フィギュアスケート団体戦を理解するうえで押さえたいのが、選手の演技得点と国に加算される順位点は別物というルールだ。
個人の演技で高い得点を獲得しても、その得点がそのまま国別の合計点に加算されるわけではない。各種目の順位を順位点に換算し、その合計で国の順位を決める。
10カ国で予選、上位5カ国が決勝へ2026年大会では、男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスの4種目を実施。それぞれショートプログラムまたはリズムダンスで予選を行い、上位5カ国がフリー種目の決勝に進出した。
順位点の基本ルールは次のとおり。
- 予選:1位10点、2位9点、3位8点と続き、10位は1点。
- 決勝:1位10点、2位9点、3位8点、4位7点、5位6点。
- 最終順位:全8種目の順位点を合算して決定。
つまり、予選では10カ国が競い、決勝では上位5カ国がさらに4種目でポイントを争う構造だ。
この方式は国際スケート連盟の2026年大会競技規則にも記載されている。
日本の68点はどのように生まれたのか日本代表の順位点を種目別に見ると、強みと課題がはっきりする。
男子シングル
- 鍵山優真:ショートプログラム108.67点で1位。チームに10点。
- 佐藤駿:フリー194.86点で2位。チームに9点。
女子シングル
- 坂本花織:ショートプログラム78.88点で1位、10点。
- 坂本花織:フリー148.62点で1位、10点。
ペア
- 三浦璃来・木原龍一組:ショートプログラム82.84点で1位、10点。
- 三浦璃来・木原龍一組:フリー155.55点で1位、10点。
アイスダンス
- 吉田唄菜・森田真沙也組:リズムダンス68.64点で8位、3点。
- 吉田唄菜・森田真沙也組:フリーダンス98.55点で5位、6点。
この8つの順位点を合計すると、次のようになる。
\[
10+9+10+10+10+10+3+6=68
\]
特に目立ったのは、坂本花織と三浦璃来・木原龍一組が、それぞれ出場した2つのセグメントで1位を獲得したことだ。
一方、アイスダンスでは他国との順位差が生まれた。日本の団体戦を分析すると、シングルとペアでのポイント獲得が銀メダルを支えた大きな要因だったことが分かる。
各選手の演技得点と順位点はISUの公式競技結果で確認できる。
演技得点と順位点を混同しないことが大切例えば、佐藤駿のフリー194.86点は本人の演技に対する採点結果であり、日本の団体ポイントに加わったのは9点だ。
この違いを知らずに結果を見ると、なぜ194点以上を獲得したのにチームには9点しか入らないのか、疑問に感じるかもしれない。
団体戦では、演技の絶対的な得点だけでなく、同じセグメントに出場した他国の選手との順位争いが重要になる。
【決勝進出国と予選順位】2026年大会で残った5カ国は?

2026年大会には10カ国が参加した。予選4種目の順位点を合計し、上位5カ国がフリー種目の決勝へ進出している。
予選の順位点をISUの公式結果から集計すると、次の順番になる。
1. アメリカ:34点
2. 日本:33点
3. イタリア:28点
4. カナダ:27点
5. ジョージア:25点
日本は予選2位で決勝進出を決めた。アメリカとの差はわずか1点だった。
決勝に進めなかった5カ国予選6位以下となったのは、フランス、韓国、中国、イギリス、ポーランド。
この5カ国はショートプログラムとリズムダンスまでの参加となり、フリー種目には進めなかった。
決勝に進めるのは原則として上位5カ国であり、予選での順位がそのまま最終順位になるわけではない。
実際、日本は予選2位から最終2位、イタリアは予選3位から最終3位となった。上位5カ国は決勝でも順位点を積み重ねるため、予選でのリードがあっても最後まで安心できない。
59対59から始まった最終種目のドラマ2026年大会で最も注目されたのは、2月8日の男子フリーだった。
日本とアメリカは、最後の種目を迎える前に59対59で並んでいた。
女子フリーでは坂本花織が148.62点で1位を獲得。ペアフリーでも三浦璃来・木原龍一組が155.55点で1位となり、日本はアメリカとの差を縮めた。
ISUの大会報告によれば、この段階ではタイブレークによって日本が一時的にアメリカを上回る状況も生まれていた。
しかし、最後の男子フリーで流れが変わる。
アメリカのイリア・マリニンが200.03点で1位となり、10ポイントを獲得。日本の佐藤駿は194.86点で2位となり、9ポイントだった。
この1ポイント差が、そのまま最終的な金メダルと銀メダルの差になった。
【日本代表の活躍】坂本花織・鍵山優真・佐藤駿ら7人の役割
日本の銀メダルは、4種目それぞれの選手が役割を果たした結果だった。
JOCのメダリスト情報にも、団体戦の日本代表として坂本花織、鍵山優真、佐藤駿、三浦璃来、木原龍一、吉田唄菜、森田真沙也の7人が記録されている。
坂本花織:女子シングルで2つの1位坂本花織は女子ショートプログラムとフリーの両方で1位を獲得した。
ショートプログラムでは78.88点、フリーでは148.62点。どちらも日本に10ポイントをもたらしている。
団体戦では一度の好演技だけでなく、予選と決勝の両方で安定した結果を残すことが必要になる。坂本の2つの1位は、日本のポイント獲得に大きく貢献した。
鍵山優真:男子ショートプログラムで首位鍵山優真は男子ショートプログラムで108.67点を記録し、1位となった。
アメリカのイリア・マリニンを上回る演技で、日本に10ポイントをもたらした。
団体戦ではショートプログラムとフリーの両方に同じ選手が出場するとは限らない。日本は男子フリーで佐藤駿を起用する選択をした。
佐藤駿:男子フリーで2位、194.86点佐藤駿は最終種目の男子フリーに出場し、194.86点を獲得した。
結果は2位。マリニンには及ばなかったものの、日本に9ポイントを追加した。
この種目で日本が10ポイントを獲得していれば、アメリカと並ぶ69点となっていた。最後の順位争いがどれほど僅差だったかを示す結果だ。
三浦璃来・木原龍一:ペアで2つの首位三浦璃来・木原龍一組は、ペアのショートプログラムとフリーの両方で1位を獲得した。
ショートプログラム82.84点、フリー155.55点という結果で、合計20ポイントを日本にもたらした。
ペアは男女2人の呼吸やタイミングが求められる競技だ。個々の技術だけでなく、リフトやスロージャンプなど、2人で完成させる演技の精度が順位に影響する。
2026年大会では、その強さが団体戦のポイントに直接反映された。
吉田唄菜・森田真沙也:アイスダンスで9ポイント吉田唄菜・森田真沙也組はアイスダンスを担当した。
リズムダンスは8位で3ポイント、フリーダンスは5位で6ポイント。合計9ポイントを獲得した。
アイスダンスは、ジャンプやリフトの高さだけで評価される競技ではない。エッジワーク、ステップ、音楽との一体感、2人の動きの調和などが採点に関わる。
シングルやペアとは評価の観点が異なるため、団体戦では4種目それぞれに対応した選手層が必要になる。
【団体戦と個人戦の違い】同じ演技でも順位の意味は変わる
フィギュアスケートの団体戦と個人戦は、同じ競技会場で実施されても、順位の決まり方が異なる。
特に間違えやすいのが、選手個人の順位と国別の順位を同じものとして考えてしまうことだ。
団体戦と個人戦の比較団体戦
- 4種目の順位点を国ごとに合算する。
- 予選を通過した上位5カ国がフリー種目を実施する。
- 国としての合計順位でメダルが決まる。
- 選手の演技順位が国の順位点に変換される。
個人戦
- 男子、女子、ペア、アイスダンスの各競技で個別に競う。
- ショートプログラムとフリーの得点を合算する競技では、その合計点で順位を決定する。
- 国別の順位点は存在しない。
- 個人またはペア・カップルとしてメダルを獲得する。
ISUの競技規則でも、個人戦は技術点や演技構成点などを合算した競技得点によって順位を決め、団体戦はセグメントごとの順位をチームポイントに換算する方式と定義されている。
団体戦で好成績でも個人戦で同じ順位になるとは限らない例えば、坂本花織は団体戦の女子ショートプログラムとフリーで1位を獲得した。
しかし、個人戦は別の競技として実施されるため、団体戦の結果だけで個人戦のメダルが決まるわけではない。
同じ選手でも、団体戦と個人戦では対戦する選手、競技日程、演技の条件が異なる。
また、団体戦のために出場した選手が、個人戦でも必ず同じ順位になるとは限らない。
団体戦ならではの選手起用と交代制度団体戦には、個人戦とは違う戦略的な側面もある。
ISUの規則では、個人競技に複数の出場枠がある国は、ショートプログラムやリズムダンスからフリーへの移行時に、最大2人または2組を交代できる。
2026年の日本代表では、男子ショートプログラムを鍵山優真、男子フリーを佐藤駿が担当した。
これは団体戦における選手起用の具体例だ。選手個人の実力に加え、チーム全体でどの選手をどの種目に配置するかも、最終順位に関わってくる。
【歴代オリンピックのフィギュア団体順位】日本は3大会連続メダル
フィギュアスケートのオリンピック団体戦は、2014年のソチ大会から正式に実施されている。
2026年ミラノ・コルティナ大会は4回目の開催に当たる。
歴代のメダル獲得国を見ると、アメリカ、カナダ、ロシア系の代表チームが上位に名を連ねてきた。日本は2014年と2018年に5位だったが、2022年以降は2大会連続で銀メダルを獲得している。
2014年ソチ五輪- 金メダル:ロシア
- 銀メダル:カナダ
- 銅メダル:アメリカ
- 日本:5位
初めて開催された団体戦では、地元ロシアが75点で優勝した。日本は51点で5位だった。
2018年平昌五輪- 金メダル:カナダ
- 銀メダル:OAR(ロシアからのオリンピック選手)
- 銅メダル:アメリカ
- 日本:5位
カナダが金メダルを獲得。日本は5位で、初の団体戦メダルには届かなかった。
2022年北京五輪- 金メダル:アメリカ
- 銀メダル:日本
- 銅メダル:ROC
日本はこの大会で初めてオリンピック団体戦のメダルを獲得した。
ただし、北京大会の最終順位には重要な変更がある。
大会直後の順位ではROCが首位だったが、その後のドーピング問題をめぐる法的手続きとCASの判断を経て、2024年8月2日にISUが最終順位を確認。アメリカが金、日本が銀、ROCが銅という順位に確定した。
したがって、北京五輪の歴代記録を紹介するときは、当初の速報順位ではなく、変更後の公式順位を使う必要がある。
2026年ミラノ・コルティナ五輪- 金メダル:アメリカ(69点)
- 銀メダル:日本(68点)
- 銅メダル:イタリア(60点)
日本は北京に続いて2大会連続の銀メダルとなった。
アメリカは2022年に続く2大会連続の金メダル。イタリアは地元開催で初めて団体戦の表彰台に上がった。
歴代の日本の成績を振り返ると、2014年と2018年の5位から、2022年と2026年の銀メダルへと成績を伸ばしていることが分かる。
【フィギュア団体順位】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年ミラノ五輪のフィギュア団体戦で日本は何位でしたか?
日本は68点で2位となり、銀メダルを獲得した。優勝は69点のアメリカ、3位は60点のイタリアだった。
Q2:フィギュア団体戦の順位点はどのように計算しますか?
予選は1位10点から10位1点まで、順位に応じてポイントが与えられる。決勝は1位10点から5位6点までとなり、8つのセグメントの順位点を合計して最終順位を決める。
Q3:2026年大会の決勝進出国はどこですか?
アメリカ、日本、イタリア、カナダ、ジョージアの5カ国。予選の順位点はそれぞれ34点、33点、28点、27点、25点だった。
Q4:日本はなぜ金メダルを獲得できなかったのですか?
最後の男子フリーでアメリカのイリア・マリニンが1位となり10点、日本の佐藤駿が2位となり9点を獲得したため。最終結果はアメリカ69点、日本68点の1点差だった。
Q5:坂本花織は団体戦で何位でしたか?
女子ショートプログラムとフリーの両方で1位を獲得した。獲得した順位点は合計20点で、日本の銀メダル獲得に貢献した。
Q6:フィギュア団体戦と個人戦は同じ順位になりますか?
同じ順位にはならない。団体戦は国ごとの順位点の合計で決まり、個人戦は選手やペアの競技得点によって順位が決まる。別々の競技として表彰される。
2026年ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート団体戦は、アメリカ69点、日本68点、イタリア60点という結果で幕を閉じた。
日本は銀メダルを獲得し、北京五輪に続いて2大会連続の表彰台入りを果たした。
今回の大会で特に注目したいのは、次の3点だ。
1. 日本は4種目で異なる強みを発揮した。
坂本花織の女子シングル、鍵山優真と佐藤駿の男子シングル、三浦璃来・木原龍一組のペア、吉田唄菜・森田真沙也組のアイスダンス。それぞれが異なる役割を担い、68点を積み上げた。
2. 最後の1点が金メダルと銀メダルを分けた。
59対59で迎えた男子フリー。マリニンが10点、佐藤が9点を獲得したことが最終順位を決定づけた。
3. 団体戦は個人の演技得点ではなく順位点で競う。
選手の得点と国別ポイントを区別することで、試合の流れや各国の戦略が理解しやすくなる。
フィギュアスケートの団体戦を見る際には、単純な演技得点だけでなく、各種目の順位点、予選順位、決勝進出国、選手交代の有無を確認することが大切だ。
2026年大会で日本が獲得した銀メダルは、4種目の選手がそれぞれの強みを持ち寄った結果であり、最後まで優勝を争ったことを示す記録でもある。
フィギュア団体順位を正しく理解する最大の要点は、選手個人の得点と国別の順位点を分けて見ること。 これを押さえれば、次のオリンピックでも団体戦の勝敗をより深く楽しめる。