必要書類がそろったら、年金請求書を提出します。
2026年10月1日更新の日本年金機構の電子申請案内では、スマートフォンやパソコンから手続きできる仕組みも案内されています。
提出方法は大きく3つあります。
1.年金事務所の窓口へ持参する年金事務所の窓口では、請求書や添付書類を確認しながら手続きを進められます。
次のような人には窓口相談が向いています。
- 年金加入記録に抜けや誤りがある人
- 複数の基礎年金番号を持っている人
- 遺族年金や障害年金を受給している人
- 繰上げ受給・繰下げ受給を検討している人
- 加給年金額や配偶者の加入記録について確認したい人
提出先は、基本的に近くの年金事務所または街角の年金相談センターです。
ただし、加入期間が国民年金第1号被保険者のみの場合は、市区町村役場が提出先となる案内もあります。自分の加入状況と同封された案内を確認してください。
年金事務所での相談は、事前予約を利用するとスムーズです。特に受給額や繰下げについて相談したい場合は、予約してから訪問する方法が適しています。
2.郵送で年金請求書を提出する窓口へ行く時間が取れない人は、郵送でも手続きできます。
郵送する場合は、次の順序で準備します。
1. 年金請求書の必要事項を記入する。
2. 添付書類をそろえる。
3. コピー可と指定された書類はコピーを用意する。
4. 原本が必要な書類は原本を準備する。
5. 同封の案内に記載された提出先・送付先を確認する。
6. 書類を封入して郵送する。
郵送時には、提出する請求書や添付書類の控えを手元に残しておくと、後から問い合わせが必要になった場合にも確認しやすくなります。
特に気をつけたいのは、戸籍や住民票の交付日です。65歳の受給権発生日以降に交付され、提出日から6カ月以内という条件を満たしているか確認してください。
また、郵送の場合は書類の不足に気づきにくいため、提出前の最終確認が欠かせません。
年金加入記録に空白期間がある人や、複数の基礎年金番号を持つ人、他の年金を受け取っている人は、郵送前に年金事務所へ相談することをおすすめします。
3.スマートフォン・パソコンから電子申請する2026年は、老齢年金請求書の電子申請も利用できます。
日本年金機構によると、対象者はスマートフォンやパソコンから24時間いつでも申請できます。窓口へ行ったり、紙の請求書を郵送したりする必要がありません。
ただし、電子申請はすべての人が利用できるわけではありません。
利用できる人には、事前送付用の年金請求書と一緒に「電子申請のご案内リーフレット」が同封されます。
主な対象条件は次のとおりです。
- 年金の未加入期間や持ち主不明の年金記録がない。
- 共済組合の加入記録がない。
- 保険料納付済期間と免除期間の合計が25年以上ある。
- 原則として他の年金を受け取っていない。
- 単身者、または配偶者・子どもと同一住所・同一世帯である。
- 同一世帯の配偶者・子どもの前年所得など、所定の条件を満たしている。
加えて、リーフレットが同封されていても、次の場合は電子申請を利用できません。
- 公金受取口座以外の口座を指定したい。
- 住民票住所と異なる住所を通知書の送付先にしたい。
- 成年後見人などが本人に代わって請求する。
- 繰上げ受給または繰下げ受給を希望する。
この場合は郵送または窓口で手続きします。
どの提出方法を選ぶべき?自分の状況に応じて選ぶと、手続きの負担を減らせます。
- 窓口がおすすめ: 加入記録に疑問がある人、年金額や家族関係について相談したい人。
- 郵送がおすすめ: 必要書類が明確で、窓口へ出向くことが難しい人。
- 電子申請がおすすめ: 利用条件を満たし、スマートフォンやパソコンで手続きを完了できる人。
電子申請が便利だからといって、無理にオンライン手続きを選ぶ必要はありません。複雑な年金記録がある場合には、窓口で確認してもらうほうが安心です。
【繰下げ受給で損をしないために】65歳で請求するか、66歳以降にするか

年金請求書が届いたとき、もう一つ考えておきたいのが繰下げ受給です。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則65歳から受け取れますが、希望すれば66歳以降75歳まで受給開始を遅らせることができます。
繰下げ受給を選ぶと、受け取る年金額は増額され、その増額率は生涯変わりません。
繰下げ受給は1カ月につき0.7%増額日本年金機構の2026年8月12日更新情報によると、繰下げによる増額率は次の計算式で求められます。
増額率=0.7%×繰下げた月数
代表的な増額率は以下のとおりです。
- 66歳まで繰下げ:8.4%増額
- 70歳まで繰下げ:42%増額
- 75歳まで繰下げ:84%増額
例えば、65歳時点の年金額が年間180万円だった場合、75歳まで繰り下げると、単純計算では年間331万2,000円相当になります。
ただし、これは繰下げによる増額対象部分がすべて同じ条件であると仮定した計算です。実際には加給年金額や振替加算額、在職老齢年金による支給停止部分などは増額対象外です。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられる見落としやすいのが、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰り下げられる点です。
例えば、次のような受け取り方ができます。
- 老齢基礎年金は65歳から受け取る。
- 老齢厚生年金は70歳まで繰り下げる。
反対に、老齢基礎年金を繰り下げて、老齢厚生年金を65歳から受け取る選択も可能です。
必ずしも両方を同時に繰り下げる必要はありません。
生活費、預貯金、仕事の収入などを考慮して、それぞれの受給開始時期を検討することが大切です。
繰下げ受給で見落としやすい5つの注意点1.繰下げ待機中は年金を受け取れない
繰下げを選択すると、実際に受給を開始するまで、その対象となる老齢年金は受け取れません。受給開始までの生活費を確保できるか考える必要があります。
2.加給年金額や振替加算額は増額されない
加給年金額や振替加算額は、繰下げによる増額の対象外です。加えて、繰下げ待機中は、これらの加算額も受け取れません。
配偶者がいる人は、年金本体の増額だけでなく、加給年金額を含めた世帯全体の受取額を比較してください。
3.遺族年金・障害年金の受給権が影響する
66歳になる前に遺族年金などを受け取る権利がある場合、原則として老齢年金の繰下げはできません。
また、66歳以降の待機期間中に遺族年金などの受給権が発生した場合は、その時点で増額率が固定されることがあります。
4.繰下げによる増額分は遺族厚生年金に反映されない
自分の年金を増やすことだけを考えて繰下げを選ぶと、将来の遺族厚生年金との関係で想定と異なる結果になる可能性があります。
配偶者がいる人は、万一の場合の遺族保障も考慮して判断する必要があります。
5.5年を超えると受け取れない年金が生じる場合がある
年金を請求せずに受給権発生から5年を過ぎると、時効によって過去の年金を受け取れなくなる場合があります。
繰下げ受給には制度上の上限があります。75歳まで繰り下げるつもりでも、請求時期や対象となる年金の種類を確認してください。
65歳で請求しない場合、年金請求書は提出しなくてもよい?老齢基礎年金・老齢厚生年金の両方について、後日あらためて繰下げ請求する予定であれば、65歳時点で年金請求書を提出する必要はありません。
ただし、これは通常の老齢年金についての話です。
特別支給の老齢厚生年金は繰下げできないため、受給開始年齢に達したら請求してください。
また、片方の年金だけを繰り下げる場合は、もう片方の年金について受給開始手続きを検討する必要があります。自分がどの年金を受け取るのかを整理してから判断しましょう。
【プロの結論】繰下げは増額率だけで判断しない繰下げ受給は、長生きした場合に受取総額が増える可能性がある制度です。しかし、増額率が高いことと、自分にとって有利であることは必ずしも同じではありません。
判断するときは、次の3点を比較してください。
- 65歳から受け取らなかった期間の生活費を確保できるか。
- 加給年金額や遺族年金など、ほかの給付への影響はないか。
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらを繰り下げるのが合理的か。
特に、仕事を続ける予定がある人、配偶者の年金との調整が必要な人、すでに別の年金を受け取っている人は、個別の試算をしてから決めることが重要です。
【年金請求書の疑問を解消】よくある質問(FAQ)
Q1:年金請求書は65歳の誕生日の何カ月前に届きますか?
A1:原則として、受給開始年齢に到達する月の3カ月前から送付されます。65歳の誕生日の前日に年齢が到達する点にも注意してください。特別支給の老齢厚生年金や75歳時の未請求者向けの案内では、送付時期が異なる場合があります。
Q2:年金請求書にマイナンバーを書けば戸籍謄本や住民票はいりませんか?
A2:マイナンバーが登録済みの場合や請求書に記入した場合、本人の生年月日確認などに使用する戸籍・住民票の添付を省略できるケースがあります。ただし、配偶者との関係や生計維持関係、口座確認などに必要な書類まで一律に不要になるわけではありません。
Q3:年金請求書は年金事務所へ郵送しても大丈夫ですか?
A3:郵送による提出は可能です。同封された案内に記載された提出先を確認し、必要事項を記入した請求書と添付書類を送付してください。提出前に書類の控えを保管しておくと安心です。
Q4:年金請求書を提出してから、いつ年金が振り込まれますか?
A4:日本年金機構の案内では、請求書の提出から約1~2カ月後に年金証書・年金決定通知書が送付され、その後1~2カ月程度で年金の支払いが始まります。審査状況などによって変わるため、提出直後に振り込まれるわけではありません。
年金請求書は、老齢年金を受け取るための大切な手続き書類です。2026年11月現在、日本年金機構では、受給開始年齢に到達する3カ月前を基本に事前送付を行っており、対象者には記入例や電子申請の案内も用意されています。
提出前に確認したい要点は、次の5つです。
- 自分が2026年の送付対象に該当しているか。
- 氏名・住所・基礎年金番号・加入記録に誤りがないか。
- 戸籍や住民票、金融機関情報などの必要書類がそろっているか。
- 郵送・窓口・電子申請のうち、自分に適した提出方法はどれか。
- 65歳から受給するか、繰下げ受給を選択するか。
特に注意したいのは、年金の受給権が発生しても、自動的に年金の支給が始まるわけではないことです。通常の老齢年金を受け取る場合は、受給開始年齢になってから速やかに請求手続きを進めましょう。
一方、繰下げ受給を検討している場合は、増額率だけで判断せず、家計や配偶者の年金、将来の遺族保障まで含めた検討が必要です。
年金請求書が届いたら、まず加入記録と受取開始時期を確認し、必要書類をそろえてから提出する。 この順序を守ることが、手続きのやり直しや受給開始の遅れを防ぐ基本になります。