システマは、ロシアにルーツを持つ武術・格闘術として知られる。身体の動き、呼吸、姿勢、精神状態などを組み合わせ、相手の攻撃に対して柔軟に対応することを重視する体系だ。
みなみかわがテレビで説明してきたのは、特に呼吸によって攻撃のダメージを受け流すという部分である。
システマの特徴は呼吸と身体のコントロールシステマのトレーニングでは、単純に筋力や打撃の強さを競うのではなく、身体の緊張を抑え、自然な動きを保つことが重視される。
日本のシステマ指導団体であるシステマ東京も、正しい姿勢、呼吸法、多様な動きを通じて身体の緊張を取り除く考え方を紹介している。
そのため、システマを単なる「痛みを感じなくする技術」と理解するのは正確ではない。身体と精神の状態を整え、ストレスのかかる状況でも冷静に対応するためのトレーニングという側面がある。
なぜロシアの軍隊格闘術と呼ばれるのかシステマはロシアの軍事的な背景と結び付けて紹介されることが多い。軍事的な極限状況における身体操作やストレスへの対応が、その説明の中心にある。
ただし、システマには複数の指導体系や流派があり、すべての団体が同一の歴史や技術体系を採用しているわけではない。
みなみかわの芸で知られるシステマも、こうした武術の一側面をバラエティー向けに分かりやすく表現したものと考えると理解しやすい。
【なぜシステマを始めた?】ピーマンズスタンダード時代の相方との関係

システマ芸の誕生を理解するうえで欠かせないのが、みなみかわの元相方である吉田寛との関係だ。
みなみかわは2005年、吉田とお笑いコンビ「ピーマンズスタンダード」を結成。2019年2月まで約13年間、コンビとして活動した。
実は、システマを学び始めた背景には、コンビ時代の相方との関係があった。
お互いが格闘技を始めた意外な理由2025年4月19日放送のTOKYO FM『川島明 そもそもの話』で、みなみかわはシステマを習い始めた経緯を語っている。
当時、コンビ仲があまり良くなかった時期に、みなみかわがキックボクシングを始めると、相方の吉田は柔術を習い始めたという。
相手に負けたくないという意識から、それぞれが異なる格闘技に興味を持つようになった。
その流れで、みなみかわが目を付けたのがシステマだった。
お笑いのネタを作るために格闘技を習うという、一般的な芸人のイメージとは少し違う発想である。
しかも、本人は同番組で、ネタ作りのためには相方とのケンカに勝つ必要があったという趣旨の冗談を交えて振り返っている。
元相方の吉田寛は現在どうしている?ピーマンズスタンダードは2019年2月5日をもって解散した。
みなみかわはピン芸人として活動を続け、吉田は芸能界を離れてテレビ番組制作会社に就職した。
みなみかわ自身も解散時の公式ブログで、13年間に数え切れないほどケンカしたことを明かしている。一方で、相方の幸せを願う程度には仲が良いとも記していた。
単純に不仲だったという説明だけでは、2人の関係は捉えきれない。
2024年の日刊SPA!による吉田へのインタビューでは、吉田が制作会社でAD、チーフADを経験し、APとして働いていることも紹介された。
元芸人とテレビ制作側という異なる立場になった2人だが、みなみかわの芸人人生を語るうえで、吉田の存在は重要な位置を占めている。
【2016年の転機】ざっくりハイタッチと千原ジュニアがシステマ芸を生んだ
みなみかわのシステマ芸が広く知られるきっかけとなったのが、テレビ東京系のバラエティー番組『ざっくりハイタッチ』だった。
同番組は千原ジュニア、小籔千豊、フットボールアワーらが出演し、さまざまな実験的企画に挑戦していた深夜バラエティーである。
オーディションで披露したシステマ2025年のTOKYO FMでの本人談や過去のインタビューによると、転機は2016年の番組オーディションだった。
みなみかわは当初、一発ギャグなど複数のネタを披露したものの、なかなか反応を得られなかったという。
そこで、ほかに何かできることはないかと考え、システマを習っていることを伝えた。
そして、ADに蹴ってもらい、痛みをこらえる姿を披露した。
このときの必死さやリアクションがディレクターの目に留まり、番組内でシステマを使ったやり取りが定番化していった。
本人が2025年の番組で語った内容からも、最初から完成された持ちネタを持ち込んだというより、オーディションの場で生まれた偶然と本人の対応力が大きかったことが分かる。
千原ジュニアが作ったバラエティーの流れもう一人、重要なのが千原ジュニアだ。
2023年9月12日放送の『みなみかわのオールナイトニッポン0』で、みなみかわはジュニアがシステマ芸の流れを作ってくれたと振り返っている。
そのやり取りの基本形は次のようなものだった。
- みなみかわがシステマを使えば攻撃されても痛くないと主張する。
- 共演者が本当に痛くないのかと疑う。
- 実際に攻撃を受ける。
- 痛がっているように見えても、本人は痛くないと言い張る。
この展開によって、単なる武術の実演が笑いを生むバラエティーの型へと変化した。
みなみかわはラジオで、自分のシステマに「バラエティパウダー」をまぶしたという趣旨の発言もしている。
つまり、武術そのものを面白おかしく説明しただけではない。共演者の振りと本人の返しが組み合わさって、繰り返し使える芸になったのである。
本人がジュニアを恩人として語るのも、この経験があったからだ。
【人物・出来事の関係一覧】システマ芸を形作った重要人物と転換点
| 人物・出来事 | 時期 | システマ芸との関係 |
|---|---|---|
| みなみかわ | 1982年生まれ | システマを学び、バラエティー芸へ昇華 |
| ピーマンズスタンダード結成 | 2005年 | 吉田寛とのコンビ活動開始 |
| 吉田寛 | コンビ時代 | 格闘技を始めるきっかけに関係した元相方 |
| 『ざっくりハイタッチ』 | 2016年 | オーディションでシステマを披露し転機を迎える |
| 千原ジュニア | 2016年以降 | システマ芸の掛け合いを定着させる重要人物 |
| ピーマンズスタンダード解散 | 2019年2月 | みなみかわがピン芸人に転向 |
| 松竹芸能退社 | 2024年5月 | 個人活動への移行 |
| 株式会社ナンセで活動開始 | 2024年6月 | 新しい活動体制へ移行 |
| 『さんまのお笑い向上委員会』 | 2026年6月27日放送 | システマ芸の誕生秘話を改めて語る |
この経緯から分かるのは、システマ芸が一人の芸人の思いつきだけで成立したわけではないということだ。
相方との関係、オーディションでの偶然、番組スタッフの評価、千原ジュニアとの掛け合いが重なったことで、独自の芸風が確立された。
【システマ芸は本当に痛くない?】呼吸法の実態とラマーズ法のルーツ
システマみなみかわを検索する人が特に気になるのが、「本当に殴られても痛くないのか」という疑問だろう。
テレビでは、強烈なパンチやキックを受けても平然とした表情を見せることがある。
しかし、武術の呼吸法と、痛みが完全になくなることは別の話である。
システマの呼吸法は痛みをゼロにするものなのかシステマの呼吸法では、呼吸を意識しながら身体の緊張をコントロールすることが重視される。
緊張した状態では身体が硬くなり、動きも制限されやすい。呼吸を整えることは、身体の状態を落ち着かせるための一つの手段になる。
ただし、呼吸法によって痛みの感覚を調整できることと、身体が攻撃による損傷を受けなくなることは同じではない。
実際に、みなみかわは格闘家の攻撃を受ける企画にも出演している。
2023年のENCOUNTによるK-1関連企画の記事では、ムエタイのレジェンドであるジョムトーンのミドルキックを受け、苦しそうな様子を見せながらも「痛くない」と主張する姿が報じられた。
このギャップこそが、システマ芸の面白さでもある。
2026年に話題になったラマーズ法との関係2026年2月18日、スポニチアネックスは、みなみかわがMBSラジオ『アッパレやってまーす!』でラマーズ法について語ったことを報じた。
番組では、出産時の呼吸法とシステマの共通点が話題になった。
みなみかわは、ラマーズ法とシステマのルーツは一緒という趣旨の説明をしている。
ここには歴史的な背景がある。
ラマーズ法は、フランスの産科医フェルナン・ラマーズが1951年にロシアで見た出産法を取り入れ、フランスで紹介したことから広まった呼吸・リラクゼーションの方法である。
その源流には、1940年代後半にソ連の心理療法家イワン・ヴェルヴォフスキーらが発展させた精神予防法がある。
この歴史は、米国の人文科学研究機関であるNEHが、医療史研究者ポーラ・マイケルズへのインタビューで解説している。
一方、ロシアの武術であるシステマと、出産時の精神予防法は別の体系だ。
両者に呼吸を利用して身体や痛みへの反応を整えるという共通点はあるものの、システマがラマーズ法の直接の起源であることを示す歴史的根拠は確認できない。
したがって、みなみかわの発言は、呼吸法という共通点を捉えた説明として理解するのが適切だ。
システマ芸を見て誤解してはいけないことシステマ芸について、押さえておきたい要点は次の3つである。
1. 痛みを感じないことが保証されるわけではない。 呼吸による緊張の調整と、痛みそのものの消失は異なる。
2. 身体へのダメージがなくなるわけではない。 痛みを我慢できても、打撲や内臓への損傷などが起きないとは限らない。
3. テレビのリアクションには演芸としての側面がある。 みなみかわの「痛くない」という主張も、バラエティーの掛け合いの中で成立している。
システマを実際に学ぶ場合は、指導者のもとで正しいトレーニングを受けることが大切だ。芸を再現する目的で、他人に殴らせたり蹴らせたりすることは勧められない。
【2026年現在】みなみかわの活動とシステマ芸の最新エピソード
2026年11月1日現在、みなみかわは44歳。1982年9月28日生まれで、大阪府出身、関西大学を卒業している。
現在の所属先は株式会社ナンセだ。
2024年5月末に松竹芸能を退社し、同年6月からナンセで活動を始めた。
2026年6月『さんまのお笑い向上委員会』で誕生秘話を披露2026年のシステマ芸関連の注目エピソードは、6月27日放送のフジテレビ系『さんまのお笑い向上委員会』だ。
7月2日付のデイリースポーツによると、みなみかわはR-1グランプリ2026の王者・今井らいぱちらに対して、本気で売れたいという覚悟について語った。
その際、自身の芸人人生を振り返り、システマ芸が生まれた経緯を説明した。
25、26歳の頃には、明石家さんまやダウンタウンのような存在を目指していたものの、当時の自分には難しいと感じたという。
それでも芸人を続け、結果的に35歳頃には「思いっきり殴られても痛くない」というシステマ芸で仕事を増やしていった。
加えて、若手芸人に対して営業先での経験を引き合いに出し、酔客から殴られるような状況まで含めて芸人の仕事の厳しさを語り、笑いを生んだ。
このエピソードからは、システマ芸が単なる珍しい特技ではなく、売れない時期を乗り越えるために選んだ芸人としての武器だったことが伝わる。
2026年10月には『名探偵津田』関連でも話題にさらに10月17日付の日刊スポーツは、みなみかわが『オールスター感謝祭’26秋』での出来事を振り返ったことを報じた。
10月10日の生放送中に、TBS系『水曜日のダウンタウン』の人気企画「名探偵津田」への参加が決まり、ダイアン津田篤宏をサポートする助手役として登場することになったという。
本人は自身のYouTubeチャンネル「NANSE channel」のコンテンツ『復習ラジオ』で、その際の混乱や驚きを振り返っている。
これはシステマ芸そのものの新ネタではないが、2026年も大型バラエティーで存在感を発揮していることを示すエピソードだ。
現在の出演・活動状況株式会社ナンセの公式プロフィールには、テレビやラジオ、配信コンテンツなど幅広い出演歴が掲載されている。
主な出演・活動先として挙げられているのは次のとおり。
- テレビ:『水曜日のダウンタウン』『ゴッドタン』『ロンドンハーツ』『アメトーーク!』
- レギュラー番組:『チャンスのチワワ』『なんて美だ!』『アッパレやってまーす!』
- 配信:『大脱出』シリーズ、『インシデンツ』シリーズ
- YouTube・ポッドキャスト:『復習ラジオ』『炎上喫煙所』など
- 単独ライブ:2026年開催の「ニヤる」
所属先の公式ニュースでは、2026年7月に単独ライブ「ニヤる」の配信情報も告知されていた。
こうした活動を見ると、システマ芸だけに依存する段階から、トークや企画対応力を生かした総合的なバラエティー芸人へと活動領域を広げていることが分かる。
【よくある質問】システマみなみかわに関するFAQ
Q1:みなみかわのシステマ芸はいつ誕生した?
A1:2016年頃、テレビ東京系『ざっくりハイタッチ』のオーディションで披露したことが大きな転機となった。番組で千原ジュニアらとの掛け合いが生まれ、定番の芸へと発展した。
Q2:システマとは本当に痛みを感じなくなる格闘術?
A2:システマは呼吸や姿勢、身体の動きを重視する武術だ。呼吸によって緊張や痛みへの反応を調整することはあっても、痛みや身体へのダメージが完全になくなるわけではない。
Q3:みなみかわがシステマを始めた理由は?
A3:コンビ時代の相方・吉田寛との関係がきっかけの一つ。みなみかわがキックボクシングを始めると、相方が柔術を始め、それに対抗するようにシステマに興味を持ったと本人が語っている。
Q4:千原ジュニアとシステマ芸にはどんな関係がある?
A4:『ざっくりハイタッチ』でシステマを披露した際、ジュニアとの掛け合いによって「殴られても痛くない」というバラエティーの流れが生まれた。みなみかわ自身もジュニアを恩人として語っている。
Q5:ラマーズ法とシステマは同じもの?
A5:同じものではない。ラマーズ法はソ連の出産時の精神予防法を源流の一つとする呼吸・リラクゼーションの方法であり、システマはロシアの武術。呼吸を重視する点に共通性がある。
Q6:2026年現在のみなみかわは何をしている?
A6:株式会社ナンセ所属のピン芸人として活動している。テレビ、ラジオ、配信番組、YouTubeなど幅広い仕事を続け、2026年には単独ライブ「ニヤる」も開催した。
【プロの結論】システマ芸の本当の価値は武術を笑いに変えた発想力にある
みなみかわのシステマ芸は、ロシアの武術を学んだことだけで生まれたものではない。
コンビ時代の相方との関係から始まった格闘技への興味、2016年の『ざっくりハイタッチ』のオーディション、千原ジュニアとの掛け合い。この3つの要素が重なったことで、ほかの芸人には簡単に真似できない持ちネタになった。
特に興味深いのは、システマという本格的な武術と、テレビのバラエティーが求める分かりやすい笑いを両立させた点だ。
武術としてのシステマは、呼吸や身体操作、精神状態を整えることを重視する。一方、みなみかわのシステマ芸は、攻撃されても痛くないと言い張ることで共演者との掛け合いを生み出す。
両者を区別することが、システマ芸を正しく理解するためのポイントになる。
2026年には『さんまのお笑い向上委員会』で誕生秘話を振り返り、10月には『名探偵津田』関連でも話題を集めた。
かつては芸人として生き残るために披露したシステマが、今ではみなみかわを象徴するキャラクターの一つになっている。
システマ芸の最大の魅力は、痛みを感じないことではない。自分が学んだ武術を、共演者との掛け合いと独自のキャラクターによって、誰もが楽しめる笑いへ変換した発想力にある。
主な参照資料・報道
- TOKYO FM『川島明 そもそもの話』(2025年4月19日)。システマを始めた経緯と『ざっくりハイタッチ』のオーディションについて。
- みなみかわ本人の公式ブログ、松竹芸能の解散・退社発表。
- デイリースポーツ(2026年7月2日)、スポニチアネックス(2026年2月18日)。
- 株式会社ナンセ公式プロフィール、日刊スポーツ(2026年10月17日)。
- Lamaze International、米国NEHによるラマーズ法の歴史解説。