馬運車について調べると、車体に書かれた馬の名前や、積載頭数、JRAとの関係など、誤解されやすい情報があります。
ここでは、知っておきたいポイントを整理します。
車体に書かれた馬の名前は乗車している馬の名前?馬運車の側面には、ディープインパクトなど、競馬ファンに知られた名馬の名前が書かれていることがあります。
初めて見た人は、その馬が実際に乗っているのではないかと考える可能性があります。
しかし、車体の馬名は、基本的にその車両の輸送対象を示すものではありません。
2020年のKURU KURAによる取材では、日本ダービー優勝馬や年度代表馬、JRA顕彰馬など、競馬の歴史に名を残した馬の名前が車両に採用されていることが紹介されました。
つまり、車体にディープインパクトの名前があっても、ディープインパクトが乗っているわけではありません。名馬への敬意を込めた車両デザインなのです。
馬運車はJRAが直接所有している?ここも混同されやすいポイントです。
JRAの競馬場やトレーニングセンターで活躍する馬運車だからといって、すべてをJRAが直接保有・運転しているわけではありません。
日本馬匹輸送自動車株式会社のような専門輸送会社が、車両の管理や運行を担当しています。
同社はJRAの子会社であり、美浦を拠点とした競走馬輸送を主要事業としています。
また、関西地区には栗東トレーニングセンターを中心に輸送を行う鷹野運送株式会社など、別の専門事業者も存在します。競走馬輸送は複数の専門事業者によって支えられているのです。
競走馬の輸送方法はトラックだけ?基本となるのは馬運車による陸路輸送です。
美浦や栗東のトレーニングセンターから競馬場へ移動する際には、高速道路などを利用して目的地へ向かいます。
一方、北海道への長距離輸送ではフェリーを利用した海上輸送が組み合わされることもあります。
2026年7月のスポニチ競馬Webの報道では、栗東から札幌までの輸送に、フェリーへの積み込み作業を含めて約27時間かかるケースが紹介されました。
馬術競技馬の場合も、輸送距離や競技日程、出発地によって輸送手段が異なります。海外から日本へ移動する場合には航空輸送と国内の馬運車による輸送を組み合わせるなど、競技会場までの移動全体を計画する必要があります。
2026年の馬運車を見るときに注目したい3つのポイント馬運車は外観だけでは性能や輸送品質を判断できません。特に重要なのは次の3点です。
| 判断ポイント | 確認したい内容 |
|---|---|
| 車両の構造 | 馬房の広さ、仕切り、乗降口の傾斜 |
| 快適性・安全性 | 空気ばね、空調、換気、監視カメラ |
| 運行体制 | 厩務員の同乗、運転士の経験、長距離輸送の交代体制 |
2026年の報道でも、猛暑への対応として空調設備や遮熱対策の改良が紹介されています。
馬運車の性能を評価するときは、単に何頭積めるかだけでなく、輸送中に馬が落ち着いて過ごせる環境が整っているかを確認することが大切です。
【馬運車のプロの結論】輸送品質を決めるのは車両性能と人の技術

馬運車の構造や設備を詳しく見ると、競走馬輸送が単なる大型トラックによる運搬ではないことが分かります。
競走馬はレースに向けて日々調教され、厩舎スタッフによって体調やコンディションが管理されています。輸送中に大きなストレスやケガが発生すれば、それまで積み重ねてきた調整にも影響しかねません。
そのため、馬運車には空気ばねや空調、監視カメラなどが導入され、車両面から負担を減らす工夫が施されています。
しかし、設備だけで輸送の安全が完成するわけではありません。
馬運車の進化を支えるのは運転士と厩務員の連携馬の気性や体格はそれぞれ異なります。
同じ車両でも、隣の馬を気にする馬もいれば、輸送中に落ち着かなくなる馬もいます。
こうした個体差を理解し、馬に合わせて仕切りや環境を調整するのが厩務員の役割です。
一方、運転士には、大型車両を安全に操作する技術に加え、馬の状態に配慮した運転が大切です。
日本馬匹輸送自動車株式会社の採用情報でも、大型車両の運転経験や安全運転の技術が重視されています。同社のFAQでは、馬運車は全長12メートルのマニュアル車と説明されています。
今後は暑熱対策と輸送中の状態管理がさらに重要に2026年の競馬輸送を考えるうえで、注目したいのが夏場の暑熱対策です。
2026年7月のスポニチ競馬Webの取材では、馬室内の温度管理、複数箇所からの空調、遮熱塗料、換気設備など、輸送環境を改善する取り組みが報じられました。
馬運車の進化は、単に最新装備を増やすことではありません。
馬の状態を把握し、必要な対策を取り、競馬場に到着した後も良好なコンディションを保てるようにすることが本質です。
馬運車に関するよくある質問(FAQ)
Q1:馬運車には何頭の馬が乗れますか?
一般的な競走馬用馬運車には1〜6頭程度の仕様があります。ただし、JRAの競走馬輸送では最大4頭の車両が使用されています。車両の構造や輸送時の管理方法によって実際の乗車頭数は異なります。
Q2:馬運車の運転席から馬の様子を見ることはできますか?
できます。馬房内の監視カメラと運転席のモニターを連動させ、走行中でも馬の様子を確認できる車両があります。厩務員も同乗し、馬の状態を管理します。
Q3:馬運車には冷暖房が付いていますか?
空調設備を備えた車両が一般的です。特に夏場は冷房による温度管理が重要です。冬場は馬自身の体温や車内の発熱も考慮し、換気や窓の開閉で温度を調整する場合があります。
Q4:馬バスと馬運車は違うものですか?
基本的には同じ種類の車両を指します。馬バスは馬運車の愛称として使われることが多く、独立した車両規格ではありません。
Q5:日本馬匹輸送自動車株式会社はJRAの会社ですか?
日本馬匹輸送自動車株式会社はJRAの子会社です。1947年設立で、美浦トレーニングセンターを中心とした競走馬輸送を主要事業としています。
Q6:馬運車は馬術競技でも使われますか?
使われます。競走馬だけでなく、乗馬や馬術競技馬の輸送にも活用されています。同社は2021年の東京2020大会でも、馬術競技馬などの輸送を担当しました。
馬運車は、競走馬や馬術競技馬を安全に輸送するための専用車両です。運転席、厩務員スペース、馬房という基本構造を持ち、車両によって1〜6頭程度の馬を輸送できます。JRAの競走馬輸送では最大4頭が目安です。
空気ばねによる振動対策、冷暖房や換気設備、監視カメラ、クッション材など、車内には馬の安全と健康を守るための工夫が詰まっています。
また、日本馬匹輸送自動車株式会社は1947年の設立以来、JRAの競走馬輸送を支え、美浦トレーニングセンターと全国の競馬場を結ぶ重要な役割を担っています。2021年の東京2020大会では延べ825頭の輸送を完遂するなど、馬術競技の分野でも実績を残しました。
馬運車を見る機会があれば、車体の馬名だけでなく、トラックをベースにした構造や馬房の配置、空調設備、監視システムにも注目してみてください。レースで輝く競走馬の姿の裏側には、輸送環境を整える技術と、それを支える専門スタッフの仕事があります。