2026年11月現在、日本国内で2026/27シーズンの新型コロナワクチンを供給する製造販売業者は、ファイザー、モデルナ・ジャパン、第一三共、武田薬品工業、Meiji Seikaファルマの5社です。主な製品は「コミナティ」「エムネクスパイク」「ダイチロナ」「ヌバキソビッド」「コスタイベ」の5種類。それぞれ抗原株や製造技術が異なります。
今回の大きな特徴は、オミクロン株のXFGに対応する製品が3社、NB.1.8.1に対応する製品が2社という構成になっていることです。また、従来型のmRNAワクチンだけでなく、組換えタンパクワクチンや自己増幅型mRNAを採用したレプリコンワクチンも選択肢に含まれています。厚生労働省の2026年9月2日付資料と国立健康危機管理研究機構の公表情報を基に、各社の製品の違いを整理します。
【2026/27年最新】コロナワクチン会社は国内5社!メーカーと製品名一覧

2026/27シーズンの国内定期接種に使用できる新型コロナワクチンは、5社が製造販売する5種類です。
厚生労働省が2026年9月2日に公表した「令和8年度新型コロナワクチンの定期接種に向けたワクチンの開発状況」では、5社の製品について薬事承認と抗原株変更に関する手続きが確認されています。
メーカーと製品の対応関係は次のとおりです。
- ファイザー株式会社:コミナティ
- モデルナ・ジャパン株式会社:エムネクスパイク
- 第一三共株式会社:ダイチロナ
- 武田薬品工業株式会社:ヌバキソビッド
- Meiji Seikaファルマ株式会社:コスタイベ
ここで押さえておきたいのが、「製造販売業者」と「実際にワクチンを開発・製造した企業」は必ずしも同じではないという点です。
例えば、武田薬品工業のヌバキソビッドは、海外で開発されたワクチンを国内で製造する体制を持っています。一方、第一三共のダイチロナは国内で創製・製造される製品です。
つまり、国内メーカー5社という分類だけで、すべてが日本国内で研究開発されたワクチンだと判断することはできません。
なお、今回の5社は2026/27シーズンの定期接種向け製品を基準とした一覧です。過去シーズンの製剤や小児用などの年齢別製剤まで含めた承認製品全体とは区別する必要があります。
【5社を徹底比較】コミナティ・エムネクスパイク・ダイチロナなどの違い
5製品を比較すると、同じ新型コロナワクチンでも、抗原として使用するウイルスの変異株、免疫を誘導する仕組み、接種時の製剤形態に違いがあります。
2026年9月1日に公表された日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の共同見解では、各製品の標的部位や用量、容量、創製・製造の地域まで整理されています。
| 会社・製品名 | ワクチン技術 | 抗原株 | 接種用量・容量 | 製剤・製造の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ファイザー コミナティ |
mRNA スパイクタンパク質 |
XFG | 30μg 0.3mL |
1人用プレフィルドシリンジ 海外創製・海外製造 |
| モデルナ エムネクスパイク |
mRNA NTD・RBD |
XFG | 10μg 0.2mL |
1人用プレフィルドシリンジ 海外創製・海外製造 |
| 第一三共 ダイチロナ |
mRNA RBD |
NB.1.8.1 | 60μg 0.6mL |
1人用バイアル 国内創製・国内製造 |
| 武田薬品工業 ヌバキソビッド |
組換えタンパク質 スパイクタンパク質 |
XFG | 5μg 0.5mL |
2人用バイアル 海外創製・国内製造 |
| Meiji Seikaファルマ コスタイベ |
レプリコン 自己増幅型mRNA |
NB.1.8.1 | 5μg 0.5mL |
2人用バイアル 海外創製・国内製造 |
注:用量・容量は2026/27シーズンの12歳以上を対象とした製剤の比較資料に基づく。ヌバキソビッドはMatrix-Mアジュバントを別途含有。コスタイベは所定の溶解後に使用する。接種対象や実際の使用方法は各製剤の添付文書に従う。
この比較から見えてくるのは、ファイザーとモデルナが同じmRNA方式でも標的とするスパイクタンパク質の領域が異なること、そして第一三共とMeiji Seikaファルマが同じNB.1.8.1対応でも異なる技術を採用していることです。
加えて、製造体制にも違いがあります。国内創製・国内製造という点では第一三共が特徴的です。武田薬品とMeiji Seikaファルマは海外で創製された技術・製品を国内製造につなげています。
これらの情報は、2026年9月1日の学会共同見解および厚生労働省の9月2日付資料に基づいています。
【技術の違いを解説】mRNA・組換えタンパク・レプリコンは何が違う?
メーカーを比較する際に、製品名と並んで確認したいのがワクチンの技術、いわゆるモダリティです。
2026/27シーズンの国内5製品は、大きく分けて通常のmRNAワクチン、組換えタンパクワクチン、自己増幅型mRNAワクチンの3種類に分類できます。
1.通常のmRNAワクチン:ファイザー・モデルナ・第一三共mRNAワクチンは、ウイルスの抗原となるタンパク質を作るための設計情報をmRNAとして体内に届ける方式です。
細胞に取り込まれたmRNAをもとに、細胞内でウイルスの一部に相当するタンパク質が作られます。そのタンパク質を免疫システムが認識することで、抗体などの免疫応答が誘導されます。
2026/27シーズンでは、次の3製品が通常のmRNAワクチンに該当します。
- ファイザーのコミナティ:スパイクタンパク質を標的とする。
- モデルナのエムネクスパイク:スパイクタンパク質のNTDとRBDを標的とする。
- 第一三共のダイチロナ:スパイクタンパク質のRBDを標的とする。
同じmRNA方式であっても、コードする抗原の領域は一律ではありません。
特にモデルナのエムネクスパイクは、従来の同社製品スパイクバックスとは異なる設計です。PMDAの2026年の審議結果報告書では、スパイクタンパク質のN末端部位と受容体結合部位をコードするmRNAを採用した新しい製剤として説明されています。
2.組換えタンパクワクチン:武田薬品のヌバキソビッドヌバキソビッドは、mRNAではなく、あらかじめ製造された組換えスパイクタンパク質を抗原として使用するワクチンです。
組換えタンパク質ワクチンでは、抗原となるタンパク質を細胞などの製造システムで作り、精製したものをワクチンに使用します。
ヌバキソビッドの場合、抗原となる組換えスパイクタンパク質に加え、免疫応答を促進するMatrix-Mアジュバントを配合しています。
この方式の特徴は、mRNAを体内に届けて細胞に抗原を作らせるのではなく、抗原となるタンパク質そのものを接種することです。
武田薬品工業が厚生労働省の審議会に提出した製品説明資料でも、昆虫細胞で発現させた組換えスパイクタンパク質とMatrix-Mアジュバントの組み合わせが紹介されています。
3.レプリコンワクチン:Meiji Seikaファルマのコスタイベコスタイベは、自己増幅型mRNAを利用するレプリコンワクチンです。
通常のmRNAワクチンとの大きな違いは、細胞内でmRNAを複製する働きを持つ仕組みが組み込まれていることです。
PMDAが公開するコスタイベのQ&Aによると、レプリカーゼという酵素の働きによって、細胞内でスパイクタンパク質を作るためのmRNAを増やし、抗原タンパク質の発現につなげます。
つまり、通常のmRNAワクチンが抗原を作るための情報を届ける方式であるのに対し、レプリコンは細胞内でその情報を増幅する仕組みを備えています。
なお、レプリコンという名称は、感染性を持つ新型コロナウイルスそのものを体内で増殖させるという意味ではありません。増幅の対象はワクチンに含まれるRNAの仕組みです。
また、mRNAが人間の遺伝情報であるDNAに組み込まれるという意味でもありません。
このように、コスタイベは一般的なmRNAワクチンとは異なる技術的特徴を持っています。
【2026年最新】XFG株とNB.1.8.1株はなぜ分かれた?抗原株の選定背景
2026/27シーズンのワクチンを比較するうえで、もう一つ見逃せないのが抗原株の違いです。
今回の国内5製品は、XFG対応とNB.1.8.1対応の2グループに分かれています。
- XFG対応:コミナティ、エムネクスパイク、ヌバキソビッド。
- NB.1.8.1対応:ダイチロナ、コスタイベ。
この違いは、各社が独自の基準で製品を選んだという単純な話ではありません。WHOのワクチン抗原に関する推奨と、日本国内の変異株の流行状況、提出された免疫原性データなどを踏まえたものです。
WHOの推奨と日本の2026/27シーズンの判断2026年5月に開催されたWHOのTAG-CO-VACでは、単価LP.8.1をCOVID-19ワクチンの抗原として推奨しました。
一方、日本の厚生科学審議会は、XFGやNB.1.8.1についても、2026年5月時点の流行変異株に対して広範かつ強固な中和抗体応答、または有効性が示された抗原として、国内で使用するワクチンの抗原組成に含める判断をしました。
このため、WHOの推奨株がLP.8.1だからといって、日本国内でXFGやNB.1.8.1対応製品が使用できないわけではありません。
国立健康危機管理研究機構が2026年9月1日に更新した製造株一覧でも、5社の対応関係は明確に整理されています。
2026年の薬事手続きで何が変わった?2026年9月2日付の厚生労働省資料によると、ファイザー、第一三共、武田薬品工業、Meiji Seikaファルマの4社は、2025年度に使用された製品の抗原株をXFGまたはNB.1.8.1に変更した製剤です。
一方、モデルナのエムネクスパイクは2026年5月に新規承認された製品で、同年8月にXFG対応への変更手続きが完了しました。
主な薬事手続きの日付は次のとおりです。
- 2026年8月17日:ファイザー、一部変更承認。
- 2026年8月18日:モデルナ、一部変更承認。
- 2026年8月25日:Meiji Seikaファルマ、一部変更承認。
- 2026年8月26日:武田薬品工業、一部変更承認。
- 2026年8月28日:第一三共、PACMPによる変更。
ここで注意したいのは、XFGとNB.1.8.1のどちらかが、すべての条件で優れていると確定したわけではないことです。
厚生労働省の2026年5月の株選定資料では、変異株対応ワクチンの免疫原性に関するデータが検討されていますが、製剤によって臨床データの状況は異なります。抗原株の名称だけで、接種後の臨床的な効果を順位付けすることはできません。
また、変異株に対応した抗原を使用していることは、感染を完全に防ぐことを意味しません。ワクチンの効果は、重症化予防を含め、対象者や接種歴なども踏まえて評価する必要があります。
【製品の見分け方】会社名・剤形・副反応情報で確認するポイント
医療機関で接種するワクチンを確認したい場合、メーカー名だけで判断するのは十分ではありません。製品名、抗原株、技術、剤形を組み合わせて確認することが大切です。
製品名と容器の違いを確認する2026/27シーズンの12歳以上向け製剤では、コミナティとエムネクスパイクは1人用のプレフィルドシリンジです。
ダイチロナは1人用バイアル、ヌバキソビッドとコスタイベは2人用バイアルという違いがあります。
ただし、容器の形状だけでワクチンの種類を断定するのは適切ではありません。最終的には製品名と医療機関の接種記録を確認してください。
副反応情報は製品ごとに確認するワクチンを比較する際には、技術的な違いだけでなく安全性に関する情報も確認する必要があります。
厚生労働省が2026年9月2日に示した資料では、重大な副反応として、コミナティ、エムネクスパイク、ダイチロナ、コスタイベにはショック、アナフィラキシー、心筋炎、心膜炎が記載されています。
ヌバキソビッドについては、同資料の添付文書における重大な副反応としてショック、アナフィラキシーが挙げられています。
これは添付文書に記載された重大な副反応の比較であり、実際の発生頻度や個人ごとのリスクを直接比較した数字ではありません。また、記載されていない副反応が絶対に起こらないという意味でもありません。
接種後の症状や既往歴、アレルギー、基礎疾患などについては、医師による予診と製品ごとの最新の患者向医薬品ガイドを確認が必要です。
医療機関に確認しておきたいこと- 今回使用するワクチンの正式な製品名は何か。
- 抗原株はXFGかNB.1.8.1か。
- 通常のmRNA、レプリコン、組換えタンパクのどれに該当するか。
- 自分の年齢や接種歴、健康状態に適した製剤か。
- 最新の添付文書や患者向医薬品ガイドで注意事項を確認できるか。
PMDAでは、コミナティ、エムネクスパイク、ダイチロナ、ヌバキソビッド、コスタイベについて、患者向医薬品ガイドや添付文書、リスク管理計画などの情報を公開しています。製品名を確認してから資料を見ると、異なる製剤の情報を取り違えにくくなります。
【2026年秋冬の接種制度】国内5社のワクチンは誰が接種できる?
2026年度の新型コロナワクチン定期接種は、2026年10月から自治体で実施されています。
厚生労働省が公表している対象者は、原則として次のとおりです。
- 65歳以上の人。
- 60歳から64歳までで、心臓、腎臓、呼吸器の機能またはHIVによる免疫機能に重い障害があり、一定の基準を満たす人。
接種期間は原則として2026年10月1日から2027年3月31日までです。自治体によって実施期間が異なる場合があります。
また、定期接種の費用は原則有料です。具体的な自己負担額や助成制度は市区町村によって異なるため、自治体の案内を確認する必要があります。
2024年度以降、新型コロナワクチンの定期接種は、個人の重症化予防を目的としたB類疾病の予防接種として実施されています。対象者であっても法律上の接種義務があるわけではなく、本人の意思に基づいて接種を判断する制度です。
厚生労働省は、国内外の研究で新型コロナワクチンによる入院や死亡などの重症化予防効果が報告されていると説明しています。特に高齢者は重症化リスクが高く、接種の必要性を検討する際には年齢や基礎疾患などを考慮することになります。
なお、5社すべての製品を各医療機関が取り扱っているわけではありません。実際に使用する製品は、医療機関の供給状況や自治体の実施体制によって異なります。
【よくある質問】コロナワクチン会社と製品の違い(FAQ)
Q1:2026/27シーズンのコロナワクチン会社は何社ありますか?
A1:国内の定期接種向け製品を供給する製造販売業者は5社です。ファイザー、モデルナ・ジャパン、第一三共、武田薬品工業、Meiji Seikaファルマが該当します。
Q2:ファイザーとモデルナのワクチンは何が違いますか?
A2:どちらもmRNAワクチンで、2026/27シーズンはXFG対応です。ただし、コミナティはスパイクタンパク質を標的とし、エムネクスパイクはNTDとRBDを標的とする設計です。用量や容量、製品の承認時期も異なります。
Q3:第一三共のダイチロナは国産ワクチンですか?
A3:2026/27シーズンの比較資料では、ダイチロナは国内創製・国内製造と整理されています。5社の中でも国内開発・製造という特徴を持つ製品です。
Q4:ヌバキソビッドはmRNAワクチンですか?
A4:いいえ。武田薬品工業のヌバキソビッドは組換えタンパクワクチンです。組換えスパイクタンパク質とMatrix-Mアジュバントを使用しています。
Q5:コスタイベのレプリコンワクチンとは何ですか?
A5:自己増幅型mRNAワクチンです。細胞内でRNAを増幅する仕組みを備え、抗原となるスパイクタンパク質の発現を促します。通常のmRNAワクチンとは技術的な構造が異なります。
Q6:XFG対応とNB.1.8.1対応ではどちらが優れていますか?
A6:抗原株の名称だけで、どちらかが臨床的に優れていると判断することはできません。日本では両方の抗原を使用する製品が認められています。製品ごとの有効性・安全性に関する情報を確認する必要があります。
Q7:5社のワクチンはどこの医療機関でも選べますか?
A7:必ずしもそうではありません。医療機関によって取り扱う製品が異なります。希望する製品がある場合は、予約前に医療機関へ正式な製品名を確認してください。
2026/27シーズンの国内コロナワクチン市場は、ファイザー、モデルナ、第一三共、武田薬品工業、Meiji Seikaファルマの5社によって構成されています。
製品名と抗原株を整理すると、コミナティ、エムネクスパイク、ヌバキソビッドがXFG対応、ダイチロナとコスタイベがNB.1.8.1対応です。
技術面では、通常のmRNAワクチンが3社、組換えタンパクワクチンが1社、レプリコンワクチンが1社という構成です。
特に注目されるのは、第一三共の国内創製・国内製造という特徴、武田薬品の組換えタンパク技術、Meiji Seikaファルマの自己増幅型mRNA技術、そして2026年に新たに登場したモデルナのエムネクスパイクです。
ただし、技術が新しいことや国内製造であることだけで、ワクチンの優劣が決まるわけではありません。抗原株、臨床データ、安全性情報、製品ごとの適応や接種条件を総合的に見る必要があります。
今後も新型コロナウイルスの変異に応じてワクチンの抗原組成は見直される可能性があります。2026/27シーズンの製品を調べる際には、会社名だけでなく、正式な製品名と抗原株、技術方式まで確認することが、正確な情報を見分けるための基本です。
主な公的資料・参考資料
- 厚生労働省「令和8年度新型コロナワクチンの定期接種に向けたワクチンの開発状況」(2026年9月2日)
- 国立健康危機管理研究機構「新型コロナワクチン製造株」(2026年9月1日更新)
- 日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会「2026年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解」(2026年9月1日)
- PMDA「エムネクスパイク筋注シリンジ12歳以上用 審議結果報告書」(2026年)
- PMDA「コスタイベ筋注用 Q&A」
- 厚生労働省「ヌバキソビッド筋注(組換えタンパクワクチン)の特長」