2026年現在、名古屋を拠点とする弘道会は、指定暴力団・六代目山口組の中核を担う二次団体として、愛知県警の組織犯罪対策における重要な監視・取締り対象となっている。1984年の設立から約40年を経て、2025年には四代目体制へ移行した。愛知県警が公表した2025年末の県内暴力団勢力は約770人で、そのうち四代目弘道会が占める構成比は52%に達する。
弘道会とはどのような組織なのか。六代目山口組との上下関係、司忍・高山清司・竹内照明ら歴代会長の変遷、四代目会長への交代、さらに2026年の愛知県警による取締りと暴力団排除対策まで、公的資料と報道をもとに整理する。
【名古屋弘道会とは?六代目山口組との関係をわかりやすく解説】

弘道会(こうどうかい)は、愛知県名古屋市を拠点とする暴力団組織で、指定暴力団・六代目山口組の傘下に位置する二次団体である。
組織の成立は1984年(昭和59年)。初代会長は司忍氏で、現在の六代目山口組組長の出身母体として知られている。
組織の関係を理解するうえで重要なのは、六代目山口組と弘道会が別々の独立した指定暴力団ではないという点だ。六代目山口組が上部団体であり、弘道会はその傘下組織に当たる。
六代目山口組における弘道会の位置づけ警察庁の平成24年版警察白書は、弘道会について、1984年に当時の山口組組長が立ち上げた傘下組織と説明している。
同白書では、弘道会の初代会長が六代目山口組組長に、二代目会長が山口組の若頭に就任したことにも触れ、弘道会出身者が山口組の主要ポストを占めていた構造を指摘している。
こうした人事上のつながりは、その後も続いた。司忍氏が六代目山口組組長となり、高山清司氏が山口組の若頭を務め、竹内照明氏も弘道会会長から山口組の重要幹部へと昇格している。
愛知県警も2025年末の勢力分析資料で、六代目山口組を事実上支配する四代目弘道会の勢力が愛知県内で強いと評価している。
六代目山口組の分裂と弘道会2015年8月には六代目山口組から複数の有力組織が離脱し、神戸山口組が結成された。この分裂は、その後の暴力団情勢に大きな影響を与えた。
警察庁や愛知県警は、六代目山口組と神戸山口組、池田組、絆會などをめぐる対立抗争に警戒を続けている。
弘道会は、この分裂後の六代目山口組においても中核的な存在として扱われている。警察の取締りも、山口組本体だけでなく、弘道会とその傘下組織を含む組織的な活動に向けられている。
【1984年の設立から四代目へ!弘道会の歴代会長と組織の変遷】
弘道会の歴史を理解するには、1984年の設立から2025年の四代目体制への移行までを時系列で確認する必要がある。
1984年、司忍氏によって設立弘道会の成立は1984年。前身組織の弘田組を引き継ぐ形で、司忍氏が新たに弘道会を立ち上げた。
警察庁の資料でも、現在の山口組組長に当たる人物が昭和59年に設立した組織として記録されている。
設立後、弘道会は山口組の傘下組織として位置づけられ、司忍氏の六代目山口組組長就任によって、その存在感はさらに大きくなった。
歴代会長の交代と山口組での役職弘道会の歴代会長は、司忍氏、高山清司氏、竹内照明氏、野内正博氏の4人である。それぞれの交代は、六代目山口組の人事とも密接に関係してきた。
| 時期 | 歴代会長 | 主な動き・位置づけ |
|---|---|---|
| 1984年~2005年 | 初代・司忍 | 弘道会を設立。2005年に六代目山口組組長に就任。 |
| 2005年~2013年 | 二代目・高山清司 | 弘道会二代目会長に就任。六代目山口組の若頭も務めた。 |
| 2013年~2025年 | 三代目・竹内照明 | 2013年に三代目を継承。2025年には六代目山口組の若頭に就任し、弘道会総裁となった。 |
| 2025年~ | 四代目・野内正博 | 2025年9月に四代目会長に就任。2026年3月には六代目山口組の幹部への昇格が報じられた。 |
この変遷で特に注目されるのが、2005年と2013年、そして2025年の人事である。
2005年には司忍氏が六代目山口組組長に就任し、高山清司氏が弘道会二代目会長を継承した。2013年には竹内照明氏が三代目会長となり、2019年以降の山口組の人事や組織運営にも関係する立場を担ってきた。
2025年9月、四代目体制へ移行2025年9月8日、野内正博氏が弘道会の四代目会長に就任したと報じられた。同月25日には愛知県豊橋市内の六代目山口組傘下組織の施設で継承式が行われたと、Smart FLASHが報じている。
竹内照明氏は会長職を退き、弘道会総裁に就いた。会長交代は約12年ぶりと報じられ、組織の世代交代を示す動きとなった。
さらに2026年3月11日には、野内会長が六代目山口組の幹部に昇格したとアサヒ芸能が報道している。
2026年現在の弘道会を理解するうえでは、野内氏が四代目会長、竹内氏が総裁という新体制と、両者の山口組本体での役職を分けて捉えることが重要だ。
【2025年末の愛知県内暴力団勢力は約770人!弘道会52%の意味】
2026年の弘道会をめぐる状況を把握するうえで、最も重要な資料の一つが愛知県警察の令和7年(2025年)年次資料である。
同資料によると、2025年末現在、愛知県内の暴力団勢力は、構成員と準構成員等を合わせて約770人となった。
愛知県内の暴力団勢力は減少傾向愛知県警の公表資料では、県内の暴力団勢力は次のように推移している。
- 2020年末:約1,200人
- 2021年末:約1,000人
- 2022年末:約950人
- 2023年末:約830人
- 2024年末:約810人
- 2025年末:約770人
2020年末と比較すると、5年間で約430人減少した計算になる。減少率は約35.8%だ。
全国でも暴力団勢力の縮小は続いている。警察庁の2026年4月公表資料によると、2025年末の全国の暴力団構成員等は約1万7,600人で、前年から1,200人減少し、過去最少となった。
四代目弘道会の構成比は52%愛知県警の2025年末の勢力内訳では、県内の暴力団勢力に占める四代目弘道会の構成比は52%と公表されている。
残るその他の勢力は48%である。また、上部団体に当たる六代目山口組については、県内勢力の99%を占めるという別の構成比も示されている。
ここで注意したいのは、52%と99%が同じ分類の数字ではないことだ。
- 52%:県内暴力団勢力のうち、四代目弘道会が占める構成比。
- 99%:県内暴力団勢力のうち、六代目山口組が占める構成比。
弘道会は六代目山口組の傘下組織であるため、この2つの数字は別々の階層で集計された勢力分析として読む必要がある。足し合わせて比較する数字ではない。
52%という数字が示すのは、全国規模の山口組の勢力を考える際にも、名古屋を拠点とする弘道会の存在が愛知県内で大きな比重を持っているという点だ。
なお、2026年11月時点で公表されている最新の年末確定値は2025年末のデータである。2026年の年間勢力は、年末集計の公表を待つ必要がある。
【弘道会の資金源と検挙状況!愛知県警の取締りが示す実態】
暴力団の勢力を把握する際には、構成員の人数だけでなく、資金獲得活動と犯罪の検挙状況も重要になる。
愛知県警は、暴力団の資金源について、従来型の恐喝や賭博だけでなく、詐欺、窃盗、違法薬物の密売、ヤミ金融、各種事業活動への関与など、多様な形態を挙げている。
従来型の資金源と近年の犯罪傾向愛知県警が示す主な資金獲得活動には、次のようなものがある。
- 恐喝や賭博、ノミ行為などの犯罪
- 覚醒剤など違法薬物の密売
- 飲食店などへのみかじめ料や用心棒代の要求
- 窃盗や詐欺、ヤミ金融などの違法行為
- 建設業や人材派遣業などへの不当な関与
- 企業や個人に対する不当な金品要求
特に注目されるのは、従来型の資金獲得犯罪に加えて、一般の経済活動を装った不正行為や、匿名・流動型犯罪グループとの関係が警察の課題になっていることだ。
警察庁の2026年公表資料も、暴力団構成員や元構成員が匿名・流動型犯罪グループの中核に関与する例や、こうしたグループから暴力団へ資金が流れる例を指摘している。
愛知県警が公表した2025年の検挙人員愛知県警の令和7年年次資料では、2025年中の暴力団構成員等の検挙人員は295人とされている。この数字には、暴力団員だけでなく準構成員や周辺者も含まれる。なお、年次資料では暫定値として扱われている。
罪種別の主な内訳は次のとおりだ。
- 覚醒剤取締法違反:58人
- 傷害・暴行:48人
- 詐欺:37人
- 恐喝・脅迫:37人
- 窃盗:18人
- 賭博:10人
上位には薬物犯罪、暴力犯罪、詐欺、恐喝が並んでいる。暴力団対策が単なる構成員の摘発にとどまらず、資金獲得活動そのものを断つ必要があることが読み取れる。
弘道会傘下組織をめぐる検挙事例愛知県警の2025年年次資料には、弘道会傘下組織の組長らによる露店出店権の不正取得に関する詐欺事件が記録されている。岐阜県内の夏祭りで露店を出店する権利を不正に取得した事件として、関係者が検挙された。
また、暴力団の資金源が疑われる違法貸金業者についても、貸金業法違反などによる検挙事例が掲載されている。
こうした事例からは、警察の捜査対象が組織の構成員だけでなく、組織の維持に関係する資金の流れや、一般社会の経済活動に入り込む不正行為に広がっていることが分かる。
弘道会の傘下組織については、愛知県警の年次資料でも個別の組織名を網羅した一覧ではなく、傘下組織の関係者による事件として記録されている。組織図だけで実態を判断するのではなく、検挙状況や資金の流れを併せて見る必要がある。
【2026年の暴力団排除対策!愛知県警・暴力団対策法・条例の役割】
2026年の愛知県警は、暴力団対策を県警運営上の最重要課題の一つに位置づけている。
特に、暴力団と匿名・流動型犯罪グループへの取締り、違法な資金獲得活動への対策、歓楽街からの排除という3つの方向性が示されている。
愛知県警が掲げる2026年の重点方針愛知県警の2026年の取組方針では、次の対策が掲げられている。
- 暴力団と匿名・流動型犯罪グループの実態解明
- 主要幹部や中核的人物を中心とした取締り
- 特殊詐欺や組織的窃盗などの違法な資金獲得活動への対策
- 犯罪収益の剥奪を目的とした戦略的な捜査
- 暴力団対策法や暴力団排除条例の効果的な運用
- 官民連携による歓楽街からの暴力団排除
2026年上半期の取組結果では、六代目山口組傘下組織の組長らが、飲食店から長年にわたり用心棒代などを受け取っていた事件について、愛知県暴力団排除条例違反で検挙するなど、同条例違反事件を2件検挙したと報告されている。
また、暴力団事務所の使用差止めなどを求める民事訴訟についても、愛知県暴力追放運動推進センターなどと連携した支援を進めている。
暴力団対策法とは?暴力団対策法の正式名称は「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」。1992年に施行された法律で、指定暴力団の指定や、暴力団員による不当な要求行為などの規制を定めている。
具体的には、次のような行為が規制対象となる。
- 事業者に対するみかじめ料や用心棒代の要求
- 口止め料や寄付金、援助金などの不当な要求
- 下請工事への参入や資材納入の不当要求
- 債権取立てや借金免除などへの不当な介入
- 暴力団への加入強要や脱退妨害
違反行為が確認された場合には、警察による中止命令や再発防止命令などの行政措置が取られる。愛知県警は2025年中に中止命令を6件発出したと公表している。
愛知県暴力団排除条例の内容と2025年の改正愛知県暴力団排除条例は、県、事業者、県民が協力して暴力団を社会から排除することを目的とした条例である。2011年4月1日に施行された。
条例では、事業者による暴力団への利益供与の禁止、不動産取引における措置、青少年への影響排除、暴力団排除特別区域での規制などを定めている。
加えて、2025年6月1日施行の改正内容として、次のような規制強化が愛知県警の資料に示されている。
- 暴力団員による他人名義の利用などの禁止
- 祭礼や花火大会などへの暴力団関係者の関与を排除するための措置
- 暴力団事務所の開設・運営禁止区域の追加
- 暴力団排除特別区域における規制対象事業者の追加
こうした改正は、暴力団の活動を直接取り締まるだけでなく、資金や営業上の利益を提供する側にも責任を意識させる仕組みだ。
警察による検挙に加え、事業者や地域社会が暴力団との関係を断つことが、排除対策の重要な柱になっている。
【名古屋弘道会をめぐる誤解と、2026年の実態を見極めるポイント】
弘道会に関する情報を調べる際には、組織の歴史や報道上の肩書と、警察が公表する統計を区別して理解する必要がある。
誤解1:弘道会と六代目山口組は同じ組織なのか両者は同一の組織ではない。六代目山口組が上部団体で、弘道会はその傘下に位置する二次団体である。
ただし、歴代会長が六代目山口組の組長や若頭などの重要ポストを担ってきたため、組織運営上の結びつきが強いと警察や報道機関から評価されている。
誤解2:約770人は弘道会の構成員数なのか違う。約770人は2025年末時点の愛知県内の暴力団構成員と準構成員等を合わせた勢力数であり、弘道会だけの人数ではない。
また、準構成員等には、暴力団の維持・運営に協力したり、資金などを供給したりする関係者も含まれる。組員の実人数と混同してはならない。
誤解3:52%は全国における弘道会の割合なのかこれも違う。52%は愛知県内の暴力団勢力に関する2025年末の構成比であり、全国の暴力団勢力に対する割合ではない。
全国の勢力については警察庁の資料を別に確認する必要がある。全国の2025年末の暴力団構成員等は約1万7,600人で、愛知県内の約770人とは集計対象の地域が異なる。
情報を見極めるための4つの判断基準- 公的資料かどうか:愛知県警、警察庁、公安委員会などの資料を優先する。
- 集計時点はいつか:2025年末の統計と2026年上半期の検挙情報を混同しない。
- 対象範囲はどこか:全国、愛知県全体、六代目山口組、弘道会という分類を区別する。
- 肩書の時点はいつか:2025年以前の三代目体制の報道と、四代目体制の2026年情報を混同しない。
【名古屋弘道会に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:名古屋弘道会とは何ですか?
A1:1984年に設立された暴力団組織で、六代目山口組の二次団体です。愛知県名古屋市を主要な拠点とし、歴代会長が山口組の重要ポストを担ってきた経緯があります。
Q2:2026年現在の四代目弘道会会長は誰ですか?
A2:2025年9月に四代目会長へ就任した野内正博氏です。前会長の竹内照明氏は総裁に就任しています。2026年3月には野内氏の六代目山口組幹部への昇格も報じられています。
Q3:愛知県内の暴力団勢力は何人ですか?
A3:愛知県警の公表資料によると、2025年末時点で構成員と準構成員等を合わせて約770人です。
Q4:四代目弘道会の県内構成比52%とは何を意味しますか?
A4:愛知県内の暴力団勢力に占める四代目弘道会の割合です。2025年末の愛知県警の資料で公表されており、全国における構成比ではありません。
Q5:弘道会への警察の取締りは2026年も続いていますか?
A5:続いています。愛知県警は暴力団と匿名・流動型犯罪グループの実態解明、主要幹部の検挙、違法な資金獲得活動の摘発、犯罪収益の剥奪などを2026年の重点課題にしています。
名古屋を拠点とする弘道会は、1984年の設立以来、六代目山口組の中核的な傘下組織として位置づけられてきた。司忍氏から高山清司氏、竹内照明氏へと会長が交代し、2025年には野内正博氏による四代目体制へ移行している。
2025年末の愛知県内の暴力団勢力は約770人で、四代目弘道会の構成比は52%。全国的にも暴力団勢力の縮小が続く一方、警察は資金獲得活動の多様化や匿名・流動型犯罪グループとの関係を新たな課題として捉えている。
2026年の愛知県警は、主要幹部の検挙だけでなく、犯罪収益の剥奪、条例に基づく規制、民事訴訟への支援などを組み合わせた対策を進めている。
弘道会の現在を判断するうえで重要なのは、組織の知名度や歴代会長の肩書だけではない。県内勢力の推移、実際の検挙状況、資金源への対策、そして暴力団排除条例の運用を一体的に見ることだ。
2026年以降も、愛知県内の暴力団勢力がどのように変化するのか、四代目体制の動向と警察による資金源対策が焦点となる。地域社会にとっては、暴力団との関係を断ち、不当要求や犯罪被害を防ぐための官民連携が引き続き重要になる。
主な根拠資料・照合先
- 愛知県警察「令和7年(2025年)年次資料」および「令和8年(2026年)上半期の主な取組」
- 警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」
- 警察庁「平成24年版警察白書」
- 愛知県暴力団排除条例
- 2025年9月・10月の継承報道、2026年3月の人事報道