「滑舌悪い芸人」と聞いて、まず思い浮かぶのが諸見里大介という人は多いだろう。しかし、実際には滑舌の悪さで知られる芸人にもさまざまなタイプがある。
テレビ朝日の『アメトーーク!』の出演者記録を基準にすると、特に注目したいのは次の8人だ。
1. 諸見里大介|滑舌の悪さを芸風に昇華した代表格吉本新喜劇所属。1982年7月21日生まれ、沖縄県出身。2012年に吉本新喜劇へ入団した。
滑舌悪い芸人を語るうえで、欠かせない存在が諸見里大介だ。
特に特徴的なのがサ行の発音。本人が2022年に寄稿した「シュポシュポコラム」では、サ行が苦手で、「LAWSON」を正確に発音できないという日常のエピソードを紹介している。
さらに印象的なのが、飲食店での注文にまつわる話だ。
注文を聞き返されることを避けるため、メニューを指さして「これ」と伝えるようにしたところ、今度は店員から無愛想な客だと思われてしまったという。
本人としては相手に気を遣った行動だったのに、結果的に誤解を招いてしまった。このエピソードは、単なる発音の面白さだけではなく、滑舌が日常生活にも影響することを伝えている。
吉本新喜劇では、この特徴を生かしたキャラクターやギャグを披露。滑舌の悪さを隠すのではなく、舞台上の個性として確立した芸人だ。
2. 三四郎・小宮浩信|舌の筋力にまつわる驚きのエピソードお笑いコンビ・三四郎のツッコミ担当。独特の話し方とテンポのあるトークで知られる。
小宮浩信も、滑舌を話題にされることの多い芸人だ。
2024年1月、MBSテレビ『痛快!明石家電視台』に出演した際、本人が滑舌にまつわるエピソードを明かした。
学生時代、相方の相田周二が聴力テストで非常に良い数値を出し、医師から周囲に滑舌の悪い人がいないか尋ねられたという。そこで名前が挙がったのが小宮だった。
加えて、医師の前で舌の筋力を調べたところ、本人の説明では、通常を10とした場合に3という結果だったという。
この話は番組内でも大きな笑いを生んだ。
小宮の場合、単に声が低い、かすれているという話ではなく、発音の明瞭さそのものがトークの特徴になっている。相方との掛け合いや、本人の独特なリアクションと組み合わさることで、笑いにつながっている。
3. ロッチ・コカドケンタロウ|滑舌改善のために手術まで経験お笑いコンビ・ロッチのツッコミ担当。滑舌の悪さを話題にされながらも、コントやトークで活躍している。
コカドケンタロウには、滑舌に関する具体的な改善エピソードがある。
2014年に舌の手術を受けたことを、2017年放送の『ダウンタウンDX』で明かしている。
本人の説明によると、舌の裏側にある筋を切り、舌を伸ばす手術だった。
改善したのはカ行やタ行。一方で、以前は発音できていたラ行が言いにくくなったという。
その後、2023年の『ドーナツトーク』でも手術について振り返り、改善した部分と新たな課題をユーモアを交えて語っている。
また、TV LIFEのインタビューでは、かつて滑舌教室に通っていたことも明かした。
興味深いのは、テレビ番組で滑舌悪い芸人として取り上げられたことで、「直さなくてもいいんだな」と考えるようになったという話だ。
本人にとって、コンプレックスだった特徴が芸人としての武器に変わった経験だった。
4. 野性爆弾・ロッシー|独特の話し方が印象に残る芸人野性爆弾のメンバー。2011年、2014年の滑舌関連企画に出演。
野性爆弾のロッシーも、滑舌悪い芸人として番組に登場した人物だ。
2011年の『アメトーーク!』では、コカドや田村亮、諸見里らとともに出演。2014年の「ヘン声芸人vs滑舌悪い芸人」でも滑舌悪い芸人側に名を連ねている。
ロッシーの魅力は、野性爆弾ならではの予測しにくい世界観や、相方との独特な掛け合いにもある。
ただし、番組出演記録だけから個別の発音上の原因まで判断することはできない。滑舌の悪さだけに人物像を限定せず、独特のキャラクターや芸風と合わせて楽しみたい芸人だ。
5. ロンドンブーツ1号2号・田村亮|番組で存在感を見せた芸人ロンドンブーツ1号2号のメンバー。2011年と2014年の滑舌悪い芸人企画に出演。
田村亮も、テレビ朝日の公式記録に名前が掲載されている芸人だ。
2011年2月17日の「滑舌悪い芸人」に出演し、2014年4月29日の企画でも同じカテゴリーに登場している。
田村亮の場合、番組の公式分類における出演実績が確認できる一方、諸見里やコカドのように本人が滑舌改善の具体的なエピソードを語った資料とは性質が異なる。
そのため、滑舌の特徴を一つに決めつけるよりも、バラエティ番組で取り上げられた出演者の一人として整理するのが適切だ。
6. キャイ~ン・ウド鈴木|2014年の企画で滑舌側に参加お笑いコンビ・キャイ~ンのボケ担当。独特の話し方と明るいキャラクターで知られる。
ウド鈴木も、2014年の『アメトーーク!』特別企画で滑舌悪い芸人側として紹介された。
ウド鈴木の場合、声の印象や独特の言葉の運び方も含めて、キャラクターとして認識されている。
天野ひろゆきとのコンビでの掛け合いでは、ウドの独特な話し方が天野のツッコミを引き出す要素にもなる。
7. 出川哲朗|滑舌よりも声の個性が際立つ芸人リアクション芸で知られるお笑いタレント。2014年の企画では「ヘン声芸人」側に出演。
出川哲朗も検索候補に挙がることが多い人物だが、ここで押さえておきたいのは番組での分類である。
2014年4月29日の「ヘン声芸人vs滑舌悪い芸人」では、出川は滑舌悪い芸人側ではなく、ヘン声芸人側に分類されていた。
大きな声や独特の発声、リアクション時の声の変化が印象的で、発音そのものの問題とは区別して考える必要がある。
8. スリムクラブ・真栄田賢|ハスキーボイスが生む独特の存在感スリムクラブのボケ担当。独特のハスキーボイスと間のある話し方が特徴。
真栄田賢については、滑舌よりも声質に注目したい。
2021年のインタビューで、本人は自分のハスキーボイスについて、声帯に隙間があるようだと過去に調べてもらった経験を語っている。また、その特徴は生まれつきだと説明されたという。
2014年の『アメトーーク!』でも、真栄田は滑舌悪い芸人側ではなく、ヘン声芸人側に分類されていた。
この違いは非常に重要だ。声が聞き取りにくいことと、発音が不明瞭であることは、必ずしも同じではない。
【比較表】滑舌悪い芸人の出演歴・特徴を一覧で整理

ここまで紹介した人物を、テレビ朝日の番組公式アーカイブを中心に比較してみよう。
2011年と2014年の企画では、同じ「聞き取りにくい話し方」でも、出演者が異なるカテゴリーに分けられていた。
| 芸人 | 番組での分類・出演歴 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 諸見里大介 | 2011年・2014年の滑舌側 | サ行の発音が特徴 |
| コカドケンタロウ | 2011年・2014年の滑舌側 | 舌の手術、滑舌教室の経験 |
| ロッシー | 2011年・2014年の滑舌側 | 独特のキャラクター |
| 田村亮 | 2011年・2014年の滑舌側 | 企画への複数回出演 |
| ウド鈴木 | 2014年の滑舌側 | 独特の話し方 |
| 小宮浩信 | 2014年のヘン声側 | 舌の筋力に関するエピソード |
| 出川哲朗 | 2014年のヘン声側 | リアクション時の声 |
| 真栄田賢 | 2014年のヘン声側 | ハスキーボイス |
この比較から分かるのは、滑舌悪い芸人には、発音の不明瞭さが中心のタイプと、声の個性が中心のタイプがいるということだ。
なお、上記は番組の出演記録に基づく整理であり、2026年現在の公式人気ランキングや発音の悪さを測定した順位ではない。
【アメトーーク!】滑舌悪い芸人はいつ放送された?伝説の企画を振り返る
滑舌悪い芸人というジャンルを広く知らしめた番組として外せないのが、テレビ朝日の『』だ。
特に注目したいのは、2011年と2014年の2つの企画である。
2011年2月17日「滑舌悪い芸人」テレビ朝日の公式バックナンバーによると、2011年2月17日に「滑舌悪い芸人」が放送された。
出演者は以下の通り。
- ロッチ・コカド
- ロンドンブーツ1号2号・田村亮
- 野性爆弾・ロッシー
- キングオブコメディ・高橋健一
- ガリットチュウ・熊谷岳大
- おにぎり
- ハム・諸見里
当時から滑舌の悪さを個性として持つ芸人が集結していたことが分かる。
ゴールデン版では音声認識機能も話題にテレビ朝日のDVD公式アーカイブには「滑舌悪い芸人 ゴールデン」も収録されている。
この企画では、聞き間違いのエピソードや失恋話などが紹介されたほか、携帯電話の音声認識機能を使った検証も行われた。
話した言葉が正しく文字に変換されないという現象そのものが、笑いの題材になっていたのだ。
さらに「キング・オブ・滑舌悪いトーナメント」や、諸見里を主役にした刑事ドラマ企画「滑舌悪い大捜査線」なども登場した。
単純に聞き取りにくさを笑うだけではなく、出演者の個性を企画全体に組み込んだ点が印象的だ。
2014年4月29日「ヘン声芸人vs滑舌悪い芸人」2014年には、さらに興味深い企画が放送された。
それが「ヘン声芸人vs滑舌悪い芸人」だ。
出演者は次のように分けられた。
ヘン声芸人
- 出川哲朗
- 椿鬼奴
- 市川美織
- 三四郎・小宮浩信
- スリムクラブ・真栄田賢
- 安田大サーカス・クロちゃん
滑舌悪い芸人
- キャイ~ン・ウド鈴木
- ロンドンブーツ1号2号・田村亮
- ウーマンラッシュアワー・村本大輔
- ロッチ・コカドケンタロウ
- 野性爆弾・ロッシー
- 諸見里大介
番組では、お天気キャスターやドラマのADになった場合を想定した企画や、音声認識システムを使った検証が予定されていた。
この対決形式によって、声の個性と発音の明瞭さが別の特徴であることも、視聴者に伝わりやすくなった。
【なぜ聞き取りにくい?】滑舌が悪い理由と、わざと話している可能性
芸人の滑舌を見ていると、「どうしてあのような話し方になるのか」「本当は普通に話せるのではないか」という疑問が生まれる。
滑舌が悪くなる背景には、いくつかの要素がある。
1. 舌や唇の動き、筋力、協調性日本語の発音には、舌や唇、顎などを細かく動かす必要がある。
特にサ行やラ行などは、舌の位置や空気の通し方によって音が変わる。
国立障害者リハビリテーションセンターは、構音障害について、発声・発音に必要な器官の動きが制限されるケースや、口腔器官の形態が影響するケースなどを説明している。
ただし、芸人のテレビでの話し方だけを見て、医学的な構音障害があると判断することはできない。
2. 発音の習慣や話すスピード発音の癖が長く続いている場合、特定の音を正確に出すことが難しくなることがある。
また、早口になったり、言葉を省略するように話したりすると、音がつながって聞こえ、聞き手には不明瞭に感じられる場合もある。
滑舌の印象は、口の動きだけでなく、話すテンポや言葉の区切り方にも左右される。
3. 声の出し方や音声の特徴声のかすれや弱さ、息が混じるような発声も、聞き取りやすさに影響する。
しかし、これは必ずしも滑舌の問題ではない。
真栄田賢のハスキーボイスのように、声の響きそのものが特徴になっているケースもある。
滑舌が悪いのはわざと?これは視聴者が気になるポイントだろう。
答えは、全員がわざとではないが、テレビや舞台では特徴を意識的に強調することがあるというものだ。
興味深い証言が残っている。
2011年の『アメトーーク!』に出演したテレビ朝日の松井康真アナウンサーは、自身の公式エッセイで、諸見里とおにぎりが控室に挨拶に来た際、最初は「わざとですよね?」と思ったと振り返っている。
しかし、担当ディレクターからは「いつもああなんです」と説明されたという。
つまり、諸見里の特徴的な話し方は、単にテレビ用に作られた演技ではなかったことが分かる。
一方で、CMやバラエティの演出で特徴を強調する場合もある。
2016年のケンタッキー・フライド・チキンのプロモーションでは、諸見里が商品を解説する動画が制作され、監督から「言えていない感じで」という演技指示も出ていた。
つまり、普段の特徴と演出上の誇張は分けて考える必要がある。
【滑舌と声質の違い】真栄田賢・出川哲朗が比較対象になる理由
滑舌悪い芸人を理解するうえで、もう一つ大切なのが声質との違いだ。
この2つは混同されやすいが、実際には別の要素である。
| 比較項目 | 滑舌 | 声質 |
|---|---|---|
| 意味 | 発音の明瞭さ | 声そのものの特徴 |
| 関係する要素 | 舌、唇、顎、発音の動き | 声帯、共鳴、声の高さなど |
| 聞こえ方 | 音が不明瞭、言葉を聞き取りにくい | かすれる、低い、高い、ハスキー |
| 代表例 | 諸見里大介、コカド | 真栄田賢、出川哲朗など |
国立障害者リハビリテーションセンターでも、発音に関係する構音障害と、声がかすれたり、ささやき声になったりする音声障害は別の項目として説明されている。
滑舌が悪い人は、必ずしも声が変わっているわけではない諸見里やコカドは、発音の不明瞭さが話題になりやすい。
一方、真栄田は独特のハスキーボイスそのものが特徴だ。
本人は2021年のインタビューで、声帯の状態について過去に調べた経験を語っている。これは発音の問題というより、声の出方に関係する話である。
出川哲朗についても、2014年の番組でヘン声芸人側に分類されていたことが、この違いを理解する手がかりになる。
「何を言っているか分からない」と「どんな声なのかが印象的」は、似ているようで異なる。
この区別を知っておくと、滑舌悪い芸人の特徴をより正確に理解できる。
【プロの結論】滑舌の悪さが芸人にとって武器になる理由
滑舌が悪いことは、日常生活では不便につながる場合がある。
しかし、お笑いの世界では、その特徴が強い個性として受け入れられることがある。
その理由は大きく3つある。
1. 言葉の聞き間違いが笑いを生む普通の会話では、相手に正確に言葉を伝えることが基本だ。
しかし、お笑いでは、予想外の聞き間違いや言葉のズレが笑いのきっかけになる。
『アメトーーク!』の滑舌企画でも、聞き間違いや音声認識の誤変換が大きな見どころになった。
2. 相方や共演者のツッコミを引き出せる滑舌が悪い芸人の魅力は、本人の話し方だけでは完成しない。
相方や共演者が聞き返したり、別の意味に受け取ったりすることで、会話に展開が生まれる。
小宮と相田、コカドと中岡など、コンビの掛け合いでは、本人の特徴と相手のリアクションが組み合わさる。
3. コンプレックスを個性に変えられる特に印象的なのがコカドのエピソードだ。
滑舌を改善するために教室に通ったり手術を受けたりした経験がありながら、最終的には自分の特徴を芸の一部として受け入れている。
諸見里も、日常生活の不便さを笑いに変えながら、新喜劇の舞台で活躍している。
これは、お笑い芸人の個性が、必ずしも一般的な基準でいう長所だけから生まれるわけではないことを示している。
滑舌悪い芸人を楽しむときの判断基準人物を比較する際には、次の3点を押さえておきたい。
- 発音型: 特定の音が聞き取りにくいか。
- 声質型: 声のかすれや響きが特徴なのか。
- 演出型: 番組やネタの中で意図的に話し方を強調しているのか。
この3つを分ければ、滑舌が悪い芸人と、単に声が特徴的な芸人を混同しにくくなる。
【滑舌悪い芸人】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:滑舌が悪い芸人で最も有名なのは誰?
諸見里大介が代表格として挙げられる。サ行の発音を中心とした独特の話し方を、新喜劇のキャラクターやギャグに生かしている。
Q2:滑舌悪い芸人として『アメトーーク!』に出演したのは誰?
2011年にはコカドケンタロウ、田村亮、ロッシー、諸見里大介らが出演。2014年にはウド鈴木、コカド、ロッシー、田村亮、諸見里らが滑舌悪い芸人側として出演した。
Q3:三四郎の小宮浩信は本当に滑舌が悪い?
本人がテレビ番組で滑舌に関するエピソードを語っている。2024年には、舌の筋力について検査した経験も明かしていた。
Q4:ロッチのコカドは滑舌を治す手術をした?
はい。本人は2014年に舌の手術を受けたとテレビ番組で説明している。カ行やタ行が改善した一方、ラ行が発音しにくくなったとも語っている。
Q5:滑舌が悪い芸人は、わざと聞き取りにくく話している?
全員がわざとではない。諸見里のように、普段から発音に特徴があると本人や関係者が語っているケースもある。一方、舞台やテレビの演出で特徴を強調することはある。
Q6:滑舌が悪いことと、声が変わっていることは同じ?
違う。滑舌は発音の明瞭さ、声質は声の高さや響き、かすれ方などを指す。真栄田賢のハスキーボイスは、後者の代表例として理解すると分かりやすい。
滑舌悪い芸人として知られる人物には、諸見里大介、小宮浩信、コカドケンタロウ、ロッシー、田村亮、ウド鈴木などがいる。
一方、出川哲朗やスリムクラブの真栄田賢は、2014年の『アメトーーク!』ではヘン声芸人側に分類されており、滑舌の悪さとは区別して考えたい存在だ。
特に印象的なのは、諸見里のサ行にまつわる日常のエピソードや、コカドの滑舌改善への挑戦、小宮の舌の筋力に関する話である。
2026年現在も、これらの芸人の出演記録やエピソードは、滑舌という個性がお笑いにどう生かされるかを考えるうえで興味深い材料となっている。
大切なのは、単に聞き取りにくいかどうかだけで人物を評価しないことだ。
発音、声質、話すテンポ、相方との掛け合い、そして本人が持つ芸風。それぞれが組み合わさることで、唯一無二の笑いが生まれている。
滑舌の悪さを単なる弱点で終わらせず、視聴者の記憶に残る芸へと変えていることこそ、彼らの最大の魅力なのだ。