他人の失敗や不幸を知ったとき、心のどこかで「少し気分がいい」「自分より大変な人がいると思うと安心する」と感じた経験はないだろうか。そんな複雑な感情を表現した言葉が「人の不幸は蜜の味」だ。心理学では、他人の不幸を見聞きして喜びを感じる現象をシャーデンフロイデ(Schadenfreude)と呼ぶ。
この感情の背景には、単純な意地悪さだけではなく、嫉妬、社会的比較、自己肯定感、優越感、正義感など複数の心理的要因が関係している。2025年には日本人を対象とした新しい心理尺度の研究も発表され、2026年には職場におけるシャーデンフロイデを整理した研究レビューも公表された。他人の不幸を喜ぶ心理は、個人の感情だけでなく、人間関係や組織の問題としても研究されている。
【意味と由来】「人の不幸は蜜の味」とは?シャーデンフロイデとの関係

「人の不幸は蜜の味」とは、他人が失敗したり、不運に見舞われたりしたとき、その出来事を知った自分が喜びや満足感を覚えることを意味する表現だ。
本来、他人の不幸は悲しむべき出来事である。それにもかかわらず、相手の失敗を知って安心したり、胸のつかえが取れたように感じたりする。この相反する感情を、蜜の甘さにたとえている。
特に、次のような場面で使われることが多い。
- 自分より成功していた同僚が仕事で失敗したとき。
- いつも自慢している知人が思いどおりの結果を得られなかったとき。
- 自分を見下していた相手が困難に直面したとき。
- 不公平な振る舞いをしていた人物が、その行為に相応する結果を受けたと感じたとき。
ただし、すべてが同じ心理から生じるわけではない。相手への嫉妬が解消された場合と、不正に対する制裁が行われたと感じる場合では、喜びの性質が異なる。
シャーデンフロイデの意味と語源心理学で使われるシャーデンフロイデは、ドイツ語の「Schaden」と「Freude」を組み合わせた言葉である。
- Schaden:損害、害、不利益。
- Freude:喜び、楽しみ。
つまり、直訳に近い意味では「他者の不幸による喜び」となる。日本語の「いい気味だ」「ざまあみろ」「他人の不幸は蜜の味」といった表現に近い心理現象だ。
武蔵野大学の加藤伸弥氏と藤森和美氏による心理学的研究の概観でも、シャーデンフロイデは他者の不幸を第三者的な立場から喜ぶ感情として整理されている。
なお、シャーデンフロイデという心理学用語と、日本語のことわざの由来は区別する必要がある。国立国会図書館のレファレンス協同データベースに掲載されたさいたま市立中央図書館の調査事例では、「人の不幸は蜜の味」という表現の由来を特定できる資料は見つからなかったとされている。
一方、「隣の貧乏は鴨の味」など、隣人の不幸を自分にとって好ましいものとして表現する類似のことわざは存在する。そのため、現在の表現をシャーデンフロイデの直訳や、特定の外国語から生まれたことわざだと断定することはできない。
【心理学で解明】他人の不幸を喜ぶ心理が生まれる5つの仕組み
なぜ人間は、他人の失敗を見て喜んでしまうのだろうか。心理学の研究から見えてくるのは、他人の不幸そのものよりも、その出来事によって自分の立場や価値がどう変化したと感じるかが重要だという点だ。
1.社会的比較理論による優越感最初に理解したいのが、社会的比較理論である。
1954年、心理学者レオン・フェスティンガーは論文「A Theory of Social Comparison Processes」で、人間には自分の能力や意見を評価しようとする傾向があり、そのために他者との比較を行うことがあると説明した。
たとえば、職場で自分と同じような立場にいる同僚が昇進すれば、自分の評価が低く感じられるかもしれない。反対に、その同僚が大きな失敗をすれば、相対的に自分の立場がよくなったように感じることがある。
これが下方比較と呼ばれる考え方に関係する。
下方比較とは、自分より劣っていると感じる相手と比較することで、自分の状態を肯定的に評価する心理的な過程だ。
他人の失敗によって自分の能力が実際に向上したわけではない。それでも比較対象の状況が悪くなることで、相対的な安心感や優越感が生まれる。
2.嫉妬が解消されることによる快感他人の不幸を喜ぶ心理には、嫉妬も深く関係している。
自分が欲しいものを持っている人や、自分より高く評価されている人を見ると、羨ましさと同時に劣等感や悔しさを感じる場合がある。
その相手が失敗すると、自分と相手の差が縮まったように感じられ、これまで抱えていた不快感が一時的に弱まる。
2006年に学術誌『Emotion』に掲載されたVan Dijkらの研究では、妬みとシャーデンフロイデの関係が検討された。その結果、相手が自分にとって意味のある社会的比較対象である場合、妬みが他人の不幸を喜ぶ感情につながりやすいことが示された。
つまり、まったく関係のない人物の失敗よりも、自分と比較してしまう相手の失敗のほうが、強い感情を引き起こす場合がある。
3.自己肯定感の低下を補おうとする心理自己肯定感が揺らいでいるとき、人は他人との比較によって自分の価値を確認しようとすることがある。
特に、自分の能力や生活に自信が持てないとき、周囲の成功が自分の不足を突きつけるように感じられることがある。
そこで、自分より優れていると感じていた人物が失敗すると、「自分だけがうまくいっていないわけではない」と安心する。相手の失敗が、自分の不安を一時的に和らげる役割を果たすのだ。
2008年に『感情心理学研究』に掲載された澤田匡人氏の研究では、日本人大学生201人を対象に、妬み、自尊感情、罪悪感などとシャーデンフロイデの関係が検討された。
研究では、自尊感情が低い参加者ほど妬みを感じやすく、その妬みが後のシャーデンフロイデにつながる経路が示された。特定の状況を設定した大学生対象の研究であり、すべての人に当てはまるわけではないが、自己評価と他人の不幸を喜ぶ感情の関係を示す知見といえる。
4.正義感や因果応報を求める心理他人の不幸を喜ぶ理由は、嫉妬や優越感だけではない。
自分勝手な振る舞いをしていた人や、周囲に迷惑をかけていた人が失敗すると、「当然の結果だ」と感じることがある。
これは、世の中には正しいことをした人が報われ、悪いことをした人には相応の結果が返ってくるべきだという公正世界への信念と関係する。
たとえば、他人を不当に扱っていた上司が責任を問われた場合、その出来事を単なる不幸ではなく、不公平が是正された結果として受け止めることがある。
この場合、喜びの中心にあるのは自分の優越感よりも、正義が実現したという感覚だ。
5.競争相手が失敗したことによる安堵人は、自分と同じ目標を持つ相手を競争相手として意識しやすい。
受験、昇進、営業成績、収入、恋愛、SNSの評価など、他者との比較が起こりやすい分野では、相手の成功が自分の不利益に感じられることもある。
そのため、競争相手の失敗を知ると、自分の立場が脅かされる可能性が減ったと感じ、安堵する場合がある。
日本心理学会の「心理学ワールド」に掲載された妬みに関する解説でも、悪性の妬みがシャーデンフロイデを生む要因になることが紹介されている。
このように、他人の不幸を喜ぶ感情は、嫉妬、自己評価、競争、正義感などが重なって生じる複合的な心理現象なのだ。
【違いを比較】シャーデンフロイデ・嫉妬・優越感・共感は何が違う?
他人の不幸を喜ぶ心理を正しく理解するには、似ている感情を区別することが欠かせない。
特に混同されやすいのが、嫉妬とシャーデンフロイデだ。両者は関連しているものの、感情が生じるタイミングと対象が異なる。
| 感情・心理 | 主なきっかけ | 心の中で起きていること | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 嫉妬 | 他人が自分より優れていると感じる | 羨ましさ、劣等感、悔しさ | 相手の成功や優位性が気になる |
| シャーデンフロイデ | 他人が失敗や不幸に直面する | 喜び、安堵、満足感 | 相手の不幸によって快感が生じる |
| 優越感 | 自分が相手より優れていると感じる | 自信、安心、満足 | 自分と他人の立場の差を意識する |
| 共感・同情 | 他人の苦しみや困難を知る | 心配、悲しみ、理解 | 相手の感情や状況に寄り添う |
| 正義型シャーデンフロイデ | 不正をした人物が不利益を受ける | 納得感、公正さへの満足 | 相手が報いを受けたと感じる |
嫉妬は、他人が自分より優れている、あるいは自分が欲しいものを持っていると感じたときに生まれやすい感情だ。
一方、シャーデンフロイデは、その相手が不幸や失敗に直面したときに生じる喜びである。
両者は次のような流れでつながることがある。
相手の成功を知る → 嫉妬や劣等感を抱く → 相手の失敗を知る → 優越感や安堵を覚える。
ただし、嫉妬が必ずシャーデンフロイデにつながるわけではない。相手の努力を認めて自分も成長したいと考える場合もある。
心理学では、他人の成功を自分の成長につなげる良性の妬みと、相手を引き下げたいと感じる悪性の妬みを区別する考え方もある。
共感性がある人でも他人の不幸を喜ぶのか他人の不幸を喜ぶことと、共感性を持っていることは、必ずしも両立しないわけではない。
たとえば、普段は友人の悩みを真剣に聞き、困っている人を助ける人でも、自分を長く傷つけてきた相手の失敗には、複雑な満足感を覚える場合がある。
これは、共感が常にすべての相手に同じ強さで働くわけではないためだ。
相手との関係性、過去の経験、競争意識、公平さへの認識によって、他人の不幸に対する感情は変わる。
重要なのは、一時的に喜びを感じたという事実だけで、その人に共感性がないと判断しないことだ。感情と、その後に選択する行動は分けて考える必要がある。
【他人の不幸を喜ぶ人の特徴】心理的傾向と行動パターン
他人の不幸を喜ぶ人には、どのような特徴があるのだろうか。
心理学の研究からは、特定の性格を持つ人だけがこの感情を抱くわけではないことが分かる。ただし、いくつかの傾向はシャーデンフロイデが生じる条件として研究されている。
1.他人との比較を強く意識する他人の収入、仕事の成果、外見、生活水準などを頻繁に比較する人は、相手の成功や失敗に感情を左右されやすい。
自分の価値を自分自身の基準だけで判断できず、周囲との順位によって評価していると、他人の失敗が自分の評価を高めてくれるように感じることがある。
2.自分に自信が持てず、劣等感を抱えやすい自分に対する評価が不安定な場合、他人の成功を脅威として受け止めやすくなる。
特に、自分と似た境遇の人が先に成功すると、焦りや悔しさが強くなることがある。その相手が失敗した際に安心するのは、比較によって生じた不快感が一時的に軽減するためだ。
3.競争意識が強い他人を仲間ではなくライバルとして認識する傾向が強いと、相手の成功を自分の敗北のように受け止める場合がある。
この心理は、職場の昇進争いや営業成績、学校での順位争いなどで表れやすい。
4.相手の失敗を当然の報いだと考える相手の不幸を喜ぶ理由が、必ずしも嫉妬とは限らない。
過去に不公平な行動をしていた人が失敗したとき、その結果を正当な報いだと考える人もいる。これは正義型のシャーデンフロイデに関係する。
5.他人の評価や立場に敏感である周囲からどう見られているかを強く意識する人は、自分と他人の社会的な立場を気にしやすい。
そのため、注目されていた人物の評価が下がると、相対的に自分の立場が安定したように感じることがある。
ただし、これらは心理的な傾向であり、他人の不幸を一度喜んだからといって、その人が性格的に悪い、自己中心的、あるいは共感性が低いと決めつけることはできない。
2025年の日本人対象研究で明らかになった2種類の心理このテーマを考えるうえで注目したいのが、2025年5月14日に学術誌『Personality Science』に掲載された、加藤伸弥氏と泉明宏氏による研究だ。
研究チームは、シャーデンフロイデの感じやすさを測定する新しい心理尺度「SCI(Schadenfreude-by-Concern Inventory)」を開発し、日本人250人を対象に初期的な検証を行った。
分析によって確認されたのは、主に次の2種類である。
- 自己志向型シャーデンフロイデ:他人との競争や比較を通じて、自分の立場がよくなったと感じることで生じる喜び。
- 正義型シャーデンフロイデ:不正をした人物が不利益を受けたことを、公正さが回復した結果として喜ぶ感情。
研究では、自己志向型は悪性の妬みと正の関連、自尊感情と負の関連を示した。一方、正義型は公正世界への信念と正の関連を示している。
この結果が興味深いのは、同じ「他人の不幸を喜ぶ」という感情でも、その根底にある関心が異なることを示した点だ。
なお、SCIは性格傾向を研究するための尺度であり、精神疾患や人格の善悪を判定する診断基準ではない。250人を対象とした初期検証であることも踏まえて理解したい。
【罪悪感と共感】他人の不幸を喜んでしまったとき、どう向き合う?
他人の失敗を喜んでしまったあと、自己嫌悪に陥る人も少なくない。
「こんなことを思う自分は性格が悪いのではないか」「人の不幸を喜ぶなんて最低だ」と感じることもあるだろう。
しかし、思い浮かんだ感情と、自分が実際に取る行動は同じではない。
他人の不幸を喜ぶことへの罪悪感はなぜ生まれる?人間には、他人を思いやり、困っている人を助けるべきだという社会的・道徳的な規範がある。
そのため、相手の不幸を喜ぶ感情が生まれると、自分が大切にしている価値観と実際の感情との間にずれが生じ、罪悪感を覚えることがある。
2008年の澤田氏の研究でも、罪悪感と共感的な反応、シャーデンフロイデの関係が検討されている。女性参加者については、罪悪感が共感的反応と正に関連し、その共感的反応がシャーデンフロイデと負に関連する経路が報告された。
ただし、これは特定の研究条件と参加者に基づく結果であり、性別によって感情の仕組みが一律に決まるという意味ではない。
罪悪感を覚えた場合は、自分の感情を否定するだけでなく、なぜその感情が生まれたのかを振り返るきっかけにするとよい。
他人の不幸を喜ぶことと、他人を傷つけることは別注意したいのは、感情が行動に変わる瞬間だ。
心の中で「いい気味だ」と感じることと、相手の失敗を周囲に言いふらしたり、SNSで嘲笑したり、さらに苦しめようとしたりすることには大きな違いがある。
2024年に『パーソナリティ研究』に掲載された加藤氏と泉氏の事前登録研究では、日本人大学生162人を対象に、不公正な人物に対する正義型シャーデンフロイデと情報共有の意図との関係が検討された。
その結果、正義型シャーデンフロイデと、不公正な人物について情報を共有しようとする意図との関連は確認されなかった。
つまり、他人の不幸を喜んだからといって、必ず悪意ある噂話や攻撃的な行動に発展するわけではない。
一方、2025年のSCI研究では、シャーデンフロイデが適切に理解・管理されない場合、オンライン上の誹謗中傷や悪意ある噂話につながる可能性も指摘されている。
2026年8月29日に公表された職場のシャーデンフロイデに関する体系的レビューでも、社会的比較、公正さ、集団への帰属意識などが感情の発生に関わる枠組みとして整理された。同時に、この分野の実証研究にはまだ限界があると指摘されている。
他人の不幸を喜ぶ心理を理解することは、他人を攻撃する理由を正当化することではない。感情を自覚したうえで、相手の尊厳を損なわない行動を選べるかどうかが重要だ。
【実践編】人の不幸は蜜の味という心理に振り回されない6つの方法
他人の不幸を喜ぶ感情は、無理に消そうとするよりも、その背景を理解して適切に扱うことが現実的だ。
1.まず自分の感情を認める他人の失敗を知って嬉しくなったとき、すぐに自分を責める必要はない。
「自分は今、相手と比較して安心したのかもしれない」「以前から相手に嫉妬していたのかもしれない」と、感情を言葉にしてみよう。
自分の気持ちを客観視できると、衝動的な行動を避けやすくなる。
2.嫉妬の原因を具体的に考える相手の何が羨ましかったのかを考えることも効果的だ。
仕事の評価なのか、経済的な余裕なのか、人間関係なのか。自分が本当に欲しいものを明確にすれば、相手の失敗を喜ぶことに費やしていた意識を、自分の目標に向けられる。
3.他人との比較を減らす他人の成功や失敗を基準にしていると、自分の幸福まで他人に左右されてしまう。
昨日の自分と今日の自分を比べるなど、自分自身の変化に注目する習慣を持とう。
他人の評価ではなく、自分が達成したい目標を基準にすれば、他人の失敗を必要以上に意識する機会も減っていく。
4.相手の立場や背景を想像する他人の失敗は、本人にとって重大な問題かもしれない。
失敗の裏側には、家庭の事情、健康上の問題、経済的な事情、本人にも予測できなかった出来事などが存在する可能性がある。
相手を単なる比較対象として見るのではなく、一人の人間として考えることが、共感を取り戻す助けになる。
5.SNSでの拡散や攻撃を控える誰かの失敗や不祥事を知ったとき、面白半分で投稿を共有したり、批判に加わったりするのは避けたい。
特に、事実関係が分からない段階で情報を拡散すると、誤解や誹謗中傷を広げることにつながる。
投稿する前に「これは事実に基づく批判なのか、それとも相手を笑いたいだけなのか」と考える習慣をつけよう。
6.嫉妬を自分の成長に利用する嫉妬そのものを、必ずしも悪い感情として扱う必要はない。
相手の成功を見て羨ましいと感じたなら、その気持ちを自分が目指したい姿を知る手がかりにできる。
相手が失敗したときの喜びに意識を向けるのではなく、相手が成功していた理由や、自分が取り入れられる行動を考えることが、長期的には自分の利益につながる。
他人の不幸を喜ぶことに時間を使うより、自分の幸福を増やすために時間を使う。これが、この心理と健全に付き合うための基本的な考え方だ。
【人の不幸は蜜の味】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:人の不幸は蜜の味とは、どういう意味ですか?
A1:他人の失敗や不幸を知ったとき、自分が喜びや満足感を覚えることを意味する表現だ。心理学では、こうした感情をシャーデンフロイデと呼ぶ。
Q2:人の不幸は蜜の味という言葉の由来は何ですか?
A2:正確な語源や成立時期は特定されていない。類似する日本語のことわざに「隣の貧乏は鴨の味」がある。シャーデンフロイデはドイツ語由来の心理学用語だが、日本語表現の直接の起源と確認されているわけではない。
Q3:他人の不幸を喜ぶ人は性格が悪いのでしょうか?
A3:必ずしもそうではない。他人の不幸を喜ぶ感情は、嫉妬や競争意識、正義感などによって一時的に生じることがある。感情だけで人格全体を判断することはできない。
Q4:シャーデンフロイデと嫉妬の違いは何ですか?
A4:嫉妬は他人の優位性や成功に対して羨ましさや悔しさを感じる感情であり、シャーデンフロイデは他人の不幸に喜びを感じる感情だ。嫉妬がシャーデンフロイデにつながる場合もある。
Q5:自己肯定感が低いと他人の不幸を喜びやすくなりますか?
A5:研究では、自尊感情の低さが妬みを介してシャーデンフロイデと関連する可能性が示されている。ただし、自己肯定感が低い人全員に当てはまるわけではない。
Q6:他人の不幸を喜んでしまったときはどうすればいいですか?
A6:最初に、なぜ嬉しく感じたのかを振り返ろう。嫉妬や劣等感、過去の人間関係など、感情の背景を理解することが第一歩だ。相手を攻撃する行動に移さず、自分の成長に意識を向けることも有効だ。
「人の不幸は蜜の味」と感じる背景には、嫉妬、社会的比較、優越感、自己肯定感の揺らぎ、正義感など、さまざまな心理が存在する。
心理学でいうシャーデンフロイデは、特別に性格の悪い人だけが抱く感情ではない。人間関係や競争、他人との比較がある場面で、誰にでも生じる可能性がある複雑な感情だ。
2025年に発表された日本人対象のSCI研究は、シャーデンフロイデを自己志向型と正義型に区別し、その背景に異なる心理的要因があることを示した。さらに2026年の職場研究レビューでは、こうした感情が組織内の比較や公正さ、集団意識とも関係することが整理されている。
大切なのは、他人の不幸を喜ぶ感情が生まれたことだけで自分を否定しないこと。そして、その感情を他人への攻撃や中傷に変えないことだ。
他人の失敗によって自分の価値が高まるわけではない。他人との比較から離れ、自分自身の目標や成長に目を向けることが、嫉妬や劣等感に振り回されないための第一歩になる。
人の不幸を蜜の味に感じる心理を知ることは、他人の心だけでなく、自分自身の心を理解することにもつながる。