BL(ボーイズラブ)作品を読んでいると、「攻め」「受け」「リバ」「固定」「左右」といった言葉が登場します。
これらはタチ・ネコと似た意味を持ちますが、使われる場面やニュアンスが異なります。
BLの攻めと受けの基本BLにおける基本的な意味は次のとおりです。
攻め(せめ)
カップルの中で、相手に対して能動的に働きかける側のキャラクターです。性描写がある場合には挿入する側として描かれることが一般的です。
受け(うけ)
相手から働きかけられる側のキャラクターです。性描写がある場合には挿入される側として描かれることが一般的です。
BL作品では、攻めと受けを「A×B」のように表記します。
- A=攻め(左)
- B=受け(右)
このため、左側を「左」、右側を「右」と呼ぶこともあります。
BL情報サイト「BLひろば」の2026年10月更新の用語解説でも、攻め・受けとタチ・ネコは、それぞれ対応する呼び方として紹介されています。
タチ・ネコと攻め・受けの違い意味だけを比較すると、次のように整理できます。
| 現実のコミュニティでの用語 | BLでの対応表現 |
|---|---|
| タチ | 攻め・左 |
| ネコ | 受け・右 |
| リバ | リバ・リバカップリング |
ただし、完全に同一視するのは適切ではありません。
最大の違いは、タチ・ネコが実在する人の性的な好みや立ち位置を説明する言葉であるのに対し、攻め・受けは創作作品のキャラクターの関係性を表す言葉であるという点です。
例えば、BLでは実際の性行為が描かれていなくても、物語の設定やキャラクター同士の関係性から攻め・受けが決められる場合があります。
また、攻めだから性格が強気、受けだからおとなしいという決まりもありません。
BLひろばの用語解説でも、気が弱い攻めや、気が強く積極的な受けなど、性格と役割が一致しないキャラクターが紹介されています。
BLのリバと現実のリバは違う?ここも混同しやすいポイントです。
現実のコミュニティでいうリバは、本人がタチとネコの両方の役割を担えることを意味します。
一方、BLにおけるリバは、同じカップリングの中で攻めと受けの役割が入れ替わる関係性や設定を指します。
例えば、普段はAが攻め、Bが受けのカップルでも、別の場面ではBが攻め、Aが受けになる展開があります。
これがリバの基本的なイメージです。
固定派の読者は、特定の攻め・受けの組み合わせを好む場合があり、リバを受け入れるかどうかは作品の好みによって異なります。
このように、同じリバという言葉でも、現実の自己紹介と創作作品のジャンル分類では、説明対象が違うのです。
【2026年最新】ネコとタチの現在の使われ方と注意点

2026年現在、ネコとタチは、ゲイ・レズビアンのコミュニティにおけるポジションの説明だけでなく、インターネット上の用語解説やプロフィール表現、BL関連のコンテンツでも見られる言葉です。
ただし、すべての性的マイノリティが使用する共通の分類ではありません。
プロフィールや自己紹介での使われ方性的なポジションを自己紹介する際には、次のような表現が使われることがあります。
- タチ:能動的な側を好む。
- ネコ:受動的な側を好む。
- リバ:どちらの役割も可能。
- タチ寄りリバ:タチの傾向が強い。
- ネコ寄りリバ:ネコの傾向が強い。
- バリタチ・バリネコ:一方の役割に固定される傾向を強調する。
こうした言葉は、相手との相性や希望する関係性を共有するための表現として使われます。
一方、ポジションをプロフィールに書かない人もいます。性的な役割を公開するかどうかは個人の自由であり、必須の自己紹介項目ではありません。
以前と現在で変わったのは、言葉の受け止め方歴史的に見ると、タチとネコは男役・女役という説明と結びついていました。
しかし、杉浦郁子氏の研究が示すように、レズビアンのコミュニティでは、こうした男女二分法に収まらない経験や、性的役割を固定しない考え方も語られてきました。
現在は、タチ・ネコを本人の性的な好みや立ち位置として理解し、性格や性表現とは分けて考えることが大切です。
また、相手によってポジションが変わる人もいれば、そもそもタチ・ネコという言葉を自分に当てはめない人もいます。
ネコとタチを理解するときに避けたい3つの誤解誤解1:タチは男性的で、ネコは女性的
性表現と性的役割は別です。服装や髪型で判断することはできません。
誤解2:タチは強気で、ネコはおとなしい
性的な立ち位置と日常の性格は一致しません。積極的なネコも、控えめなタチもいます。
誤解3:すべての同性カップルにはタチとネコが存在する
タチ・ネコという分類を使わない人や、どちらにも当てはまらない人もいます。二人の関係を必ずどちらかに分類する必要はありません。
大切なのは、言葉を知識として理解することと、他人をその言葉で勝手に分類することを区別することです。
【よくある質問】ネコとタチに関するFAQ
Q1:ネコとタチは簡単にいうと何が違う?
A1:タチは能動的に働きかける側、ネコは受動的な立ち位置を好む側です。ゲイ男性の場合、アナルセックスで挿入する側・される側という意味でも使われます。
Q2:リバとはどういう意味?
A2:リバーシブルの略で、タチとネコの両方の役割を担える人を指します。必ずしも50対50である必要はありません。
Q3:バリタチとバリネコの違いは?
A3:バリタチはタチ専門、バリネコはネコ専門という意味です。通常のタチ・ネコよりも、一方の役割に固定されているニュアンスが強い表現です。
Q4:ネコ寄りリバとタチ寄りリバは何が違う?
A4:どちらもタチとネコの両方が可能ですが、ネコ寄りリバはネコを選ぶことが多く、タチ寄りリバはタチを選ぶことが多いという違いがあります。
Q5:タチとネコは見た目で判断できる?
A5:判断できません。ボーイッシュな外見のネコや、フェミニンな外見のタチもいます。見た目や服装ではなく、本人の自己認識や好みによって表現されます。
Q6:レズビアンとゲイではタチ・ネコの意味が違う?
A6:基本的には能動的な側・受動的な側という共通点があります。ただし、レズビアンでは愛撫や働きかけの役割、ゲイでは挿入する側・される側という意味が特に使われます。
Q7:BLの攻め・受けとタチ・ネコは同じ?
A7:意味は似ています。タチが攻め、ネコが受けに対応します。ただし、タチ・ネコは現実の人の性的なポジション、攻め・受けは主に創作作品のキャラクターの役割を表すという違いがあります。
Q8:タチの語源は歌舞伎なの?
A8:歌舞伎の立役(たちやく)に由来するという説が広く紹介されています。ただし、語源の成立過程が完全に解明されているわけではありません。
Q9:ネコという言葉の語源は猫なの?
A9:動物の猫に由来するという確かな説明は定まっていません。現在の意味と動物の猫のイメージを、そのまま結びつけるのは適切ではありません。
「ネコとタチ」は、レズビアンやゲイのコミュニティで使われてきた、性的な立ち位置や好みを表す言葉です。
タチは能動的な側、ネコは受動的な側を意味し、両方の役割を担える人はリバと呼ばれます。加えて、タチ寄りリバ、ネコ寄りリバ、バリタチ、バリネコといった表現によって、個人の好みや傾向を細かく説明できます。
また、BLの攻め・受けとも意味が対応しますが、現実のコミュニティでの自己紹介と創作上のキャラクター設定は区別する必要があります。
特に覚えておきたいのは、次の3点です。
1. タチ・ネコは外見や性格を表す言葉ではない。
2. リバは50対50に限らず、両方の役割を担えることを意味する。
3. どのポジションを名乗るか、そもそも名乗らないかは本人が決めること。
言葉の背景には、レズビアンやゲイのコミュニティが、自分たちの経験や関係性を表現してきた歴史があります。
2026年現在も、これらの言葉はコミュニティや創作文化の中で使われています。しかし、すべての人に当てはまる固定的な分類ではありません。
意味を知ることは、性の多様性や人それぞれの関係性を理解する第一歩です。言葉の定義だけにとらわれず、本人の意思や多様なあり方を尊重することが、正しい理解につながります。
主な参考資料
- 小学館『精選版 日本国語大辞典』
- 杉浦郁子「日本におけるレズビアン・ミニコミ誌の言説分析」(和光大学現代人間学部紀要、2017年)
- 森山至貴「言語実践に着目したセクシュアリティ研究へ向けて」(2014年)
- ゲイのための総合情報サイト「g-lad xx」用語解説
- JobRainbow「レズビアンとは?意味をわかりやすく解説」
- おとなセイシル「レズビアン当事者に恋愛事情をインタビュー」
- BLひろば「BL用語一覧」(2026年更新)