- 上司・取引先:丁寧なメールや電話など、関係性に合う手段を選ぶ。
- あまり面識のない相手:メールだけで済ませず、電話や弔電なども検討する。
連絡手段そのものよりも、相手が普段使っている方法や、現在の状況を考えることが重要です。
【返信・返事のマナー】「お悔やみ申し上げます」と言われたら何と答える?
「お悔やみ申し上げます」という言葉を受け取った側は、どのように返事をすればよいのでしょうか。
ここで注意したいのは、お悔やみを伝える側と受け取る側では、適切な言葉が異なることです。ご遺族は、長い返事や詳しい説明をする必要はありません。
ご遺族が対面でお悔やみを受けた場合葬儀や弔問の際に「心よりお悔やみ申し上げます」と言われたら、次のように返せば十分です。
- ありがとうございます。
- お気遣いいただき、ありがとうございます。
- ご丁寧にありがとうございます。
- お心遣いに感謝いたします。
相手が目上の人や仕事関係の人であれば、「お心遣いに感謝いたします」という表現が適しています。
メールやLINEでお悔やみを受けた場合の返事メッセージでお悔やみを受けた場合も、簡潔な感謝の言葉で問題ありません。
一般的な返信例:
温かいお言葉をありがとうございます。お気遣いいただき、心より感謝いたします。
親しい友人への返信例:
メッセージありがとう。気にかけてくれて本当にうれしいです。まだ落ち着かないけれど、心遣いに感謝しています。
仕事関係の人への返信例:
お悔やみのメールに返信しなければならない?ご丁寧なお言葉をいただき、誠にありがとうございます。温かいお心遣いに深く感謝申し上げます。
必ずしも、すべてのお悔やみメッセージに返信する必要はありません。
全葬連の案内でも、返信を求められていない場合や、形式的な訃報通知である場合などは、返信が不要なケースとして紹介されています。
特に葬儀前後は、ご遺族がさまざまな手続きや参列者への対応に追われています。無理に一人ひとりへ長文で返信する必要はありません。
一方、葬儀への出欠確認など、具体的な返答が求められている場合は、必要事項だけでも連絡しましょう。
お悔やみを伝えた側は、相手から返事がなかったらどうする?ご遺族から返信がなくても、催促するのは避けましょう。悲しみの中で生活や葬儀の準備を進めている可能性があります。
お悔やみのメッセージを送った後は、相手から返事が届くことを前提にせず、静かに見守ることも大切な配慮です。
【要注意】お悔やみで避けたい忌み言葉と宗教・宗派による違い
お悔やみの言葉では、一般的な会話では問題のない表現でも、不幸が繰り返されることや死を直接連想させることから避けられる言葉があります。これらは「忌み言葉」と呼ばれます。
お悔やみの場面で避けたい重ね言葉不幸が重なることを連想させる重ね言葉は、弔事では避けるのが基本です。
- 重ね重ね
- たびたび
- くれぐれも
- ますます
- いよいよ
- 再び
例えば、「くれぐれもお身体を大切にしてください」という表現は、普段の会話では自然ですが、お悔やみの文章では別の言葉に置き換えると安心です。
「どうかお身体を大切にお過ごしください」とすれば、同じような気遣いを伝えられます。
直接的な死の表現は避ける亡くなったことを直接的に表現する言葉も、できるだけ婉曲的な言い方に置き換えます。
- 「死んだ」→「ご逝去された」
- 「死ぬ」→「亡くなる」
- 「急死した」→「突然のご逝去」
- 「生きていたとき」→「ご生前」
また、「どうして亡くなったのですか」「最期はどのような様子でしたか」など、死因や最期の状況を尋ねることも控えましょう。
「頑張って」「元気を出して」は使ってもよい?ご遺族を励ましたいという気持ちから、「頑張ってください」「早く元気になってください」と声をかけたくなることもあります。
しかし、大切な人を亡くした直後の相手にとって、こうした言葉が負担になる場合があります。
無理に前向きな気持ちを求めるのではなく、「大変なときだと思いますので、どうかご無理なさらないでください」といった表現を選ぶとよいでしょう。
宗教・宗派によって「ご冥福をお祈りします」は使えない場合があるお悔やみの言葉で特に注意したいのが、宗教や宗派による表現の違いです。
「ご冥福をお祈りします」は、故人の死後の幸福を願う仏教由来の表現です。そのため、すべての宗教・宗派で使えるわけではありません。
例えば、浄土真宗では、亡くなった人は阿弥陀如来の力によって浄土に往生すると考えられています。真宗大谷派の東本願寺公式サイトでも、この教えに基づき「ご冥福を祈る」という表現を用いない理由が説明されています。
また、神道やキリスト教でも、仏教由来の「成仏」「供養」「冥福」といった表現は避けるのが基本です。
相手の宗教や宗派が分からない場合は、次のような宗教色の少ない表現を選ぶと安心です。
- 心よりお悔やみ申し上げます。
- 謹んでお悔やみ申し上げます。
- 突然のことで、心より悲しく思っております。
- ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。
特定の宗教的な考え方を前提にせず、ご遺族への気持ちを伝えることが、失礼を避けるための大切なポイントです。
【よくある質問】「お悔やみ申し上げます」に関するFAQ
Q1:「お悔やみ申し上げます」は目上の人や上司にも使えますか?
A1:使えます。謙譲表現を含む丁寧な言葉なので、上司や取引先にも適しています。より改まった印象にしたい場合は「謹んでお悔やみ申し上げます」と伝えるとよいでしょう。
Q2:「お悔やみ申し上げます」はLINEで送っても失礼ではありませんか?
A2:普段からLINEで連絡を取り合っている親しい友人や知人であれば、LINEで伝えても問題ありません。絵文字やスタンプは控え、簡潔な文章で弔意を伝えましょう。返信不要の一言を添えると、相手への配慮にもなります。
Q3:「お悔やみ申し上げます」と言われたら、何と返事をすればよいですか?
A3:「ありがとうございます」「お気遣いいただきありがとうございます」「お心遣いに感謝いたします」などで十分です。ご遺族は長い返事をする必要はなく、状況に応じて簡潔に感謝を伝えれば問題ありません。
「お悔やみ申し上げます」は、故人を悼み、ご遺族に哀悼の気持ちを伝えるための丁寧な表現です。訃報を受けた直後や、お通夜・葬儀、メール、LINEなど、さまざまな場面で使用できます。
「心よりお悔やみ申し上げます」は、基本表現に心からの気持ちを加えた言葉です。一方、「謹んでお悔やみ申し上げます」は、より格式のある場面に適しています。
失礼のない伝え方を考える際は、次の3点を意識しましょう。
- 相手との関係性に合った敬語を選ぶ:友人には自然な言葉を、上司や取引先には改まった表現を使う。
- 相手の負担を増やさない:メールやLINEは短くまとめ、返信を強要しない。
- 忌み言葉と宗教上の違いに配慮する:重ね言葉や不適切な宗教表現を避ける。
お悔やみの言葉に、誰もが納得する完璧な定型文があるわけではありません。大切なのは、言葉の形式だけにとらわれず、故人を偲び、悲しみの中にいるご遺族の気持ちを尊重することです。
言葉に迷ったときは、無理に長い文章を作らず、「心よりお悔やみ申し上げます」と静かに伝えるだけでも、十分に哀悼の気持ちは伝わります。