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京都オーバーツーリズム2026最新!観光客6279万人の実態と清水寺・嵐山の混雑対策を徹底解説

朝倉 仁 朝倉 仁 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
目次

2026年11月現在、京都のオーバーツーリズム(観光公害)は、観光地の混雑だけでなく、市民の移動や日常生活、地域の文化・環境を左右する都市課題になっている。京都市が2026年6月12日に公表した「令和7年(2025年)京都観光総合調査」によると、2025年の年間観光客数は6,279万人。京都観光の規模が過去最高水準に達する一方、清水寺周辺や嵐山などでは人の集中、道路渋滞、市バスの混雑、観光マナーをめぐる問題が続いている。

ただし、京都市全域が常に混雑しているわけではない。問題の本質は、観光客の総数だけでなく、人気スポットや特定の時間帯、限られた交通手段に人流が集中することにある。2026年は観光特急バスEX100・EX101の利用促進、京都観光デジタルマップ「Kyoto Smart Navi(京スマ)」の活用、観光マナー啓発「KYOTO TOURISTSHIP」など、対策も新たな段階に入った。数字と現場の課題を照らし合わせ、京都観光の現在地と今後を検証する。

【2025年の観光客数6,279万人】京都のオーバーツーリズムはどこまで深刻なのか

京都オーバーツーリズム

京都の観光公害を考えるうえで、まず押さえたいのが2025年の観光統計だ。京都市産業観光局が2026年6月に公表した調査によると、2025年の観光客数は6,279万人で、2024年の5,606万人から673万人増加した。

観光消費額も約2兆474億円に達し、前年比8.7%増となった。観光は京都経済を支える重要な産業であり、観光客の増加を単純に悪と決めつけることはできない。一方、経済的な恩恵と、観光地周辺で発生する生活上の負担は別々に評価する必要がある。

6,279万人の内訳から見える京都観光の特徴

特に注目したいのは、日帰り客が圧倒的に多い点だ。2025年の内訳は、日帰り客が4,620万人、宿泊客が1,659万人。割合にすると、日帰り客が約73.6%、宿泊客が約26.4%となる。

また、日本人観光客は5,011万人、外国人観光客は1,268万人だ。外国人の割合は約20%であり、京都の混雑を外国人旅行者だけの問題として捉えるのは実態に合わない。国内旅行者や日帰り客も、交通や観光地の混雑を構成する大きな要因になっている。

なお、京都市の観光客数は、観光目的の訪問者だけを数えたものではない。市外在住者が通勤・通学以外の目的で京都を訪れた場合、買い物、仕事、イベント、観劇、スポーツ、知人訪問なども統計に含まれる。外国人観光客数についても、訪日外客数と京都府への訪問率から算出した参考値という性格がある。数字の意味を理解しておくことが大切だ。

以下は京都市の2025年観光総合調査に基づく主要データである。

項目・関連エンティティ 2025年の実績・役割 オーバーツーリズムとの関係
京都市の年間観光客数 6,279万人 2025年の過去最高水準を示す指標
日帰り客 4,620万人・約73.6% 短時間に人気スポットへ人が集中しやすい
宿泊客 1,659万人・約26.4% 滞在時間や宿泊需要、地域経済に関係
日本人観光客 5,011万人 国内旅行者も混雑を構成する主要な層
外国人観光客 1,268万人 宿泊需要や国際観光の拡大と関係
観光消費額 約2兆474億円 観光が地域経済にもたらす経済的効果
清水寺・東山 京都駅から観光特急バスが運行 交通混雑と人気観光地への集中が課題
嵐山 竹林・渡月橋周辺に観光客が集中 歩行空間と道路交通の混雑が課題
京都市・京都市観光協会 交通対策、分散観光、マナー啓発を推進 市民生活と観光の調和を目指す

出典は京都市「令和7年(2025年)京都観光総合調査」。観光客数の推移、日帰り・宿泊別の人数、観光消費額を整理した。

【観光公害の原因と理由】なぜ京都では混雑が解消しにくいのか

京都のオーバーツーリズムには、単純な観光客の増加だけでは説明できない構造的な原因がある。観光地の配置、交通網、旅行者の行動パターン、SNSによる情報拡散が重なり、限られた場所に人が集まりやすくなっている。

原因1:SNSと定番観光ルートへの集中

清水寺、伏見稲荷大社、嵐山の竹林、渡月橋、祇園などは、国内外の旅行者に広く知られた観光地だ。写真や動画で魅力が伝わりやすく、旅行前に情報を集める段階で訪問先が似通いやすい。

特に、SNSや動画投稿サイトで紹介された撮影スポットは、同じ構図を求める旅行者が集まりやすい。目的地が集中すると、観光施設だけでなく、最寄り駅、バス停、周辺道路、飲食店まで混雑が波及する。

観光客の分散を進めるには、単に別の名所を紹介するだけでなく、旅行者が実際に訪問先を変更したくなるような体験や移動手段を用意する必要がある。

原因2:日帰り観光による時間的な集中

2025年の統計で日帰り客が約7割を占めたことは、京都観光の交通問題を考えるうえで重要だ。日帰り旅行では、限られた時間に複数の有名スポットを巡る行動が生まれやすい。

朝に京都駅へ到着し、清水寺や祇園を訪れ、午後に嵐山へ移動するような行程が重なれば、同じ時間帯に同じ交通機関や道路へ需要が集中する。

宿泊を伴う観光を増やすだけで混雑が解消するわけではないが、滞在時間を延ばし、朝観光や夜観光、郊外観光を組み合わせることは、時間帯の分散につながる可能性がある。

原因3:生活道路と観光ルートが重なっている

京都の特徴は、観光地と住宅地、商店街、学校、通勤経路が近接していることだ。観光客が利用する道路やバス路線が、住民の日常生活にも使われている。

大型観光バスや観光客を乗せた車両が道路に集中すると、渋滞が発生する。歩行者が増えれば、狭い歩道や交差点では車両の通行にも影響する。観光地だけを切り離して交通計画を考えることが難しい都市構造なのだ。

原因4:マナー問題と受け入れ環境の不足

旅行者の増加に対して、トイレ、ごみ箱、荷物預かり、歩行空間、案内表示などの受け入れ環境が十分に整っていなければ、地域住民や事業者の負担が増える。

また、観光マナーは国籍だけで決まるものではない。日本人旅行者にも外国人旅行者にも、私有地への立ち入り、道路上での撮影、ごみの放置、歩道をふさぐ行為などが問題になる可能性がある。

観光客数を増やす施策と同じ速度で、地域の受け入れ環境やルールの周知を進められるかどうかが、京都の観光政策を左右する。

【清水寺・嵐山の混雑実態】京都のどこで観光公害が深刻化しているのか

京都の混雑を理解するには、市内全域を一括りにするのではなく、エリアごとの特徴を見る必要がある。特に課題が顕在化しているのが、東山・清水寺周辺と嵐山だ。

清水寺周辺:参拝客と観光客が狭い道路に集中

は京都を代表する観光名所であり、清水坂、五条坂、産寧坂、二年坂などの周辺にも多くの旅行者が訪れる。

このエリアの問題は、観光客が寺院の境内だけにとどまらないことだ。参道には土産物店や飲食店が並び、写真撮影や買い物をする人が歩行空間に滞留する。加えて、祇園や八坂神社方面へ移動する人も加わり、混雑が周辺地域へ広がる。

特に桜や紅葉の時期、休日の観光ピークには、歩行者の流れが滞りやすい。清水寺へ向かう市バスにも利用が集中するため、バス停の行列や乗車待ちが問題になる。

京都市は2026年秋の対策として、東山地域の主要交差点に交通誘導員を配置するほか、維新の道と二年坂の交差点でマナー啓発員を通年配置する取り組みを進めている。

嵐山:竹林と渡月橋に集中する人流

では、竹林の小径、渡月橋、天龍寺周辺が代表的な観光スポットとなっている。

竹林の小径は、竹が連なる景観を撮影したい旅行者に人気がある。しかし、通路の幅には限りがあり、立ち止まって撮影する人が増えると歩行者の流れが滞る。

渡月橋周辺も同様だ。橋を渡る人、写真を撮る人、飲食店を訪れる人、車両の通行が重なり、観光シーズンには歩行者と自動車の双方に負担が生じる。

嵐山の混雑を一層難しくしているのは、鉄道駅や道路から観光スポットまでの移動が限られた空間に集中することだ。京都市は長辻通の竹林入口付近にマナー啓発員を配置するなど、地域に密着した対策を進めている。

混雑状況は時間帯と季節によって変わる

京都の観光客が特に増える時期は、一般的に桜の3月下旬から4月上旬、紅葉の11月中旬から12月上旬、祇園祭の7月中旬などだ。

ただし、同じ観光地でも時間帯によって混雑状況は異なる。清水寺や嵐山が混んでいるからといって、市内のすべての観光スポットが同じように混んでいるわけではない。

京都市と京都市観光協会が提供する混雑予測やライブカメラを確認し、訪問する時間と場所を調整することが現実的な回避策になる。

京都市が公表する観光課題対策資料でも、清水寺などの人気スポットへの集中、嵐山周辺の混雑、道路や市バスの交通問題が取り上げられている。

【京都市民の生活への影響】観光経済の恩恵と住民の不満が共存する

京都のオーバーツーリズムを考えるうえで、最も重要なのは市民の受け止め方だ。観光によって経済が潤う一方、毎日の通勤や買い物、通学に支障が出れば、住民が観光振興に疑問を感じるのは自然なことだ。

約8割の市民が混雑やマナー問題で迷惑を感じている

京都市が2025年9月から10月に実施し、同年12月24日に公表した「京都観光に関する市民意識調査」は、京都観光の課題を示す重要な資料だ。

市内在住の18歳以上5,500人を無作為抽出し、2,745件の有効回答を得た調査では、観光に関する4つの問題のうち、少なくとも1項目で迷惑を感じている市民は79.9%だった。

個別の回答では、観光地やその周辺の混雑が70.6%、バスや地下鉄などの混雑が63.8%、道路渋滞が55.9%、観光客のマナー違反が56.3%となっている。

この数字が示すのは、問題が一部の観光地の印象だけではないということだ。交通機関の混雑や道路渋滞など、観光地から離れた生活動線にも影響が及んでいる。

市バスの混雑は市民の移動を妨げる

京都市バスは、観光客だけのための交通機関ではない。市民の通勤、通学、通院、買い物にも利用される公共交通である。

ところが、京都駅から清水寺、祇園方面へ向かう路線などでは、観光客の利用が集中しやすい。大きなスーツケースを持つ乗客が車内に乗り込むと、通路や降車口が使いにくくなる場合もある。

観光シーズンには増便などの対策が取られているが、車両数や道路の容量には限界がある。単純にバスを増やすだけでは、渋滞によって運行間隔が乱れ、十分な改善につながらない可能性もある。

ごみ・騒音・私有地への立ち入りも生活問題に

観光地周辺では、食べ歩きに伴うごみの放置、大声での会話、住宅前での撮影や座り込み、私有地への無断立ち入りなどが問題となる。

祇園では芸妓や舞妓を追いかけたり、無断で撮影したりする行為が問題視されてきた。観光客にとっては一時的な撮影体験でも、地域住民や文化を担う人々にとっては日常の生活空間である。

京都市観光協会は、2026年10月に開始したKYOTO TOURISTSHIPで、芸妓・舞妓を呼び止めないこと、禁止区域で撮影しないこと、私有地に入らないことなどを具体的に案内している。

観光は京都経済を支える重要な産業でもある

一方で、観光を縮小すれば問題が解決するという考え方にも注意が必要だ。京都市の調査では、京都市の発展に観光が重要な役割を果たしていると回答した市民は70.1%だった。

観光消費は宿泊施設、飲食店、小売店、交通事業者、文化施設など幅広い産業に関係する。2025年の観光消費額が約2兆474億円に達したことからも、その経済的重要性は明らかだ。

したがって、政策の方向性は観光客を一律に減らすことではなく、住民の暮らしを守りながら、観光による利益を地域に還元する仕組みを整えることにある。

京都市の市民意識調査では、観光の経済的・文化的な意義と、混雑やマナー違反への不満が同時に表れている。

【京都市のオーバーツーリズム対策】EX100・EX101と京スマの実力

京都市は2026年、観光客の移動を効率化する交通施策と、混雑状況を可視化するデジタル施策、旅行者の行動を改善するマナー啓発を組み合わせている。

観光特急バスEX100・EX101とは?

観光特急バスは、観光客の利用が多い東山方面へ直行し、市民利用の多い一般路線バスとの棲み分けを目指す交通サービスだ。2024年6月1日に運行を開始し、土日祝日に運行している。

一般の市バスとは異なる運賃体系を採用しており、運賃は大人500円、小児250円。観光客が利用する路線を明確にすることで、一般路線への集中を緩和する狙いがある。

EX100とEX101の主な違いは運行ルートだ。

  • EX100:京都駅前から五条坂、清水道、祇園、岡崎公園・美術館・平安神宮前を経由し、銀閣寺前まで運行する。清水道は京都駅行きのみ停車する。
  • EX101:京都駅前から五条坂(清水寺)までを結ぶ直行ルート。

観光特急バスを利用すれば、目的地に応じた移動を選びやすくなる。ただし、道路渋滞の影響を受ける可能性はあり、必ずしも一般路線より早く到着できるとは限らない。

2026年秋はEX100のルート変更も実施

京都市交通局は2026年10月、秋の観光シーズンに合わせた市バス混雑対策を発表した。

注目されるのが、五条坂交差点の左折に時間がかかる問題への対応だ。EX100の京都駅から五条坂までの往路について、EX101と同じ七条通・東山通経由に変更する取り組みが予定されている。

実施日は2026年11月21日~23日、11月28日・29日の計5日間。観光特急バスの案内には、バス接近情報サービス「ポケロケplus+」も活用され、観光客を比較的混雑していないバスへ誘導する取り組みも進められている。

また、2026年10月9日から12月13日まで、動画広告などを通じて観光特急バスや地下鉄・バス1日券の認知度向上を図る施策も実施されている。

京都観光デジタルマップ「Kyoto Smart Navi(京スマ)」とは?

もう一つの重要な取り組みが、京都観光デジタルマップ「Kyoto Smart Navi(京スマ)」だ。2024年11月1日に運用が始まったこのサービスは、観光客がスマートフォンで京都市内の観光情報や交通情報を確認できるデジタルプラットフォームである。

主な機能は次のとおりだ。

  • 観光スポットの位置や施設情報の確認
  • 観光地の混雑予測とリアルタイム混雑情報の確認
  • ライブカメラによる現地の混雑状況の確認
  • 市内道路の交通規制や渋滞傾向の確認
  • 観光バス・一般車向け駐車場の情報確認
  • 公衆トイレ、ごみ箱、喫煙所などの情報確認
  • 手荷物預かり・配送サービスの検索
  • 現在地から目的地までのルート検索

従来の観光案内との違いは、観光スポットの紹介に加えて、混雑状況や交通情報を旅行者の行動選択に結び付けていることだ。

例えば、清水寺周辺が混雑していれば、別のエリアへ先に移動する。駐車場が混雑していれば、公共交通機関やパーク&ライドを検討する。こうした判断を旅行者自身ができるようにすることが、京スマの役割である。

2026年11月からはAIを活用したスタンプラリーも開始

2026年10月19日には、京都観光デジタルマップを活用した新しい分散観光施策も発表された。TVアニメ「推しの子」と連携したデジタルスタンプラリーで、開催期間は2026年11月2日から12月14日までとなっている。

生成AIによる写真判定機能を取り入れ、京都市内の観光スポットや公共交通機関の駅、パーク&ライド駐車場などを巡る仕組みだ。謎解きやクイズなどのミッションをクリアするとポイントを獲得でき、公共交通機関やパーク&ライドなどの利用もポイントの対象となる。

単なるデジタル観光案内ではなく、旅行者が楽しみながら訪問先や移動手段を変えるよう促す点に特徴がある。

KYOTO TOURISTSHIPで観光マナーを具体的に啓発

2026年10月1日には、京都市と京都市観光協会が「KYOTO TOURISTSHIP」を開始した。

これは、旅先の文化や暮らしに配慮しながら旅行を楽しむ姿勢を広める取り組みだ。専用ウェブサイトでは、観光客が守るべき行動をイラストなどで紹介している。

掲載されているマナーは17項目。路上喫煙やごみのポイ捨てをしない、芸妓・舞妓を呼び止めない、禁止区域で撮影しない、私有地に入らない、道路に広がって歩かない、食べ歩きを控えるなど、実際に問題になっている行為に踏み込んでいる。

対応言語は日本語、英語、中国語の簡体字・繁体字。デジタル広告やショート動画、紙の観光マップなどを組み合わせ、旅行前から現地滞在中まで周知する。

加えて、祇園の花見小路通や嵐山の竹林入口、東山の二年坂周辺などでは、地域と連携したマナー啓発員の配置も進められている。

京都市交通局、京都市、京都市観光協会の2026年発表資料によると、交通、デジタル案内、マナー啓発を組み合わせた対策が進行している。

【京都オーバーツーリズムの現状と今後】2026年の対策で何が変わるのか

2026年の京都観光は、混雑を抑えるための施策が以前より具体化している。しかし、対策が発表されたことと、実際に住民の生活が改善したことは同じではない。

課題1:観光特急バスの利用が定着するか

EX100・EX101は、観光客の移動を一般路線から分けるための有効な選択肢だ。ただし、旅行者が存在を知らなければ利用は広がらない。

そのため、京都市は旅行前の広告配信や京都駅での案内、観光地最寄りの停留所での誘導を強化している。今後は認知度だけでなく、実際に一般路線の混雑がどの程度緩和されたかを確認する必要がある。

課題2:混雑予測を実際の行動変化につなげられるか

京スマのようなデジタルツールは、混雑を把握するうえで有効だ。しかし、旅行者が混雑情報を見ても予定を変更しなければ、分散効果は限定的になる。

そのため、AIスタンプラリーのように、別の観光地を訪れること自体に楽しさやメリットを持たせる施策が重要になる。情報を提供する段階から、行動を変える段階へ進められるかがポイントだ。

課題3:市民生活への効果を継続的に測定する必要がある

京都市は2026年9月、秋の観光課題対策と春の取り組み結果を公表した。観光の分散化、市バスの混雑対策、マナー啓発、散乱ごみ対策などを実施した一方、市民意識調査では約8割が混雑やマナー違反に迷惑している状況も示されている。

今後は、観光客数や観光消費額だけではなく、次のような指標を重視すべきだ。

  • 市民が市バスに乗車できるまでの待ち時間
  • 清水寺・嵐山などの時間帯別混雑状況
  • 観光特急バスの利用者数と一般路線への影響
  • 観光客の訪問先が市内各地域へ分散した割合
  • ごみの散乱や私有地への立ち入りなどのマナー問題
  • 市民意識調査における混雑・生活環境への評価

観光の成果を旅行者の満足度だけで判断せず、住民の暮らしやすさと同じ土俵で測定することが必要だ。

京都市の観光政策は「量」から「質」へ移行できるか

京都観光の今後を考えると、単に訪問者数を増やすことだけを目標にする時代から、地域の文化や暮らしを守りながら、満足度の高い観光を実現する段階へ移行する必要がある。

2026年10月に発表された新しい観光コンテンツにも、その方向性が表れている。京町家での伝統工芸体験、京北での自然・文化体験、職人による水引工芸、伏見の酒蔵見学など、定番観光地以外の魅力を紹介する取り組みが始まっている。

有名観光地を短時間で巡る旅行から、地域の文化や職人の仕事、自然、食をじっくり楽しむ旅行へ。こうした転換は、観光客の分散だけでなく、地域経済への利益の広がりにもつながる。

2026年11月1日時点では、2026年の年間観光客数はまだ確定していない。したがって、6,279万人という2025年の実績を最新の通年統計として捉えながら、2026年の対策がどのような結果を生むかを見極める必要がある。

京都市が目指すべきなのは、観光客を遠ざける都市でも、混雑を我慢する都市でもない。旅行者が京都の魅力を楽しみ、市民が安心して日常を送れる都市だ。

その実現には、交通インフラの改善、観光客の分散、地域への利益還元、そして旅行者一人ひとりの行動変化が欠かせない。

【京都のオーバーツーリズム】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:京都のオーバーツーリズムは2026年現在、どの程度深刻ですか?

A1:深刻な課題の一つとなっています。2025年の年間観光客数は6,279万人で、京都市の2025年市民意識調査では79.9%が混雑や交通問題、マナー違反のいずれかで迷惑を感じていました。ただし、混雑は市内全域に均等に発生しているわけではなく、清水寺周辺や嵐山などに集中する傾向があります。

Q2:京都で特に混雑する観光地はどこですか?

A2:代表的なのは清水寺・東山エリアと嵐山です。清水坂や五条坂、二年坂、嵐山の竹林の小径、渡月橋周辺などは、観光客が集中しやすい場所です。桜や紅葉のシーズン、休日などは特に混雑に注意が必要です。

Q3:京都市バスの混雑を避ける方法はありますか?

A3:地下鉄や鉄道を組み合わせる方法が有効です。東山方面へ向かう場合は観光特急バスEX100・EX101も選択肢になります。また、京都観光デジタルマップ「Kyoto Smart Navi」で交通情報や混雑状況を確認し、利用する路線や時間を調整すると移動しやすくなります。

Q4:京都観光デジタルマップ「Kyoto Smart Navi」では何が分かりますか?

A4:観光スポットの情報、混雑予測、リアルタイムの混雑状況、ライブカメラ、道路交通情報、駐車場情報、トイレやごみ箱の位置、手荷物預かりサービスなどを確認できます。目的地までのルート検索にも対応しています。

Q5:京都の観光マナーで特に注意すべきことは何ですか?

A5:ごみのポイ捨てをしない、私有地や民家の敷地に入らない、芸妓・舞妓を追いかけたり無断撮影したりしない、禁止場所で撮影しない、道路や歩道をふさがないことなどです。観光地は地域住民の生活空間でもあることを意識しましょう。

京都のオーバーツーリズムは、2025年の年間観光客数6,279万人という数字だけで語れる問題ではない。日帰り客の多さ、清水寺や嵐山への人流集中、市バスや道路の混雑、観光マナーの問題が重なり、市民生活に具体的な影響を与えている。

一方、観光消費額は約2兆474億円に達しており、観光は京都の経済や文化を支える重要な存在でもある。観光を否定するのではなく、負担を減らしながら地域に利益を還元する仕組みをつくることが求められる。

2026年は観光特急バスEX100・EX101、京都観光デジタルマップ、AIを活用した分散観光、KYOTO TOURISTSHIPなど、対策が多角化している。今後の評価では、施策の数ではなく、実際に混雑が緩和されたか、市民の不便が減ったかが重要になる。

京都が観光都市として長く愛されるためには、訪れる人の満足度と、暮らす人の安心を両立させなければならない。2026年は、その実現に向けた対策が実効性を持つかどうかを見極める重要な年となる。

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朝倉 仁
トレンドリサーチャー 朝倉 仁
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