日本の100メートル走の日本記録は、男子が9秒95(山縣亮太)、女子が11秒21(福島千里)です。男子記録は2021年6月6日の布勢スプリント2021、女子記録は2010年4月29日の第44回織田幹雄記念国際陸上競技大会で生まれました。いずれも2026年現在、日本陸上競技連盟が公表する日本記録として掲載されています。
男子は日本人初の9秒台を実現した桐生祥秀、9秒96まで記録を伸ばしたサニブラウン・アブデル・ハキームを経て、山縣亮太が9秒95に到達。一方、女子は福島千里の11秒21が16年以上にわたって破られていません。2026年の最新シーズンランキングでは新世代の選手たちも上位に入り、次の日本記録更新への期待が高まっています。ここでは樹立日、大会、風速、歴代ランキング、世界記録との差を数字から整理します。
【2026年最新】日本の100メートル記録は男子9秒95・女子11秒21

2026年10月21日現在、日本陸上競技連盟(日本陸連)の公式記録一覧に掲載されている男女の100メートル日本記録は次のとおりです。
- 男子:9秒95 山縣亮太
- 女子:11秒21 福島千里
男子は2021年、女子は2010年に樹立された記録です。2026年に入っても両記録は更新されていません。
男子100m日本記録9秒95を持つ山縣亮太男子100メートルの日本記録保持者は、セイコー所属の山縣亮太です。
記録が生まれたのは2021年6月6日。鳥取県のヤマタスポーツパーク陸上競技場で開催された「布勢スプリント2021」の男子100メートル決勝でした。
山縣は決勝で9秒95(追い風2.0m/s)を記録。それまで日本記録だったサニブラウン・アブデル・ハキームの9秒97を0秒02更新しました。
この記録の大きな特徴は、追い風が公認条件の上限である2.0m/sだったことです。強い追い風に助けられた参考記録ではなく、正式な日本新記録として認定されています。
山縣は2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロ、2020年東京の各オリンピックに出場した日本を代表するスプリンターです。特に男子4×100メートルリレーでは、2016年リオ五輪の銀メダル獲得に貢献しました。
2021年の9秒95は、長年にわたって日本短距離界が目標としてきた9秒台前半への接近を示す記録でもあります。
女子100m日本記録11秒21を持つ福島千里女子100メートルの日本記録保持者は、福島千里です。
2010年4月29日、広島広域公園陸上競技場で開催された第44回織田幹雄記念国際陸上競技大会で、福島は11秒21を記録しました。
当日の追い風は1.7m/s。こちらも公認条件の範囲内であり、正式な日本記録です。
福島の記録が特に注目されるのは、その長期間にわたる継続性です。2010年の樹立から2026年まで、16年以上にわたって日本女子100メートルの頂点に君臨しています。
日本陸連の選手プロフィールによると、福島は2008年に11秒36の日本タイ記録、2009年に11秒24の日本新記録を樹立し、2010年に11秒21まで更新しました。段階的に自己記録を縮めてきた過程も、日本女子短距離史に残る実績です。
【記録樹立の舞台】布勢スプリント2021と織田幹雄記念の意味
100メートルの日本記録は、単に速い選手が集まった大会で偶然生まれるものではありません。選手のコンディション、競技場の環境、風向き、レース展開などが重なったときに生まれます。
山縣亮太が9秒95を出した布勢スプリント20212021年6月6日の布勢スプリントは、サトウ食品日本グランプリシリーズ鳥取大会として開催されました。
山縣は予選でも10秒01(追い風1.7m/s)を記録し、安定した状態で決勝に進出。決勝では9秒95をマークして優勝しました。
日本陸連の大会レポートでは、山縣が自身初の9秒台に突入し、従来の日本記録9秒97を更新したことが報告されています。
同大会では多田修平も好走しており、男子短距離界のトップ選手が高いレベルで競い合った大会として記憶されています。
日本陸連の2026年の分析記事では、山縣の最高速度が秒速11.62メートルだったことも紹介されています。最高速度の数値だけから推定したタイムと実際の9秒95には差があり、加速や最高速度を維持する能力など、100メートル走の複合的な要素が記録に関係していることが分かります。
福島千里が11秒21を樹立した織田幹雄記念女子の日本記録が誕生したのは、2010年4月29日の第44回織田幹雄記念国際陸上競技大会です。
福島千里はこの大会の女子100メートルで11秒21を記録。日本陸連の記録資料や所属先のセイコーグループの紹介でも、この大会が日本記録樹立の舞台として確認できます。
福島は2010年の広州アジア大会で100メートル、200メートルの2種目で金メダルを獲得しました。日本女子短距離の国際競争力を示した選手の一人です。
また、2011年の世界陸上大邱大会では女子100メートルで準決勝に進出。国内記録だけでなく、世界大会での実績も残しています。
【日本100メートル記録歴代ランキング】男子・女子トップ10を比較
日本記録保持者だけでなく、歴代ランキングを見ると日本の短距離界がどのように進化してきたのかが分かります。
以下は月刊陸上競技の2026年ランキング掲載データを基に整理した、日本歴代の男子・女子100メートル上位10記録です。風速も併記しています。
男子100m日本歴代トップ10| 順位 | 記録 | 選手 | 風速 | 樹立日 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 9秒95 | 山縣亮太 | +2.0 | 2021年6月6日 |
| 2位 | 9秒96 | サニブラウン・A・ハキーム | +0.5 | 2024年8月4日 |
| 3位 | 9秒98 | 桐生祥秀 | +1.8 | 2017年9月9日 |
| 3位 | 9秒98 | 小池祐貴 | +0.5 | 2019年7月20日 |
| 5位 | 10秒00 | 伊東浩司 | +1.9 | 1998年12月13日 |
| 5位 | 10秒00 | 守祐陽 | +1.3 | 2025年8月3日 |
| 5位 | 10秒00 | 栁田大輝 | +0.3 | 2025年8月16日 |
| 8位 | 10秒01 | 多田修平 | +2.0 | 2021年6月6日 |
| 9位 | 10秒02 | 朝原宣治 | +2.0 | 2001年7月13日 |
| 9位 | 10秒02 | 坂井隆一郎 | +1.1 | 2022年6月26日 |
男子ランキングで注目したいのは、9秒台の記録を持つ日本人選手が複数いることです。
山縣の9秒95に続くのは、サニブラウンの9秒96。さらに桐生祥秀と小池祐貴が9秒98で並んでいます。
また、10秒00を記録した伊東浩司、守祐陽、栁田大輝も歴代上位に位置しています。現在の日本男子100メートルは、一人の突出した選手だけでなく、複数の選手が高い水準で競争する時代に入っています。
女子100m日本歴代トップ10女子は福島千里が11秒21で首位を維持しています。2位以下にも11秒2〜11秒4台の選手が並び、記録更新を狙える選手が育っています。
| 順位 | 記録 | 選手 | 風速 | 樹立日 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 11秒21 | 福島千里 | +1.7 | 2010年4月29日 |
| 2位 | 11秒24 | 兒玉芽生 | +1.3 | 2022年9月24日 |
| 3位 | 11秒32 | 髙橋萌木子 | +1.9 | 2009年6月7日 |
| 4位 | 11秒33 | 御家瀬緑 | +1.0 | 2025年8月16日 |
| 5位 | 11秒35 | 井戸アビゲイル風果 | +0.5 | 2025年7月4日 |
| 6位 | 11秒36 | 二瓶秀子 | +1.8 | 2001年7月14日 |
| 6位 | 11秒36 | 君嶋愛梨沙 | +0.6 | 2022年6月10日 |
| 8位 | 11秒39 | 坂上香織 | +1.1 | 2004年6月5日 |
| 8位 | 11秒39 | 小島初佳 | +1.1 | 2004年6月5日 |
| 10位 | 11秒40 | 三浦愛華 | +0.5 | 2026年8月9日 |
女子ランキングでは、福島千里の記録と兒玉芽生の11秒24の差がわずか0秒03であることが目を引きます。
御家瀬緑は2025年に11秒33を記録し、歴代4位に浮上しました。井戸アビゲイル風果も11秒35をマークしています。
このランキングからは、福島の記録が長く維持されている一方、次世代の選手が着実に記録を縮めていることが読み取れます。
【日本記録更新の歴史】男子9秒台の誕生と女子11秒21の長期政権
男子100メートルで日本人が初めて9秒台を記録するまでには、長い年月が必要でした。特に10秒00という壁は、日本短距離界にとって大きな目標でした。
伊東浩司から桐生祥秀、山縣亮太へ1998年、伊東浩司がバンコク・アジア大会で10秒00を記録しました。従来の記録を更新したこの走りは、長く日本男子100メートルの象徴的な記録として残りました。
その19年後、2017年9月9日。日本インカレ男子100メートル決勝で、桐生祥秀が9秒98(追い風1.8m/s)を記録します。
これは日本人初の公認9秒台でした。
日本陸連の公式大会レポートによると、桐生は福井運動公園陸上競技場で開催された第86回日本学生陸上競技対校選手権大会で、この歴史的な記録を樹立しています。
その後、2019年にはサニブラウン・アブデル・ハキームが9秒97を記録。日本記録を更新しました。さらに2024年には9秒96まで自己記録を縮め、歴代2位に位置しています。
そして2021年、山縣亮太が9秒95を記録。現在も破られていない日本記録となりました。
女子100m日本記録の歴代保持者と福島千里の記録女子100メートルでは、二瓶秀子が2001年に11秒36を記録。その後、福島千里が2008年に11秒36で並び、2009年には11秒24をマークして日本記録を更新しました。
さらに2010年、11秒21まで短縮。現在に至るまで、この記録は更新されていません。
福島の記録が際立つのは、単発の好記録ではなく、複数年にわたって高い競技力を維持していたことです。
日本選手権の女子100メートルでは2010年から2016年まで7連覇を達成。北京、ロンドン、リオデジャネイロの3大会のオリンピックにも出場しました。
女子短距離の歴代記録を振り返ると、福島が築いた11秒21という水準は、現在の選手たちにとっても大きな目標になっています。
【追い風参考記録とは】100メートルの公認条件と風速2.0m/sの境界線
100メートル走の記録を比較するとき、必ず確認したいのが風速です。同じ9秒台でも、風の条件によって公認記録と参考記録に分かれる場合があります。
追い風2.0m/s以下なら公認記録の対象陸上競技では、100メートルなどの短距離種目において、追い風がプラス2.0m/s以下であれば公認記録の対象になります。
反対に、追い風がプラス2.0m/sを超えると、風の助力が大きすぎると判断され、記録は追い風参考記録となります。
- 追い風+1.0m/s:公認条件内
- 追い風+1.7m/s:公認条件内
- 追い風+2.0m/s:公認条件内の上限
- 追い風+2.1m/s:追い風参考記録
- 向かい風-1.0m/s:公認条件内
つまり、山縣亮太の9秒95は追い風がちょうど上限の+2.0m/sだったため、公認記録として認められています。
桐生祥秀の9秒87が日本記録にならなかった理由桐生祥秀には、2015年3月のテキサス・リレーで9秒87を記録した実績があります。
しかし、このときの風速は追い風+3.3m/sでした。公認条件の上限である+2.0m/sを超えていたため、参考記録として扱われています。
この事例は、単純にタイムの数字だけを比較してはいけないことを示しています。9秒87という数字は非常に速いものですが、公認日本記録の9秒95とは記録上の扱いが異なります。
風速はどのように測定するのか風速は専用の風速計で測定します。世界陸連の競技規則では、100メートルの風速測定時間はスタートの合図から10秒間と定められています。
測定された風速は、競技記録とともに公表されます。公認記録として認められるには、風速以外にも競技会や計時などの所定の条件を満たす必要があります。
大会結果を確認するときは、記録の横に表示される「風」の数値も見ることが大切です。記録、風速、計時条件をセットで確認すれば、公認記録と参考記録を正しく区別できます。
【2026年最新ランキング】日本短距離界の現在地と世界記録との差
日本記録そのものは長期間更新されていませんが、2026年シーズンの男子・女子100メートルランキングを見ると、現在の競争力が見えてきます。
2026年男子100mの注目選手月刊陸上競技の2026年シーズンランキング掲載値では、男子100メートルの上位に次の選手が並んでいます。
- 桐生祥秀:10秒03(追い風+1.5m/s)
- 山本匠真:10秒04(追い風+1.5m/s)
- 小池祐貴:10秒06(追い風+1.4m/s)
特に桐生祥秀は、日本人初の9秒台を実現した選手として、2026年も10秒03を記録しています。
日本記録の9秒95との差は0秒08。記録更新を狙うための水準に近い走りを見せています。
山本匠真や小池祐貴も10秒04、10秒06と続いており、男子短距離では複数の選手が10秒00前後の水準で競い合っています。
2026年女子100mの注目選手女子100メートルでは、次の選手が2026年シーズンの上位に掲載されています。
- 御家瀬緑:11秒33(追い風+0.6m/s)
- 井戸アビゲイル風果:11秒37(追い風+0.5m/s)
- 君嶋愛梨沙:11秒38(追い風+0.7m/s)
御家瀬緑は2025年に11秒33を記録して歴代上位に入り、2026年もシーズン上位の走りを見せています。
福島千里の日本記録11秒21との差は0秒12です。男子と同じく、記録更新を目指す選手たちが国内競争を活発にしています。
世界記録9秒58と日本記録9秒95の差は0秒37男子100メートルの世界記録は、ジャマイカのウサイン・ボルトが2009年8月16日にベルリン世界陸上で樹立した9秒58です。
日本記録の9秒95との差は0秒37。100メートルという短い距離で考えると、非常に大きな競技水準の差があります。
女子100メートルの世界記録は、アメリカのフローレンス・グリフィス=ジョイナーが1988年7月16日に記録した10秒49です。
福島千里の11秒21との差は0秒72です。
男女それぞれの日本記録と世界記録を比較すると、次のようになります。
- 男子:日本9秒95/世界9秒58/差0秒37
- 女子:日本11秒21/世界10秒49/差0秒72
なお、世界記録との差は単純なタイム差であり、選手の能力を直接的に順位付けする指標ではありません。競技人口、育成環境、国際大会での競争機会なども含めて評価する必要があります。
【プロの結論】日本の100メートル記録を見るときに押さえたい3つのポイント
日本の100メートル記録を正しく理解するには、単純に最速タイムだけを見るのでは不十分です。記録の歴史、競技条件、現在の選手層を組み合わせて考える必要があります。
1. 日本記録と年間ランキングは別物日本記録は、国内で正式に認められた最高記録です。一方、年間ランキングは、その年に選手が記録したタイムを比較するものです。
例えば2026年の男子ランキングで桐生祥秀が10秒03を記録していても、男子日本記録は9秒95のままです。女子も同様に、御家瀬緑の11秒33は2026年のシーズン上位記録ですが、日本記録は福島千里の11秒21です。
2. 追い風の数値を必ず確認する記録の価値を比較するときは、タイムだけでなく風速も確認しましょう。+2.0m/s以内の公認記録なのか、+2.0m/sを超える参考記録なのかによって、公式ランキングでの扱いが変わります。
3. 0秒01の更新にも大きな意味がある100メートル走では、0秒01の短縮でも非常に大きな進歩です。10秒00から9秒99への更新は、数字上はわずか0秒01ですが、日本陸上界にとっては長年の壁を破る歴史的な出来事でした。
桐生祥秀が日本人初の9秒台を実現した2017年、山縣亮太が9秒95を樹立した2021年は、その象徴です。
2026年は男女ともに新しい選手が上位に入り、次の記録更新を狙う競争が続いています。男子では9秒94以下、女子では11秒20以下という新しい数字が生まれるかどうかが、今後の大きな注目点です。
日本の100メートル記録に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本の男子100メートルの最速記録は何秒ですか?
A1:2026年現在、山縣亮太が2021年6月6日の布勢スプリント2021で記録した9秒95です。追い風+2.0m/sの公認記録です。
Q2:日本の女子100メートルの最速記録は何秒ですか?
A2:福島千里の11秒21です。2010年4月29日の第44回織田幹雄記念国際陸上競技大会で樹立されました。追い風は+1.7m/sでした。
Q3:日本人で初めて100メートル9秒台を出した選手は誰ですか?
A3:桐生祥秀です。2017年9月9日の日本インカレ男子100メートル決勝で9秒98(追い風+1.8m/s)を記録し、日本人初の公認9秒台を達成しました。
Q4:追い風2.0m/sを超えると日本記録にならないのですか?
A4:はい。追い風が+2.0m/sを超えた場合は追い風参考記録となり、通常の公認日本記録としては認められません。+2.0m/sちょうどまでは公認条件内です。
Q5:男子100メートルの世界記録は何秒ですか?
A5:ウサイン・ボルトの9秒58です。2009年8月16日のベルリン世界陸上で樹立されました。山縣亮太の日本記録9秒95との差は0秒37です。
Q6:2026年の日本男子100メートルで最も速い選手は誰ですか?
A6:2026年シーズンのランキング掲載値では、桐生祥秀が10秒03で上位に位置しています。日本記録保持者は引き続き山縣亮太です。
Q7:福島千里の女子100メートル日本記録は何年間破られていませんか?
A7:2010年4月29日の樹立から2026年11月まで、16年以上破られていません。11秒21は日本女子短距離界の歴史的な記録として残っています。
2026年11月現在、日本の100メートル日本記録は男子9秒95、女子11秒21です。男子は山縣亮太、女子は福島千里が保持しています。
男子では2017年に桐生祥秀が日本人初の9秒台を実現し、2019年のサニブラウン、2021年の山縣へと記録が更新されてきました。女子では福島千里が2010年に樹立した11秒21が、長期間にわたって日本記録として残っています。
2026年のランキングでは、男子の桐生祥秀、山本匠真、小池祐貴、女子の御家瀬緑、井戸アビゲイル風果、君嶋愛梨沙らが上位に名を連ねています。
今後の記録更新を見極める際には、タイムだけでなく風速、競技会の条件、シーズンランキングと日本歴代ランキングの違いにも注目してください。
次の日本新記録はいつ生まれるのか。男子9秒94、女子11秒20という新たな数字が刻まれる瞬間に向け、日本短距離界の競争は続いています。