「先約があるので参加できません」「あいにく先約がございまして」など、日常会話やビジネスシーンで使われる「先約」。何となく意味は理解していても、「予定」や「約束」と何が違うのか、目上の人に使っても失礼にならないのか、迷う人も少なくありません。
先約とは、以前から交わしている約束、または新しい誘いや申し出よりも先に成立していた別の約束を意味する言葉です。読み方は「せんやく」。基本的には先に決まっていた約束を尊重する場面で使われます。この記事では、2026年現在の日常会話・ビジネスで役立つ使い方、例文、類語、先約を優先する際の判断基準まで詳しく解説します。
【基本を解説】先約とは?意味・読み方と正しい使い方

先約は、時間的に先に成立していた約束を表す名詞です。単に予定が入っているという意味だけでなく、すでに誰かとの間で約束を交わしているというニュアンスを含みます。
先約の読み方は「せんやく」先約の正しい読み方は「せんやく」です。
「先」は時間や順番が前であること、「約」は約束や取り決めを意味します。この2つの漢字が組み合わさり、先に交わした約束という意味になります。
小学館の「デジタル大辞泉」では、先約について、以前からの約束と、ある申し出よりも前に別の人と交わした約束という2つの意味を掲載しています。つまり、単に予定が先に入っているだけでなく、約束が成立した順番を意識する言葉です。
先約の意味は大きく2つ先約には、次の2つの意味があります。
- 以前から交わしている約束:前から相手と決めていた約束や取り決め。
- 新しい申し出より先に成立した約束:別の人から誘われた時点で、すでに他の人との約束がある状態。
例えば、友人と土曜日に食事をする約束をしていたところ、別の友人から同じ日に旅行へ誘われたとします。この場合、先に決めていた食事の約束が「先約」です。
このような状況で「その日は先約があるので参加できません」と伝えれば、すでに別の約束があるため、新しい誘いを受けられないことが自然に伝わります。
先約を使った基本的な例文- 申し訳ないけれど、その日は先約があるんだ。
- 先約を優先したいので、今回は参加を見送ります。
- あいにく先約があり、当日は出席できません。
- 以前からの先約を果たすため、予定どおり出発します。
先約は、友人との会話から仕事上の予定調整まで幅広く使えます。ただし、相手との関係によって語尾や敬語の程度を調整することが大切です。
【徹底比較】先約と予定・約束の違いは?意味を表で整理
先約と混同しやすい言葉が「予定」と「約束」です。どれも将来の行動に関係しますが、意味の中心となる部分が異なります。
小学館の「デジタル大辞泉」によると、予定は行事や行動を前もって定めること、約束は当事者間で取り決めることを指します。これに対して先約は、すでに成立している約束の時間的な先行性に重点があります。
先約・予定・約束の比較表| 言葉 | 基本的な意味 | 特徴 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| 先約 | 以前から交わしている約束 | 新しい申し出より先に成立していることがポイント | 先約があるので欠席します |
| 予定 | 前もって決めた計画や行動 | 相手との約束がなくても成立する | 明日は旅行の予定です |
| 約束 | 当事者間で交わした取り決め | 守ることを前提とした合意を表す | 友人と会う約束をしました |
| 前約 | 以前にした約束 | 先約とほぼ同じ意味で使われる | 前約を守る |
| 先口 | 申し込みや約束の順番が先であること | 順序や先着のニュアンスが強い | 先口があるので今回は難しい |
先約と予定の大きな違いは、誰かとの約束が成立しているかどうかです。
例えば、「明日は家で読書をする予定です」という場合、本人が計画を立てているだけでも成立します。誰かと約束を交わしている必要はありません。
一方、「明日は友人と食事をする先約があります」という場合は、すでに友人との間で食事の約束が成立しています。
つまり、予定は自分の計画も含む広い言葉、先約は以前からの約束を強調する言葉です。
仕事でも違いは明確です。「明日は会議の予定があります」はスケジュールの説明ですが、「明日は取引先との先約がございます」は、すでに相手との約束があることを伝えています。
先約と約束の違い約束は、先約よりも広い意味を持つ言葉です。
例えば、今日初めて友人と来週会うことを決めた場合、それは「約束」です。しかし、別の人から同じ日時に誘われたとき、先に決めた約束という意味で「先約」と呼べます。
つまり、約束は取り決めそのものを表し、先約はその約束が新しい申し出よりも前に成立していたことを表します。
この違いを理解しておけば、「約束がある」と「先約がある」を状況に応じて自然に使い分けられます。
【実践編】先約の使い方と日常会話で役立つ例文
先約は、誘いを断るときだけでなく、すでに決めた約束を説明したり、予定の優先順位を伝えたりする場面でも使えます。
日常会話での先約の使い方友人や家族との会話では、堅苦しい表現にする必要はありません。「先約がある」「先約が入っている」など、簡潔な言い方が自然です。
- 誘いを断る場合:「誘ってくれてありがとう。でも、その日は先約があるから行けないんだ」
- 別の日を提案する場合:「その日は先約があるので、日曜日ならどう?」
- 約束を守る場合:「先約があるから、今回は予定を変えずに行くことにするよ」
- 予定を説明する場合:「午後は先約が入っているので、午前中なら大丈夫です」
友人との会話であれば、「ごめん、その日は先約があって難しい」といった表現でも問題ありません。
先約を使った自然な例文5選例文1:食事の誘いを断る
「せっかく誘ってくれたのにごめんね。その日は先約があるので、また別の日に誘ってもらえるとうれしいです」
例文2:イベントへの参加を断る
「当日は先約があるため、残念ですが参加できません。次回はぜひ参加したいです」
例文3:仕事の打ち合わせを調整する
「その時間帯は先約が入っているため、午後3時以降であれば対応可能です」
例文4:先約を優先する意思を伝える
「以前から決まっていた先約なので、今回はそちらを優先させてください」
例文5:別の日程を相談する
「あいにくその日は先約があります。翌週であれば調整できますので、ご都合のよい日を教えてください」
「先約がある」と「先約が入っている」は同じ?どちらも意味は通じますが、表現のニュアンスには少し違いがあります。
- 先約がある:すでに別の約束が成立していることを簡潔に伝える表現。
- 先約が入っている:スケジュールに別の約束が組み込まれていることを伝える表現。
日常会話ではどちらも自然です。ビジネスでは「先約がございます」「先約が入っております」などに言い換えると、より丁寧な印象になります。
【ビジネス敬語】「先約がございまして」は正しい?メールの例文も紹介
仕事で予定を断る際に便利なのが「先約がございまして」という表現です。取引先からの会食の誘いや、上司からの依頼、会議の日程調整など、さまざまな場面で使えます。
「先約がございまして」の意味と敬語としての正しさ「先約がございまして」は、「すでに別の約束があるため」という意味を丁寧に伝える表現です。
「ございます」は、「ある」を丁寧に表す言い方です。文化庁の敬語解説でも、「ございます」は「です・ます」より丁寧さの度合いが高い表現として説明されています。
そのため、取引先や目上の人に対して「先約がございまして」と伝えることは、基本的に問題ありません。
ただし、より丁寧な印象にするには、前後にお詫びや感謝の言葉を添えるのがおすすめです。
自然な表現:
- 申し訳ございませんが、あいにく先約がございまして。
- 恐れ入りますが、その日は先約がございます。
- せっかくのお誘いですが、当日は先約が入っております。
- 大変恐縮ですが、先約の都合により参加が難しい状況でございます。
ビジネスメールでは、先約があることだけを伝えて終わるのではなく、相手への感謝と代替案を添えると、やり取りが円滑になります。
特に、取引先との打ち合わせや会食を断る場合は、次のような構成が使いやすいでしょう。
- 誘いや提案に対するお礼
- 参加できないことを明確に伝える
- 先約があることを簡潔に説明する
- 代替日や次の機会を提案する
- 最後に相手への配慮を添える
Indeedキャリアガイド編集部が2026年8月18日に更新したビジネスメールの解説でも、感謝、明確な断り、理由、代替案、締めの言葉という流れが紹介されています。
そのまま使えるビジネスメール例文取引先から打ち合わせに誘われた場合
件名:お打ち合わせ日程の件
〇〇株式会社
〇〇様
いつもお世話になっております。
このたびはお打ち合わせのお声がけをいただき、誠にありがとうございます。
ご提案いただきました〇月〇日につきましては、あいにく先約がございまして、参加が難しい状況でございます。
恐れ入りますが、〇月〇日または〇月〇日でしたら調整可能でございます。
お手数をおかけいたしますが、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
上司や目上の人に断る場合の例文上司から食事や会議に誘われた場合も、先約を理由に断ることはできます。ただし、相手との関係性を踏まえ、クッション言葉を使うことが大切です。
「お誘いいただきありがとうございます。大変恐縮ですが、その日は以前から予定していた先約がございまして、参加が難しい状況です。別の機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします」
このように、お礼、断る理由、今後への前向きな姿勢を組み合わせると、相手に配慮しながら意思を伝えられます。
「先約がございまして」と「先約がありまして」の違い「先約がありまして」も正しい表現です。
- 先約がありまして:丁寧で比較的自然な会話表現。社内のやり取りなどにも使いやすい。
- 先約がございまして:より丁寧な表現。取引先や目上の人への連絡に適している。
なお、「先約がございまして」は文の途中で理由を説明する表現です。メールの最後まで続ける場合は、「今回は見送らせていただきたく存じます」など、断る意思を明確にする言葉を加えると伝わりやすくなります。
【人間関係のマナー】先約優先の考え方と、角が立たない断り方
先約という言葉と深く関係するのが「先約優先」という考え方です。これは、先に交わした約束を尊重し、後から入った誘いや予定のために簡単に変更しないというマナーを指します。
なぜ先約を優先するべきなのか先約を優先する理由は、相手との信頼関係にあります。
誰かと約束を交わした時点で、相手もその日時に合わせて時間を確保しています。後から魅力的な誘いがあったからといって簡単に変更すれば、相手の時間や都合を軽視することになりかねません。
特に仕事では、会議室の確保、担当者のスケジュール調整、資料の準備など、1人の予定変更が複数の人に影響することがあります。
そのため、先約を尊重することは、単なる順番の問題ではなく、相手との信頼を守る行動でもあります。
先約優先は絶対的なルールなのか基本的には先約を優先するのが望ましいものの、どんな状況でも最初の約束を変更してはいけないという意味ではありません。
例えば、次のようなケースでは再調整を検討できます。
- 緊急の仕事や家庭の事情が発生した場合
- 先約の相手から日程変更の了承を得られた場合
- 先約がまだ仮決定で、正式な合意に至っていない場合
- 双方にとって変更したほうが合理的だと判断できる場合
重要なのは、新しい誘いを優先したいからといって一方的に先約を取り消さないことです。先に約束した相手に事情を説明し、変更について了承を得ることが基本になります。
先約があるときの自然な断り方誘いを断る際は、必要以上に長い説明をする必要はありません。相手への感謝を伝えたうえで、先約があることと参加できない意思を簡潔に伝えましょう。
友人への断り方
「誘ってくれてありがとう!その日は先約があって行けないんだ。また別の日にぜひ一緒に行こう」
職場の同僚への断り方
「お誘いありがとうございます。その日は先約が入っているので難しいですが、別の日なら参加できます」
取引先への断り方
「お声がけいただき、誠にありがとうございます。あいにく当日は先約がございまして、今回は辞退させていただければと存じます。またの機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします」
断るときに避けたい表現相手に気を遣うあまり、曖昧な表現を使ってしまうことがあります。しかし、断る意思が伝わらないと、相手に再調整の負担をかける可能性があります。
- 避けたい:「ちょっと難しい可能性があります」
- おすすめ:「申し訳ありませんが、その日は先約があるため参加できません」
- 避けたい:「予定があるので無理です」
- おすすめ:「あいにく先約がございます。別日でしたら調整可能です」
断るときは、曖昧に期待を持たせるより、丁寧かつ明確に伝えることが相手への配慮になります。
【類語・関連語】先約と前約・先口の違い、キャンセルや変更の注意点
先約には、似た意味を持つ言葉がいくつかあります。特に「前約」「先口」は辞書にも関連語として掲載されており、意味の近い表現です。
先約の類語と使い分け1.前約(ぜんやく)
前約は、以前にした約束という意味です。小学館の「デジタル大辞泉」でも先約と同じ意味の言葉として説明されています。
意味は先約とほぼ同じですが、日常会話や一般的なビジネス会話では「先約」のほうが使いやすい表現です。
2.先口(せんくち)
先口は、申し込みや約束の順序が先であることを意味します。
先約が以前から成立している約束そのものを指すのに対して、先口は申し込みや約束の順番に重点があります。
例えば、申し込みを受け付ける場面で「先口がある」という場合、先に申し込みや約束をした人がいるという意味になります。
3.既約(きやく)・予約(よやく)などの関連表現
「予約」は、施設やサービス、日時などをあらかじめ確保することです。飲食店の予約やホテルの予約など、対象となる枠を押さえる意味で使われます。
先約は人との約束に重点があるため、予約とは完全に同じ意味ではありません。
先約をキャンセル・変更してもよい?先約が成立した後に、やむを得ない事情でキャンセルや変更が必要になることもあります。
この場合、最も大切なのは、相手にできるだけ早く連絡することです。
例えば、急な仕事や体調不良などで約束を守れなくなった場合は、次のように伝えるとよいでしょう。
先約をキャンセルする場合
「申し訳ありません。急な事情により、予定していた〇日の約束に伺うことが難しくなってしまいました。ご迷惑をおかけして大変恐縮ですが、今回はキャンセルさせていただけますでしょうか」
先約の日程を変更する場合
「大変申し訳ございませんが、〇日の予定について日程を変更していただくことは可能でしょうか。〇日または〇日でしたら調整可能です」
一方、後から魅力的な誘いがあったという理由だけで、以前の約束を一方的に取り消すことは避けたいところです。
先約の変更を申し出るときの3つのポイント- できるだけ早く連絡する:相手が予定を再調整できる時間を確保する。
- 変更理由は簡潔に伝える:必要以上に細かい説明をせず、誠実に事情を説明する。
- 代替日を提示する:変更後の候補日を示し、相手が判断しやすいようにする。
また、飲食店やホテル、イベントなどの予約が関係する場合は、キャンセル期限や変更条件も確認する必要があります。人との約束とサービスの予約では、適用される条件が異なるためです。
【先約の意味・使い方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:先約とは簡単にいうと、どのような意味ですか?
A1:先約とは、以前から交わしている約束のことです。新しく誘われた時点で、すでに別の人との約束がある場合にも使います。読み方は「せんやく」です。
Q2:「先約がございまして」は目上の人にも使えますか?
A2:はい、使えます。「ございます」は「ある」を丁寧に表す言葉なので、取引先や上司などにも使用できます。「申し訳ございませんが、あいにく先約がございまして」と、お詫びを添えるとより自然です。
Q3:先約と予定は同じ意味ですか?
A3:完全に同じではありません。予定は自分で決めた計画も含みますが、先約は以前から成立している約束を意味します。誰かとの約束があることを強調したい場合に先約を使います。
Q4:先約がある場合は、必ず先約を優先しなければなりませんか?
A4:基本的には先に交わした約束を尊重するのがマナーです。ただし、緊急の事情がある場合や、相手から変更の了承を得られた場合などは再調整できます。一方的なキャンセルは避けましょう。
Q5:先約の類語にはどのような言葉がありますか?
A5:代表的な類語は「前約」と「先口」です。前約は以前にした約束、先口は申し込みや約束の順番が先であることを意味します。
先約とは「せんやく」と読み、以前から交わしている約束や、新しい申し出より先に成立していた約束を意味する言葉です。
「予定」は前もって決めた計画、「約束」は当事者間の取り決めを指すため、先約とは意味の重点が異なります。特に、誰かとの約束がすでにあることを相手に伝える場合には、先約という表現が適しています。
ビジネスでは「先約がございまして」「先約がございます」といった敬語が使えます。断る際には、感謝やお詫びを添え、可能であれば代替日も提案すると、相手との関係を良好に保ちやすくなります。
また、先約優先は人との信頼関係を守るための基本的なマナーです。後から別の誘いがあった場合も、先に交わした約束を尊重し、変更が必要なときは相手の了承を得ることが大切です。
先約の意味や使い方を正しく理解しておけば、友人との約束から仕事上の日程調整まで、相手に失礼のない自然なコミュニケーションにつながります。