1978年に日本テレビ系で放送されたテレビドラマ『西遊記』は、堺正章の孫悟空、夏目雅子の三蔵法師、西田敏行の猪八戒、岸部シローの沙悟浄という個性豊かな配役で知られる人気作品だ。日本テレビの開局25周年記念番組として制作され、国際放映、円谷プロダクションも制作に参加。中国の古典小説を大胆に映像化した冒険ドラマとして、放送終了後も長く親しまれている。
2026年現在、出演者の歩みを振り返ると、堺正章の芸能活動が続く一方、夏目雅子、西田敏行、岸部四郎らはすでに逝去している。また、観音菩薩役の勝呂誉も2026年1月に亡くなったことが所属事務所から発表された。この記事では、1978年版の出演者一覧と役柄、放送期間、続編とのキャストの違い、出演者のその後まで整理する。
【主要キャスト】1978年版『西遊記』の孫悟空・三蔵法師・猪八戒・沙悟浄は誰?

1978年版『西遊記』を代表するのは、堺正章、夏目雅子、西田敏行、岸部シローの4人だ。三蔵法師と3人の弟子という原作の基本構造を受け継ぎながら、それぞれの俳優が持つ個性を生かした人物像が作り上げられた。
孫悟空役:堺正章主人公の孫悟空を演じたのは堺正章。石から生まれた猿で、神通力や変化の術、如意棒を駆使して妖怪と戦う三蔵一行の中心人物だ。
堺正章の持ち味である軽快な身のこなしとコメディーセンスは、自由奔放で少々いたずら好きな悟空の性格によく合っていた。激しいアクションだけでなく、仲間との掛け合いや三蔵法師とのやり取りにも独特の魅力がある。
堺正章はグループ・サウンズのザ・スパイダースでボーカルを担当した経歴を持ち、俳優、歌手、司会者として幅広く活動してきた。1978年版『西遊記』は、彼のエンターテイナーとしての魅力を改めて印象づけた代表的な出演作の一つだ。
三蔵法師役:夏目雅子三蔵法師を演じたのは夏目雅子。天竺を目指して旅をする高僧・玄奘三蔵を、透明感のある表情と落ち着いた演技で表現した。
この作品の大きな特徴は、男性である三蔵法師を女優の夏目雅子が演じたことにある。単に女性的な人物として描いたのではなく、凛とした気品と中性的な雰囲気を併せ持つ三蔵像を作り上げた。
その存在感は後年の日本のドラマ版『西遊記』にも影響を与えた。日本における西遊記の映像化を研究した『日本言語文化研究』掲載論文でも、夏目雅子が作り上げた三蔵のイメージが、その後の再創作に影響したことが論じられている。
夏目雅子は1982年公開の映画『鬼龍院花子の生涯』などでも高い評価を受けたが、1985年9月11日、27歳で亡くなった。短い女優人生ながら、三蔵法師役は今も代表的な当たり役として語り継がれている。
猪八戒役:西田敏行猪八戒を演じたのは西田敏行。食いしん坊で少し怠け者、それでいて仲間思いという八戒の人間味を、親しみやすい演技で表現した。
悟空と衝突したり、食べ物をめぐって騒動を起こしたりする場面では、西田敏行ならではのユーモアが生きている。一方、仲間の危機には力を貸すという八戒の優しさも印象的だった。
西田敏行は映画『釣りバカ日誌』シリーズの浜崎伝助役や、テレビドラマ『池中玄太80キロ』などで広く知られる俳優だ。歌手としても「もしもピアノが弾けたなら」がヒットし、俳優以外の分野でも活躍した。
2024年10月17日に76歳で亡くなったが、八戒役は彼の初期の代表的なテレビドラマ出演の一つとして記憶されている。
沙悟浄役:岸部シロー(岸部四郎)沙悟浄を演じたのは岸部シロー。放送当時は「岸部シロー」の芸名で出演しており、後年は本名表記に近い「岸部四郎」としても知られた。
沙悟浄は河童の妖怪で、三蔵法師を守る旅の仲間。悟空や八戒の騒動に巻き込まれながらも、独特の飄々とした雰囲気で一行を支えた。
岸部シローは、ザ・タイガースのメンバーとして芸能活動を始めた人物でもある。バンド活動の後は俳優やタレントとして活躍し、日本テレビ系の情報番組『ルックルックこんにちは』では長年司会を務めた。
2020年8月28日に71歳で亡くなった。堺正章、西田敏行とともに1978年版の中心を担った出演者である。
【西遊記1978年キャスト一覧】観音菩薩・天帝・太宗皇帝などの出演者も紹介
1978年版には、三蔵一行以外にも物語の世界観を支える重要な人物が登場する。天界の神々や唐の皇帝など、原作の神話的な要素を担った俳優にも実力派がそろっていた。
主要人物と関係者の配役を整理すると、次のとおりだ。
| 役名・キャラクター | 出演者 | 役柄・作品での位置づけ |
|---|---|---|
| 孫悟空 | 堺正章 | 三蔵法師を守る猿の妖怪。物語の中心人物。 |
| 三蔵法師 | 夏目雅子 | 天竺を目指して旅をする高僧。 |
| 猪八戒 | 西田敏行 | 食いしん坊で人情味のある豚の妖怪。 |
| 沙悟浄 | 岸部シロー | 三蔵一行を支える河童の妖怪。 |
| 観音菩薩 | 勝呂誉 | 三蔵一行の旅に関わる仏教の菩薩。 |
| 天帝 | 井上孝雄 | 天界を治める存在。 |
| 太宗皇帝 | 中村敦夫 | 唐の皇帝。物語の人間界に関わる重要人物。 |
| 釈迦如来 | 高峰三枝子 | 悟空をはじめとする物語の展開に関わる仏。 |
| ナレーター | 芥川隆行 | 物語の進行や状況を伝える語り手。 |
この一覧で注目したいのは、主要4人だけでなく、勝呂誉、高峰三枝子、中村敦夫、井上孝雄といった俳優が神話世界と人間界の人物を演じていた点だ。
第1話「石猿誕生す」の放送ライブラリー公式記録には、堺正章、夏目雅子、岸部シロー、西田敏行、井上孝雄、高峰三枝子、芥川隆行らの名前が掲載されている。丹阿弥谷津子、新藤恵美、カルーセル麻紀、岡田英次、松村達雄なども第1話の出演者として記録されている。
なお、上の表は物語の主要人物を中心にしたキャスト一覧であり、全26話に登場するゲスト出演者を網羅したものではない。各話では妖怪や王族など、さまざまな人物が登場する。
【放送期間と作品概要】1978年版『西遊記』はいつからいつまで放送された?
1978年版『西遊記』は、日本テレビ系の日曜20時台に放送された連続テレビドラマだ。日本テレビの開局25周年記念番組として制作され、国際放映と円谷プロダクションが制作に参加した。
放送ライブラリーによる第1話の記録では、放送日は1978年10月1日(日)、放送時間は20時から20時54分。日本テレビ公式のDVD商品情報では、放送期間は1978年10月1日から1979年4月1日まで、全26話とされている。
一方、一部の作品データベースでは1979年4月8日までを掲載し、総集編を含む全27回として整理している。これは本編26話と総集編を区別するかどうかによる表記の違いとして理解すると分かりやすい。
作品の基本情報- 作品名:西遊記
- 放送開始:1978年10月1日
- 本編最終放送:1979年4月1日(日本テレビ公式DVD商品情報)
- 放送局:日本テレビ系
- 放送時間:日曜日20時台
- 本編話数:全26話
- 制作:日本テレビ、国際放映、円谷プロダクション
- 音楽:ミッキー吉野
- オープニング曲:ゴダイゴ「モンキー・マジック」
- エンディング曲:ゴダイゴ「ガンダーラ」
本作の魅力はキャストだけではない。当時としては大規模なロケーション撮影や特撮を取り入れ、天竺を目指す壮大な旅を映像化したことも特徴だった。
放送ライブラリーの制作記録には、日本テレビ、国際放映、円谷プロダクションの3者が制作に関わったことや、特撮監督として高野宏一が参加したことが記されている。
石から生まれた悟空の誕生、天界での騒動、妖怪との戦いなど、現実の風景と特撮を組み合わせた演出が作品の冒険活劇としての魅力を支えた。
【出演者の魅力】堺正章・夏目雅子・西田敏行・岸部シローが作った名作の世界
1978年版の配役が今も語られる理由は、4人の俳優が単に原作のキャラクターを再現しただけではないところにある。それぞれの個性が役柄に重なり、三蔵一行の関係性そのものに説得力を与えていた。
堺正章の孫悟空が生み出した躍動感悟空は、強い戦闘能力を持ちながら、自由奔放で感情表現も豊かな人物だ。堺正章の身体能力とテンポのよい演技は、こうした性格を視覚的に伝えるうえで効果的だった。
悟空の魅力は強さだけではない。三蔵法師に叱られたり、八戒と口論したりする人間臭さも物語の楽しさにつながっている。
夏目雅子が定着させた三蔵法師のイメージ夏目雅子の三蔵法師は、1978年版を象徴する存在だ。男性の高僧を女性俳優が演じるというキャスティングは、当時の視聴者に強い印象を残した。
特に重要なのは、夏目雅子が演じた三蔵法師が、その後の日本の西遊記作品における三蔵像の基準の一つになったことだ。1993年の日本テレビ版や2006年のフジテレビ版でも、三蔵法師役には女優が起用されている。
ただし、ここで注意したいのは、夏目雅子が女性だったからといって、原作の三蔵法師やドラマ内の人物設定まで女性に変更されたわけではないという点だ。俳優の性別と役の設定は分けて理解する必要がある。
西田敏行と岸部シローが支えたコメディー要素西田敏行の猪八戒と岸部シローの沙悟浄は、堺正章の悟空と夏目雅子の三蔵法師を引き立てる重要な存在だった。
猪八戒は食欲や欲望に忠実で、しばしば失敗を招く。一方、沙悟浄は比較的落ち着いた立場から仲間のやり取りを受け止める。この対照的な性格が、4人の掛け合いにリズムを生み出している。
悟空が物語を動かし、三蔵法師が旅の目的を示し、八戒と悟浄が一行の人間味を支える。4人の役割分担が明確だったことが、長く愛される作品になった理由の一つだ。
【2026年現在】1978年版『西遊記』キャストのその後と現在
1978年版の出演者は、放送終了後もそれぞれ異なる分野で活躍した。俳優、歌手、司会者、作家、政治家など、キャリアの広がりは多彩だ。
2026年11月時点で確認できる主な出演者の歩みを紹介する。
堺正章:2026年も芸能活動を継続堺正章は1946年8月6日生まれ。2026年には80歳を迎えた。
所属事務所のケイダッシュ公式プロフィールでは、テレビ出演やライブなどの活動情報が掲載されている。2026年も「堺正章 to MAGNETS」のライブ活動などが予定・告知されており、音楽とエンターテインメントの両分野で活動を続けている。
1978年版の悟空役は、長い芸能人生を振り返るうえでも欠かせない代表的な出演作だ。
夏目雅子:27歳で亡くなった名女優夏目雅子は1957年12月17日生まれ。1985年9月11日、急性骨髄性白血病の治療中に肺炎を併発し、27歳で亡くなった。
代表作には『西遊記』のほか、『鬼龍院花子の生涯』『瀬戸内少年野球団』『南極物語』などがある。特に『鬼龍院花子の生涯』では強い存在感を示し、女優としての評価を高めた。
短い活動期間ながら、作品を通じて現在も多くの視聴者に記憶されている。
西田敏行:2024年に76歳で逝去西田敏行は2024年10月17日に76歳で亡くなった。所属事務所は死因を虚血性心疾患と公表している。
映画『釣りバカ日誌』シリーズやドラマ『池中玄太80キロ』など、数多くの作品で主演・主要キャストを務めた。歌手としての「もしもピアノが弾けたなら」も広く知られる。
猪八戒役で見せた親しみやすさやユーモアは、その後の幅広い俳優活動にも通じる魅力だった。
岸部四郎:2020年に71歳で逝去岸部四郎は2020年8月28日に71歳で亡くなった。所属事務所の発表によると、死因は拡張型心筋症による急性心不全だった。
ザ・タイガースでの音楽活動を経て、俳優やタレントとして活動。1984年からは『ルックルックこんにちは』の司会を長年務めた。
『西遊記』の沙悟浄役は、俳優としての岸部四郎を代表する出演作の一つとして知られている。
勝呂誉:2026年1月に逝去観音菩薩を演じた勝呂誉については、2026年3月5日に所属事務所の松竹芸能が訃報を発表した。
発表によると、勝呂誉は2026年1月23日、肺がんのため都内の病院で亡くなった。享年87歳だった。
1961年のテレビドラマ『青年の樹』で主演に抜擢されて俳優として注目を集め、その後も映画やテレビドラマ、舞台で活動した。1978年版では観音菩薩という重要な役を担っていた。
井上孝雄・中村敦夫・高峰三枝子のその後天帝役の井上孝雄は1935年生まれの俳優で、1994年10月16日に亡くなった。劇団東宝現代劇の創立時から舞台に参加し、映画やテレビドラマでも活躍した。
太宗皇帝役の中村敦夫は、俳優として『木枯し紋次郎』などに出演したほか、作家、政治家としても活動した。1998年に参議院議員に当選し、2004年に政界引退を表明。公式プロフィールでは俳優・作家として紹介されている。
釈迦如来役の高峰三枝子は、映画やテレビドラマで長く活躍した女優だ。1918年生まれで、1990年5月27日に亡くなった。映画『犬神家の一族』などでも知られる。
このように、1978年版のキャストは、現在も活動する堺正章から、すでに亡くなった名優まで、それぞれ異なる道を歩んできた。
【歴代キャスト比較】1978年版と『西遊記II』・2006年版は何が違う?
『西遊記』は1978年版だけでなく、その後も複数のテレビドラマとして制作された。作品を比較すると、1978年版のキャスティングが後続作品に与えた影響が見えてくる。
1978年版と1979年放送の『西遊記II』まず混同しやすいのが、1978年版と続編『西遊記II』の違いだ。
『西遊記II』は1979年11月から1980年5月にかけて放送された続編で、堺正章、夏目雅子、岸部シローの3人は引き続き出演した。一方、猪八戒役は西田敏行から左とん平に交代している。
加えて、三蔵法師の愛馬・玉竜の化身として藤村俊二が新たに加わった。
したがって、1978年版の猪八戒役を調べている場合は、西田敏行が正解となる。左とん平は続編『西遊記II』の出演者だ。
2006年版との違い2006年にはフジテレビ系で新たなテレビドラマ『西遊記』が制作された。
主な配役は次のとおりだ。
- 孫悟空:香取慎吾
- 三蔵法師:深津絵里
- 猪八戒:伊藤淳史
- 沙悟浄:内村光良
1978年版の堺正章が作り上げた悟空像とは異なる新しい解釈が採用された一方、三蔵法師を女優が演じるというスタイルは引き継がれた。
1978年版が現在も比較の基準になる理由1978年版の大きな特徴は、原作の基本的な人物関係を残しながら、日本のテレビドラマとして親しみやすい人物像を作ったことにある。
堺正章のコミカルな悟空、夏目雅子の中性的で気品ある三蔵、西田敏行の人間味あふれる八戒、岸部シローの飄々とした悟浄。この組み合わせは、後年のキャスティングを考える際にも比較対象になっている。
加えて、ゴダイゴの「モンキー・マジック」「ガンダーラ」が作品の印象を音楽面からも支えた。映像、演技、音楽が一体となっていたことが、長期にわたって作品が記憶される理由と考えられる。
1978年版と続編、2006年版を見比べるなら、単純に俳優の知名度だけでなく、悟空の性格、三蔵法師の描き方、仲間同士の掛け合い、音楽の違いに注目すると、それぞれの作品の個性が分かりやすい。
【西遊記1978年版のキャスト】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:1978年版『西遊記』で孫悟空を演じた俳優は誰ですか?
A1:堺正章です。軽快なアクションとコミカルな演技で、自由奔放な孫悟空を演じました。
Q2:三蔵法師役は誰ですか?
A2:夏目雅子です。男性の高僧である三蔵法師を演じ、その中性的で気品のある人物像は後年の西遊記作品にも影響を与えました。
Q3:1978年版の猪八戒役は西田敏行ですか?
A3:はい。1978年版では西田敏行が猪八戒を演じています。続編『西遊記II』では左とん平に交代しました。
Q4:沙悟浄を演じた岸部シローは岸部四郎と同じ人物ですか?
A4:同一人物です。放送当時は岸部シローの芸名で出演し、後年は岸部四郎の表記でも知られました。
Q5:1978年版『西遊記』はいつ放送されましたか?
A5:1978年10月1日に放送が始まりました。日本テレビ公式DVD商品情報では1979年4月1日までの全26話とされています。
Q6:観音菩薩役と天帝役は誰ですか?
A6:観音菩薩役は勝呂誉、天帝役は井上孝雄です。また、太宗皇帝役は中村敦夫、釈迦如来役は高峰三枝子が担当しました。
Q7:1978年版のキャストで2026年現在も活動している俳優は誰ですか?
A7:代表的な出演者では堺正章が芸能活動を継続しています。所属事務所の公式情報には2026年のテレビ出演やライブ活動が掲載されています。
Q8:1978年版と『西遊記II』でキャストが変わったのは誰ですか?
A8:大きな変更は猪八戒役です。1978年版の西田敏行に代わり、『西遊記II』では左とん平が演じました。また、藤村俊二が玉竜役として加わっています。
1978年版『西遊記』の主要キャストは、孫悟空役の堺正章、三蔵法師役の夏目雅子、猪八戒役の西田敏行、沙悟浄役の岸部シローという4人だ。加えて、勝呂誉、井上孝雄、中村敦夫、高峰三枝子らが脇を固め、物語に奥行きを与えた。
2026年現在、出演者のその後を振り返ると、堺正章は芸能活動を続け、夏目雅子、西田敏行、岸部四郎、井上孝雄、高峰三枝子らはそれぞれの時代に逝去している。2026年には勝呂誉の訃報も発表された。
作品を振り返る際に押さえておきたいのは、1978年版と続編『西遊記II』のキャストを混同しないこと、そして三蔵法師役の夏目雅子が作り上げた人物像が後年の作品にも影響を与えたことだ。
ゴダイゴの音楽、特撮を駆使した冒険描写、そして4人の俳優が生み出した絶妙な掛け合い。これらが重なり合った1978年版『西遊記』は、昭和のテレビドラマ史に残る作品として、今もその存在感を失っていない。