今回の事件では、なぜ一般的な小売商品ではなく、リシャール・ミルやパテック・フィリップといった超高級腕時計が狙われたのかという疑問も残る。
その背景には、高級腕時計ならではの商品特性と、盗品の換金をめぐる犯罪リスクがある。
高級腕時計は小型でも非常に高額高級腕時計の特徴は、比較的小さな商品でありながら、1本当たり数千万円に達する場合があることだ。
今回盗まれた4本も、合計約2億300万円という高額だった。
このような商品には、次の特徴がある。
- 携帯性: 高額でも腕に装着できるサイズで、持ち運びが容易。
- 資産価値: ブランドやモデルによっては中古市場でも高い価格が付く。
- 国際流通: 世界的に知られたブランドは海外でも認知されている。
- 個体識別: シリアルナンバーなどによって個々の時計を識別できる。
ただし、高額商品だからといって盗品を簡単に売却できるわけではない。高級時計は製品番号や販売履歴などによる識別が可能で、盗難品として登録・照合されれば売却時のリスクも高まる。
今回の事件でも、容疑者の供述として時計を売却し、母国に持ち帰る意図が報じられた。高額商品を狙う動機と、その後の換金ルートが捜査上の焦点になっている。
警視庁が示した貴金属店の被害増加2026年9月17日のTBS NEWS DIGの報道では、警視庁による都内の時計店を含む貴金属店の強盗・窃盗被害について、次の数字が紹介された。
| 集計期間 | 被害件数 |
|---|---|
| 2025年1年間 | 25件 |
| 2026年1月~8月末 | 21件 |
2026年は8か月間で前年1年間の件数に近づいている。
ただし、この数字は時計店だけを対象にした統計ではなく、時計店を含む貴金属店の被害をまとめたものだ。
同報道では、警視庁が中野ブロードウェイ周辺の時計店を訪れ、防犯指導を行ったことも伝えられている。
周辺の時計店や宝石店など18店舗が参加した講習会では、防犯フィルムや防犯設備の活用、来店客への声かけなどが取り上げられた。
闇バイトによる実行役募集にも警戒同じTBSの報道では、秘匿性の高いSNS「テレグラム」を使った時計店強盗の実行役募集に関する情報も紹介された。
JNNが入手した音声には、時計店で商品を奪う役割と、逃走を支援する役割を分ける計画について、指示役とみられる人物が説明する内容が記録されていた。
この計画は警察に通報され、報道時点で実際の被害は確認されていない。
重要なのは、こうした別の犯罪計画が存在することと、中野ブロードウェイの8月25日の事件が同じ指示役による犯行だったということは別問題だという点だ。
今回の事件の容疑者2人と、報道された闇バイト募集との直接的な関係は確認されていない。
【最新情報2026年11月】中野ブロードウェイで再び時計窃盗、被害品が返却される

2026年11月2日時点で、中野ブロードウェイの時計店をめぐるニュースには、もう一つ見逃せない動きがある。
それが2026年10月29日に発生した、別の高級腕時計窃盗事件だ。
8月25日の約2億円事件とは、被害店舗も犯行の手口も異なる。混同しないように整理しておきたい。
10月29日、約4,600万円のオーデマ・ピゲが盗まれる10月29日午後8時ごろ、中野ブロードウェイ3階の別の時計店に男が客を装って入店した。
TBS NEWS DIGなどの報道によると、男は店員に腕時計の試着を求め、スイスの高級ブランド「オーデマ・ピゲ」の腕時計を左腕に装着。そのまま店の外へ走って逃げた。
被害品は約4,600万円相当の腕時計1本とされる。
8月の事件がショーケースを破壊する手口だったのに対し、10月の事件は試着を利用して商品を持ち去る手口だった。
男は店内に約8分間滞在していたとされ、施設内のエスカレーターを使って逃走した様子なども報じられている。
11月1日、盗まれた時計が宅配便で返却さらに驚く展開となったのが、11月1日の出来事だ。
TBS NEWS DIGと読売新聞オンラインなどによると、盗まれたオーデマ・ピゲの腕時計が、被害店舗に宅配便で送り届けられていたことが分かった。
報道された内容は次のとおり。
- 返却日:2026年11月1日
- 発送元:愛知県内とみられる
- 返却された品:オーデマ・ピゲの腕時計
- 価値:約4,600万円相当
- 確認方法:シリアルナンバーが被害品と一致
- 同封物:謝罪の趣旨が書かれた手書きの手紙
手紙には、盗んだことをわびる趣旨の内容が書かれていたという。
ただし、時計を送った人物が実際に盗んだ男本人なのか、別の関係者なのかは明らかになっていない。警視庁は送り主の特定を進めている。
また、腕時計が戻ってきたことと、事件が解決したことは同じではない。盗んだ人物の特定や事件の全容解明は別途必要になる。
8月25日の2億円事件との関係は?ここは特に注意したい。
| 比較項目 | 8月25日の事件 | 10月29日の事件 |
|---|---|---|
| 発生日 | 2026年8月25日 | 2026年10月29日 |
| 被害店舗 | 1階の時計店 | 3階の別店舗 |
| 犯行方法 | ショーケースを破壊 | 試着後に装着したまま逃走 |
| 被害品 | 4本 | 1本 |
| ブランド | リシャール・ミル、パテック・フィリップ | オーデマ・ピゲ |
| 被害額 | 約2億300万円 | 約4,600万円 |
| 捜査状況 | チリ国籍の男2人が逮捕・起訴 | 逃走した男の行方を捜査 |
| その後 | 3本の所在が9月報道時点で不明 | 11月1日に被害品が返送 |
10月29日の時計返却は、8月25日の約2億円事件で盗まれた時計が戻ってきたという意味ではない。
11月1日に返却されたのは、10月29日に発生した別事件の被害品だ。
同じ商業施設で短期間に異なる時計窃盗事件が発生したことから、施設内の店舗の防犯体制や高額商品の管理方法にも関心が集まっている。
今回の事件を理解するためには、単純な被害金額や犯行時間だけでなく、犯罪の構造と捜査の進展を合わせて見る必要がある。
1. 10秒の犯行と事前準備は別の問題約10秒という短い犯行時間は衝撃的だが、事件前の店舗訪問や周辺での行動も報じられている。
短時間で終わったことだけを理由に、突発的な犯行だったと評価することはできない。
2. 盗品の回収と事件の解決は別8月25日の事件では、腕時計4本のうち1本が被害品として確認された一方、9月28日時点では残る3本の所在が分かっていなかった。
時計そのものが見つかることと、盗品の移動に関わった人物を特定することは、それぞれ異なる捜査課題だ。
3. 罪名は犯行の印象ではなく法律上の要件で決まるショーケースを破壊したから強盗、商品を盗んだから窃盗という単純な分類ではない。
強盗罪の成立には、人に対する暴行・脅迫が法律上求められる。ニュースを読む際には、見出しの表現だけでなく、警察が発表した容疑や起訴罪名を確認することが大切だ。
【中野ブロードウェイ時計店強盗事件】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:中野ブロードウェイの時計店で2億円相当の時計が盗まれたのはいつですか?
A1:2026年8月25日午前11時50分ごろです。男2人組が1階の時計店に侵入し、ショーケースをハンマーで破壊して腕時計4本を持ち去りました。被害額は約2億300万円と報じられています。
Q2:犯人とされる男2人は逮捕されましたか?
A2:はい。警視庁は8月27日夕方に大阪市内の民泊施設でチリ国籍の男2人の身柄を確保し、8月28日までに窃盗容疑で逮捕しました。その後、8月の事件について起訴されたことも報じられています。
Q3:なぜ強盗事件ではなく窃盗事件として扱われているのですか?
A3:刑法上の強盗罪には、人の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫が必要だからです。ショーケースを破壊したという事実だけでは、必ずしも強盗罪は成立しません。今回の事件では警視庁が窃盗容疑で捜査・逮捕したと報じられています。
Q4:盗まれた高級腕時計4本はすべて見つかりましたか?
A4:9月28日の報道時点では、4本のうち1本が被害品として確認され、残る3本は見つかっていないとされていました。10月29日の別事件で盗まれた腕時計が11月1日に返却されたニュースとは区別する必要があります。
2026年8月25日に発生した中野ブロードウェイの高級時計店窃盗事件は、腕時計4本・約2億300万円という大きな被害、約10秒という短い犯行時間、電動キックボードを利用した逃走などで注目を集めた。
警視庁はチリ国籍の男2人を逮捕し、その後、窃盗容疑で起訴。さらに大田区の住宅窃盗事件での再逮捕も報じられた。一方、盗まれた時計のうち3本については、9月28日時点で所在が分かっていなかった。
11月2日には、同じ中野ブロードウェイで10月29日に発生した別の時計窃盗事件について、約4,600万円相当のオーデマ・ピゲが謝罪の手紙とともに返却されたという新情報も明らかになった。ただし、送り主の特定と逃走した男の行方は引き続き捜査対象となっている。
今後注目すべきなのは、8月の事件で所在不明となった3本の時計の発見状況、第三者への移転の有無、そして10月の別事件における返却者の特定だ。 事件の見出しに使われる「強盗」と、警察が適用する法律上の「窃盗」の違いも含め、続報を確認する際には事件ごとの発生日、被害品、容疑、捜査状況を分けて把握することが重要になる。