女子やり投げの世界記録は、2026年11月2日現在、チェコのバルボラ・シュポタコバが2008年9月13日に樹立した72m28です。18年間破られていないこの記録に、2026年、中国の18歳・Yan Ziyi(ヤン・ズーイー)が71m74で迫り、世界歴代2位に浮上しました。
日本勢にも大きな動きがあります。北口榛花が2026年9月12日の世界陸上アルティメット選手権で68m92の日本新記録を樹立。世界記録との差は3m36ですが、世界ランキングでは2位につけています。世界記録保持者、Yan Ziyi、北口榛花の実績を比較すると、女子やり投げの勢力図が大きく変わり始めていることが分かります。
【女子やり投げ世界記録は72m28】保持者シュポタコバの歴史的な一投

女子やり投げの世界記録保持者は、チェコのバルボラ・シュポタコバ(Barbora Špotáková)です。
記録が生まれたのは2008年9月13日。ドイツ・シュトゥットガルトで開催されたIAAFワールドアスレチックスファイナルで、シュポタコバは72m28を記録しました。
世界陸連の公式大会記録によると、この記録は競技の最初の試技で生まれたものです。最初の一投で世界記録を更新し、そのまま優勝を決めるという圧倒的なパフォーマンスでした。
シュポタコバは2008年北京オリンピックと2012年ロンドンオリンピックで金メダルを獲得した名選手です。世界選手権でも複数回優勝しており、世界記録だけでなく主要国際大会での実績も際立っています。
なぜ18年間も記録が破られなかったのか72m28という数字の難しさは、単純な腕力だけでは説明できません。
やり投げでは、助走で得たスピードを投てき動作へ伝え、身体全体の連動によってやりに力を加える必要があります。リリースのタイミングや角度、やりの姿勢、空気抵抗など、わずかな違いが飛距離を左右します。
加えて、世界記録を狙う選手には、70mを超える投てきを安定して出せる技術と身体能力が大切です。70m台に到達すること自体が世界トップクラスの証明であり、そこからさらに72mを超えることは別次元の挑戦です。
世界陸連の記録ページでも、72.28mは2026年時点で女子やり投げの最高記録として掲載されています。
【2026年最新】Yan Ziyiの71m74と北口榛花の68m92を徹底比較
2026年の女子やり投げを語るうえで欠かせないのが、中国のYan Ziyiと日本の北口榛花です。
Yan Ziyiは2026年5月23日、中国・厦門で開催されたダイヤモンドリーグで71m74を記録しました。世界記録72m28との差はわずか54cm。女子やり投げの世界歴代ランキングで2位に浮上する歴史的な結果でした。
2008年5月22日生まれのYanは、この記録を18歳の誕生日の翌日に達成しています。2025年までの自己ベスト65m89から、一気に71m74へと飛躍したことも注目すべき点です。
一方、北口榛花は9月12日の世界陸上アルティメット選手権で68m92をマーク。日本記録を更新し、同大会の優勝も果たしました。
世界記録と主要選手の記録・関係性| 区分 | 選手・記録 | 達成日・大会 | 2026年時点の意味 |
|---|---|---|---|
| 世界記録 | シュポタコバ 72m28 | 2008年9月13日・シュトゥットガルト | 現在も世界最高記録 |
| 世界歴代2位 | Yan Ziyi 71m74 | 2026年5月23日・厦門 | 世界記録まで54cm |
| 世界選手権記録 | メネンデス 71m70 | 2005年8月14日・ヘルシンキ | 世界選手権大会記録 |
| 日本記録 | 北口榛花 68m92 | 2026年9月12日・ブダペスト | 日本新記録・大会優勝 |
| 世界ランキング1位 | Yan Ziyi | 2026年10月27日時点 | ランキングポイント1409 |
| 世界ランキング2位 | 北口榛花 | 2026年10月27日時点 | ランキングポイント1319 |
ここで興味深いのは、自己ベストと実際の大会結果が必ずしも一致しないことです。
2026年9月12日の世界陸上アルティメット選手権では、北口が68m92で優勝。Yan Ziyiは68m05で2位でした。自己ベストでは71m74を持つYanが上回っていますが、この直接対決では北口が勝利しています。
つまり、世界記録に近い自己ベストを持つことと、大舞台で勝ち切ることは別の能力です。記録と競技結果の両方を見ることで、選手の実力をより正確に評価できます。
【女子やり投げ歴代世界記録ランキング】世界トップ10を紹介
女子やり投げの世界歴代ランキングを見ると、2026年にYan Ziyiが2位へ入ったことで、長年続いていた上位陣の構図が変化しました。
以下は世界陸連のシニア女子やり投げ公式オールタイムリストに基づく、2026年時点の上位記録です。
- 72m28:バルボラ・シュポタコバ(チェコ)/2008年9月13日
- 71m74:Yan Ziyi(中国)/2026年5月23日
- 71m70:オリスデイス・メネンデス(キューバ)/2005年8月14日
- 71m40:マリア・アンドレイチク(ポーランド)/2021年5月9日
- 70m53:マリヤ・アバクモワ(ロシア)/2013年9月1日
- 70m20:クリスティーナ・オーベルクフェル(ドイツ)/2007年6月23日
- 69m48:トリーネ・ハッテスタ(ノルウェー)/2000年7月28日
- 69m35:スネット・フィリヨーン(南アフリカ)/2012年6月9日
- 69m19:クリスティン・フッソング(ドイツ)/2021年5月30日
- 68m92:キャスリン・ミッチェル(オーストラリア)/2018年4月11日、北口榛花(日本)/2026年9月12日
注目は、Yan Ziyiが一気に歴代2位へ入ったことです。これまで歴代上位を占めていたシュポタコバやメネンデスらの記録に、2026年の新世代が割って入りました。
また、北口の68m92は世界歴代10位タイに相当します。日本の選手が世界の歴代トップ10に入る記録を持つこと自体、女子やり投げにおける日本勢の存在感を示しています。
なお、このランキングは選手の最高記録だけを比較したものではなく、世界陸連のオールタイムリストに掲載された各投てきの順位です。同じ選手が複数回ランクインする場合もあります。
【女子やり投げ日本記録の歴代記録】北口榛花の68m92はどれほどすごい?
日本女子やり投げの歴史において、北口榛花の68m92は大きな転換点となりました。
北口は2023年の世界選手権ブダペスト大会で66m73を投げて金メダルを獲得。2024年パリオリンピックでも金メダルを獲得し、日本女子陸上界を代表する選手として活躍してきました。
そして2026年9月12日、世界陸上アルティメット選手権で68m92を記録。日本記録を更新するとともに、世界大会の優勝を果たしています。
日本女子やり投げの主な歴代自己ベスト世界陸連の日本選手別オールタイム記録を参考にすると、主な上位記録は次のとおりです。
- 北口榛花:68m92(2026年)
- 海老原有希:63m80(2015年)
- 上田百寧:63m50(2026年)
- 森友佳:62m88(2019年)
- 武本紗栄:62m39(2021年)
北口の記録は、2番手の海老原有希の自己ベストを5m以上上回る水準です。世界トップクラスの飛距離を日本国内でも実現したことが分かります。
北口榛花が2026年に記録を伸ばした背景日本陸上競技連盟の解説記事によると、北口は2026年から男子やり投げの世界記録保持者ヤン・ゼレズニー氏と契約し、投てきフォームの修正に取り組んでいました。
2026年5月には60m台前半だった記録が、6月の日本選手権で62m86、8月のローザンヌで64m90、9月5日のブリュッセルで65m44へと伸び、9月12日の68m92につながりました。
この推移から分かるのは、北口の成長が一度の偶然の好記録ではなく、シーズンを通じた技術的な改善と競技力の向上を伴っていたことです。
2026年はYan Ziyiの急成長が大きな話題ですが、北口もまた世界記録を視野に入れられる位置へ近づいています。
【女子やり投げ世界ランキング現在】2026年の勢力図と世界記録更新の可能性
世界歴代記録だけでなく、現在の世界ランキングにも注目する必要があります。
世界陸連の2026年10月27日時点の女子やり投げ世界ランキングでは、Yan Ziyiが1位、北口榛花が2位となっています。
2026年10月27日時点の世界ランキング上位- 1位:Yan Ziyi(中国)1409ポイント
- 2位:北口榛花(日本)1319ポイント
- 3位:Flor Denis Ruiz Hurtado(コロンビア)1300ポイント
- 4位:Mackenzie Little(オーストラリア)1269ポイント
- 5位:Adriana Vilagoš(セルビア)1263ポイント
この順位からも、中国と日本の選手が女子やり投げの最前線に立っていることが分かります。
Yan Ziyiは世界記録を更新できるのか世界記録更新の可能性を考えるうえで、最も注目すべき選手はYan Ziyiです。
自己ベスト71m74と世界記録72m28との差は54cm。歴代2位という実績に加え、18歳という年齢を考えれば、今後さらに記録を伸ばす余地があります。
2026年には71m74のほかにも67m台、68m台の記録を複数回マークしており、単発の好記録だけではない競技力も示しています。
一方、北口榛花は68m92から世界記録まで3m36の差があります。数字だけを比較すればYanのほうが世界記録に近いものの、北口は世界大会でYanを直接破った実績があります。
今後の焦点は、Yanが71m74を超える投てきを安定して出せるか、そして北口が68m台から70m台へ記録を伸ばせるかです。
世界記録更新は十分に注目できるテーマですが、実際に72m28を超えるには、技術、身体能力、コンディション、投てき環境がかみ合う必要があります。
【女子やり投げのやりは600g】競技ルールと記録を見る際の注意点
女子やり投げの記録を理解するうえで、用具の規格も押さえておきたいポイントです。
女子が使用するやりの重さは600gシニア女子やり投げで使用するやりの重さは600gです。長さは最低220cmと定められています。
男子のやりは800gで、女子より200g重くなっています。男女の記録を単純に飛距離だけで比較できない理由の一つです。
1999年の用具変更が記録に与えた影響女子やり投げでは、1999年にやりの重心位置が変更されました。飛行特性や着地時の判定を改善するための規格変更です。
そのため、1988年にペトラ・フェルケが達成した80m超の記録など、旧規格のやりによる記録と、現在の72m28を同じ条件で比較することはできません。
現在の女子やり投げ世界記録72m28は、1999年の規格変更後の競技記録における最高記録です。
記録が認められるための基本ルールやり投げでは、単に遠くへ飛ばせば記録になるわけではありません。
- やりを肩または投てき腕の上部から投げること。
- やりの金属製の先端部分が最初に地面へ接触すること。
- 定められた角度の投てき区域内に落下すること。
- 助走路のラインや外側の地面に触れないこと。
こうした規則を満たした投てきだけが有効記録として認められます。世界記録を評価する際には、公式大会の結果と認定記録を確認することが大切です。
【女子やり投げ世界記録】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:女子やり投げの世界記録は何mですか? A1:2026年11月2日現在、72m28です。チェコのバルボラ・シュポタコバが2008年9月13日にドイツ・シュトゥットガルトで樹立しました。
Q2:女子やり投げ世界歴代2位は誰ですか? A2:中国のYan Ziyiです。2026年5月23日に71m74を記録し、世界歴代2位に浮上しました。世界記録との差は54cmです。
Q3:女子やり投げの日本記録は何mですか? A3:北口榛花が2026年9月12日に記録した68m92です。世界陸上アルティメット選手権で優勝するとともに、日本記録を更新しました。
Q4:女子やり投げのやりの重さは何kgですか? A4:シニア女子では600g、つまり0.6kgです。男子の800gより200g軽い規格となっています。
Q5:女子やり投げの世界選手権記録は何mですか? A5:71m70です。キューバのオリスデイス・メネンデスが2005年8月14日のヘルシンキ世界選手権で樹立しました。世界記録72m28とは別の大会記録です。
女子やり投げの世界記録は、バルボラ・シュポタコバが2008年に樹立した72m28です。18年間にわたって守られてきたこの記録に、2026年は大きな変化が訪れました。
Yan Ziyiが71m74を投げ、世界歴代2位に浮上。北口榛花も68m92の日本記録を樹立し、世界ランキング2位につけています。
今後の女子やり投げを観戦する際に注目したい判断基準は、次の3つです。
- 自己ベスト:世界記録72m28にどこまで接近するか。
- 安定性:70m前後の投てきを複数の大会で再現できるか。
- 大舞台での勝負強さ:自己ベストだけでなく、世界大会で優勝できるか。
特にYan Ziyiの54cmという世界記録との差は、今後の女子やり投げを左右する重要な数字です。一方、北口榛花には世界大会での優勝経験と日本記録を更新した勢いがあります。
72m28は、もはや遠い過去の記録ではありません。18歳の新星と日本の世界王者が、長年破られなかった大記録にどこまで迫るのか。2026年以降の女子やり投げは、世界記録更新という歴史的瞬間を期待させる状況になっています。
主な確認資料・公式記録