2014年の発表から11年後、福山雅治は「クスノキ」を新たな形で世に送り出しました。
新しいタイトルは、「クスノキ-500年の風に吹かれて-」。
2025年は長崎への原爆投下から80年という節目の年です。福山は、この年に合わせて楽曲を新録し、より多くの人に生命の尊さと平和への願いを届ける取り組みを進めました。
2025年6月30日にデジタルリリース福山雅治の公式発表によると、新録版は2025年6月30日にデジタル配信が開始されました。
今回の制作では、ボーカルを新たにレコーディングし、合唱隊やオーケストラを加えた編曲が施されています。
主な変更点は次のとおりです。
| 項目 | 2014年版 | 2025年版 |
|---|---|---|
| タイトル | クスノキ | クスノキ-500年の風に吹かれて- |
| 発表時期 | 2014年4月 | 2025年6月30日 |
| 収録・配信 | アルバム『HUMAN』 | デジタルシングル |
| ボーカル | オリジナル録音 | 新録 |
| 編曲 | オリジナル版 | 福山雅治・井上鑑 |
| 音楽表現 | 原曲の構成 | 合唱隊・オーケストラを加えた構成 |
2025年版で注目したい人物が、編曲を担当した音楽家の井上鑑です。
福山雅治と井上鑑は、新録版の音楽表現を構築しました。
合唱隊やオーケストラを取り入れることで、個人の歌声を中心とする原曲から、より多くの人々の声が重なる構成へと広がっています。
これは単なるサウンドの変更ではありません。
一人の歌い手が被爆樹木の生命力を表現する作品から、複数の人々が同じ願いを共有できる作品へと発展したことに意味があります。
なお、8月9日の平和祈念式典で使われた児童合唱用の編曲は、通常の新録版とは別の特別なものです。こちらには福山雅治、井上鑑、田中雪子らが協力しています。
NHK「みんなのうた」とjunaidaのコラボレーション2025年6月には、NHKの「みんなのうた~ひろがれ!いろとりどり」で「クスノキ-500年の風に吹かれて-」が放送されました。
今回の映像制作に参加したのは、画家・アーティストのjunaidaです。
楽曲からインスピレーションを受けて描き下ろした一枚の絵画をもとに、アニメーションが制作されました。
このコラボレーションには、大きな意味があります。
被爆樹木の歴史は、文字や写真だけで伝えることもできます。しかし、音楽と絵画を組み合わせれば、まだ戦争の歴史を詳しく知らない子どもたちにも、作品の世界観を届けやすくなります。
福山雅治の音楽とjunaidaの絵が組み合わさったことで、「クスノキ」は世代を超えて受け取られる作品へと広がりました。
2025年8月9日、被爆80年の平和祈念式典で児童が合唱2025年8月9日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典では、歴史的な出来事がありました。
長崎市立城山小学校と山里小学校の児童が、初めて合同で「クスノキ」を合唱したのです。
両校は、いずれも原爆による被害を受けた学校です。
2000年度から式典で児童合唱が実施され、これまでは両校が交互に担当してきました。
被爆80年となる2025年には、両校が初めて一緒に歌うことになりました。
参加した児童は合計約100人。
- 城山小学校:約70人
- 山里小学校:約30人
- 合計:約100人
長崎市は、未来を担う子どもたちが被爆樹木を通じて被爆の実相を学び、平和の大切さを感じる機会にしたいという趣旨で選曲しました。
福山もこの提案を快諾し、児童合唱用の特別編曲に協力しています。
この出来事は、「クスノキ」が単に聴くための音楽から、実際に次の世代が歌い継ぐ平和継承の作品へと発展した象徴的な場面でした。
【長崎クスノキプロジェクト】楽曲が被爆樹木の保存活動につながる理由

「クスノキ」の意義は、音楽作品としての評価だけにとどまりません。
福山雅治は、楽曲を通じて被爆樹木の存在を広く知ってもらうとともに、保存活動にも関わってきました。
クスノキ募金から長崎市のクスノキ基金へ福山の公式サイトでは、山王神社の被爆クスノキを保存するための募金活動が紹介されています。
楽曲をライブなどで披露したことをきっかけに、被爆クスノキの存在を知った人々から、樹木を守るための支援を求める声が寄せられました。
その思いを形にするため、福山側が募金を呼びかけました。
長崎市の公式平和情報によると、アミューズを窓口として集まった募金は、合計4,502,928円。
この寄付を契機として、長崎市の「クスノキ基金」が設置されました。
クスノキ基金は何に使われる?クスノキ基金は、被爆の惨状を後世に伝えるため、長崎市が被爆樹木の保存・活用を進める目的で設置した基金です。
主な目的は、保存対象となっている被爆樹木の保全整備事業を支援することです。
被爆樹木は、一般的な街路樹や公園の樹木とは異なります。
幹の内部に被爆による損傷が残っている場合があり、老朽化や台風などの自然災害による影響も受けます。
そのため、樹木医による診断や継続的な管理が欠かせません。
2025年6月に発表された新録版についても、楽曲配信利益の一部を長崎クスノキプロジェクトを通じてクスノキ基金に寄付することが公式発表されています。
長崎クスノキプロジェクトが目指すもの長崎クスノキプロジェクトは、被爆樹木の保全と認知拡大を通じて、戦争の記憶や被爆の実相を次世代に伝える取り組みです。
活動の要点は大きく3つあります。
1. 被爆樹木の保全: 樹木の状態を把握し、将来にわたって残すための活動。
2. 歴史の認知拡大: 被爆樹木が持つ歴史的な意味を多くの人に知ってもらうこと。
3. 次世代への継承: 命のたくましさと平和への願いを、子どもたちや未来の世代につなぐこと。
音楽を聴いて感動するだけでなく、実際の樹木を守る活動に関心を持つことも、作品のメッセージを受け取る一つの方法です。
2026年現在、被爆クスノキはどうなっている?2026年の最新情報として注目したいのが、テレビ長崎が2026年8月14日に放送した山王神社のクスノキの特集です。
被爆から81年が経過した現在も、大クスは力強く枝を伸ばし、青々と葉を茂らせている様子が紹介されました。
また、2025年7月には長崎市から委託を受けた樹木医らが被爆クスノキを調査しています。
共同通信の報道によれば、樹木医は全体として樹勢が維持され、良好な状態と診断しました。一方、被爆から長い年月が経過しているため、継続的な経過観察が必要とされています。
2026年11月現在も、山王神社の被爆クスノキは現地に立ち続けています。
これは「クスノキ」という楽曲のメッセージを、現実の風景として確かめられる重要な事実です。
【プロの結論】「クスノキ」は音楽・歴史・社会活動がつながった作品この作品を深く理解するには、次の3つの視点を分けて考えると分かりやすくなります。
- 音楽の視点: 福山雅治が被爆樹木の視点を通して表現した生命の尊さ。
- 歴史の視点: 1945年8月9日の原爆投下と、山王神社の被爆クスノキが生き続けた事実。
- 社会活動の視点: 楽曲をきっかけに広がった募金、樹木の保存、児童合唱による平和教育。
特に重要なのは、歌詞の解釈を単なる「困難に負けない」という精神論で終わらせないことです。
クスノキが生き続けているという事実には、被爆の傷跡も、地域の人々の記憶も含まれています。
だからこそ、歌を聴くことと、実際の歴史を学ぶこと、被爆樹木を守ることが一つにつながるのです。
【福山雅治のクスノキ歌詞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:福山雅治の「クスノキ」の歌詞にはどんな意味がある?
A1:長崎の山王神社にある被爆クスノキを主人公に、原爆で傷つきながらも生き続ける生命の力強さを表現しています。すべての命が等しく生きられる世界への願いと、戦争の記憶を未来へ伝えるメッセージが込められています。
Q2:「クスノキ」の制作に24年間かかったというのは本当?
A2:福山雅治本人が2025年のNHK『クローズアップ現代』で、1990年のデビューから2014年の発表までの24年間を振り返っています。24年間ずっと曲を制作していたという意味ではなく、長崎や被爆樹木をどのような視点で歌にするかを模索してきた時間を指しています。
Q3:2025年の新録版と2014年版は何が違う?
A3:2025年版は「クスノキ-500年の風に吹かれて-」というタイトルで、ボーカルを新録し、合唱隊やオーケストラを加えた新しい編曲が施されています。福山雅治と井上鑑が編曲を担当し、6月30日にデジタル配信されました。
Q4:NHK「みんなのうた」でも放送された?
A4:はい。2025年6月に「クスノキ-500年の風に吹かれて-」が「みんなのうた~ひろがれ!いろとりどり」で放送されました。画家junaidaが描き下ろした絵画をもとにしたアニメーションも制作されています。
福山雅治の「クスノキ」は、長崎・山王神社の被爆クスノキを題材にした、生命の尊さと平和への願いを伝える楽曲です。
2014年にアルバム『HUMAN』で発表されてから、2025年の新録版、NHK「みんなのうた」での放送、被爆80年の平和祈念式典での児童合唱へと、そのメッセージは広がってきました。
特に、2025年8月9日に城山小学校と山里小学校の児童が合同で歌った出来事は、作品が次世代への平和継承に結び付いた象徴的な場面です。
2026年には、被爆から81年を経た山王神社のクスノキが、今も青々と葉を茂らせている姿が地元メディアで紹介されました。
最後に、この楽曲を理解するために覚えておきたいことを整理します。
- 歌詞の核心: 人間ではなく樹木を語り手にしたことで、生命と平和を普遍的な視点から描いている。
- 制作の背景: 1990年のデビューから2014年の発表まで、24年間にわたる表現の模索があった。
- 歴史的な意味: 山王神社の被爆クスノキは、1945年8月9日の原爆投下を伝える生きた証人である。
- 2025年の発展: 11年ぶりの新録、NHKでの放送、児童合唱によって次世代へ広がった。
- 2026年の現状: 被爆樹木の保存活動と平和の記憶の継承は今も続いている。
「クスノキ」が伝えるのは、過去を忘れないことだけではありません。
傷ついた生命が、その場所で生き続けているという事実を知り、そこから未来を考えることです。
長崎の山王神社に立つ一本のクスノキ。その姿と福山雅治の歌声は、時代や世代を超えて、平和の意味を問い続けています。