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時短勤務むかつくのはなぜ?業務のしわ寄せと不公平感、2025年法改正を徹底解説

園田 薫 園田 薫 • 更新: • 公開: • 読了約 28 分
目次

「時短勤務の同僚だけ定時で帰り、残った仕事はいつも自分たちが引き受ける」「子育て中だから仕方ないといわれても、独身社員やフルタイム勤務者の負担ばかり増える」。こうした状況から、「時短勤務むかつく」と感じてしまう人は少なくない。問題の中心にあるのは、時短勤務という制度そのものよりも、利用者が退勤した後の仕事を誰が担当するのか、負担に見合った評価や人員補充があるのかという職場の運営体制だ。

2026年11月現在、育児・介護休業法の2025年改正はすでに全面施行され、育児時短就業給付金も導入されている。一方、マンパワーグループの人事担当者調査では、時短勤務による周囲の業務負担や部署間の不公平感が企業の課題として浮かび上がった。制度を利用する側にも、収入の減少、キャリアへの不安、同僚への申し訳なさがある。双方の実情と最新の制度を整理し、職場の不満を解消する方法を検証する。

【なぜむかつく?】時短勤務に対する不満が生まれる7つの理由

時短勤務むかつく

時短勤務者に対して不満を抱く人の多くは、短い時間で働くこと自体を問題視しているわけではない。実際には、同じ職場で働いているにもかかわらず、仕事量や責任の配分に納得できないことが不満につながっている。

1. 時短勤務者の仕事がフルタイム社員に回ってくる

最も大きな問題は、業務のしわ寄せだ。

例えば、通常勤務の社員が9時から18時まで働き、時短勤務者が9時から16時まで働く職場を考えてみたい。

16時以降に発生した問い合わせ、顧客対応、書類の修正、急ぎの案件などは、残っている社員が引き受けることになる。

本来はチーム全体で調整すべき仕事でも、担当者が決まっていなければ、近くにいる社員や仕事のできる社員に集中しやすい。

こうした状態が何か月も続けば、「自分だけ仕事が増えている」という感覚が強くなる。

2. 仕事量は同じなのに退勤時間だけ違うように見える

時短勤務者の勤務時間が短くなっていても、担当業務や目標設定がフルタイム時代と変わっていなければ、本人も周囲も無理をすることになる。

特に問題なのが、次のようなケースだ。

- 時短勤務者の担当案件を周囲が引き継ぐ。
- 仕事の最終確認や顧客対応はフルタイム社員が行う。
- 時短勤務者は時間どおりに退勤するが、残った社員は残業する。
- 周囲の社員の評価や給与は変わらない。

こうなると、同じ職場で働いていても、時間と責任の負担が釣り合わない。

不満の原因は、退勤時間の違いではなく、仕事の総量と責任の偏りにある。

3. 急な休みや早退の対応を任される

育児中は、子どもの発熱や保育園からの呼び出しなど、予定外の対応が発生することがある。

これは本人の努力だけでは解決できない問題だ。

しかし、職場に代替要員がいなければ、その日の業務は同僚が引き受けることになる。

しかも、急な休みが発生するたびに同じ社員が対応していると、予定を立てて仕事を進めることも難しくなる。

こうした負担が積み重なることで、時短勤務制度への理解が薄れてしまう。

4. 独身社員や子どものいない社員に負担が集中する

時短勤務に対する不満で特に議論になりやすいのが、独身社員への負担だ。

「子どもがいないから残業できるよね」「家庭の事情がないなら代わりに対応してほしい」といった暗黙の期待が存在する職場では、独身社員が仕事の調整役になりやすい。

しかし、独身であることは、自由に残業できることを意味しない。

介護、自身の通院、資格取得、家庭の事情、個人的な予定など、社員にはそれぞれ異なる生活がある。

結婚や出産をしていないという理由だけで、特定の社員に追加業務を割り当てることは、公平な人員配置とはいえない。

5. 時短勤務者だけが配慮されているように感じる

時短勤務者の退勤時間は厳守される一方、フルタイム社員には残業や休日対応が当然のように求められる。

こうした職場では、制度の利用者と制度を支える側の間に心理的な溝が生まれる。

加えて、上司が時短勤務者の事情を優先するあまり、ほかの社員の負担を十分に把握していない場合、不公平感は大きくなる。

配慮そのものが問題なのではない。配慮の対象が一方に偏り、ほかの社員への支援が欠けていることが問題だ。

6. 評価や昇進の基準が曖昧になっている

同じ職場で同じような成果を求められているのに、時短勤務者とフルタイム社員で評価基準が異なる場合も、不満が生じやすい。

一方で、時短勤務者自身も、勤務時間が短いことを理由に重要な案件から外されたり、昇進の機会を失ったりすることがある。

評価制度が曖昧な職場では、時短勤務者に対して「仕事が少なくて得をしている」という見方が生まれ、本人には「責任ある仕事を任せてもらえない」という不満が生まれる。

7. 上司が業務調整をせず、現場に丸投げしている

最も根深い原因は、管理職のマネジメント不足だ。

本来、時短勤務によって担当者が働ける時間が減るなら、業務量や納期、担当範囲を見直さなければならない。

しかし、仕事の総量を変えずに、現場の社員同士で何とかするよう指示するだけでは、負担が偏る。

その結果、制度を利用する人と支える人の対立が生まれてしまう。

【人事担当者調査で判明】時短勤務のしわ寄せと不公平感はどれほど深刻なのか

時短勤務に対する不満は、単なる個人の感情だけではない。企業の人事担当者を対象とした調査でも、周囲の社員への業務負担や部署間の不公平感が課題として報告されている。

マンパワーグループの人事担当者調査では27.0%が業務の上乗せを問題視

マンパワーグループは2022年8月、20~59歳の人事担当者400人と一般社員400人を対象に、時短勤務の利用や職場のサポート体制に関する調査を実施した。

人事担当者に対して、時短勤務について会社が感じている課題を尋ねたところ、次の結果となった。

人事担当者が感じる課題 回答割合
周囲の社員の業務が上乗せされる 27.0%
部署やチームによって不公平感が生まれる 22.9%
時短勤務者のための配置換えや人材サポートが難しい 21.1%

特に注目したいのは、最も多かった回答が「周囲の社員の業務が上乗せされる」だったことだ。

時短勤務者の制度利用そのものより、周囲の社員に発生する追加業務が企業側の課題として認識されている。

また、同調査では会社が実施しているサポートについても調べている。

- 時短勤務を利用する社員への社内サポート:53.9%
- 周囲の社員が働きやすくなる社内サポート:43.3%
- 時短勤務者に替わる人材の補充:16.4%
- 時短勤務者の業務に関わるアウトソーシング:15.2%

利用者本人への支援と比較すると、代替人員の補充や業務の外部委託は低い割合にとどまった。

この数字から見えてくるのは、制度を利用する社員への配慮が進んでも、実際に仕事を引き受ける側の人員確保までは十分に進んでいない企業があるという実態だ。

なお、この調査は2022年実施のものであり、2026年の全国的な不満の割合を示す最新統計ではない。時短勤務をめぐる職場課題を把握するための調査として読む必要がある。

2025年のjinjer調査でも法改正への対応負担が明らかに

jinjer株式会社は2025年2月13~14日、企業の経営層、人事担当者、時短勤務など柔軟な働き方をしている従業員の計306人を対象に、育児・介護休業法改正に伴う業務負荷について調査した。

主な結果は次のとおりだ。

- 法改正にすでに対応済みと回答した企業:55.6%
- 育児・介護のための休業・休暇を拡充した割合:62.4%
- テレワーク制度を導入・見直しした割合:54.7%
- フレックスタイム制を導入・見直しした割合:52.9%
- 短時間勤務制度を導入・見直しした割合:51.2%

加えて、制度導入に伴って増えた業務では、勤怠管理の調整が51.2%で最多だった。

法改正への対応で最も負担が大きいと感じる業務についても、勤怠管理の調整が24.1%でトップとなっている。

この調査が示しているのは、制度の拡充には勤怠管理や給与計算、就業規則の見直しなど、企業側にも相応の対応が必要だということだ。

ただし、これらは制度改正に伴う企業の業務負荷に関する調査であり、同僚へのしわ寄せを直接測定した数字とは区別する必要がある。

利用者・同僚・人事担当者の関係を整理
関係者 立場・役割 主な悩みや課題
時短勤務者 育児などと仕事を両立する 収入減少、急な休みへの不安、キャリアへの影響
フルタイム社員 通常の勤務時間で業務を担当する 業務の上乗せ、残業、評価への不満
独身・子どものいない社員 業務をカバーする側になる場合がある 家庭事情を理由に負担を引き受けることへの不公平感
管理職 業務分担と人員配置を管理する 納期、要員不足、チーム内の対立
人事担当者 制度設計と労務管理を担当する 法令対応、勤怠管理、給与計算、職場環境の整備

時短勤務をめぐる問題は、利用者だけを見ても解決しない。利用者、同僚、管理職、人事担当者のそれぞれに異なる課題があるためだ。

【2026年最新制度】短時間勤務制度の仕組みと2025年育児・介護休業法改正

時短勤務に不満を感じる場合でも、まず制度の内容を正確に理解しておきたい。

育児目的の短時間勤務は、単なる会社独自の福利厚生ではない。一定の条件を満たす労働者について、育児・介護休業法に基づき事業主に制度の整備が義務付けられている。

短時間勤務制度の対象者は?

育児・介護休業法に基づく育児のための短時間勤務制度では、原則として3歳に満たない子を養育する労働者が対象となる。

事業主は、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む制度を設けなければならない。

対象となるための主な条件は次のとおりだ。

- 3歳未満の子を養育している。
- 日々雇用される労働者ではない。
- 1日の所定労働時間が6時間以下ではない。
- 短時間勤務制度が適用される期間に育児休業を取得していない。

ただし、労使協定によって対象外にできるケースもある。

例えば、継続雇用1年未満の労働者、週の所定労働日数が2日以下の労働者、業務の性質や実施体制から短時間勤務が困難と認められる業務に従事する労働者などだ。

なお、対象外となる業務については、単に会社が認めたくないという理由で自由に決められるわけではない。法令や指針に沿った判断が必要になる。

2025年4月1日に施行された主な改正

2024年に成立した改正育児・介護休業法は、2025年4月1日と10月1日に段階的に施行された。

4月の主な変更点は次のとおり。

- 子の看護休暇が「子の看護等休暇」に変更され、対象が小学校3年生修了まで拡大。
- 感染症による学級閉鎖や入園式・入学式なども取得事由に追加。
- 残業免除の対象が、3歳未満の子を育てる労働者から小学校就学前の子を育てる労働者に拡大。
- 短時間勤務制度の代替措置にテレワーク等が追加。
- 育児のためのテレワーク等の導入が事業主の努力義務となった。
- 育児休業取得状況の公表義務の対象企業が拡大。

2025年10月1日から柔軟な働き方の選択肢が拡大

10月1日からは、3歳以上から小学校就学前までの子を養育する労働者を対象に、柔軟な働き方を実現するための措置が義務化された。

企業は次の5つの選択肢から、2つ以上を導入する必要がある。

1. 始業時刻等の変更
2. テレワーク等(月10日以上)
3. 保育施設の設置・運営等
4. 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
5. 短時間勤務制度

労働者は、企業が用意した措置の中から1つを選択して利用できる。

ここで注意したいのは、3歳以上の子を持つすべての労働者に、必ず短時間勤務が認められるという意味ではないことだ。企業は5つの選択肢から2つ以上を用意し、労働者がその中から選ぶ仕組みになっている。

また、2025年10月の改正によって、3歳未満を対象とする従来の短時間勤務制度がなくなったわけでもない。

2026年現在は、子どもの年齢に応じて利用できる制度が異なるため、会社の就業規則と法定制度の両方を確認する必要がある。

【給与はいくら減る?】時短勤務中の給与と育児時短就業給付金

時短勤務者が得をしているように見える理由として、給与や給付金への疑問も多い。

しかし、実際には勤務時間の短縮によって収入が減少する場合があり、制度利用者にも経済的な負担がある。

時短勤務中の給与は会社の賃金規程で決まる

短時間勤務を利用した場合の給与について、厚生労働省は企業によって異なるとしている。

一般的には、所定労働時間の短縮に合わせて基本給を調整する企業がある。

例えば、所定労働時間が8時間から6時間に短縮され、基本給が労働時間に比例する制度なら、単純計算では次のようになる。

- フルタイム勤務:月給30万円
- 時短勤務:1日6時間
- 労働時間の割合:75%
- 時短後の基本給の例:22万5,000円

これはあくまで計算例であり、実際の給与は企業の賃金規程や契約内容によって異なる。

また、基本給だけでなく、役職手当、職務手当、賞与、評価制度なども確認したい。

勤務時間が短くなったからといって、すべての手当が自動的に同じ割合で減額されるとは限らない。手当の支給目的や職務内容、社内規程によって判断が異なるためだ。

2025年4月から育児時短就業給付金がスタート

2025年4月1日から、育児時短就業給付金が創設された。

これは、育児のために短時間勤務を選択した雇用保険の被保険者を経済的に支援する制度だ。

主な受給要件は次のとおり。

- 2歳未満の子を養育している。
- 雇用保険の被保険者である。
- 育児のために1週間当たりの所定労働時間を短縮している。
- 育児休業給付の対象となる育児休業から同じ子について引き続き時短勤務を始めた、または開始前2年間に一定の賃金支払実績がある。

後者については、原則として賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月必要となる。11日以上の月がない場合は、賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある完全月が対象となる。

給付額は賃金の10%が基本

育児時短就業給付金は、時短勤務中に支払われた賃金の10%相当額が基本となる。

ただし、時短勤務開始前の賃金との比較によって支給率が調整される。

例えば、時短勤務開始前の賃金月額が30万円で、時短勤務中の賃金が20万円の場合は次のようになる。

- 時短勤務中の賃金:20万円
- 給付率:10%
- 給付金:2万円
- 賃金と給付金の合計:22万円

一方、時短勤務中の賃金が開始前の賃金の90%を超える場合には、給付率が調整される。また、賃金と給付金の合計が時短勤務開始前の賃金月額を超えないように計算される。

つまり、時短勤務を利用すれば無条件に給付金が10%上乗せされるという仕組みではない。

なお、厚生労働省の2026年8月1日改訂版では、給付の手続きや支給額の算定に関する最新情報が更新されている。実際の受給額は、ハローワークの案内や最新の支給要件で確認したい。

【ずるいは本当?】時短勤務者とフルタイム社員、双方の本音を検証

「時短勤務はずるい」という意見が出る背景には、制度利用者と利用していない社員の間にある認識の違いがある。

ただし、双方の事情を整理すると、単純にどちらか一方が得をしているとはいえない。

時短勤務者は早く帰れて楽をしている?

時短勤務者が決められた時間に退勤するのは、制度に基づく働き方であり、それ自体は問題ではない。

一方、時短勤務者も、限られた勤務時間内で仕事を終わらせるために、業務の優先順位を考えたり、休憩時間や作業時間を調整したりすることがある。

加えて、次のような悩みを抱えるケースもある。

- 仕事が途中でも退勤しなければならない。
- 急な子どもの発熱で同僚に迷惑をかける。
- 昇進や昇給の機会が減る。
- 重要なプロジェクトから外される。
- 給与が減り、家計が厳しくなる。
- 周囲に申し訳なさを感じて仕事を抱え込んでしまう。

時短勤務者にとっても、短い勤務時間で働くことは必ずしも楽な選択ではない。

フルタイム社員はなぜ不公平だと感じるのか

一方、フルタイム社員の不満にも合理的な理由がある。

例えば、同じ職場で働く2人の社員がいたとして、一方が毎日定時に退勤し、もう一方がその後の業務を引き受けて残業しているとする。

その状態が長期間続き、給与や評価に差がなければ、負担を引き受ける側が納得できなくなるのは自然だ。

特に、次のような状態は不公平感を強める。

- 自分の仕事に加えて追加業務を任される。
- 追加業務に対する評価がない。
- 残業を断ると協調性がないと評価される。
- 上司が時短勤務者への配慮を優先し、ほかの社員の意見を聞かない。
- 休暇や勤務時間の柔軟性が社員によって異なる。

こうした問題を放置すると、時短勤務者本人への不満が強まり、職場の人間関係まで悪化してしまう。

独身社員と時短勤務者を対立させるのは間違い

特に注意したいのは、独身社員と子育て中の社員を対立させる考え方だ。

独身社員には家庭がないから仕事を引き受けるべきだという考え方は、合理的な業務分担とはいえない。

同様に、育児中の社員に対して、制度を利用しているのだから周囲に迷惑をかけるなと要求することも適切ではない。

大切なのは、個人の家庭環境ではなく、実際の業務量、労働時間、責任の重さを基準に考えることだ。

時短勤務は制度の利用者だけが得をする仕組みではない

時短勤務には給与減額が発生する場合があり、給付金にも年齢や雇用保険などの条件がある。

また、制度利用者は、時間の制約によって仕事の幅やキャリア形成に影響を受けることもある。

反対に、フルタイム社員も、業務のしわ寄せを受けながら十分な評価や人員支援を受けられない場合がある。

本当に問題なのは、制度を利用する人が得をしているかどうかではなく、職場全体の負担と待遇のバランスが取れているかどうかだ。

【職場でできる対処法】時短勤務への不満と業務負担を解消する7つの方法

時短勤務に対する不満を解消するには、利用者に遠慮を求めるだけでは不十分だ。会社や管理職が業務の仕組みを見直す必要がある。

1. 時短勤務者の業務範囲を明確にする

最初に、誰がどの仕事を担当するのかを明確にする。

時短勤務者の退勤後に発生する業務について、担当者や対応方法を事前に決めておけば、特定の社員に仕事が集中することを防げる。

担当者が曖昧なままでは、いつも同じ人が対応する状況になりやすい。

2. 業務量に応じて人員を補充する

時短勤務によってチーム全体の労働力が不足するなら、人員補充を検討する必要がある。

具体的には、次のような方法がある。

- 派遣社員や契約社員を採用する。
- 業務の一部を外部委託する。
- 部署間で応援要員を確保する。
- 繁忙時間帯だけ人員を増やす。
- 業務の優先順位を見直す。

人員不足を既存社員の残業だけで解決しようとすることが、最も避けたい対応だ。

3. 時短勤務者とフルタイム社員の評価基準を見直す

勤務時間が異なる社員を同じ基準だけで評価すると、不満が生まれやすい。

例えば、勤務時間に応じて目標を調整したり、担当業務の難易度や成果を評価したりする仕組みが必要だ。

また、時短勤務者の仕事を引き受けた社員についても、追加業務や責任の増加を評価に反映させることが望ましい。

4. 仕事の引き継ぎを標準化する

急な休みや退勤後の対応を円滑にするためには、引き継ぎの仕組みが重要になる。

業務の進捗、対応期限、顧客への連絡状況、緊急時の対応方法などを共有できるようにする。

個人しか分からない仕事を減らせば、誰かが休んだときにもチーム全体で対応しやすくなる。

5. 独身社員や制度未利用者にも配慮する

会社は時短勤務者だけでなく、業務をカバーする側の社員にも目を向ける必要がある。

例えば、残業や休日出勤を特定の社員に集中させない、希望する休暇を取得できるようにする、業務負担の大きい社員には別の社員を配置するなどの対応が考えられる。

制度を利用していない社員にも、柔軟な働き方を選べる機会を提供することが望ましい。

6. 上司と人事担当者が定期的に業務量を確認する

制度利用者と周囲の社員の双方から、定期的に業務量や困りごとを聞くことも重要だ。

特に確認したいのは次の項目である。

- 時短勤務者の退勤後に発生している業務量
- フルタイム社員の残業時間の変化
- 特定の社員に集中している追加業務
- 急な休暇や早退への対応状況
- 仕事の引き継ぎにかかる時間
- 社員の評価や待遇に対する納得感

感情的な対立になる前に、実際の数字を使って問題を把握することが大切だ。

7. 時短勤務者自身も周囲との連携を意識する

制度利用者側にもできることはある。

例えば、退勤前に進捗状況を共有する、引き継ぎ資料を作成する、仕事の優先順位を上司と相談するなどだ。

ただし、周囲に申し訳ないからといって、退勤後も無償で仕事を続けたり、恒常的にサービス残業をしたりする必要はない。

会社が定めた勤務時間と担当範囲を守りながら、チーム内で協力できる仕組みを作ることが重要だ。

不満を感じた社員はどう相談すればいい?

実際に業務のしわ寄せを受けている場合は、本人への直接的な批判ではなく、業務量の問題として上司や人事担当者に相談したい。

例えば、次のような伝え方が考えられる。

「時短勤務の制度自体に反対しているわけではありません。ただ、退勤後の対応や追加業務が特定の社員に集中していて、自分の担当業務にも影響が出ています。チーム全体で業務分担を見直していただけないでしょうか」

相談するときには、残業時間、追加業務の内容、発生頻度、担当件数などを整理しておくと、具体的な改善につながりやすい。

上司に相談しても改善されない場合は、人事部門や社内相談窓口、労働局の総合労働相談コーナーなどへの相談も選択肢となる。

【時短勤務むかつく】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:時短勤務者だけ定時で帰るのはずるいのでは?

A1:時短勤務制度を利用して決められた時間に退勤すること自体は、法律に基づく正当な働き方であり、ずるいとはいえない。ただし、退勤後の仕事が特定の社員に集中しているなら、業務分担や人員配置を見直す必要がある。

Q2:時短勤務者の仕事を独身社員が引き受けるのは普通なの?

A2:独身であることを理由に追加業務を引き受ける義務があるわけではない。業務は社員の能力、担当範囲、労働時間などを踏まえて公平に分担する必要がある。

Q3:時短勤務の同僚にむかつくときはどうすればいい?

A3:最初に、相手の家庭事情ではなく、自分に発生している追加業務や残業時間を整理する。そのうえで、上司や人事担当者に業務分担の見直しを相談する。個人攻撃ではなく、職場の仕組みの問題として伝えることが大切だ。

Q4:時短勤務者の給料はフルタイム社員より安い?

A4:勤務時間に応じて基本給が減額される企業はあるが、給与体系は会社によって異なる。役職手当や賞与なども含め、就業規則や賃金規程を確認する必要がある。

Q5:育児時短就業給付金は誰でももらえる?

A5:誰でも受給できるわけではない。2歳未満の子を育てる雇用保険の被保険者であることや、育児時短就業開始前の賃金支払実績など、所定の条件を満たす必要がある。

Q6:2025年の法改正で時短勤務は小学校入学まで認められた?

A6:3歳未満の子を対象とする従来の短時間勤務制度は引き続き義務付けられている。2025年10月からは3歳以上小学校就学前の子を育てる労働者について、企業が5つの選択肢から2つ以上の柔軟な働き方を用意する義務が設けられた。すべての企業で必ず短時間勤務が選べるという意味ではない。

Q7:時短勤務者の仕事を引き受けて残業が増えたら、会社に相談できる?

A7:もちろん相談できる。追加業務や残業時間を記録し、上司や人事担当者に業務分担や人員配置の見直しを求めるとよい。特定の社員に恒常的な負担が集中している場合は、職場の労務管理上の問題として取り上げるべきだ。

「時短勤務むかつく」という感情の背景には、仕事のしわ寄せ、残業の増加、評価の不公平感、独身社員への負担集中など、さまざまな問題がある。

マンパワーグループの調査では、人事担当者の27.0%が周囲の社員への業務の上乗せを課題として挙げている。これは、時短勤務をめぐる問題が利用者と同僚の相性だけではなく、企業の人員配置や業務管理にも関係していることを示している。

2025年の育児・介護休業法改正によって、働き方の選択肢はさらに広がった。2026年には育児時短就業給付金の運用も進み、育児と仕事を両立するための制度が整備されている。

しかし、制度を整えるだけでは、現場の不満はなくならない。

時短勤務者には安心して働ける環境を、フルタイム社員には追加負担に見合った人員・評価・待遇を提供することが必要だ。

本当に解決すべきなのは、時短勤務者が早く帰ることではなく、誰かが早く帰るたびに別の誰かが無理をしなければ仕事が回らない職場の仕組みである。

今後の職場づくりでは、育児中か独身か、時短勤務かフルタイムかという属性で社員を分けるのではなく、一人ひとりの労働時間と業務量、責任に応じた公平な働き方を実現できるかが問われている。

主な根拠資料

- 厚生労働省「短時間勤務等の措置」「育児・介護休業法の改正のポイント」
- 厚生労働省「育児休業等給付について」「Q&A~育児休業等給付~」(2026年8月改訂版)
- マンパワーグループ「時短勤務、一緒に働く職場の社員はどう考えている?」(2022年10月31日)
- jinjer株式会社「育児・介護休業法改正に伴う業務負荷に関する実態調査」(2025年3月3日)

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