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【示談・反省・被害者の処罰感情】起訴猶予に与える影響

水沢 茜 水沢 茜 • 更新: • 公開: • 読了約 11 分
目次

起訴猶予を獲得できるかどうかを考える際、特に注目されるのが示談、反省、被害者の処罰感情です。

これらは刑事訴訟法248条に定められた判断要素と関係しており、事件後の対応が処分に影響することがあります。

示談が成立すると起訴猶予になりやすい?

示談とは、加害者側と被害者側が話し合い、損害賠償や謝罪などについて合意することです。

刑事事件では、示談が成立していることが、起訴猶予を判断する際の有利な事情になる場合があります。

具体的には、次のような事情が考慮されます。

- 被害者に対して正式に謝罪している。
- 治療費や修理費などの損害を賠償している。
- 被害者との間で示談が成立している。
- 被害回復に向けた具体的な行動を取っている。
- 今後同じ問題を起こさないための対策を講じている。

ただし、示談が成立すれば必ず起訴猶予になるわけではありません。

被害が重大な場合や犯行が悪質な場合には、示談が成立していても起訴される可能性があります。

また、示談と告訴の取り消しは別の概念です。親告罪では告訴が訴追の条件となりますが、親告罪ではない犯罪については、示談が成立しただけで起訴できなくなるわけではありません。

本人の反省はどの程度評価される?

反省の有無も、検察官が考慮する事情の一つです。

ただし、取り調べで「反省しています」と話しただけで、必ず有利に評価されるわけではありません。

重要なのは、反省が具体的な行動に表れているかどうかです。

例えば、次のような対応が考えられます。

- 自分の行為を振り返り、問題点を認識している。
- 被害者に対して誠実な謝罪を行っている。
- 被害回復のために必要な対応をしている。
- 再発防止のための生活環境や行動を見直している。
- 必要に応じて専門家の支援を受けている。

反省は本人の内面的な事情であるため、形式的な謝罪だけでは十分とは限りません。

また、犯罪の成立自体を争っている場合に、無理に事実を認めることが適切とは限りません。事実関係に争いがあるときは、弁護人と相談して対応を検討する必要があります。

被害者の処罰感情は判断に影響する?

被害者が加害者の処罰を望んでいるかどうかも、検察官が考慮する事情です。

被害者が厳しい処罰を求めている場合と、被害回復を受け入れ、処罰を望まない意思を示している場合では、判断材料が異なることがあります。

ただし、被害者の意思だけで起訴・不起訴が決まるわけではありません。

起訴する権限は検察官にあり、被害者の意向に加えて、犯罪の重大性や証拠、社会的影響などを総合的に検討します。

法務省も、性犯罪などの事件について、被害者の意思を丁寧に確認し、心情に適切に配慮するよう努めることを説明しています。

【起訴猶予の処分後】前科・前歴・再捜査はどうなる?

起訴猶予とは

起訴猶予になった後の生活についても、誤解が少なくありません。

特に、前科が付くのか、警察や検察の記録は残るのか、再び捜査される可能性があるのかという疑問は重要です。

起訴猶予になっても前科は付かない

起訴猶予は不起訴処分であり、刑事裁判で有罪判決を受けたものではありません。

そのため、起訴猶予になった事件について、新たな前科は付きません。

前科とは、一般に有罪判決などによって刑罰を受けた履歴を指します。

起訴猶予の場合は刑事裁判そのものが開かれないため、その事件について有罪判決を受けることもありません。

ただし、以前に別の事件で有罪判決を受けている場合、その前科が消えるわけではありません。

前科と前歴の違い

ここで理解しておきたいのが、前科と前歴の違いです。

比較項目 前科 前歴
意味 有罪判決など刑罰を受けた履歴 捜査対象になった履歴
起訴猶予 新たな前科は付かない 前歴として扱われる場合がある
有罪判決 前科に該当する 捜査履歴としても扱われ得る
社会的な意味 刑罰を受けた履歴 捜査を受けた履歴

前歴は、日常的・実務的に使われる用語であり、前科と同じ意味ではありません。

起訴猶予になった場合でも、警察や検察などの捜査機関に捜査・処分に関する記録が残る場合があります。

ただし、こうした記録が一般に公開されるわけではありません。

また、前歴があることと、社会生活上のあらゆる場面で不利益を受けることも同じではありません。

起訴猶予になった後に再捜査されることはある?

起訴猶予になったからといって、その事件について将来にわたって一切の捜査や起訴ができなくなるわけではありません。

検察庁の刑事事件フローチャートには、不起訴処分や中止処分にした事件について再び捜査に着手する「再起」という手続が示されています。

新たな証拠が見つかった場合など、事情によっては捜査が再開される可能性があります。

ただし、再捜査が可能であることと、実際に再び起訴されることは別です。

また、起訴猶予の処分を受けた事件についても、公訴時効などの法律上の制約は存在します。

検察審査会によって不起訴処分が見直される場合もある

起訴猶予を含む不起訴処分に対して、被害者や告訴・告発をした人などが納得できない場合には、検察審査会に審査を申し立てる制度があります。

検察審査会は、国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が、不起訴処分の妥当性を検討する制度です。

裁判所が公表した2026年10月付の最新Q&Aでは、審査の結果について、次の3種類が説明されています。

1.起訴相当

検察官の不起訴処分は適切ではなく、起訴すべきだという判断です。11人中8人以上の賛成が必要です。

2.不起訴不当

不起訴処分には問題があり、さらに捜査を行ったうえで判断すべきだという結論です。11人中6人以上の賛成が必要です。

3.不起訴相当

検察官の不起訴処分は妥当だという判断です。11人中6人以上の賛成が必要です。

特に重要なのは、起訴相当の議決があった場合です。

検察官は再度捜査を行って判断します。それでも不起訴とした場合などには、第二段階の審査に進むことがあります。

第二段階で11人中8人以上が起訴すべきだと判断して起訴議決が成立すると、裁判所が指定した弁護士が検察官に代わって起訴します。

つまり、検察官の不起訴判断が必ずしも最終的な結論になるとは限りません。

なお、検察審査会の審査は、被害者などからの申し立てだけでなく、新聞記事などをきっかけとする職権審査によって始まる場合もあります。

2026年10月公表の裁判所資料によると、検察審査会は全国165か所に設置されています。

起訴猶予後に確認しておきたいこと

起訴猶予の通知を受けた場合は、処分内容を正確に確認することが大切です。

刑事訴訟法259条では、検察官が不起訴処分をした場合、被疑者から請求があれば速やかにその旨を告げることが定められています。

また、告訴・告発などがあった事件については、260条で処分結果の通知、261条で請求に応じた不起訴理由の告知が規定されています。

実際に確認する際には、次の点が重要です。

- 不起訴処分が正式に決定しているか。
- 不起訴の理由が起訴猶予なのか、嫌疑不十分なのか。
- 他の事件について捜査が継続していないか。
- 事件に関係する書類や通知の内容に誤解がないか。

逮捕や勾留を受けていた場合も、不起訴処分になれば当該事件については刑事裁判に進みません。ただし、別件での身柄拘束などがある場合は別です。

【起訴猶予とは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:起訴猶予になると前科は付きますか?

A1:付きません。起訴猶予は不起訴処分であり、有罪判決を受けたわけではないため、その事件について新たな前科は生じません。ただし、捜査機関に前歴に関する記録が残る場合があります。

Q2:示談が成立すれば必ず起訴猶予になりますか?

A2:必ずしもそうではありません。示談は有利な事情になる場合がありますが、犯罪の重大性、被害状況、犯行の悪質性、本人の反省なども総合的に判断されます。

Q3:起訴猶予になった後に再び起訴されることはありますか?

A3:可能性はあります。不起訴処分は裁判所の確定判決ではないため、法律上の条件を満たし、公訴時効が完成していない場合などには、再捜査や起訴に至ることがあります。また、検察審査会による審査制度も設けられています。

起訴猶予とは、犯罪の嫌疑が十分にある場合でも、検察官が刑事訴訟法248条に基づいて、訴追の必要性がないと判断した場合に行う不起訴処分です。

重要なのは、嫌疑不十分や無罪判決とは異なるという点です。

示談の成立、本人の反省、被害者の処罰感情、犯罪の重大性、犯罪後の対応など、複数の事情を総合的に考慮して判断されます。

また、起訴猶予になった事件について前科は付きませんが、前歴に関する記録が残る場合があります。不起訴処分後も、一定の条件下では再捜査や検察審査会による見直しが行われる可能性があります。

【プロの結論】

起訴猶予を理解するうえで、特に押さえておきたい判断の要点は3つです。

1. 証拠と訴追の必要性は別の問題: 犯罪の嫌疑が十分でも、必ず起訴されるとは限りません。
2. 事件後の対応が重要: 示談、被害弁償、謝罪、再発防止などは、処分を判断する際の事情になります。ただし、単独で結果を保証するものではありません。
3. 不起訴処分の理由を確認する: 起訴猶予と嫌疑不十分では意味が異なります。処分後の法的な位置付けを正確に把握することが大切です。

刑事事件の当事者や家族にとって、起訴・不起訴の判断は、その後の生活にも関わる重大な問題です。個別の事件では、証拠や被害状況、処分の経緯を確認し、刑事事件に詳しい弁護士に相談することが適切な対応につながります。

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水沢 茜
デジタルマーケター 水沢 茜
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アイドルと音楽シーンを担当。公式サイトのスケジュール、リリース情報、本人の発表を照合してから構成しています。

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