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【年代・男女別】若い世代と男性の美容整形はどこまで増えた?

藤森 綾 藤森 綾 • 更新: • 公開: • 読了約 18 分
目次

「美容整形は女性が受けるもの」というイメージも、実態とは少しずつ異なってきている。

2025年12月に発表されたリクルートの「美容センサス2025年下期」では、20代男性の美容医療利用率が同年代の女性を上回った。

注目データ 20代男性の年間利用率は22.8%

同調査で公表された男女別の利用率は次のとおりだ。

- 男性全体:8.8%
- 女性全体:10.2%
- 男性20代:22.8%
- 女性20代:21.7%

特に注目すべきなのは、20代男性の数字が同年代女性を初めて上回った点だ。

この調査は、人口20万人以上の都市に住む15~69歳の男女13,200人を対象に実施されたもの。ここでいう美容医療には、医療脱毛、美容内科・美容皮膚科、美容外科、審美歯科・矯正歯科が含まれる。

したがって、22.8%を「20代男性の22.8%が整形手術を受けた」と読み替えることはできない。

それでも、男性にとって美容医療が特別な選択ではなくなりつつあることを示すデータだ。

男性の施術も増えている?2025年調査から見える違い

JSAPSの2025年調査では、施術ごとに男女別の件数も公表されている。

代表的な項目を見ると、男性の利用は施術の種類によって大きく異なる。

- 医療レーザー脱毛:男性305,857件
- ボツリヌストキシン注入:男性77,827件
- ヒアルロン酸注入:男性10,352件
- 二重まぶた手術:男性8,681件

例えば、医療脱毛では男性が全体の約44.8%を占める。一方、ボツリヌストキシン注入では約7.0%、ヒアルロン酸注入では約4.5%だ。

この違いから分かるのは、男性の美容医療利用が一律に増えているわけではないということだ。

男性にとって身だしなみや清潔感と結びつきやすい医療脱毛と、顔の印象を変える注入治療では、利用の広がり方が違う。

また、男性の美容医療は顔の整形だけに限られない。薄毛治療、肌の改善、体型管理など、外見に関する悩みへの対応も含まれている。

若年層は美容医療にどの程度関心を持っている?

若年層の利用については、消費者庁が紹介した2021年の美容センサスも参考になる。

過去1年間に美容医療を利用した割合は、女性全体で11.2%、男性全体で6.5%だった。

一方、20代女性では25.6%、20代男性では13.7%。15~19歳でも女性17.3%、男性9.3%という結果だった。

2025年の20代男性22.8%という数字と合わせて見ると、若年男性の利用拡大が目立つ。

ただし、調査年や対象者、設問の定義が異なるため、これらの数字をそのまま連続した統計として比較することはできない。

【増加の理由】日本人が美容整形を受けるようになった5つの背景

日本人整形増えた

美容医療の増加には、単に「美しくなりたい人が増えた」という説明だけでは足りない。

医療技術、料金、情報環境、社会意識、提供する医療機関の変化が重なっている。

1.切開を伴わない施術が身近になった

最も大きな変化の一つが、非外科的施術の選択肢が広がったことだ。

以前の美容整形という言葉からは、二重まぶたの切開や鼻の形成、脂肪吸引など、身体への負担が比較的大きい手術を連想する人も多かった。

現在は、ヒアルロン酸注射、ボツリヌストキシン注射、レーザー治療、ピーリングなど、比較的短時間で受けられる施術も広く提供されている。

もちろん、施術によって効果の持続期間やリスクは異なる。しかし、選択肢が増えたことで、従来は美容整形に抵抗があった人も美容医療を検討しやすくなった。

2.SNSやインターネットで情報に触れる機会が増えた

美容医療の情報環境も大きく変わった。

SNSや動画サイトでは、施術前後の写真、ダウンタイムの記録、費用、体験談などが日常的に発信されている。

美容医療を受けたことのない人でも、具体的な施術内容を知る機会が増えた。

厚生労働省の資料に掲載された2023年下期の調査では、美容医療を受けた理由としてSNSの投稿を挙げた割合は、女性6.8%、男性10.8%だった。

SNSが利用の唯一の理由というわけではないが、特に男性では情報接触が一定のきっかけになっている。

ただし、SNSで公開される症例写真には注意が必要だ。

照明、撮影角度、メイク、加工、撮影時期などによって印象は変わる。症例写真だけを見て、同じ結果が得られると考えるのは危険である。

3.美容医療の料金競争が進んだ

料金面の変化も見逃せない。

矢野経済研究所の2026年9月の調査によると、2025年の国内美容医療市場規模は、医療施設収入高ベースで6,440億円だった。

2024年の6,310億円と比較すると、前年比102.1%となる。

市場は引き続き拡大しているが、成長率は以前ほど高くない。

同研究所は、低価格施術と積極的なマーケティングによって実現した市場の裾野拡大が一巡したと分析している。

美容医療を提供する医療機関が増え、価格競争が進んだことで、利用者が比較検討できる環境も整ってきた。

リクルートの2025年調査でも、男女とも施術費用が前年から低下したことが報告されている。

ただし、広告に掲載された最低料金と実際の支払総額は異なることがある。安さだけで医療機関を選ぶことには注意が必要だ。

4.美容医療を提供する医師と医療機関が増えた

美容医療の供給側にも変化がある。

厚生労働省が2024年6月の美容医療の適切な実施に関する検討会で示した資料によると、診療所で美容外科を主たる診療科とする医師は、2008年の384人から2022年には1,230人に増加した。


美容外科を主たる診療科とする診療所勤務医師数


2008年

384人





2022年

1,230人







約3.2倍。厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査に基づく。

同資料では、形成外科を主たる診療科とする診療所勤務医師も、2008年の364人から2022年には710人へ増加している。

美容外科の医師数が増加した背景には、美容医療を専門とするキャリアを選択する若手医師の増加もある。

2024年5月の衆議院厚生労働委員会では、政府参考人が、美容外科を主たる診療科とする医師が2020年から2022年までの2年間で約940人から約1,250人に増え、増加の多くは若手医師だと説明している。

なお、ここでいう医師数は美容外科を主たる診療科として届け出た医師の集計であり、美容医療に従事する医師全体の人数ではない。皮膚科や形成外科から美容医療に携わる医師もいる。

5.美容整形に対する心理的な抵抗感が変化した

もう一つの背景は、社会的な意識の変化だ。

かつて美容整形には「親からもらった顔を変える」「周囲に知られたくない」といった心理的な抵抗を感じる人もいた。

しかし現在は、肌のケアや医療脱毛、しわの改善などと同じように、自分の外見を整えるための選択肢として美容医療を捉える人もいる。

厚生労働省の資料に掲載された2023年下期の調査では、女性が美容医療を受ける理由の上位は次のとおりだった。

- コンプレックスの解消:27.8%
- 自己満足:25.2%
- シミ・ほくろなどが以前から気になっていた:16.3%
- 手軽にできるようになった:13.3%

男性では、コンプレックスの解消が17.1%、手軽にできるようになったことが15.0%だった。

これらの結果から、美容医療の動機は、他人からよく見られたいという願望だけではないことが分かる。

自分自身が気にしている部分を改善したい、年齢に応じた肌の変化に対応したい、外見への不満を軽減したいという理由も大きい。

美容整形の一般化は、単純な流行というより、外見に対する価値観の多様化とも関係している。

【費用・トラブル】美容整形が身近になった一方で増えている問題

美容医療の拡大には、利用者にとってのメリットだけでなく、消費者トラブルという問題も伴っている。

国民生活センターのPIO-NETに登録された美容医療サービスの相談件数は、次のように推移している。

- 2023年度:6,281件
- 2024年度:10,744件
- 2025年度:7,944件

2024年度に相談が急増し、2025年度は減少したものの、2023年度と比較すると高い水準にある。

なお、これは消費生活センターなどに寄せられた相談情報であり、実際に施術を受けた人数や被害者数を示すものではない。また、センター等からの経由相談は含まれていない。

美容医療の相談で多いトラブルとは?

代表的な問題は、大きく3つに分けられる。

1.高額な契約を勧められる

カウンセリングに行ったところ、当初希望していなかった施術を追加で勧められ、予算を大幅に超える契約をしてしまうケースだ。

「今日契約すれば安くなる」「今すぐ治療した方がいい」といった説明で、判断を急がされることもある。

2.施術後の副作用や健康被害

美容医療は医療行為である以上、身体的なリスクを伴う。

腫れ、痛み、感染、皮膚障害、熱傷などが発生する可能性がある。注入治療にも血管や神経に関わるリスクがある。

3.広告と実際の料金が違う

広告では低価格に見えても、カウンセリング時に別の施術や追加オプションを提案され、最終的な支払額が大きくなる場合がある。

厚生労働省も美容医療の適切な実施に関する対策を進めており、2026年現在も、施術内容やリスクの説明不足、不適切なカウンセリング、料金に関する問題について注意を呼びかけている。

美容整形の費用はいくら?施術別の料金相場

美容整形の費用は、施術方法、使用する材料、医師の技術、医療機関によって大きく異なる。

以下は公開料金を複数の医療機関から集計した民間の料金データによる参考値だ。公的な全国平均価格ではなく、実際の見積もりとは異なる場合がある。


代表的な美容医療の料金目安


二重埋没法
切開せず糸で二重を形成


約13.9万円


中央値



二重切開法
まぶたを切開して形成


約32万円


中央値



鼻ヒアルロン酸
1ccあたり


約6.9万円


中央値



鼻プロテーゼ
隆鼻術


約30.8万円


中央値



エラボトックス
注入治療


約4.95万円


中央値



頬・顎下の脂肪吸引
1部位あたり


約22万円


中央値


参考:公開料金集計「美容医療の費用相場」。集計対象や料金条件により変動。
出典:Beauty Scannerの公開料金集計。

特に注意したいのは、注入治療は1回の料金だけで判断できないことだ。

使用量や施術部位によって費用が変わり、効果を維持するために追加治療が必要になる場合もある。

一方、切開手術は初期費用だけでなく、麻酔、薬剤、術後診察、修正手術などの費用も確認しておきたい。

施術を受ける前に確認したい5つのポイント

美容医療を検討する場合は、次の項目を確認したい。

1. 施術を担当する医師:担当医の資格、経験、専門分野を確認する。
2. 施術の具体的な内容:使用する薬剤や医療機器、施術方法を理解する。
3. 副作用とリスク:期待できる効果だけでなく、合併症や後遺症について説明を受ける。
4. 総額と追加料金:広告料金だけでなく、麻酔、薬剤、再診なども含めて確認する。
5. 契約を急がない:当日契約や即日施術を強く勧められても、その場で決める必要はない。

厚生労働省と消費者庁は、施術内容、リスク、代替方法、費用などについて十分な説明を受け、納得してから判断するよう呼びかけている。

美容目的の施術は、多くの場合、緊急性がない。複数の医療機関で意見を聞き、いったん持ち帰って考えることも大切だ。

【プロの結論】日本人の整形増加を正しく理解するための3つの視点

ここまでの調査結果を整理すると、日本の美容医療には大きく3つの変化が起きている。

1.増えているのは整形手術だけではない

2025年のJSAPS調査では、非外科的施術が全体の91.8%を占めた。

注入治療、肌の若返り、医療脱毛などが美容医療市場の大きな部分を形成している。

そのため、「日本人の整形が増えた」という検索キーワードに対する答えは、正確には「日本国内の美容医療の施術数が大きく増加し、その中心は非外科的施術」ということになる。

2.若年男性の利用拡大は無視できない

2025年の美容センサスでは、20代男性の年間美容医療利用率が22.8%となり、同年代女性の21.7%を上回った。

男性の美容医療が、医療脱毛だけでなく、肌や顔の印象を整える選択肢にも広がっていることがうかがえる。

一方、若年層の利用拡大を、すべての若者が整形手術を受けているという意味に解釈してはいけない。

3.市場拡大と医療の質は別々に評価する

美容医療市場は6,440億円規模に達し、医師や医療機関も増加している。

しかし、利用者が増えれば、それだけ医療の質や安全性が保証されるわけではない。

国民生活センターへの相談が増えていることも、業界が抱える課題を示している。

今後の美容医療に求められるのは、施術の選択肢や価格競争だけではなく、医師による適切な説明、透明性のある料金体系、施術後のフォロー体制だ。

美容医療を選ぶ側も、流行やSNSの症例写真だけに左右されず、自分にとって本当に必要な施術なのかを考える必要がある。

【日本人の整形増加】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:日本人の美容整形は本当に増えていますか?

A1:増加傾向にあります。JSAPSの第9回全国美容医療実態調査では、2025年の施術数は4,333,339件で、前年の3,058,488件を上回りました。ただし、これは施術数であり、整形を受けた実人数ではありません。

Q2:日本で最も多い美容整形・美容医療は何ですか?

A2:2025年の調査では、ボツリヌストキシン注入が1,106,865件と、非常に多い結果でした。医療脱毛や顔面若返り関連の施術も大きな割合を占めています。

Q3:男性も美容整形を受けるようになっていますか?

A3:はい。2025年の美容センサスでは、20代男性の年間美容医療利用率が22.8%となり、同年代女性の21.7%を上回りました。ただし、美容医療には脱毛や肌治療なども含まれます。

Q4:若い人ほど美容整形を受けているのでしょうか?

A4:若年層の美容医療利用率は比較的高い傾向があります。ただし、年齢別の利用率は調査の定義によって異なり、若者全体の整形手術の割合を示すものではありません。

Q5:美容整形の施術数が増えた最大の理由は何ですか?

A5:非外科的施術の普及、料金競争、SNSなどによる情報接触、医療機関の増加、外見に対する価値観の変化など、複数の要因が重なっています。

Q6:2026年の最新データで、日本人の整形人数は分かりますか?

A6:2026年8月公表のJSAPS調査から2025年の施術数は分かりますが、患者の実人数や日本人の国籍別人数は分かりません。同じ人が複数の施術を受けた場合も個別に数えられるためです。

2026年現在、日本の美容医療市場は大きな変化を迎えている。JSAPSの2025年調査で約433万件という施術数が明らかになり、従来の美容整形手術だけでは説明できないほど、注入治療や肌治療などの非外科的施術が広がっている。

また、20代男性の美容医療利用率が同年代女性を上回ったことは、性別による美容医療の利用傾向にも変化が生まれていることを示す。

ただし、施術数の増加は利用者数の増加と同じではない。調査対象や分類の変更、繰り返し施術の影響も考慮する必要がある。

美容医療が身近になった今だからこそ、価格や流行だけで判断せず、医師の専門性、施術の安全性、費用、術後の対応まで確認する姿勢が欠かせない。今後は市場規模の拡大だけでなく、利用者が安心して適切な医療を選べる環境が整うかどうかも、日本の美容医療を評価する重要な指標になるだろう。

主な参考資料・調査主体

- 日本美容外科学会(JSAPS)「第9回全国美容医療実態調査」2026年8月
- 厚生労働省「美容医療の適切な実施に関する検討会」関連資料
- 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」
- リクルート「美容センサス2025年下期・美容医療編」
- 矢野経済研究所「美容医療市場に関する調査(2026年)」
- 国民生活センター「美容医療サービス」
- 消費者庁「美容医療を受ける前に確認したい事項と相談窓口について」

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