富士乃真が引退した後、陣幕親方は日本相撲協会に残り、親方として活動してきました。
ここで重要になるのが「年寄名跡(としよりみょうせき)」という制度です。
年寄名跡とは、相撲協会が管理する親方の名称です。現役を引退した力士が所定の資格を満たし、年寄名跡を襲名することで、親方として協会に残る道が開かれます。
陣幕親方の場合、現役引退後から現在まで、錦戸と陣幕という2つの名跡を名乗ってきました。
陣幕親方の年寄名跡と所属部屋の変化相撲専門の力士記録資料に残る履歴を整理すると、次のようになります。
- 1990年9月: 富士乃真として現役引退。年寄・錦戸を襲名。
- 1990年11月: 年寄名を錦戸司から錦戸哲也に変更。
- 1993年9月: 八角部屋へ移籍。
- 1998年2月: 第19代陣幕を襲名。
- 2025年11月: 65歳を迎え、参与として再雇用される立場に移行。
特に注目したいのは、陣幕という年寄名を名乗り始めてから、2026年現在まで八角部屋に所属している点です。
年寄名跡は本名や現役時代の四股名とは違う陣幕親方の名前には、3つの異なる意味があります。
矢木哲也は本人の本名です。
富士乃真司は現役力士として土俵に上がっていたときの四股名です。
陣幕哲也は引退後に襲名した年寄名と名前を組み合わせた表記です。
この違いを理解すると、検索結果に「富士乃真」「矢木哲也」「陣幕親方」という3種類の名前が出てきても、別人ではないことが分かります。
なお、日本相撲協会の定款第47条では、年寄名跡は協会が管理するものと定められています。単なる愛称や個人的な芸名ではなく、相撲協会の制度に基づく名称です。
【65歳定年と70歳までの再雇用】陣幕親方が参与になった理由

陣幕親方の現在を理解するうえで欠かせないのが、日本相撲協会の年寄定年制度です。
相撲界では、親方として協会に在籍できる年齢に原則として65歳の定年が設けられています。
一方、2014年には定年後の再雇用制度が導入されました。これにより、希望する親方は65歳の定年後も最長70歳まで協会に残ることが可能になっています。
参与とはどのような立場なのか参与は、65歳の定年を迎えた親方が再雇用された場合の立場です。
共同通信の用語解説でも、日本相撲協会の役職体系について、65歳の定年後も再雇用によって70歳まで在籍できる参与という区分が紹介されています。
この制度には、次のような意味があります。
- 経験豊富な親方が引き続き協会の業務に携われる。
- 65歳を迎えた親方が、直ちに協会を離れなくてもよい。
- 再雇用期間には70歳という上限がある。
- 定年前の役職と、再雇用後の参与という立場は区別される。
重要なのは、65歳になれば自動的に70歳まで在籍できるという意味ではないことです。再雇用を希望する親方を対象とする制度であり、70歳は最長の在籍年齢です。
陣幕親方はいつ65歳になった?陣幕親方の生年月日は1960年11月6日です。
したがって、65歳を迎えたのは2025年11月です。
2026年11月1日時点では65歳で、日本相撲協会の公式プロフィールにも参与として掲載されています。
つまり、陣幕親方は現役を引退したわけでも、相撲協会を完全に退職したわけでもありません。定年後の再雇用制度を利用して、引き続き協会に所属している状態です。
【誤解を整理】陣幕親方について知っておきたい5つの事実
陣幕親方を検索すると、現役時代の名前と現在の名前、年齢や所属部屋、役職などが混在して表示されることがあります。
特に間違えやすいポイントを整理します。
1.陣幕親方と富士乃真は同一人物陣幕親方は、元前頭筆頭の富士乃真司です。
本名は矢木哲也であり、現役引退後に年寄名跡を襲名して陣幕親方となりました。
2.陣幕親方は現在も八角部屋に所属している2026年の公式プロフィールでも所属部屋は八角部屋です。
別の相撲部屋を経営しているわけではありません。八角親方が師匠を務める部屋に所属する親方です。
3.参与は協会を引退した人という意味ではない参与は定年後の再雇用に関係する役職区分です。
陣幕親方は2026年10月16日現在の職務分掌にも名前があり、監察委員会を担当しています。
4.前頭筆頭は幕内優勝を意味しない前頭筆頭は番付上の最高位であり、優勝回数とは別の記録です。
富士乃真は前頭筆頭まで昇進していますが、公式記録上、幕内優勝や三賞、金星の獲得はありません。
5.引退場所は平成2年9月場所1990年9月場所が富士乃真としての最後の場所です。
引退後は親方として協会に残り、錦戸から陣幕へと年寄名を変えて現在に至っています。
【陣幕親方に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:陣幕親方は現在誰ですか?
陣幕親方は、元前頭筆頭の富士乃真司です。本名は矢木哲也で、千葉県船橋市出身。2026年11月現在は八角部屋所属の参与として日本相撲協会に在籍しています。
Q2:陣幕親方の現役時代の最高位は何ですか?
前頭筆頭です。九重部屋に所属し、1976年3月場所に初土俵を踏みました。生涯戦歴は408勝386敗47休、幕内戦歴は93勝111敗21休です。
Q3:富士乃真はいつ引退しましたか?
平成2年(1990年)9月場所です。引退後は年寄・錦戸を襲名し、その後、陣幕へと名跡を変更しました。
Q4:陣幕親方が所属している相撲部屋はどこですか?
八角部屋です。八角部屋の師匠は元横綱・北勝海の八角親方で、陣幕親方は部屋付きの親方として所属しています。
Q5:陣幕親方はなぜ参与になったのですか?
2025年11月に65歳を迎えたためです。日本相撲協会には、65歳の定年後も希望する親方を最長70歳まで再雇用する制度があります。陣幕親方はその制度に基づく参与として協会に在籍しています。
Q6:陣幕親方は70歳まで相撲協会に残れますか?
制度上は、再雇用された親方が最長70歳まで在籍できる仕組みです。ただし、70歳までの在籍が無条件に保証されているという意味ではありません。
2026年11月現在の陣幕親方は、元前頭筆頭・富士乃真司こと矢木哲也氏です。
現役時代は九重部屋で活躍し、通算408勝386敗47休、最高位は前頭筆頭。1990年9月場所に引退した後は、錦戸、陣幕という年寄名跡を襲名しながら親方として活動を続けてきました。
現在は八角部屋に所属し、65歳の定年後に再雇用された参与です。2026年10月16日現在の協会の職務分掌では、監察委員会を担当しています。
【プロの結論】
陣幕親方を正確に理解するには、次の3つを分けて考えることが大切です。
- 人物としての経歴: 本名は矢木哲也、現役時代は富士乃真司。
- 親方としての経歴: 錦戸を経て陣幕を襲名し、八角部屋に所属。
- 2026年現在の立場: 65歳の定年後、参与として再雇用され、監察委員会を担当。
特に、参与という肩書は相撲界からの完全な引退を意味しません。65歳以降も経験を生かして協会の仕事に携わるための制度です。
富士乃真として土俵に立った時代から、陣幕親方として協会を支える現在まで、名前と立場の変化を追うことで、その長い相撲人生を正しく理解できます。
今後も注目したいのは、70歳までの再雇用制度の中で、陣幕親方がどのような役割を担っていくかという点です。