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【選考方法を解説】新語・流行語大賞は誰がどうやって決める?

如月 七海 如月 七海 • 更新: • 公開: • 読了約 10 分
目次

本家の「新語・流行語大賞」は、SNSの投稿数や一般投票の得票数だけで決まる賞ではありません。『現代用語の基礎知識』を土台に、事務局と選考委員会が候補を絞り込んでいく仕組みです。

選考の流れは大きく3段階
  1. 候補語の収集:『現代用語の基礎知識』に掲載された用語などを参考に、年間を通じて話題になった言葉を集める。
  2. ノミネート30語の決定:選考委員による追加提案や採点、会議を経て候補を絞り込む。
  3. トップテン・年間大賞の決定:候補の中からトップテンを選び、その年を象徴する年間大賞を決定する。

2025年に選考委員を務めた辛酸なめ子氏のインタビューでは、10月下旬ごろから選考が始まり、『現代用語の基礎知識』から約60語をリストアップ。各委員が言葉を追加し、採点表を作成したうえで、3〜4時間の会議を開いて30語に絞り込む工程が紹介されています。

選考で重視される3つのポイント

辛酸氏の説明などから読み取れる選考上の着眼点は、次の3つです。

1. どの程度の人々に広がったか

一部のSNSユーザーだけが使う言葉なのか、世代や職業を越えて知られるようになったのか。言葉の広がりは重要な判断材料です。

2. その年の世相を表しているか

単に面白い言い回しというだけでなく、社会の変化や人々の関心を象徴しているかが問われます。

3. 言葉の印象や社会的な受け止め方

ネガティブすぎる表現をどう扱うかなど、言葉の意味や社会的影響も選考で話し合われます。

年間大賞とトップテンは同じではない

ここは検索時に間違えやすいポイントです。

ノミネート30語は最終選考に残った候補、トップテンは受賞語の集合、年間大賞はその中の代表的な賞です。トップテンの掲載順も、必ずしも人気順位を意味しません。

例えば2013年には「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」の4語が年間大賞を受賞しました。毎年必ず1語だけが選ばれるわけではありません。

【歴代年間大賞一覧】1984年から2025年までの受賞語を振り返る

今年の流行語大賞

新語・流行語大賞は1984年に始まりました。ただし、現在と同じ年間大賞の制度が最初からあったわけではありません。

1984年から1990年までは新語部門と流行語部門などに分かれており、1991年から年間大賞が設けられました。1994年にはトップテン方式へ移行しています。

1991年〜1999年:社会現象とテレビ・スポーツの時代

- 1991年:「…じゃあ〜りませんか」
- 1992年:「きんさん・ぎんさん」
- 1993年:「Jリーグ」
- 1994年:「すったもんだがありました」「イチロー(効果)」「同情するならカネをくれ」
- 1995年:「無党派」「NOMO」「がんばろうKOBE」
- 1996年:「自分で自分をほめたい」「友愛/排除の論理」「メークドラマ」
- 1997年:「失楽園(する)」
- 1998年:「ハマの大魔神」「凡人・軍人・変人」「だっちゅーの」
- 1999年:「雑草魂」「ブッチホン」「リベンジ」

この時期は、政治やプロスポーツ、テレビ番組、芸能ニュースが流行語の発生源として大きな存在感を持っていました。特に1994年の安達祐実さんの「同情するならカネをくれ」は、ドラマのセリフが社会に浸透した代表例です。

2000年〜2009年:インターネットと新しい価値観の広がり

- 2000年:「おっはー」「IT革命」
- 2001年:「米百俵」「聖域なき改革」「恐れず怯まず捉われず」「骨太の方針」「ワイドショー内閣」「改革の『痛み』」
- 2002年:「タマちゃん」「W杯(中津江村)」
- 2003年:「毒まんじゅう」「なんでだろう~」「マニフェスト」
- 2004年:「チョー気持ちいい」
- 2005年:「小泉劇場」「想定内(外)」
- 2006年:「イナバウアー」「品格」
- 2007年:「(宮崎を)どげんかせんといかん」「ハニカミ王子」
- 2008年:「アラフォー」「グ~!」
- 2009年:「政権交代」

この時代は、小泉政権の政治用語からスポーツ、ネット文化、芸能まで幅広い分野が対象になりました。「イナバウアー」は荒川静香さんの演技をきっかけに広く知られ、「アラフォー」は女性のライフスタイルや年齢に対する価値観を表す言葉として浸透しました。

2010年〜2019年:SNSと社会問題が存在感を強める

- 2010年:「ゲゲゲの~」
- 2011年:「なでしこジャパン」
- 2012年:「ワイルドだろぉ」
- 2013年:「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」
- 2014年:「ダメよ~ダメダメ」「集団的自衛権」
- 2015年:「爆買い」「トリプルスリー」
- 2016年:「神ってる」
- 2017年:「インスタ映え」「忖度」
- 2018年:「そだねー」
- 2019年:「ONE TEAM」

この時期には、テレビ番組や芸人の決めゼリフだけでなく、InstagramをはじめとするSNSの普及が言葉の広がり方を変えました。

2017年の「インスタ映え」と「忖度」は、対照的な言葉です。一方は写真や消費行動の変化、もう一方は政治や組織における人間関係を象徴しています。流行語大賞が娯楽だけでなく、社会の空気を捉えていることが分かります。

2020年〜2025年:コロナ禍、スポーツ、政治、ネットミーム

- 2020年:「3密」
- 2021年:「リアル二刀流/ショータイム」
- 2022年:「村神様」
- 2023年:「アレ(A.R.E.)」
- 2024年:「ふてほど」
- 2025年:「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」

2020年の「3密」は、新型コロナウイルス感染症への対策と日常生活の変化を象徴する言葉でした。

2021年の「リアル二刀流/ショータイム」は大谷翔平選手の活躍、2023年の「アレ(A.R.E.)」は阪神タイガースの優勝、2024年の「ふてほど」はテレビドラマ『不適切にもほどがある!』の話題性と結び付いています。

そして2025年は、高市早苗首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が年間大賞に選ばれました。政治的な出来事と本人の発言が一体となった、強い印象を残す受賞でした。

1984年〜1990年の受賞語はどう扱う?

この7年間は年間大賞制度の前段階です。代表的な新語部門・流行語部門の金賞には、次の言葉があります。

- 1984年:「オシンドローム」「まるきん・まるび」
- 1985年:「分衆」「イッキ!イッキ!」
- 1986年:「究極」「新人類」
- 1987年:「マルサ」「懲りない○○」
- 1988年:「ペレストロイカ」「今宵はここまでに」
- 1989年:「セクシャル・ハラスメント」「オバタリアン」
- 1990年:「ファジィ」「ちびまる子ちゃん(現象)」

したがって、1984年から2025年までを振り返る場合は、1991年以降の年間大賞と、それ以前の部門別金賞を混同しないことが大切です。

【よくある質問】今年の流行語大賞2026に関するFAQ

Q1:2026年の新語・流行語大賞のノミネート30語はいつ発表されますか?

A1:2026年11月2日時点では正式な発表日は未確定で、ノミネート30語も未発表です。2025年は11月5日に発表されたため、2026年も11月上旬が注目されます。

Q2:egg流行語大賞2026の1位は何ですか?

A2:1位は「上等界隈」です。nutsモデルのるるが発信した言葉で、恋愛リアリティショーの出演者のような、少しヤンチャで強気な雰囲気を表します。

Q3:本家のトップテンとeggのTOP10は何が違いますか?

A3:eggはギャル文化の中での流行を1位から10位までランキング化した企画です。本家のトップテンは順位を付ける人気投票ではなく、選考委員会が選ぶ受賞語の集合です。その中から年間大賞が決まります。

2026年11月2日時点で、egg流行語大賞の1位は「上等界隈」に決まりました。「フレネミー」「ばり気まづい」「ドパガキ」「ワホー」などもTOP10に入り、ギャル文化、SNS、ショート動画、過去コンテンツのリバイバルという今年の特徴が表れています。

一方、本家の新語・流行語大賞はノミネート30語の発表前です。女子高生調査では「滅」が大賞予想の1位となり、「ドパガキ」も複数の若者向け調査で上位に登場しています。若者発の言葉が社会全体にどこまで広がるかが、今後の見どころです。

今年の結果を予想するときは、次の3点を意識すると、単なるSNSの話題と本当に世相を象徴する言葉を見分けやすくなります。

  • 認知度:特定のSNSや世代だけでなく、幅広い人々に知られているか。
  • 社会性:2026年の出来事や価値観の変化を象徴しているか。
  • 持続性:一時的なミームにとどまらず、年末まで話題が続いているか。

1984年から続く本家の流行語大賞は、その時代のニュース、文化、生活者の感覚を映してきました。2026年は「上等界隈」や「滅」のような若者発の言葉がどこまで一般社会に浸透するのか。そして、政治や経済、スポーツなどからどんな言葉が選ばれるのか。11月のノミネート発表と12月の年間大賞発表が大きな注目ポイントです。

今年の流行語を追うことは、単に流行った言葉を覚えることではありません。その言葉が生まれた背景や、なぜ多くの人に受け入れられたのかを知ることで、2026年という時代そのものが見えてきます。

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如月 七海

スポーツ報道9年。連盟の公式記録、試合結果、会見の書き起こしで数値と経歴を確認しています。

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