オランダ対アルゼンチンの歴代対戦で、最も劇的な試合の一つが2022年12月9日のカタールW杯準々決勝だ。
ルサイル・スタジアムに集まった観客は8万8,235人。アルゼンチンが2点をリードしながら、オランダが後半アディショナルタイムに追いつき、延長戦でも決着がつかず、最後はPK戦でアルゼンチンが勝ち上がった。
試合結果と勝敗の経緯試合はアルゼンチンが主導権を握る形で進んだ。35分、リオネル・メッシのパスを受けたナウエル・モリーナが先制点を記録。73分にはメッシがPKを成功させ、アルゼンチンが2-0とリードを広げた。
しかし、オランダは交代選手の投入によって反撃の糸口をつかむ。78分に投入されたワウト・ヴェグホルストが83分、スティーブン・ベルハイスのクロスに頭で合わせて1点差に迫った。
そして90分を過ぎた後、オランダが最後のチャンスをつかむ。テウン・コープマイネルスがFKの場面で意表を突くパスを送り、ヴェグホルストが相手守備の隙を突いてゴール。公式記録では90+11分の得点となり、試合は2-2に戻った。
2022年準々決勝・得点経過

35分:ナウエル・モリーナ
メッシのパスからアルゼンチンが先制。
73分:リオネル・メッシ(PK)
アルゼンチンが2-0とリード。
83分:ワウト・ヴェグホルスト
ベルハイスのクロスに頭で合わせて2-1。
90+11分:ワウト・ヴェグホルスト
FKの意表を突いたセットプレーから同点弾。
2-2
延長戦終了時
3-4
PK戦・オランダ対アルゼンチン
PK戦4-3でアルゼンチンが勝利
延長戦でも両チームは得点できず、勝敗はPK戦に委ねられた。
アルゼンチンのGKエミリアーノ・マルティネスは、オランダの最初のキッカーであるフィルジル・ファン・ダイクと、2人目のベルハイスのシュートを連続で阻止。アルゼンチンはメッシ、パレデス、モンティエル、ラウタロ・マルティネスが成功させた。
オランダもコープマイネルス、ヴェグホルスト、ルーク・デ・ヨングが成功したものの、最終的にアルゼンチンが4-3で勝利した。FIFA公式のフルタイムマッチレポートにも、このPK戦の全経過が記録されている。
リオネル・メッシとワウト・ヴェグホルストの明暗
アルゼンチン代表
先制点をアシストし、PKも成功。攻撃の中心としてチームを牽引した。
オランダ代表
途中出場から2得点。敗れたものの試合の流れを変える活躍を見せた。
メッシは個人技とパスでアルゼンチンの攻撃を組み立て、ヴェグホルストは高さとゴール前での決定力でオランダを救った。対照的なタイプの選手が、それぞれの持ち味を最大限に発揮した試合だった。
ただし、ヴェグホルストの2得点が勝利に直結しなかったことも、この試合の厳しさを物語る。アルゼンチンはリードを失いながらもPK戦で立て直し、最終的に勝ち抜いた。
【両代表の戦術比較】オランダの組織力とアルゼンチンの攻撃力
オランダ代表とアルゼンチン代表は、いずれも個人の技術だけでなく、チーム全体の連動性を重視するサッカーを展開してきた。ただし、その戦術的な特徴には違いがある。
オランダ代表:ポジショニングとサイド攻撃オランダの伝統的な強みは、選手同士の距離感、ポジションの流動性、パスコースの確保にある。1974年大会のトータルフットボールは、その象徴的なスタイルだった。
2022年大会では、ルイ・ファン・ハール監督が3バックを基本とした布陣を採用。ウイングバックを高い位置に配置し、サイドから攻撃の幅を確保する形を取った。
アルゼンチン戦ではヴェグホルストの高さを生かした攻撃に加え、セットプレーも重要な武器となった。2点目の同点ゴールは、その戦術的な工夫が結実した場面だった。
アルゼンチン代表:メッシを中心とする連携と個人技アルゼンチンの特徴は、メッシの創造性を中心に、周囲の選手が連動する攻撃にある。中盤でボールを保持しながら相手の守備を動かし、メッシや前線の選手が決定的なスペースを利用する。
2022年大会では、ロドリゴ・デ・パウル、アレクシス・マック・アリスター、エンソ・フェルナンデスらの中盤がメッシを支えた。守備ではエミリアーノ・マルティネスを中心に粘り強く対応し、試合終盤の苦境を乗り越えた。
2022年の公式データで比較する両チームFIFAの公式試合報告書を確認すると、2-2というスコアだけでは見えない試合内容が浮かび上がる。
| 比較項目 | オランダ | アルゼンチン |
|---|---|---|
| シュート数 | 5 | 15 |
| 枠内シュート | 2 | 6 |
| コーナーキック | 2 | 8 |
| ボール支配率 | 46% | 39% |
| ファウル数 | 20 | 18 |
| 得点 | 2 | 2 |
出典:FIFA公式フルタイムマッチレポート。ボール支配率のほかに、競り合い中のボール保持が別区分で記録されている。
シュート数ではアルゼンチンが15対5と大きく上回った。コーナーキックも8対2でアルゼンチンが優勢だった。一方、オランダは少ないシュート機会から2得点を奪い、試合を振り出しに戻している。
ここから読み取れるのは、アルゼンチンが攻撃機会を多く作りながらも、オランダの守備とセットプレーへの対応に苦しんだことだ。単純にボールを保持したチームが勝つわけではない、国際大会の決勝トーナメントらしい試合だった。
なお、これらは2022年当時の両チームのデータであり、2026年現在の代表メンバーや戦術をそのまま示すものではない。
【2026年最新情報】両代表のW杯成績と次の対戦への注目点
2026年11月2日時点で、オランダ代表とアルゼンチン代表の直接対決は実現していない。2026年FIFAワールドカップでも両国は異なるトーナメントルートを進み、再戦には至らなかった。
オランダ代表はモロッコにPK戦で敗退オランダは2026年大会のグループFを首位で突破したが、ラウンド32でモロッコと対戦。コーディ・ガクポの72分のゴールで先制したものの、モロッコのイッサ・ディオプに90+1分に同点ゴールを許した。
延長戦でも決着がつかず、PK戦ではモロッコが3-2で勝利。オランダはベスト16進出を逃した。2022年のアルゼンチン戦に続き、W杯の大舞台でPK戦による敗退を経験したことになる。
アルゼンチン代表は2026年大会で準優勝一方、アルゼンチンは2026年大会で決勝まで進出した。準々決勝ではスイスに3-1で勝利し、準決勝ではイングランドを2-1で下している。
決勝ではスペインと対戦。90分間で得点が生まれず、延長106分にフェラン・トーレスが決勝点を記録し、アルゼンチンは0-1で敗れた。連覇はならず、準優勝という結果で大会を終えている。
2026年W杯・両代表の最終結果
オランダ代表
対モロッコ:1-1、PK戦2-3
アルゼンチン代表
決勝でスペインに0-1(延長戦)
2026年大会までの実績を踏まえると、今後両国が対戦する場合には、次の3点が見どころになる。
1. オランダの守備組織がアルゼンチンの攻撃を封じられるか。
2022年には15本のシュートを許しながらも、終盤まで試合を諦めなかったオランダ。守備の連動性とカウンターの精度が再戦の鍵になる。
2. アルゼンチンがセットプレーへの対応を改善できるか。
2022年の2失点は、オランダの高さとセットプレーの工夫が生み出したものだった。アルゼンチンが同じような局面で守備の集中力を維持できるかは要点だ。
3. 試合終盤の選手交代とPK戦への備え。
過去の対戦では、1979年、2014年、2022年とPK戦でアルゼンチンが勝利している。延長戦を含めた選手起用、GKのPK対応、交代選手の得点力が勝敗を左右する可能性がある。
【オランダ対アルゼンチン】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:オランダ対アルゼンチンの通算対戦成績は?
A1:2026年11月2日時点で10試合、オランダ4勝5分け1敗。総得点はオランダ15、アルゼンチン8だ。PK戦の結果を引き分けとして扱う集計方法に基づいている。
Q2:2022年カタールW杯のオランダ対アルゼンチンはどちらが勝った?
A2:アルゼンチンが勝利した。試合は延長戦を終えて2-2となり、PK戦でアルゼンチンが4-3で勝ち抜いた。
Q3:2022年の試合で得点した選手は誰?
A3:アルゼンチンはナウエル・モリーナとリオネル・メッシ、オランダはワウト・ヴェグホルストが2得点を記録した。
Q4:W杯ではオランダとアルゼンチンは何回対戦している?
A4:2022年までに6回対戦している。1974年、1978年、1998年、2006年、2014年、2022年の大会で顔を合わせた。
Q5:オランダとアルゼンチンのW杯でのPK戦の成績は?
A5:2014年ブラジル大会の準決勝と2022年カタール大会の準々決勝で、アルゼンチンが2度ともPK戦を制している。2014年は4-2、2022年は4-3だった。
オランダ代表とアルゼンチン代表の対戦は、1974年のトータルフットボール、1978年のアルゼンチン初優勝、1998年のベルカンプの決勝ゴール、そして2014年と2022年のPK戦と、時代ごとに異なるドラマを生み出してきた。
2026年11月2日時点の通算記録はオランダ4勝5分け1敗、総得点15対8。数字だけを見ればオランダがリードしている。しかし、W杯の重要な勝ち抜きという観点では、アルゼンチンがPK戦で2度オランダを退けた事実が際立つ。
特に2022年の2-2は、メッシの技術、ヴェグホルストの決定力、マルティネスのPKセーブ、そして両監督の采配が交錯した名勝負だった。
今回の対戦史から得られる最大の要点は、通算勝利数と大舞台での勝ち抜き実績は、必ずしも同じ評価にならないということだ。オランダの攻撃的な組織力とアルゼンチンの勝負強さ。この対照的な特徴こそが、両国の対戦を長年にわたって特別なものにしている。
次に両国がピッチで顔を合わせるとき、1978年の決勝や2022年の激闘を超える新たな歴史が生まれるのか。今後の国際大会でも注目したいカードである。