キラキラネームの実例を調べると、漢字の意味を組み合わせた名前、外国語の発音を意識した名前、漢字の一部分だけを読む名前など、複数のパターンが見えてくる。
ただし、実在性を考えるうえでは、実際に本人や家族が取材で明かした名前と、ネット上のランキングに投稿された名前を分ける必要がある。
男の子のキラキラネームとして紹介された実例報道・本人の証言で紹介された名前
- 飛馬夢(トマム):北海道の地名「トマム」に由来する当て字。2022年の北海道テレビ系列の街頭取材で、埼玉県在住の男性が自分の名前として紹介した。
- 王子様(おうじさま):山梨県の赤池さんが実際に使用していた戸籍上の名前。18歳で家庭裁判所の許可を得て「肇(はじめ)」に変更した事例として報道された。
- 瑛乙(エイト):母親が子どもの名前として紹介した事例。漢字の「乙」を「と」と読む工夫が特徴的だ。
これらは、単にネットで考案された名前ではなく、本人や親が取材で説明した実例である。
女の子のキラキラネームとして紹介された実例- 瀬梨夏(セリナ):2022年の街頭取材で、女性が自分の名前として紹介した。
- 来夢(ライム):同じ女性が姉の名前として紹介した事例。
- 風和里(ふわり):2025年のTBS系列の報道で、母親が娘の名前として紹介した。
- 姫花(ひな):同じ報道で紹介された、読み方に特徴のある名前。
これらの名前に共通するのは、一般的な音読み・訓読みだけではなく、漢字の組み合わせや音の印象を重視している点だ。
インターネットで有名な珍しい名前は本当に実在する?キラキラネームの検索で頻繁に登場するのが、次のような名前だ。
| 漢字 | ネット上で紹介される読み方 |
|---|---|
| 光宙 | ぴかちゅう |
| 黄熊 | ぷう |
| 泡姫 | ありえる |
| 今鹿 | なうしか |
| 苺苺苺 | まりなる |
| 愛夜姫 | あげは |
| 紗冬 | しゅがあ |
これらは珍しい名前の代表例として繰り返し紹介されてきた。しかし、ネット上のランキングやまとめ記事に掲載されたことと、実在する人物の戸籍上の名前として確認されたことは別問題だ。
例えば、光宙(ぴかちゅう)や黄熊(ぷう)は、長年インターネット上で拡散されているが、掲載元によって根拠が異なる。名前の由来や本人の証言、出生届などを確認できないものまで、実在する名前として断定するのは適切ではない。
一方、漢字文化資料館が紹介した2026年刊行の笹原宏之氏の著書では、日本漢字能力検定協会の協力による実際の名前のデータが分析されている。
2013~2023年の漢検受検者の名前について、延べ約1,900万人のデータから重複やエラーを除いた約849万人分が分析対象となった。
その中には、次のような名前が確認されている。
- 心菜(ココナ):2,539人
- 心愛(ココア):2,450人
- 心(ココ):278人
これは全国の出生者を対象とした統計ではなく、漢検受検者のデータである。それでも、実際に使用されている名前を大規模な資料から検討できる点で貴重だ。
【2026年最新事情】戸籍フリガナ制度でキラキラネームはどう変わった?

キラキラネームをめぐる大きな制度変更が、2025年5月26日に施行された改正戸籍法だ。
これまで戸籍には氏名のフリガナが記載事項として設けられていなかった。そのため、自治体などが事務処理のために読み方を管理していても、戸籍そのものが読み方を公証する仕組みにはなっていなかった。
今回の改正によって、氏名のフリガナが戸籍の記載事項に追加された。
制度の目的は、単純にキラキラネームを減らすことではない。行政のデジタル化、本人確認の正確性向上、複数の読み方を使った不正の防止などが背景にある。
戸籍に記載できる読み方の基本ルール法務省が示した基準は、次の原則に集約される。
「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」
ここで重要なのは、一般的な読み方以外がすべて禁止されたわけではないという点だ。
日本語には、音読みや訓読みだけでは説明できない熟字訓、部分的な読み方、歴史的な読み方などが存在する。
法務省の通達では、次のような読み方も認められる例として整理されている。
1. 部分音訓
漢字の音読みや訓読みの一部を使う方法。
- 心愛(ココア)
- 桜良(サラ)
「心」を「ココ」と読むのは、「心地(ここち)」などの言葉にも見られる部分的な読み方と関連している。
2. 熟字訓・それに準ずる読み方
複数の漢字からなる言葉に、まとまりとして読みを当てる方法。
- 飛鳥(アスカ)
- 五月(サツキ)
- 日向(ヒナタ)
- 紅葉(モミジ)
- 百合(ユリ)
3. 置き字
漢字の一部を直接読まない方法。
- 美空(ソラ)
- 彩夢(ユメ)
このように、漢字のすべてを一文字ずつ発音しなくても、読み方に合理的な関連性があれば認められる場合がある。
法務省が認めない読み方の具体例反対に、法務省のFAQでは、社会生活に混乱を招くおそれがある読み方などについて、具体例が示されている。
太郎(ジョージ・マイケル)
漢字の意味や読み方との関連性を認められない。
高(ヒクシ)
漢字の持つ意味と反対の意味になる。
太郎(ジロウ)
別人の名前や読み違いと誤解されるおそれがある。
健(ケンイチロウ・ケンサマ)
漢字に対応する読み方に、明らかに異なる別の単語を付け加えている。
加えて、差別的・卑わいな読み方や、反社会的で人名として明らかに不適切な読み方も認められない。
特に注目したいのが「太郎をマイケルと読む事例」と「高をヒクシと読む事例」だ。
どちらも、単に珍しいから禁止されるのではない。漢字と読み方の関係性が説明できないことや、意味が反対になることが問題になっている。
また、これらは法務省が制度上の判断例として挙げたものであり、特定の実在人物がその名前を使用していたという意味ではない。
自治体はどのように読み方を判断する?出生届に記載されたフリガナが一般的な読み方として認められるかどうかは、市区町村が法務省の基準に沿って確認する。
必要に応じて、保護者に読み方の説明を求めたり、辞典や新聞、雑誌、書籍などの資料による説明を求めたりする場合もある。
つまり、親が「この漢字はこう読ませたい」と希望するだけで、必ずその読み方が戸籍に登録されるわけではない。
一方で、一般的な読み方から少し外れているという理由だけで、直ちに不受理になるわけでもない。
判断の中心は、漢字と読み方の関連性、命名文化や慣習、社会通念上の妥当性にある。
【制度の時系列・実例比較】2025年から2026年までの重要な変更点
キラキラネームをめぐる制度を理解するには、施行日だけでなく、既に戸籍に記載されていた人と、新しく出生届を出す人の違いを押さえる必要がある。
| 時期・対象 | 制度・実例 | 意味と注意点 |
|---|---|---|
| 2025年5月26日 | 改正戸籍法施行 | 戸籍への氏名のフリガナ記載が開始 |
| 2025年5月26日以降 | 新しく出生する子ども | 出生届でフリガナを届け出る。一般に認められる読み方が必要 |
| 2025年5月以降 | 既存の戸籍に関する通知 | 本籍地の自治体から記載予定のフリガナが通知される |
| 2026年5月25日 | 既存の戸籍に関する通常の届出期限 | フリガナの届出期間が終了 |
| 2026年5月26日以降 | 自治体による戸籍への記載 | 届出がなかった場合、通知された読み方が順次記載される |
| 2026年11月現在 | 制度の運用段階 | 記載後の変更は届出状況によって手続きが異なる |
この制度で特に誤解されやすいのが、2026年5月25日を過ぎると一切変更できなくなるという認識だ。
実際には、届出をしないまま自治体によってフリガナが記載された場合、1回に限り、家庭裁判所の許可を得ずに変更届を提出できる。
ただし、通常の届出を済ませていた場合や、新制度開始後に出生届で届け出たフリガナを変更する場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要になる。
なお、2026年5月25日までに届出をしなかったこと自体に罰金や罰則はない。
【キラキラネームは改名できる?】認められる理由と手続き
珍しい名前を付けられた人や、読み方によって日常生活に不便を感じている人にとって、気になるのが改名の可能性だ。
日本では、戸籍上の名前を変更することは可能だが、本人が希望すれば自由に変更できる制度ではない。
キラキラネームを改名できる理由戸籍上の名を変更するには、家庭裁判所の許可が必要だ。
裁判所が示す「正当な事由」とは、名前を変更しなければ社会生活に支障を来す場合をいう。
例えば、次のような事情は、申立ての理由を説明する際に検討される要素となる。
- 名前が原因で社会生活に具体的な支障が生じている。
- 読み方や表記によって本人確認や各種手続きに問題が生じる。
- 長年にわたり戸籍名とは異なる通称を使用している。
- 名前による継続的な精神的・社会的負担がある。
ただし、これらに該当すれば必ず許可されるという意味ではない。裁判所は個別の事情や提出資料を踏まえて判断する。
単なる個人的な趣味や、名前の響きが気に入らなくなったという理由だけでは、正当な事由として十分とは限らない。
実際に「王子様」から「肇」に改名した男性
赤池肇さんの改名事例
2019年、当時18歳だった赤池さんは、戸籍上の名前「王子様」から「肇(はじめ)」への変更を家庭裁判所に申し立て、許可を得た。
読売新聞社会部の取材記事などで紹介された事例。
赤池さんは、病院などで名前を呼ばれるたびに周囲の視線を集めたり、本名かどうかを確認されたりする経験をしていた。
高校卒業を前に自分の名前を変更し、新しい人生の一歩を踏み出した。
この事例が示しているのは、名前の珍しさそのものだけでなく、本人が実際にどのような生活上の問題を抱えているかが重要だということだ。
改名は名前を付けた親の希望だけで決まるものではなく、本人の社会生活や意思も大切な判断材料になる。
家庭裁判所で改名する手続き一般的な流れは次のとおり。
住所地を管轄する家庭裁判所を確認
名の変更許可を申し立てる裁判所を調べる。
申立書と必要資料を準備
戸籍謄本、改名理由を裏付ける資料などを用意する。
家庭裁判所に申し立てる
収入印紙800円分と、裁判所ごとに定められた連絡用郵便切手が必要。
裁判所による審理
必要に応じて書面照会や事情聴取などが行われる。
許可後に市区町村へ届出
家庭裁判所の許可を得た後、市区町村役場で戸籍の変更手続きを行う。
15歳未満の場合は法定代理人が申し立てる。共同親権の場合には、原則として父母が共同で申し立てる必要がある。
15歳以上であれば、本人が申立人となることができる。
名前の漢字変更とフリガナ変更は別の手続きここは非常に要点だ。
例えば「王子様」という漢字表記そのものを「肇」に変えたい場合と、漢字はそのままで読み方だけ変更したい場合では、手続きの扱いが異なる。
| 変更したい内容 | 基本的な手続き |
|---|---|
| 戸籍上の名前の漢字 | 家庭裁判所の名の変更許可 |
| 届出済みのフリガナ | 家庭裁判所の名の振り仮名の変更許可 |
| 届出をせず自治体が記載したフリガナ | 1回に限り、家庭裁判所の許可なしで変更届を提出可能 |
裁判所によるフリガナ変更でも、正当な事由が必要とされる。単に好みの読み方に変えたいというだけでは認められない場合がある。
手続きの詳細は、裁判所の「名の変更許可」「名の振り仮名の変更許可」の案内で確認できる。
【DQNネームとの違い】キラキラネームをめぐる誤解と名付けの注意点
キラキラネームを調べると、必ずといってよいほど登場するのが「DQNネーム」という言葉だ。
両者は似た意味で使用されるが、言葉のニュアンスには違いがある。
キラキラネームとDQNネームの違いキラキラネームは、一般的な名前と比べて珍しい漢字の組み合わせや、独特な読み方をする名前を指す俗称だ。
一方、DQNネームはインターネット上で広まった、より侮蔑的・批判的なニュアンスを持つ呼び方である。
両者に法律上の明確な定義や区分はない。
つまり、同じ名前でも、紹介する人の価値観や受け止め方によって「キラキラネーム」と呼ばれたり「DQNネーム」と批判されたりすることがある。
また、珍しい名前だからといって、必ずしも本人や親の常識が欠けているということにはならない。
名前には、家族の願いや文化的背景、歴史的な読み方など、さまざまな要素が関係している。
珍しい名前を付ける前に確認したい5つのポイント名付けの際には、個性だけでなく、子どもが成長してからも使い続けることを想定した確認が必要になる。
1. 漢字と読み方の関連性:第三者にも読み方の由来を説明できるか。
2. 日常生活での使いやすさ:学校、病院、就職、各種申請で不必要な混乱が生じないか。
3. 本人の将来への配慮:子どもが成長しても違和感なく名乗れるか。
4. 戸籍フリガナ制度への適合性:法務省の基準に照らして認められる読み方か。
5. 漢字の意味と印象:文字の意味や組み合わせが、本人にとって望ましいものか。
特に注意したいのは、読み方が個性的であることと、読み方に漢字との関連性がないことは別だという点だ。
「心愛(ココア)」のように、部分音訓として説明できる読み方もある。一般的な読み方から少し外れているだけで、すべてを否定的に評価する必要はない。
【キラキラネーム実在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:キラキラネームは本当に実在するのですか?
A1:実在する。赤池肇さんの改名前の「王子様」や、街頭取材で紹介された「飛馬夢(トマム)」「風和里(ふわり)」など、本人や家族が実例として説明した名前がある。ただし、光宙(ぴかちゅう)や黄熊(ぷう)など、ネットで有名な名前は実在性を個別に確認する必要がある。
Q2:2026年現在、キラキラネームは禁止されたのですか?
A2:キラキラネームというカテゴリーそのものが禁止されたわけではない。2025年5月26日施行の制度によって、戸籍に登録するフリガナには一般に認められる読み方という基準が設けられた。部分音訓や熟字訓など、個性的な読み方でも認められるものがある。
Q3:太郎をマイケル、高をヒクシと読むことはできますか?
A3:法務省が示す認められない読み方の具体例に該当する。太郎とマイケルには漢字と読み方の関連性がなく、高とヒクシは意味が反対になるため、戸籍のフリガナとして認められないと考えられている。
Q4:キラキラネームは大人になってからでも改名できますか?
A4:可能だ。家庭裁判所に名の変更許可を申し立て、正当な事由が認められれば変更できる。単なる好みではなく、社会生活への支障などを説明する必要がある。
Q5:2026年5月25日を過ぎたらフリガナを変更できませんか?
A5:変更できる。2026年5月25日までに届出をせず、自治体によって戸籍に記載されたフリガナは、1回に限り家庭裁判所の許可なしで変更届を提出できる。それ以外の変更は、原則として家庭裁判所の許可が必要となる。
Q6:心愛をココアと読む名前は2026年以降も認められますか?
A6:法務省の基準に沿った部分音訓の例として、心愛(ココア)が示されている。珍しい読み方であっても、漢字との関連性を説明できれば認められる場合がある。
キラキラネームは、インターネット上だけの架空の存在ではない。実際に本人や家族が取材で明かした名前や、大規模な名前のデータから確認できる珍しい読み方も存在する。
一方、ネットで有名になった珍しい名前のすべてが、実在する人物の戸籍上の名前だと確認されているわけではない。光宙(ぴかちゅう)や黄熊(ぷう)などの話題性の高い名前については、情報の出所を見極める必要がある。
2026年の名付けを考えるうえで欠かせないのが、2025年5月26日に施行された戸籍フリガナ制度だ。
要点は次の3つに整理できる。
- 珍しい名前そのものが法律で一律に禁止されたわけではない。
- 漢字と読み方の関連性があり、一般に認められる読み方であれば、個性的な名前も認められる場合がある。
- 戸籍に記載された名前やフリガナを変更する場合には、変更内容と届出状況に応じた手続きが必要になる。
【プロの結論】
名前は、親が子どもに贈る最初の大切なものだ。個性を表現することと、本人が長い人生の中で無理なく使い続けられることは、両立させて考える必要がある。
キラキラネームを単純に笑ったり、反対に珍しいという理由だけで無条件に肯定したりするのではなく、漢字の意味、読み方の由来、本人の生活への影響を総合的に見ることが大切だ。
戸籍フリガナ制度の導入によって、名前の読み方は家族だけの希望から、公的な記録としての正確性も求められる段階に入った。これからの名付けでは、個性と社会生活の両方に配慮した選択が、これまで以上に求められる。