「五ノ井さん加害者の実名」をめぐり、報道で氏名が確認できるのは、強制わいせつ罪で有罪判決を受けた元陸上自衛官3人、渋谷修太郎・関根亮斗・木目沢佑輔です。福島地方裁判所は2023年12月12日、3人にそれぞれ懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。3人は控訴せず、判決は確定しています。
一方、五ノ井里奈さんが起こした民事訴訟の被告は、元隊員5人と国です。5人全員の氏名が報道で確認できるわけではありません。2026年1月26日には、最後まで残っていた元隊員1人と国との和解が横浜地方裁判所で成立し、一連の民事訴訟も終結しました。ここでは、実名が確認できる人物、刑事裁判の結果、防衛省の懲戒処分、元隊員5人との和解までを整理します。
【先に結論】五ノ井さんの加害者で実名が報道されている3人は誰?

五ノ井里奈さんへの強制わいせつ事件で、刑事裁判の被告として実名が報道され、有罪判決を受けたのは次の3人です。
- 渋谷修太郎
- 関根亮斗
- 木目沢佑輔
3人はいずれも事件当時、陸上自衛隊に所属していた元3等陸曹です。五ノ井さんと同じ部隊に関係しており、2021年8月3日に北海道の陸上自衛隊演習場で発生した性暴力事件について、強制わいせつ罪に問われました。
2023年12月12日、福島地裁は3人に対し、それぞれ懲役2年・執行猶予4年を言い渡しました。3人は当初、起訴内容の一部を否認して無罪を主張していましたが、裁判所は五ノ井さんの証言や元同僚らの証言などを踏まえ、有罪と判断しました。
この判決は控訴されず、12月27日までに確定しています。したがって、3人については単なる疑惑やSNS上の噂ではなく、刑事裁判で有罪が確定した事実があります。
ただし、ここで押さえておきたいのは、実名が確認できる3人と、民事訴訟の被告となった5人は同じ範囲の話ではないという点です。残る2人については、上記3人と同じように実名を確認できる刑事判決報道はありません。
【事件の背景】五ノ井里奈さんが陸上自衛隊郡山駐屯地で受けた性被害とは
五ノ井里奈さんは2020年4月に陸上自衛隊へ入隊し、福島県の郡山駐屯地に関係する部隊に配属されました。
しかし、勤務中や訓練に関連する場面で、複数の男性隊員から性的な発言や身体接触を受けるようになりました。防衛省が後に実施した調査では、2021年6月と8月の出来事を含め、日常的なセクシュアルハラスメントの実態も確認されています。
2021年8月3日の演習場で起きた事件刑事裁判の対象となったのは、2021年8月3日夜、北海道別海町の陸上自衛隊演習場にある施設で発生した事件です。
判決によると、元隊員3人は格闘技の技を使って五ノ井さんをベッドに押し倒し、覆いかぶさるなどして、着衣越しに下半身を接触させるわいせつな行為をしました。
裁判では、行為が強制わいせつ罪に該当するかどうかが争点となりました。被告側は行為の性的な意味合いなどを否定する主張をしていましたが、福島地裁はこれを退けました。
2023年12月の判決では、被害者の人格を無視した卑劣で悪質な行為だったと評価されています。
五ノ井さんの実名告発と防衛省の対応五ノ井さんは2022年6月、自衛隊で受けた被害を実名で公表しました。自らの氏名と顔を出して告発したことで、陸上自衛隊内部の性暴力やハラスメントの問題が広く知られるようになりました。
防衛省は調査を進め、同年9月29日には五ノ井さんへの性暴力を含むセクハラの事実を認め、謝罪しました。
この事件は、個人間のトラブルだけではなく、被害の訴えを受けた組織がどのように調査し、被害者を守るべきだったのかという問題にも発展していきました。
五ノ井さんの性被害事件は、2021年の被害発生から2026年の民事訴訟終結まで、刑事手続きと民事手続きが並行して進みました。
主な出来事を時系列で整理すると、次のようになります。
| 時期 | 出来事 | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| 2021年6月 | 性的ハラスメント | 防衛省の調査で性的な身体接触などを確認。 |
| 2021年8月3日 | 演習場での性暴力 | 後に渋谷修太郎ら3人が強制わいせつ罪で起訴された事件が発生。 |
| 2022年6月 | 実名告発 | 五ノ井さんが被害を公表。同月に自衛隊を退職。 |
| 2022年9月29日 | 防衛省が被害を認定 | 調査結果を公表し、五ノ井さんに謝罪。 |
| 2022年12月15日 | 懲戒処分 | 関係する隊員5人を免職処分。上司らにも処分。 |
| 2023年1月 | 民事訴訟を提起 | 元隊員5人と国に損害賠償を請求。 |
| 2023年10月 | 民事和解 | 元隊員1人との和解が成立。 |
| 2023年12月12日 | 刑事有罪判決 | 渋谷修太郎ら3人に懲役2年・執行猶予4年。 |
| 2023年12月27日 | 判決確定 | 3人が控訴せず、有罪判決が確定。 |
| 2024年7月9日 | 民事和解 | 有罪判決を受けた元隊員3人との和解が成立。 |
| 2026年1月26日 | 最後の民事和解 | 残る元隊員1人と国との和解が成立。国が160万円を支払い、訴訟終結。 |
この年表から分かるのは、刑事裁判の有罪判決が確定した時点で、民事訴訟がすべて終わったわけではなかったということです。
刑事裁判では、特定の3人が行った強制わいせつ行為について判断されました。一方、民事訴訟では、元隊員5人の行為に加え、防衛省・国側の調査や安全配慮義務の問題も争われました。
この2つの手続きは目的が異なるため、判決確定後も民事訴訟が続いていたのです。
【防衛省の調査と懲戒免職】加害に関係した元隊員5人への処分
防衛省が公表した2022年12月15日付の懲戒処分資料には、五ノ井さんの被害について、陸上自衛隊東北方面隊が実施した調査結果がまとめられています。
約100人への聞き取りで判明した組織内の問題調査は2021年8月末に始まり、五ノ井さんが所属していた郡山駐屯地の中隊を中心に、約100人から聞き取りを行いました。
捜査機関による捜査への配慮から、2021年9月中旬から2022年5月末までは調査が中断されました。その後、2022年9月からは防衛監察本部所属の検事や検察庁からの出向事務官も調査に参加しています。
防衛省の資料では、2021年6月の性的な身体接触、同年8月の押し倒しや性的接触、日常的な身体接触や性的発言などが確認されています。
加えて、被害の訴えを受けた中隊長が十分な事実確認を行わなかったことも記載されています。
2022年12月15日に発表された懲戒処分防衛省は調査結果を踏まえ、性暴力に関係した隊員5人を免職処分としました。
また、性的な発言をした別の隊員には訓戒、被害の申し出に対して十分な調査を行わなかった中隊長には停職6か月の処分が下されています。大隊長と連隊長にも、それぞれ注意や口頭注意が行われました。
ここで重要なのは、処分対象が実際に行為をした隊員だけに限られなかったことです。被害の申し出を受けた後の対応や、上司による監督責任も問題として扱われました。
なお、防衛省の公表資料では、関係者はA2曹、B3曹などの記号で記載されています。今回の3人の実名は、主に刑事裁判を報じた報道によって確認できます。
【民事訴訟の結末】元隊員5人との和解と2026年1月26日の重要な決着
五ノ井さんは2023年1月、元隊員5人と国を相手取り、横浜地方裁判所に損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。
訴訟で問われたのは、元隊員による性的な行為だけではありません。五ノ井さんが被害を申し出た後、十分な調査や再発防止の措置が行われなかったことについて、国の責任も争われました。
2023年10月と2024年7月に4人との和解が成立民事訴訟では、最初に2023年10月、元隊員1人との和解が成立しました。
続いて2024年7月9日には、刑事裁判で有罪判決を受けた渋谷修太郎、関根亮斗、木目沢佑輔の3人との和解が成立しました。報道によると、3人は謝罪し、一定の金銭を支払う内容でした。
これにより、元隊員5人のうち4人との民事上の和解が成立しましたが、国と残る元隊員1人との訴訟は継続していました。
2026年1月26日、最後の元隊員と国が和解大きな節目となったのが、2026年1月26日です。
この日、横浜地裁で五ノ井さんと最後に残っていた元隊員1人、そして国との和解が成立しました。これによって、元隊員5人全員との和解が成立し、一連の民事訴訟が終結しました。
特に注目されたのが、国側の金銭支払いです。五ノ井さんの代理人弁護士による説明では、国が支払う金額は合計160万円でした。
- 110万円:国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金
- 50万円:安全配慮義務違反に基づく損害賠償金
一方、最後に和解した元隊員本人との間には、直接の金銭賠償や謝罪を定める条項はありませんでした。
代理人弁護士の説明によると、元隊員側から謝罪文言の提案はあったものの、本人が自分の行為を認めて謝罪する内容ではなく、別の隊員の行為によって苦痛を与えたことを謝る趣旨だったため、五ノ井さん側は受け入れませんでした。
つまり、2026年1月26日の和解は、最後の元隊員から直接謝罪や金銭を受け取る形ではなく、国が160万円を支払うことで成立したものです。
和解成立時に五ノ井さんが語った言葉和解成立後、五ノ井さんは東京都内で記者会見を開き、長く続いた訴訟について次のように語りました。
「ようやく自分の人生を自分の足で歩き出すためのスタートだと思っています」
この言葉は、単に裁判が終わったという報告ではありません。被害を公表してから約4年半に及んだ時間を振り返り、自分の人生を前に進めようとする意思を示したものです。
2026年1月26日の和解は、被害者個人が元隊員だけでなく、組織の調査や安全配慮の責任を問い続けた一連の裁判に区切りをつける出来事となりました。
【実名報道の範囲】加害者5人全員の名前が公表されているわけではない
「五ノ井さんの加害者は5人全員が実名公表されているのか」という疑問については、情報を分けて理解する必要があります。
防衛省は性暴力に関係した隊員5人を懲戒免職としましたが、公式の処分資料では個人名ではなく記号を使用しています。
一方、刑事裁判では、強制わいせつ罪に問われた3人について、新聞社やテレビ局などが氏名を報道しています。
したがって、氏名を確認できる範囲は次のように整理できます。
- 渋谷修太郎:強制わいせつ罪で有罪判決が確定した元隊員。
- 関根亮斗:強制わいせつ罪で有罪判決が確定した元隊員。
- 木目沢佑輔:強制わいせつ罪で有罪判決が確定した元隊員。
- その他の元隊員2人:民事訴訟の被告であり、懲戒免職となったことは報道・公表資料で確認できるが、上記3人と同じ形で実名を確認できる情報はない。
1つ目は、懲戒免職と刑事有罪判決は別の処分・判断であること。
懲戒免職は組織内部の規律に基づく処分です。刑事裁判の有罪判決は、刑法上の犯罪について裁判所が判断した結果です。5人が懲戒免職になったことと、3人が刑事裁判で有罪になったことは、区別して理解する必要があります。
2つ目は、民事訴訟の和解が刑事裁判の有罪判決を意味するわけではないこと。
民事和解は、当事者間で争いを解決するための合意です。刑事裁判で有罪判決を受けた3人と、民事訴訟で和解した残る元隊員1人では、法的な位置づけが異なります。
3つ目は、5人全員の実名を推測で補わないこと。
報道で確認できる3人の氏名と、民事訴訟の被告5人という情報を混同し、残る2人の名前まで断定することはできません。公表された事実の範囲を守ることが、事件の正確な理解につながります。
【プロの結論】五ノ井さんの事件で本当に問われたのは個人と組織の責任
五ノ井里奈さんの事件を振り返ると、注目すべき点は、実名が報道された3人の刑事責任だけではありません。
防衛省の調査では、複数の隊員による性的な身体接触や発言が確認され、被害の訴えを受けた上司が十分な調査を行わなかったことも明らかになりました。
この経緯が示しているのは、ハラスメントが発生した際、行為者個人への処分だけでは問題が解決しないということです。被害を受けた人が安心して相談できる仕組み、訴えを受けた上司が適切に調査する体制、そして報告した人を不利益から守る組織文化が必要になります。
2026年も続く自衛隊のハラスメント対策2026年2月10日の陸上自衛隊・荒井陸上幕僚長の定例記者会見では、五ノ井さんとの民事訴訟終結を受け、ハラスメント対策について質問が行われました。
陸幕長は、組織としてハラスメントを一切許容しない風土を根付かせる方針を説明する一方、現状について次のように述べています。
「現時点ではハラスメントを完全に根絶できているわけではありません」
また、部隊の監察、隊員との懇談、アンケートなどを通じて現場の状況を把握し、改善を続ける考えを示しました。
この発言は、五ノ井さんの裁判が終結しても、組織のハラスメント対策が完成したわけではないことを示しています。
今回の事件を理解する際には、次の3点を判断基準にすると、情報を正確に整理できます。
- 個人の刑事責任:福島地裁で有罪判決を受けた3人の氏名と判決内容を確認する。
- 組織の責任:防衛省の調査結果や上司への懲戒処分を確認する。
- 民事上の解決:2026年1月26日の和解内容と国の損害賠償を刑事判決とは分けて理解する。
実名だけを追うと、事件の全体像を見失いがちです。刑事裁判、懲戒処分、民事訴訟という3つの側面を合わせて見ることで、何が認定され、どこまで責任が問われたのかが明確になります。
【五ノ井さんの加害者実名】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:五ノ井里奈さんへの性被害事件で実名が公表された加害者は誰ですか?
A1:刑事裁判で強制わいせつ罪の有罪判決を受け、報道で実名が確認できるのは、渋谷修太郎、関根亮斗、木目沢佑輔の3人です。
Q2:3人の有罪判決はどのような内容でしたか?
A2:2023年12月12日、福島地裁は3人にそれぞれ懲役2年・執行猶予4年の判決を言い渡しました。3人は控訴せず、同月27日までに判決が確定しています。
Q3:2026年1月26日の和解で何が決まったのですか?
A3:横浜地裁で、五ノ井さんと最後に残っていた元隊員1人、国との和解が成立しました。国は国家賠償法に基づく110万円と安全配慮義務違反に基づく50万円、合計160万円を支払うことになり、元隊員5人と国を相手取った民事訴訟は終結しました。
五ノ井里奈さんの性被害事件で、刑事裁判の有罪判決が確定し、実名が報道で確認できる元陸上自衛官は、渋谷修太郎・関根亮斗・木目沢佑輔の3人です。福島地裁は2023年12月12日、3人に懲役2年・執行猶予4年を言い渡しました。
また、防衛省は関係する元隊員5人を懲戒免職とし、上司にも処分を行いました。五ノ井さんが提起した民事訴訟では、2023年10月、2024年7月と段階的に和解が成立し、2026年1月26日には最後の元隊員1人と国との和解が成立しています。
今回の事件で明らかになったのは、性暴力を行った個人の責任だけでなく、被害の訴えを受けた組織がどのように対応するべきだったのかという問題です。
民事訴訟の終結は一つの大きな区切りですが、再発防止や被害を訴えた人を守る仕組みづくりは今後も問われ続けます。五ノ井さんの告発が社会に残した課題を理解するには、実名、刑事判決、防衛省の調査、民事和解をそれぞれ正確に区別することが大切です。
主な確認資料: 防衛省の懲戒処分公表資料、週刊金曜日(朝日新聞記者による判決報道)、TBS NEWS DIG、弁護士JPニュース、陸上自衛隊の2026年2月10日定例記者会見。