2026年、東京・新宿の歌舞伎町にある「トー横」周辺では、少年少女の一斉補導や市販薬のオーバードーズ(OD)が改めて社会問題になっている。警視庁による一斉補導では、2026年1月に32人、2月には42人、9月には39人が補導され、9月のケースでは約4割に当たる17人がオーバードーズの経験を持っていたと報じられた。
問題は、単に若者が市販薬を大量に服用することだけではない。家庭や学校での悩み、友人関係のトラブル、孤立感、SNSを通じた乱用情報の拡散、さらに若者を犯罪に巻き込もうとする大人の存在など、複数の問題が重なっている。2026年5月1日には厚生労働省による指定濫用防止医薬品の販売規制も施行された。トー横の現状、全国調査が示す若者の実態、健康被害、行政の対策、相談窓口と再発防止策を整理する。
【2026年最新】トー横のオーバードーズ問題とは?警視庁の一斉補導を時系列で整理

トー横とは、東京都新宿区歌舞伎町にある新宿東宝ビル周辺を中心に、若者が集まるエリアを指す通称だ。SNSをきっかけに全国から若者が訪れるようになり、家出、深夜徘徊、薬物乱用、犯罪被害など、さまざまな問題が表面化している。
特に問題視されているのが、市販薬や睡眠薬などを本来の目的とは異なる形で大量に使用するオーバードーズだ。2026年の警視庁による補導報道を見ると、冬休み明けから夏休み明けまで、複数の時期に少年少女への対応が行われている。
2026年の主な補導・関連事件| 時期 | 報道された出来事 | オーバードーズとの関係 |
|---|---|---|
| 2026年1月 | 14~19歳の32人を補導 | 4人に市販薬の大量摂取などの疑い |
| 2026年2月 | 12~19歳の42人を補導 | 4人に薬物乱用の疑い。睡眠薬や精神安定剤を大量に所持していた少女もいた |
| 2026年4月 | 少年少女21人を補導 | 最年少は13歳。SNSの動画をきっかけに訪れた少女もいた |
| 2026年4月24日 | 東京都と警視庁などが約160人で一斉対策 | 薬局への啓発活動や、ホテル・カラオケ店への注意喚起を実施 |
| 2026年9月 | 14~19歳の39人を補導 | 約4割の17人がOD経験者。27人は東京都以外から訪れていた |
| 2026年10月 | 未承認睡眠薬の無許可販売容疑で41歳の女を逮捕 | トー横に出入りする少女への販売とODとの関連が報道された |
テレビ朝日などの2026年1月26日の報道によると、警視庁は1月17日と24日の夜から翌朝にかけて、歌舞伎町のトー横周辺で一斉補導を実施した。
補導されたのは14~19歳の少年少女32人で、当時の報道では過去最多とされた。このうち4人について、市販薬の大量摂取などオーバードーズの疑いがあったという。薬と酒を一緒に摂取していたと話した14歳の少女もいた。
この事例で見逃せないのは、薬の過剰摂取と飲酒が重なっていた点だ。薬とアルコールの併用は健康被害を深刻化させる危険があり、若年者の間で軽く扱われてよい問題ではない。
2月には42人を補導、睡眠薬などを大量所持した少女も2026年2月21日付の毎日新聞の報道では、警視庁が2月12~18日の昼間にトー横周辺で12~19歳の少年少女42人を補導した。
このうち4人に薬物乱用の疑いがあり、15歳の少女のかばんから睡眠薬や精神安定剤が大量に見つかった事例も報じられている。
ただし、睡眠薬や精神安定剤がすべて市販薬というわけではない。医療機関で処方される薬や未承認薬も存在するため、トー横での薬物問題をすべて市販薬ODとして一括りにするのは正確ではない。
9月の補導では17人にOD経験、地方から訪れる若者も2026年9月8日、TBS NEWS DIGは警視庁による一斉補導を報道した。補導されたのは14~19歳の39人で、そのうち17人がオーバードーズの経験を持っていたという。
加えて、9月9日のFNNプライムオンラインの報道では、39人のうち27人が東京都以外から訪れていたことも明らかになった。訪問のきっかけとしてSNSなどを挙げるケースが最も多かったという。
この数字は、トー横の問題が新宿区周辺だけの地域課題ではないことを示している。地方から東京に出てくる若者の移動、SNSによる情報拡散、家出や孤立といった問題がつながっている。
10月には未承認睡眠薬の販売事件も報道2026年10月15日、共同通信やテレビ朝日は、海外製の未承認睡眠薬を無許可で販売した疑いで41歳の女が逮捕されたと報じた。
警視庁によると、容疑者は2025年12月から2026年1月にかけて、睡眠薬計1,130錠を女性3人に販売した疑いが持たれている。自宅からは約3万2,450錠が押収され、警視庁は約130人に販売し、年間約2,115万円を売り上げたとみて捜査している。
購入者の中には、トー横に出入りしていた際にSNS上のアカウントを知り、購入した薬でオーバードーズしたと説明している女性もいた。
ここで重要なのは、この事件が一般的な市販薬の乱用とは別の問題を含んでいることだ。報道された薬は国内未承認の海外製睡眠薬であり、通常のドラッグストアで購入できる市販薬と同一視できない。市販薬OD対策と並行して、違法・無許可の医薬品流通やSNSを介した販売への対策も必要になっている。
【全国調査で判明】市販薬乱用の若者の実態とトー横問題の共通点
トー横の補導報道だけを見ると、オーバードーズは歌舞伎町に集まる一部の少年少女だけの問題に見える。しかし、厚生労働省の研究班による全国調査では、市販薬の乱用経験は全国の高校生にも確認されている。
高校生の約70人に1人が市販薬乱用を経験2025年12月に公表された厚生労働省研究班の2024年度調査では、過去1年間に市販薬を乱用した経験がある高校生は約1.4%と推計された。
調査は2024年9月から2025年2月に実施され、分析対象は全国の高校生51,789人。男女別では男子が0.9%、女子が1.7%だった。
また、乱用経験者の約10%は週に数回以上使用していたと共同通信が報じている。単発の経験にとどまらず、繰り返し使用する若者が存在することは、依存症の予防という観点から重要な問題だ。
なお、この1.4%という数字は全国の高校生を対象にした推計であり、トー横に集まる若者のOD経験率を示すものではない。対象集団や調査方法が異なる数字を直接比較することはできない。
依存症専門医療機関の調査では女性が約7割厚生労働省の研究事業に含まれる「OTC survey 2024」では、2024年4月から5月までに全国の依存症専門医療機関を受診した市販薬使用障害の患者について調査した。
全国86施設を対象とした調査のうち、29施設から294症例が報告され、主な特徴は次のとおりだった。
- 平均年齢:29.1歳
- 女性の割合:71.4%
- 依存症候群の診断があった割合:68.7%
- 急性中毒の診断があった割合:9.2%
- 気分障害の併存:36.7%
これは依存症専門医療機関を受診した患者の調査であり、一般の若者全体の割合を示すものではない。ただし、市販薬乱用が身体的な中毒だけでなく、精神的な問題や依存症と関係していることを理解する手がかりになる。
調査から見えるSNSと市販薬乱用の関係同研究では、乱用に関する主な情報源として、XやLINEなどのSNSを含むインターネットが33.3%、SNS以外の動画サイトやウェブサイトなどが19.4%を占めた。
つまり、医療機関を受診した患者の調査では、インターネットが重要な情報経路として確認されている。
SNSでは、薬に関する体験談や誤った安全情報が拡散されることがある。特に、服用による変化を面白さや仲間意識と結び付ける投稿は、薬の本来の目的や健康被害を見えにくくする。
厚生労働省も、SNS上の情報には誤りや根拠のない説明が含まれる可能性があるとして注意を呼びかけている。合法的に購入できる薬であることと、大量に服用しても安全であることは全く別の話だ。
【なぜ薬に頼るのか】市販薬オーバードーズの背景と若者の孤立
オーバードーズを単純に好奇心や若者特有の反抗心だけで説明することはできない。背景には、本人が抱える心理的な苦痛や、周囲に助けを求められない状況がある。
家族・友人・学校の問題が重なっている2026年6月の参議院厚生労働委員会では、厚生労働省の担当者が、依存症専門医療機関で治療を受けた10代の患者72人について、乱用を始めたきっかけを説明している。
複数回答による結果は、友人関係が45.8%、家族関係が43.1%、学校でのトラブルが33.3%だった。
ここでいう家族関係には不仲などの問題、友人関係にはいじめや仲間外れ、学校関係には成績不振や教員とのトラブルなどが含まれる。
これらの割合は治療につながった10代の患者72人についての結果であり、すべてのOD経験者に当てはまるわけではない。しかし、薬物乱用の背景に複数の心理社会的な問題が存在することを示している。
「嫌なことを忘れたい」という心理2026年9月の補導報道では、OD経験のある少女が、嫌なことを忘れたいという趣旨の理由を説明した事例も紹介された。
このような事例から考えられるのは、薬を単なる遊び道具として使用しているとは限らないということだ。苦しい感情を一時的に遠ざけたい、眠れない状態から逃れたい、現実の問題を考えずにいたいといった心理が関係している場合がある。
ただし、ODを始める理由は一人ひとり異なる。自傷行為や自殺を意図している場合もあれば、気分を変える目的や周囲からの影響による場合もあるため、本人への丁寧な確認が欠かせない。
トー横が居場所になる一方、犯罪被害の危険もある家にも学校にも安心できる場所がないと感じる若者にとって、同じような悩みを持つ人が集まる場所は、一時的な居場所になることがある。
一方で、未成年者が多く集まる場所には、弱い立場の若者を利用しようとする大人が近づく危険もある。金銭、薬、宿泊場所、交友関係などをきっかけに、犯罪や搾取に巻き込まれるケースも問題となっている。
2026年9月の補導報道で、39人中27人が東京都外から訪れていたことも、地域を越えた支援の必要性を示す材料だ。
トー横に集まる若者を一律に問題視するのではなく、なぜその場所に足を運ぶのか、何を求めているのか、どのような危険にさらされているのかを考える必要がある。
【健康被害と依存症】市販薬ODを軽く考えてはいけない理由
市販薬は、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる。しかし、一般用医薬品であることは、大量服用しても安全という意味ではない。
大量摂取によって起こり得る身体への影響厚生労働省の2026年薬物乱用防止情報によると、市販薬を決められた量より多く服用すると、次のような健康被害が起こる可能性がある。
- 意識障害:意識がもうろうとする、呼びかけに反応しにくくなるなどの状態。
- 呼吸抑制:呼吸が弱くなり、生命に関わる危険がある。
- 肝機能障害:薬の成分や過剰摂取によって肝臓に深刻な負担が生じることがある。
- けいれんや急性中毒:重い中毒症状によって救急医療が必要になる場合がある。
- 依存症:繰り返し使用することで、薬をやめることが難しくなる可能性がある。
特に、複数の薬を同時に使用したり、アルコールと併用したりすると、予測できない健康被害につながる危険がある。
一度のODと繰り返すODでは必要な支援が異なる一度の大量服用であっても急性中毒を起こす危険がある。一方、何度も繰り返す場合には、薬物への心理的依存や、生活上の問題が慢性化している可能性がある。
例えば、つらい出来事があるたびに薬を使うようになれば、本人の中で「苦しいときは薬を使う」という行動パターンが定着するおそれがある。
その結果、薬が手元にないと不安になる、服用をやめようとしても続けてしまう、健康被害を理解していても繰り返すといった問題につながることがある。
この段階では、単に薬を取り上げるだけでは十分ではない。依存症の専門的な治療と、薬を使わずに苦痛に対処する方法を身につける心理的・社会的支援が必要になる。
ODを見つけたときは救急対応を優先する本人が大量に薬を飲んだ可能性がある場合、意識がはっきりしない、呼吸がおかしい、けいれんしているなどの症状があれば、直ちに119番へ通報する。
意識があるからといって安全とは限らない。服用した薬の種類や量が分からない場合も、自己判断で様子を見続けず、医療機関や救急の専門家に相談することが大切だ。
救急隊や医療機関には、分かる範囲で服用した薬、服用した可能性のある時刻、本人の症状を伝える。薬の包装や容器が残っていれば、捨てずに医療従事者へ提示するとよい。
【2026年5月施行】指定濫用防止医薬品の販売規制と東京都・警視庁の対策
市販薬の乱用を防ぐため、厚生労働省は薬機法改正に基づく販売制度の見直しを実施した。大きな節目となったのが、2026年5月1日の指定濫用防止医薬品に関する新制度の施行だ。
指定濫用防止医薬品とは何か指定濫用防止医薬品とは、乱用による健康被害を防ぐため、販売時の確認や情報提供などが法律上強化された医薬品を指す。
風邪薬、せき止め薬、鼻炎薬などに関係する成分を含む一般用医薬品等が対象となり、2026年の制度では対象成分が拡充されている。
厚生労働省が定めた制度の主な要点は次のとおりだ。
| 購入者・購入状況 | 2026年5月以降の販売ルール | 制度の目的 |
|---|---|---|
| 18歳未満の購入 | 小容量製品1包装に限定。対面またはビデオ通話などによる確認・情報提供が必要 | 若年者の不適切な購入を防止 |
| 18歳未満による複数個・大容量製品の購入 | 販売不可 | 過剰な量の入手を防止 |
| 18歳以上による小容量製品の購入 | 通常の販売方法による購入が可能 | 適正使用を維持しながら販売 |
| 18歳以上による複数個・大容量製品の購入 | 対面またはオンラインでの確認・情報提供が必要 | 購入理由や使用状況を確認 |
| 購入時の確認 | 年齢、他の薬の使用状況、他店舗での購入状況などを確認 | 重複購入や乱用の防止 |
小容量の基準は、原則として5日分以下の用法・用量に相当する1包装単位で、風邪薬・解熱鎮痛薬・鼻炎内服薬については7日分以下とされている。
また、薬剤師や登録販売者には、購入者の状況に応じた説明や購入理由の確認などが求められる。商品の陳列についても、購入者が自由に手に取れない場所に置くか、専門家が継続的に配置された情報提供設備から一定範囲内に陳列するなどの対応が必要になった。
規制によってすべての市販薬が購入禁止になったわけではないここで注意したいのは、2026年5月の制度改正は、市販薬そのものを全面禁止するものではないという点だ。
18歳未満でも、対象となる指定濫用防止医薬品の小容量製品を1包装購入することは可能だ。ただし、薬剤師や登録販売者による対面またはオンラインでの確認・情報提供が必要になる。
また、指定濫用防止医薬品以外のすべての一般用医薬品が同じ販売制限を受けるわけでもない。対象となる医薬品と年齢、数量によってルールが異なる。
制度の目的は必要な医薬品へのアクセスを維持しながら、乱用目的の購入を見つけ、適正使用につなげることにある。
東京都と警視庁はトー横周辺で環境改善を推進東京都と警視庁は、補導だけではなく、トー横周辺の環境改善にも取り組んでいる。
2026年4月24日には、警視庁と東京都の職員など約160人が参加する一斉対策が実施された。若者が集まるホテルやカラオケ店への注意喚起、路上での声かけ、薬局へのオーバードーズ防止の啓発活動などが行われた。
薬局に対しては、大量購入を希望する客への注意を促す活動も実施されている。
さらに東京都は2026年7月、SNSや屋外ビジョンを活用した啓発活動を発表した。若者に人気のインフルエンサーを起用したショート動画などを通じ、SNSで見える楽しそうなイメージだけでは分からない犯罪被害やトラブルの危険を伝える取り組みだ。
東京都は、トー横などにおける青少年・若者の被害防止に関する情報連絡会も設置し、警視庁や関係部局などとの情報共有を進めている。
こうした対策は、薬の購入経路だけでなく、若者が集まる場所で起きる犯罪被害や孤立の問題も含めて対応するものだ。
【相談先・再発防止】トー横のOD問題を解決するために必要な支援
市販薬ODを減らすには、販売規制や警察の補導だけでなく、本人が薬を使わなくても生活できる環境を整える必要がある。
特に重要なのは、本人が悩みを話せる相手と、安心して過ごせる場所を確保することだ。
東京都の若者向け総合相談窓口「きみまも」東京都が設置する「きみまも」は、トー横問題をはじめ、薬のトラブル、いじめ、家庭や学校での悩み、居場所のなさなど、さまざまな問題を抱える青少年・若者を対象とした総合相談窓口だ。
社会福祉士や公認心理師などの資格を持つ相談員が在籍し、相談だけでなく、安心して過ごせるスペースも提供している。
- 利用日:火曜日~土曜日
- 利用時間:15時~21時
- 予約:不要
- 対象:原則として東京都内在住・在学・在勤の青少年・若者
- 休業日:祝日、年末年始
薬を使ってしまった人だけでなく、トー横に通うことをやめられない人や、家庭や学校に居場所がないと感じている人も利用を検討できる。
若ナビαや精神保健福祉センターも相談先になる東京都若者総合相談センター「若ナビα」では、若者のさまざまな悩みについて電話、LINE、メール、面接による相談を受け付けている。
- 電話:03-3267-0808
- 受付:月曜日~土曜日、11時~23時(受付終了22時30分)
- LINE相談:月曜日~土曜日、11時~23時
- メール相談:24時間受付
薬をやめたいのにやめられない、服用を繰り返している、気持ちが不安定になっているといった場合には、精神保健福祉センターや保健所、依存症専門医療機関への相談も選択肢になる。
厚生労働省も、薬物問題の相談先として都道府県の薬務課、精神保健福祉センター、保健所、医療機関などを案内している。
今すぐ気持ちを聞いてほしい場合の電話相談精神的につらい状態が続いている場合や、誰にも相談できないと感じている場合には、全国対応の相談窓口も利用できる。
- #いのちSOS:0120-061-338。無料、24時間365日。
- よりそいホットライン:0120-279-338。無料、24時間対応。
- チャイルドライン:0120-99-7777。18歳までの子どもを対象に、毎日16時~21時。
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556。地域の公的な精神保健相談窓口につながる。
これらは、ODをしている本人だけでなく、家族や友人など、周囲で心配している人も相談先を探す際の手がかりになる。
市販薬ODの予防と再発防止に必要な5つの取り組み再発を防ぐためには、薬の管理だけでなく、本人の生活環境や心理的な負担を含めた支援が欠かせない。
- 薬の使用状況を医療機関と共有する:服用している薬や過去のOD歴を医師や薬剤師に伝え、適切な治療につなげる。
- 家庭で責めずに話を聞く:叱責や脅しで追い詰めるのではなく、何に苦しんでいるのかを確認する。
- 学校と相談機関が連携する:いじめ、不登校、友人関係などの問題を把握し、継続的に支援する。
- 薬以外の居場所を確保する:安心して過ごせる施設や人間関係を作り、孤立を防ぐ。
- SNSの情報リテラシーを高める:ODを美化する投稿や誤った安全情報を信用せず、公的機関や医療専門家の情報を確認する。
再発防止で大切なのは、ODをしたという行動だけを問題にするのではなく、その行動が繰り返される理由を理解することだ。薬を取り上げても、本人の苦しさや孤立が解消されなければ、別の手段で問題が表面化する可能性がある。
【プロの結論】補導・規制・居場所支援の3つを切り離してはいけない2026年のトー横問題から見えてくるのは、警察による補導、厚生労働省による販売規制、東京都による環境改善が、それぞれ異なる役割を持っているということだ。
補導は目の前の危険から若者を保護するために必要だ。販売規制は不適切な医薬品の入手を難しくするために必要だ。そして、相談窓口や医療支援は、本人が薬に頼らなくてもよい生活を取り戻すために必要になる。
この3つのうち、どれか一つだけを強化しても問題の根本的な解決には届きにくい。
特に、若者が家庭や学校に戻れない事情を抱えている場合、補導後にどこで生活し、誰に相談し、どのような支援を受けられるのかまで考える必要がある。
市販薬OD対策の評価基準は、補導人数や販売制限の強さだけではない。若者が医療や相談につながり、安心できる居場所を確保し、再びODを繰り返さずに生活できるようになったかどうかが重要だ。
【トー横オーバードーズ市販薬】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年のトー横では何人が一斉補導された?
2026年の主な報道では、1月に32人、2月に42人、4月に21人、9月に39人が補導されている。それぞれ実施時期や対象年齢が異なり、補導人数の合計を年間のOD経験者数として扱うことはできない。
Q2:市販薬のオーバードーズは合法的に購入した薬なら安全?
安全ではない。市販薬であっても用法・用量を超えて服用すれば、意識障害、呼吸抑制、肝機能障害、急性中毒、依存症などにつながる危険がある。一般用医薬品という分類は、大量服用の安全性を保証するものではない。
Q3:2026年5月から18歳未満は市販薬を購入できなくなった?
すべての市販薬が購入禁止になったわけではない。指定濫用防止医薬品については、18歳未満の場合、小容量製品1包装に限り、薬剤師または登録販売者による対面・オンラインでの確認と情報提供を受けて購入できる。複数個や大容量製品の販売は禁止されている。
Q4:家族や友人がオーバードーズをしていた場合、どこに相談すればよい?
意識障害や呼吸の異常などがあれば、すぐに119番へ通報する。継続的なODや依存の問題については、精神保健福祉センター、保健所、依存症専門医療機関などに相談できる。東京都内の若者なら「きみまも」や「若ナビα」も相談先になる。
2026年のトー横では、少年少女の一斉補導が複数回実施され、市販薬の過剰摂取や睡眠薬の乱用が改めて問題となった。1月の32人、2月の42人、9月の39人という補導報道は、歌舞伎町周辺の青少年問題が継続していることを示している。
一方、全国調査では高校生の約1.4%に市販薬乱用の経験があり、依存症専門医療機関の調査では、家族、友人、学校などの問題やSNSによる情報拡散との関係も示されている。
2026年5月1日の指定濫用防止医薬品の販売規制、警視庁の補導対策、東京都の環境改善施策は、問題に対応するための重要な取り組みだ。しかし、薬を入手しにくくするだけでは、本人が抱える悩みや孤立までは解決できない。
今後求められるのは、警察、行政、学校、家庭、薬局、医療機関、地域の相談窓口が連携し、若者を継続的に支える仕組みだ。ODを単なる問題行動として扱うのではなく、その背景にある苦しさに向き合い、薬に頼らずに安心して生活できる環境を整えることが、トー横問題の再発防止につながる。
若者を守るために必要なのは、排除することだけではない。助けを求めたときに、受け止めてくれる人と場所が確実に存在する社会を作ることだ。
主な根拠資料・報道